新しい植物の組織の発見
今日は、植物の種子を作るときに必要な、へその緒のような新組織が見つかったという研究を紹介したいと思います。
サイエンスポットは、最新の科学技術にスポットライトを当てるポッドキャストです。
ホストは、サイエントークのレンです。ということで、今日のテーマは植物界で結構大きいニュースですかね。
160年ぶりの海峡みたいな研究のニュースがありましたので、そちらを紹介したいなと思います。
だから最初に言ったように、植物にもへその緒のような役割を持っている組織がありましたと。
これがもしかしたら、すごい長い目で見ると、食料問題の解決とかにつながるかもとか、
そういった話もできたらなと思います。
今回のこのエピソードは、科学系ポッドキャストの日というイベントに参加しております。
こちらのイベントは、毎月10日頃にホストが一番組ポッドキャストで決まりまして、
そのホストがテーマを提案して、こういう科学系のポッドキャスト、
科学系じゃなくてもいいんですけど、が参加しますって言って、そのテーマについて話して、それをプレイリストにまとめたりとか、
SNSでハッシュタグ、科学系ポッドキャストの日で発信するとか、そういった企画をずっとやっています。
受精と栄養供給のメカニズム
これはもう2023年くらいからやっているもので、
一番最初にホストをやったのが、僕がもう一個やっているメインのサイエントークという番組でして、
そこから毎月ずっと、
ほぼほぼずっと続いていて、何回目なんだろうな、ものすごい回数になっています。
ホームページにも、一応、科学系ポッドキャストの日の特集ページを作っていますので、そちらを見ていただけると趣旨とか、
どういったものなのかなっていうのはわかるかなと思います。
ホームページの更新が今、僕はちょっと海外からのアクセスができなくて、今問い合わせ中なんですけども、
そちらも更新したいなと思っています。こちらも概要欄に貼っておきます。
今回のホストは、アメリカンナイトゴールドというポッドキャストでして、
テーマは米ということで提案していただいております。
かなり、なんていうんですかね、今までふわっとしたテーマ、例えばドタバタとか教会とか、
いろいろありましたけど、精とかね、もちろん広い。米は結構スペシフィックだなと思ったんですけど、
テーマ提案していただいてありがとうございます。
こちらSpotifyのプレイリストも制作されていて、他の番組さんも更新されていますので、そちらもぜひチェックしてみてください。
今回、米の生育にも関わるような植物の研究というところですね。
実際、イネとかも使って研究しているので、このテーマに沿った研究ということで紹介させていただきたいなと思います。
この話をするにあたって、最初に多くの生き物って、当然、赤ちゃんみたいな状態から大人に育っていくときに、
自分で栄養を作り出すというよりかは、他から栄養を提供してもらったり、
例えばお母さんから栄養をもらったりとかして成長していくということですけど、
人間の場合はへそのを通じて母親の胎盤から栄養が供給されてくるっていうことがあると思います。
じゃあこれ植物ってどうなんだろうっていうのは、僕もあんまり今まで考えたことがなくて、
植物は全然人間とは体の構造が違うんですけども、
花の中にある胚種っていう部分が受精して、これが将来の赤ちゃんに相当する種子、種ですね、になります。
この種が大きく成長していくためには、当然種だけで成長していくわけじゃないので、
本体の植物から栄養を受け取る必要があります。
これがうまくいかないと種子がちゃんと育たずに、最終的な収穫量が減ったりとかいうことになるので、
どういうメカニズムなんだろうっていうのは研究されてきてました。
2005年ぐらいから植物の種が大きく育っていくために受精して、
その受精したのがどういうトリガーになって種子に栄養を与えていくようになるのかとか、
そういった部分が謎に包まれてる部分があったそうです。
これ結構意外だなと思って、こんだけ散々植物研究されてるのにそこ分かってなかったのっていう気持ちもあるんですけど、
確かに種子っていう構造を作るにあたって、ちゃんと受精してない状態でもう種っていう構造はできたりするんですけど、
そこに受精してないのに無駄に栄養を送ったりとかしちゃったりすると、植物にとってはもうエネルギーの無駄遣いになっちゃうんですよね。
なので受精したっていうのがスイッチになってその種に栄養を送って、
最終的にその種が他のところに運ばれて、新しく育っていくっていうことなんですけど、
このスイッチとかそこも分かってなかったみたいで、これを今回名古屋大学の研究グループが研究したということです。
これはやったこととしては、まずこの胚種、鼻の中にある胚種っていう将来種になる部分に関して受精が成功した胚種と失敗してしまった胚種をそれぞれ詳しく調べましたと。
で、その細胞レベルでの変化まで探してみたそうです。
この最初は受精すると胚種が大きくなる。
で、しなかったらそんなに大きくならないっていうのは顕著な違いとしてあるんですけども、
それ以外何か違いないかなっていうのを調べてるときにアニリンブルーっていう、これは染色する試薬ですね。
染色する試薬を使って花粉管、植物の生細胞を運んでいく管があるんですけど、そこを調べてるときに花粉管が入ってくる場所、
胚種の一部分で花粉管が入ってくる場所に注目して研究を進めていました。
で、そうするとその管が入ってくる反対側ですね。
胚種の反対側の部分になんか奇妙なシグナルが見えたと。
で、これが受精に失敗したときに特に強くなるっていうことがわかったと。
要はこの試薬に反応してるってことですね。
なので花粉が運ばれてくるところの反対側でこの試薬染色してるものがカロースっていう物質なんですけども、
これが糊みたいな物質で植物の成長過程で細胞壁と細胞膜の間に一時的に沈着する物質になります。
これがなんか蓄積してるということがわかりました。
で、まとめると受精に失敗したときはこの花粉管の反対側にカロースが大量に蓄積して、
そこが言ったらダムみたいな川の水の流れを止めるダムみたいに母親から栄養が流入してくるっていうのを物理的にブロックするっていうことがわかったそうなんですよね。
実際にこの栄養がどういうふうに行き渡るのかっていうのを、これも視覚化する試薬があるんですけども、
それを見てみると受精した胚種の方には栄養が種の方に流れていくと。
ただ失敗した方の胚種ではこのカロースがある場所が栄養の流入を完全にブロックしているということがわかりました。
なんでなんですかね、受精したらブロックがなくなるんで種に栄養が入ってくるようになるっていう、
この門みたいな役割をしている構造になっていて、
これが言ったら植物にとってのへそのおのような組織っていうことですね。
笹原ゲートウェイの重要性
これがこの研究グループを率いている笹原淳教授ですかね、の名前を取って笹原ゲートウェイと名付けられたそうですね。
東京にいた高輪ゲートウェイってありますけど、その駅みたいな名前がこれ付けられているそうです。
じゃあこの門が実際できるかできないかっていう制御は何かの遺伝子とかに基づいて行われているだろうと。
そこのメカニズムを調べてみています。
実際に受精したときだけこのスイッチがオンになる遺伝子っていうのをいろいろ調べていくと、
これ名前長いんですけどATBGPPAPという遺伝子です。
ちょっとピコ太郎みがありますけど最後後半。
ATBG、アンダーバー、PPAPですね。
でこれの遺伝子がさっき言ったこのカロースっていう受精しなかったときに蓄積しているダムになっているやつを分解する構想の設計図ということがわかりました。
なので受精が成功するとハイシュはその受精を感知してこの遺伝子を活性化させてそこから出てくるカロースを分解する構想っていうのがこのダムを溶かすと。
すると門が開いて母親から栄養を取り込むみたいなそういうすごい合理的な仕組みが植物の中にあったよっていうことみたいですね。
でこれをあとは実際よくやられるんですけどこの遺伝子をじゃあ働かなくしたらどうなるんだっていうのをやってます。
これクリスパーっていうゲノム変種の技術を使ってますけども意図的にこのATBGPPAP遺伝子っていうのを働かなくした変異を入れた植物っていうのを作ってあげると
この変異体だとさっきのダムの構造ですねカロースが分解されなくて栄養の流入が落ちて最終的に受精した場合でも非常に種が小さいままだということがわかったそうです。
逆にこの遺伝子を通常よりも過剰に活性化した植物っていうものを作ってあげるということもやってまして。
そうするとこのカロースっていうものがそもそも分解されやすくなると。
なので栄養のこの流入が非常にスムーズになるんですね。
でその結果この過剰発現体では16%ぐらい大きい種子になったということみたいです。
これは実際によく実験で使われる白犬なずなっていうやつがあるんですけどその白犬なずなでもやってるしあとは稲ですね。
まさしく米になるものですけどそれでも同様に種子が9%大きくなったということみたいです。
なので単純に植物の種の栄養が栄養の入ってくる量が増えて大きくなるってことですね。
これが笹原ゲートウェイだということみたいです。
このゲートウェイって実際特殊な形をした細胞群から構成されていて、そこがしっかりモンとして働くような形になってるっていう。
本当にへその王みたいですよね。
これが見つかったということみたいです。
これは特異的に染める色相を使って結構きっちり観察して細胞レベルを見ていったら見つかったっていうことみたいなので、そこが新しい要素だったのかなっていう感じですね。
種子のサイズに及ぼす影響
これが樹勢の成功失敗みたいなところを正確に感知して効率的に種子を大きくする。
ということは、この遺伝子をうまく応用すると実際にもっと種子を大きくするような品種の開発とか、そういった方法にももしかすると今後使われるかもしれないということみたいですね。
これ結構面白い研究だなと思って、すごいわかりやすいですし、教科書に乗りそうな感じのメカニズムですよね。
というのが名古屋大学から出てて、これシンプルにすごい面白いなというふうに思いました。
これは本当に4月ですかね、2025年の4月付で発表されている内容なので、こちら概要欄にも載せておきますが、こちらぜひ気になる方はチェックしてみてください。
ということで、この番組サイエンスポットは平日毎日朝に日本語と英語で配信しています。
このポッドキャストを聞いて、ぜひ皆さんも勉強になったよとか感想なんかありましたら、ハッシュタグサイエンスポットで投稿してもらえると嬉しいです。
番組のフォローとかも結構な人数フォローしていただいて本当にありがたいなと思っております。
そういうのが僕がなんとか毎日継続して発信するモチベーションになっています。
たぶん誰も何も聞いてくれないんだと僕はわざわざ喋らないんじゃないかなと思いますので、本当に励みになっております。ありがとうございます。
ということでまた次回お会いしましょう。