腸換気法の概要
今回は、お尻で呼吸するという未来の医療についてちょっと話してみたいと思います。
サイエンスポットは最新の科学技術にスポットライトを当てるポッドキャストです。 ホストはサイエントークのレンです。
ということで、今回のエピソードは呼吸の話なんですけども、僕たち普通に呼吸するってなったら、もちろん口から吸って
肺で呼吸していると思うんですが、魚だったらエラを使ってエラ呼吸するみたいな感じで、哺乳類とか生き物って基本的に口から空気を吸ってるわけですよね。
ただ口から呼吸するのが難しくなったりとかした場合に、体の中で必要な酸素を取り込めなくなっちゃうっていう、病気とかでそういう状況になってしまうケースが想定されると。
そういうものの打ち手として、口じゃなくてお尻側から呼吸させることができるのかっていうのが、かなり真剣に研究されている内容になっています。
今回紹介するのは東京科学大学の竹部隆教授らと、あとは名古屋大学の藤井淳教授らの研究チームがやっている超換気法っていう、それの臨床試験のお話ですね。
この話をするにあたって、非常にこれ一般的にも有名な研究で、なぜかというと、2024年のイグノーベル賞ですね。
豚がお尻から呼吸できるみたいな、そういった内容がイグノーベル賞で受賞されています。
これ非常にニュースでも話題になりましたし、僕のポッドキャストサイエントークの方でも去年のイグノーベル賞も全部紹介していて、その時にもこれ話題になっていますね。
そこから人間にこれ実際に使えるのかっていうのを研究しているっていうのは、会社で新しくやっていたりもしていて、その研究チームが臨床試験をやってたということですね。
具体的にこれどういう病気の人に使われるのかというと、重症呼吸不全、特に急性呼吸脅迫症候群、ARDSっていうものがありまして、
要は肺で酸素を取り込んで二酸化炭素を排出するっていう、このガスの交換の機能っていうのが失われてしまって、うまく酸素を取り入れられないと。
これ非常に致死率が高い病気らしいですね。標準治療は人工呼吸器とか、あとは体外式の人工の肺を使って何とか命をつなぐという方法が今取られているんですけども、
非常に肺にも負担がかかりますし、合併症のリスクもいろいろあるということなので、全く新しい低浸周な治療法として、これをお尻から呼吸させる、超呼吸っていうものですね、研究しています。
これもともと別な動物、水生、水に生きている生物とかが超呼吸の能力を持っている動物とかがいて、そこから着想を得たものなんですけども、
具体的にどうやってやるかが結構難しくて、酸素とかを空気、気体として注入するっていうのもなかなか難しそうじゃないですか。そこに留まらせることは難しいということで、
この人たちどうしたかというと、特殊な液体をまず使います。これがパワフルオロデカリンっていう、略してPFDっていうやつなんですけども、
これはフッ素が入っている液体になってまして、特徴としては酸素をたくさん溶かせるっていう液体ですね。
しかも他のものと反応しにくい、科学的に非常に安定していて、体の中には吸収されにくい特性を持っている液体です。
言うなら酸素のスポンジみたいなもんで、このスポンジに酸素を吸い込ませておいて腸内にそれを送って、
その腸の中で酸素だけが体の中に取り込まれていくっていう方法らしいですよね。これを臨床の第一相試験、要は人に対して初めて使いますよっていう臨床試験、
として日本の国内で実施された研究になっています。一応どういう研究だったのかって細かいことを言うと、20歳から45歳の健康な成人男性27名を対象として研究を行ったそうです。
酸素をまず含まない、さっきのPFDっていう液体を25ミリリットルからこれ最大1500ミリリットルまで段階的に増量するっていう試験の方法をやってまして、
60分間腸内にそれが保持されていて、ちゃんと観察すると。これまず安全性を見るっていうところですね。実際そういうものを腸に入れて、
例えば炎症起きちゃいますとかお腹すごく痛くなっちゃいますだと実際使えないので、それをまず確かめたと。
そうするとこの試験の期間中は重篤な有害症状とか副作用とかそういったものは一例も発生しなかったということです。
血液検査とかもやっていて、例えば肝臓とか腎臓の機能に影響ないかなっていうのも見ていて、そういう影響は見られず、まずは安全であるよねっていうのが確認されました。
あとは安全性の根拠として、これを使った12時間ぐらいは血をとって、その血を調べるっていうのをやってたんですけど、全ての血液サンプルでこのPFDっていうものは検出限界未満。
つまり血の中にさっきのフッ素の液体とかが入ったりしませんよっていうこともちゃんと確かめられています。
これ多分血流に乗っちゃうと何かしら有害な事象を起こしたりするっていうのは考えられるので、そういったことはないっていうのをちゃんと確認してるってことですね。
あと人用性、どれだけ耐えれるかっていうところに関しては、1500mlの高容量な、たくさん入れた人では一部腹部の満腹感っていうんですかね、膨らんだ感じとかちょっとお腹痛いみたいな軽微な症状は報告されているっていうところですけど、全て自然に回復するレベルということで、少なくとも1000mlまでの容量では非常に耐えているということみたいでした。
この試験に関しては安全性の確認っていうのがメインなので、酸素を含ませていないPFDを使ってやっていたそうなんですけども、それでも500ml以上の結構容量が多い場合では、血液中の酸素濃度が若干向上すると、わずかですけど約1%上昇するっていう変化が観察されたそうです。
これは投与したPFDに積極的に酸素を混ぜ込んでいるわけではないんですけども、大気中の酸素が一部溶存していて、それが体内に供給された可能性っていうのを言っています。
なので、こういう腸の呼吸によって酸素を取り込まれるっていうのも、もしかしたらこれ人でも機能するんじゃない?しかも安全で大丈夫なんじゃない?っていうのを裏付けている結果になってますね。
今回報告されたものに関しては臨床試験のフェーズ1っていうやつで、まず人でちゃんと使えるよねっていう安全性を確認する試験なので、これ以上実際酸素めっちゃ溶かしてどれぐらい改善していくかっていうのはこれから行われる先の臨床試験になっていくんですけども、
ポッドキャストの意義
最低限人でこういう呼吸不全の患者に対して、なるべく体にダメージがないように治療できる方法の選択肢になり得るんじゃないかというとこで、まずは研究が進んでいっているということみたいですね。
あとは人工呼吸器つける人以外にも新生児とかですね、非常に治療の選択肢が限られると、そういった方を救うための画期的な手段になる可能性もあって、そういった意味ではこの治療法が期待されているということみたいですね。
はい、でこれ先日ですね、今年のイグノーベル賞の発表があって、でそれもサイエントークの方でイグノーベル賞を話しつつ、どうやったらノーベル賞になるかなみたいな話をちょっとしてみたりもしてたんですけど、これまさにですよね、これまさにこのイグノーベル賞でちょっとお尻から呼吸っていうキャッチーさが最初にありつつも、そこからこういう応用展開していくっていう、
ノーベル賞はちょっとまた別かもしれないですけどね、こういう治療法につながっていくかもしれないっていうのはすごく面白いし、今までイグノーベル賞でそういうパターンあったんですかね、僕あんまりそこまでフォローできてないですけど、こういった研究がイグノーベル賞常連国の日本から出てくるっていうのは僕は非常に面白いと思うし、本当にこれ画期的な方法だなというふうにこれ読んでいて思いました。
ということで、今回のエピソード、お尻から呼吸するっていう方法ですけど、アプローチとしては液体に酸素を溶かして腸に届けて、そこから酸素を吸収させるのか、それでまずは安全であるよねっていうのが確認できたっていう報告でした。
はい、最後にちょっと雑談なんですけど、今絶賛科学系ポッドキャストの日のイベントの期間になっております。いろんな番組の方にもですね、科学系ポッドキャストの日のイベントには参加していただいていて、いろんな方にも参加していただいております。
前回もちょっとその辺の話題をしたんですけど、Xとかでも似たようなポッドキャストのイベントをなんでやろうと思ったのかみたいな話をして、多少ちょっといろんな人が反応してくれたところあるんですけど、なんかポッドキャストおもろいんですよ。
個人的にもめちゃくちゃ面白いし、いろんなつながりもできて、めっちゃ楽しいなーって思ってるんですけど、なんか両手話でやろうっていうのでやったらいいじゃんみたいな理論も言いたくなるし、僕も今まで言ってきたんですけど、簡単に言いすぎるのもちょっとあれかなというところもあって、っていうのもなんか喋りたいことそんな大したないけど、ちょっとやってみるかみたいな。
そういう人もいて全然いいし、発信しようっていうのは本当に素晴らしいことだと思うんですけど、いざ始まったら結構いろんなやることがあったりとか、じゃあそこからせっかくなら聞いてもらえる人を増やそうっていう時に、じゃあそれどうしたらいいのっていうのがすごく難しいんですよね、ポッドキャストって。
僕もなんか未だにこういろんな苦労をしながらやってるところもあるし、そして誰もそれをすごく助けてくれるかっていうとそうではない。結構自分が主体的になってやっていく必要があるのが結構ポッドキャストなのかなと思っていて。
それで、それ僕わかってて、それだけどとりあえずやったらいいじゃんって言っていろんな人に始めてもらうっていうだけだと、なんか僕は若干無責任なような感じもしちゃったんですよね。全然責任持つ必要ないし、始める人増えたらいいなっていうのは本当に僕思ってるんですけど、ちょっとなんか無責任感があるなって自分でも思っちゃって。
そういう意味でも、やっぱり科学系ポッドキャストみたいな宣伝する場所として、あとは横の繋がり作る場として企画を持っておくことはすごく大事なんじゃないかなって最近特に思ってます。
素人がいきなりポッドキャストポンって始めてめっちゃ注目されるっていうのは基本的にはないですね。芸能人が始めたとかだったら全然あるし、たまたま有名な人が紹介してくれた素人の人とかで一気に有名になるっていうパターンはありえるかなと思うんですけど、ほぼないですね。1%以下ですね。
なので、そこまで簡単ではないとまず。ただ、ポッドキャストを聞いてくれる人とか、配信してないけど積極的にいろんな番組を聞いてる人っていうのは確かにいて、そういう人がどうやってポッドキャスト探してるのかっていうと、アプリの中でいろいろ探したりとか、SNS見て見つけたりとかっていうのが多いかなと思います。
なので、SNSの場所として科学系ポッドキャストの日っていうイベントは基本的にX上で作っているものにはなるんですけど、作ってる時点でめっちゃ僕何かやってるかっていうとそんなやってないですけどね。
ポッドキャストイベントの意義
ただ、そういう場所があって、じゃあこの番組も参加してるんだとか、ハッシュタグで見てもらうとわかりますし、あとは毎月ホストになっている番組とかもあるので、こういう人が参加してるんだっていうのもちょっと見たら結構わかるようになっていて、デザイントークのホームページにもいろいろと紹介してますし、
そういうつながりの場所としてはノーリスクで全くお金をかけずに、まずはどっかで聞いてもらおうっていう時にできるアクションの一つがこういうイベントに参加することだと思いますよね。
そういう場所になっていたらいいな、そして僕は科学系の番組が増えたら嬉しいよねっていうので、科学系ポッドギャスの日って言ってますけど、そういう人たちは始めたらいいよ、このイベントに参加すると再生数ゼロはないよっていう意味で、多少始めてもらってちょっと続けやすいような環境になる解決法なんじゃないかなというふうに思ってます。
そういう意味でもやってるんですけど、あとはもう無責任に始めてっていうポジショントークだけに終始したくないなっていう、でなんかわかんないですけど、とりあえず始めましょう、伸びないんですね、伸びないんだったらお金払って教えますぜみたいな感じの、何ですかね、情報の格差がある中でそういう情報の非対称性みたいな言いますけど、そういうものを利用していろいろとお金を稼ぐ人も多分ポッドギャストでたくさん出てきますし、
教えること自体は本当にいいんですけど、そこのお金取るばっかりに終始しちゃうと、どうしても作種構造に見えてしまうところがあるんで、やるなら本当に伴奏して丁寧に結構教え込んでるみたいな方とかもポッドギャスト業界にはいて、そういう方たちは本当すごいなと思って僕見てるんですけど、そうじゃない人も中にはいたりするんで、
まずは自前でできることをやる、もうすでに始めてる人たちにとって参加しやすいイベントになったらいいなというふうに思ってます。科学系と言いつつ科学系以外の方も参加できるような形にしてるんで、そういう方たちは全然いいとこ取りしていってもいいと思うんですよね。
正直全然参加してくれた人にメリットがあれば僕はいいなって思いますし、なんかそういう人もっといていいんじゃねっていう、ほんとそれぐらいですね。めっちゃ大義を持ってやってるかっていうほど僕はすごくこのイベントの運営をしまくってるわけじゃないんで、ある意味結構ゆるーくやってる企画ではあるんで、そういう意味では安心して参加してほしいですね。
僕のこと嫌いな人でも多分これ参加することメリットあるような気がしますけどね。全然嫌いでもいいんですけど、使えるもの使った方がいいんじゃないっていう感じですね。これちょっとどうしても上から目線に聞こえちゃう人もいるかもしれないですけど、別に全然そんなことなくて、僕は昔ポッドキャスト始めたての時にこういうのあったら絶対参加してるし、
そこで新しいリスナーさんとの出会いも多分あるんじゃないかなっていうのを考えながらやってますし、多少僕の番組とかでこういう宣伝をすることも意味なくはないと思うんで、絶対聞いてる人たちには届くと僕は信じてるので、参加してもらえたら嬉しいですね。
これ聞いてる人も知ってるよそんなみたいな感じかもしれないですけど、正直誰が聞いてるかわからないんで、こういう話がいろんな人に届いていくといいし、最終的に正直こういうことの積み重ねでポッドキャスト盛り上がっていくんじゃないかなっていう風には個人的には思ってますね。
そうするともっとビッグプレイヤーみたいな人もポッドキャストどんどん参加してくるかもしれないですし、その時にこういう世界あるんだみたいなのの一つに科学系の取り組みもあったらいいなと思いますし、僕自身もっとこれ広げていきたいなっていう思いはありますね。
なんで応援してくれる人がいないとこれも多分続いていかないと思うんで応援してもらえたら本当嬉しいですね。僕も自分の番組やってるので結構精一杯なところもあるし、参加してくれてる人も多分そうだと思うんですよね。
皆さん大変さわかってると思うので配信する。そんな中、わざわざテーマ合わせて参加してくれたりとかいろいろしてくれているので、そういうみんなのちょっとずつの頑張りが大きい力になるっていう感じ、そういう感じでいたいですよねっていうのを最近いろんなポッドキャスト業界なり、ポッドキャストに限らずですね。
お尻から呼吸する方法
YouTubeとかも一緒なんですけどそういう業界とかを見てると思ったっていう感じです。ある意味僕ポッドキャストといい距離感でできてる人間でもあるんですよね。何でか100%ポッドキャスト全振りしてるわけではない人間ではあるんですけど、それでも結構な割合、人生の割合使っててポッドキャストには。
そういう意味では本当に思い入れがあるし、フラットな意見言えるところもあるんで、そういう立場からいろいろとこれからもできることはやっていきたいなというふうに思っております。
あとぜひ皆さんでこういう取り組みポッドキャストではあるんだとかそういうのを広めてもらえると本当に嬉しいですし、多分口コミでしか刺さっていかないと思うんで、人と人のつながりみたいなものは。皆さんがこういろいろ話題にしてもらえることが一番嬉しいことかなと思いますので、ぜひともよろしくお願いします。
はい、今日全然違う話になっちゃいましたけど、お尻から呼吸するって話、なんでこんな話なんだって話ですけど、本当に関係ない雑談として話してみました。
はい、ということで今回は以上になります。この番組サイエンスポットは日本語と英語で発信をしております。
ポッドキャストを聞いて感想などありましたら、ハッシュタグサイエンスポットで投稿してもらえると嬉しいです。
前回のエピソードはぜひハッシュタグ科学系ポッドキャストの日でも投稿してもらえると、いろんな方が見てくれるんじゃないかなというふうに思っています。
それではまた。