倒産の背景
この番組は、中小小売企業の取締役経験のある2人が、 そのリアルについてゆるくお話しします。
人事に軸足を置いたジェネラリスト、私戸部有利が、 2度のM&A経験がある連続企業家、樋口幸太郎さんに話を聞いていきます。
既に小売企業を経営している方、これから小売ビジネスで 企業を考えられている方に役立つ情報を楽しく語っていきます。
リテールトーク、62回目になります。よろしくお願いします。
お願いします。
今日は楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー受賞店舗の 相次ぐ倒産の要因というところで、お話を聞いていきたいと思っていますが、
最近ですね、シーンを初めて買ってみたんですよ。
シーンとかティームとか、買ったことなさそうですけど、 一応買ったことありますか?って聞いていいですか?
僕個人はないです。
ないですよね。
個人は買うものがないですね。
周りに女性いらっしゃると思いますが、買ってそうな人います?
周りは妻も買ってますし、あとはうちのインターンの女子大生は3分の2が買ってたので、やっぱ浸透してますね。
すごい。
結構やっぱあれだけ、すごいですもんね、今ウェブの広告も含めて。
普通にアイテムとかでグーグルで調べちゃうと、 めっちゃショッピング広告っていうのかな。
めっちゃ出てきますもんね。
そうですね。買います?とべさんは。
この間ですね、美容師さんにそのワンピースかわいいねって言ったら、 これシーンですってすごい人に言われて、そうなんだと思って。
シーンの中でもこのブランドはいいですよとかそういうのがあるらしくて、 それで教えてもらって調べたら、なるほどなみたいな。
ちょっと買ってみるかと思って。
私もどちらかというとファッションやってて、いいシーンでも買い慣れてるから、 この素材でこの感じだったら間違えてもなんとかなるかなみたいな想像ができるじゃないですか。
割とクッド側というか。
なんで買ってみたんですよね。
まあまあそれなりの補正でそれなりのお出来だったんで、 まあそっかこれでこの値段だったら安いなっていう感じでしたね。
なるほど。物的にはそんなに良くないけど値段考えるって感じですかやっぱ。
そう、なんかねワンピースとパンツを買ったんだけど、 2つで2000円いくらとかしかなくて。
安っ。
多分最初のなんか初回割引みたいなのもあったと思うんですけど、
でもあれなんですよね、なんかあの私、韓国とか中国の仕入れにちょこちょこ行ってるんで、
卸売市場の中でパッケージに入った服がババババって縦に積まれている感じとか、
それらが結構汚い床に置いてるのとか知ってるので、
袋がそのまま家に届いた感じで、あんまりその袋を触るのが嫌だなっていう気持ちのスタートでしたね。
なるほど、裏押しになってる分。
そうそうそう。はい、なので、また買うかはわかんないけども、一旦考えてみました。
はい、本題に行きます。
競争環境の変化
今日はですね、楽天ショップオブザイヤー受賞店舗の相次ぐ倒産の要因というテーマです。
ニュース記事を見ていて、ZIP5、ニルウェイ、シルファーなどのブリックスさんだったりとか、
ハプティックというブランドの井上通商さんとかの破産のニュースを今見てました。
前回、イーザー・アッカマニアさんのお話だったんですけど、それについで楽天ショップオブザイヤーを受賞している、
一見成功しているように見える企業さんの倒産が相次いでいるということなんですけど、
ここに何なのか、トレンドとか共通項になり得る要因があるのか、みたいな話聞ければなと思ってます。
結構、イーザー・アッカマニアさんの破産のニュースびっくりしたんですけど、
いろいろ見てると直近、井上通商さんのニュースは4月に出ていて、ブリックスさんのニュースが3月に出てるのかなっていう感じで、
結構これは相次ぎ倒産してるなと思ってびっくりしましたと。
僕自身もやっぱりコンサルやろうかなっていうところと、マストアレコードやろうかなっていうところで、
結構楽天とZOZOの売上ランキングのデータを見て、営業先とかでマークしていた先だったので、この2社も。
これは結構感慨深いというか、あれどうしたんだろうっていうのは思いました。
やっぱり調べてると、2010年前後に楽天市場に出店した企業については苦戦している企業が多いっていうのを業界の中でも聞いたりするので、
ちょっとその辺り、包括的にどういうことがあったのかみたいなところを振り返りながら話せればなと思ってます。
2010年、結構古産のというか古いからやってる企業さんですね。どんな背景なんですかね。
そもそもこの楽天第一世代というか、2000年代後半から2010年ぐらいの第一世代って大手があんまりいない市場の中で、
大手がやらないような品質基準で安く作って、安いことを背景に販売してる会社も結構多いかなと思っていて、
安く提供してたっていうのが価値のそのもので、それが本当にECがコロナ以降主戦場としてみんな参入していく中で、
競争環境が激化した中で特徴がなかなか見出せず、シェアを奪われていったんじゃないかなっていうのがそもそもロートしてあると思ってますと。
前の飯坂マリアさんの話でもしたと思うんですけど、既存の人気商品に依存している比率が高いと、既存の人気商品が他社との競争でどんどんどんどん売れなくなる。
で、売上が荒利率が下がるけれども、過去人気だった商品だから売上キープしたいみたいな形で、
売上キープするために値引きと、欠品率を下げるために在庫を積むみたいな形になると、荒利率と消化率が悪化してキャッシュフローが一気に悪くなるっていうのがあると思ってます。
これを引き起こした要因の1個が、やっぱりコロナで大手のECシフトっていうのは大きいんじゃないかなと思ってます。
大手企業もECってそれなりにちゃんとやってました。
一方でコロナになって休業とか出ちゃったんで、店舗ではもう売れなくなるっていうのでECやらないとっていう。
あの時一気に本当に大手が本腰入れて、SNSもそうだしECもモールもちゃんと攻略を本格的にやるようになったなと思っていて、
本当にもともと認知度のある大手が本腰入れてモール内にもやってきて、競争が激しくなって広告効率も下がって苦しくなったかなというふうに思います。
アストリアとかIRCで見てると、2019年頃はECの比率って20%ぐらいだったのが、コロナ後に30%まで上がっていて、クラス10ポイント。
確かに同様にEC比率って高まっていって、自社ECだけじゃなくてモールも含めて成長していったのかなっていうのは思ってます。
私もコロナの時はパレルにいたので、コロナ前と比較してどこも本気でECやるようになったから、EC市場が劣等者になったんですよね。
マーケティング戦略の失敗
予算が潤沢になる大手だったりとか、D2Cみたいな上手い企業が本気で戦ってくる中での保産はちょっとしんどくなってきたよねって感じですよね。
そこで行くと、まさにD2Cの台頭みたいなのも大きいかなと思っていて、2015年ぐらいからインスタグラムが日本でも流行り始めていて、
2010年代後半から20年頃からTikTokのユーザーが爆発的に増えてきたと。
D2C企業としてSNSで直接ユーザーとコミュニケーションを取れるような企業がその流れを元に売り上げをどんどんどんどん伸ばしてきたっていうのがあるかなと思ってます。
本当に楽天やZOZOで販売していた企業も、自社維持していて昔からやってましたと。
一方で楽天とかZOZOほどの規模を出せている会社は少なくて、本腰を入れて取り組んではいなかった。
広告手法もSNSじゃなくて、Googleのリスティングみたいな検索連動型広告が主流っていうので、SNSシフトはだいぶ遅れたんじゃないかなというふうに思ってます。
このニュースあったので見てみたら、いい作家マニアさんも売り上げ40億もあるのに、インスタのフォロワー4.1万しかいなくて、
Zip5もフォロワー5100人みたいな形なので、やっぱりSNSでユーザーとコミュニケーションを直接取るみたいな流れには乗り切れず、そこに資本を投下するっていうこともできなかったのかなというふうに思います。
なるほどですね。確かに少ないですね。
インスタとかTikTokとかリツイシー企業とかも多手も上がってくる中で、モール中心だとSNSにフォーカスしきれなかったのか、負けちゃったのも分かるなって気がしちゃいました。
これイノベーションのジレンマというか、自分たちはモールと検索連動型広告で売り上げをかなり作っているので、そこの時間とか費用を抑えてまでも新しいことにやるっていうエネルギーが出ない。
気づいた頃にはそっちのシフトが遅れてしまって、さらにできなくなっちゃうっていう悪循環はクライアントさんでは結構いるので、そこからまさにSNSの運用であったりコンサル受けようみたいなところはやったりしています。
倒産の要因
次の要因としては、シーンとかティームみたいな激安中国アパレルのタイトーってすごいんじゃないかなと思っていて、さっきも話した通り店舗の品質基準よりも低くて、ちょっと品質はあれなんだけど安くてオシャレな商品が提供できるっていうのが価値だった部分に対して、ものすごい勢いで殴り込んできた。
でも激安で海外から殴り込んできてシェアが奪われてるっていうのはかなりあるんじゃないかなと思っています。
同じようにグレイルさんなんかも日本国内でかなり激安で規模出してシェアを取っているので、そういった会社のタイトーみたいなところもあるんじゃないかなっていうのが思っています。
なるほどですね。買ってみた感じ安いっていうかほぼ下代ですよね。なので価格で選ぶ層は当然こっちにシーンとかに飛びつくだろうなっていう感じですね。大手とかETCがガンガンEC市場に来て、SNSシフトが遅れて激安のアパレルに価格で勝てなくてっていう流れですね。しんどいですね。
さらにそもそものEC市場全体の成長率が鈍化しているっていうのもあると思っています。市場の成長率っていうのをチャットGPTさんに調べてもらったんですけど、やっぱり2013年からコロナの2019年まで平均しても8%前後ぐらいでずっと成長していたみたいなものが直近2023年になると4.8%しか成長してないみたいな形なので。
一気に成長率が鈍化しているっていうようなのは大きいなと思っています。成長率鈍化しているんだけれども、参入してきている企業は増えている。大手のECシフトもしているし、D2C企業でもともと自社のECだけやっていた会社が結構ZOZOとか楽天は出店しているなと思っていて。
コフィナなんかもZOZO出したり、ハーリップでもZOZO出したりみたいな形で結構モールにも進出している事例。それだけやっぱりECの成長率鈍化しているんだろうなっていう中で市場を求めている会社がどんどんどんどん入ってきて競争劇化しているっていう中で競争環境も相当厳しいし成長率も鈍化傾向っていう中でどんどんどんどんシェア奪われちゃったんだろうなっていうのは思っています。
今後もこの傾向続くんじゃないかなと思っていて、やっぱりリアル店舗回帰が結構進んでいる中でECの市場も青天井で伸びていくっていうわけではなさそうなので、この傾向は今後も続くんだろうなというふうに思っています。
成長が鈍化するイコール競争率が高くなってしんどくなるっていうことですね。
あとは最後に円安人件費アップみたいなコスト構造の変化っていうのは大きいかなと思っています。やっぱり2022年より前ってドル円で120円前後でやれていて、僕らも前職のペアマナーの時とかって大体10円から120円で考えておけばいいみたいなのが一気に去年とかって150円、直近の足元でも142,3円みたいな形で急激に円安進んでいるので、
従来通りの仕入れ価格で仕入れるのが難しくなっている。インフレでやっぱり僕らも経営してて思うんですけど、人件費だんだん上がっているというか、徐々に徐々に上げていかないとっていう流れの中で、今までのコスト構造だと同じビジネスできないよねっていうふうになってると思います。
最初に申し上げた通り、やっぱりコスト、価格面で勝負してきたというか、価格そのものが価値なので、なかなかそれを販売価格に添加するっていうのが進まずにできないまんま、コストが膨れ上がってしまった結果としてビジネス成り立たないっていうのがあるのかなと思っています。
反則コストもやっぱり地味に上がっていて、ゾゾアドとか昔って多分1クリック20円だったのが直近23円に上がっていて、楽天も9本1枚ごとに50円かかるみたいな解約もあったりして、そもそもやっぱり広告コスト自体も上がっていて、獲得効率も難しくなっていて、全体的にコストが上がっているっていうのはすごい感じます。
企業の未来
顧客獲得のコストも上がっているし、玄関も上がっているしっていうことか。多分これは楽天に限らず他の企業さんも同じだと思うんですけど、こさんの企業さんはいろんな打撃があった上にこれだからちょっととどめの一撃的な感じになっているかもしれないわけですね。
今後もこの傾向は続いていくと思うので、基本的に構造改革をする必要がある会社が多いかなと思っていて、そういったお声掛けをいただくことも結構増えているというか多いです。やることとしては、産業障害のV字回復の話を結構しているように、実力値の売上、実力値の売上っていうのは自分たちが望む荒利率と消化率が楽に達成できる売上規模まで縮小しないといけないんだ。
そこで利益が出る体制に変えて、利益重視の経営にするために固定費削減して、顧客価値を再度見直して、どういうふうに生き残っていくのかみたいなのを、PLの構造、BSの構造から顧客提供価値まで見直してやっていかないと、結構今後も厳しい企業が増えるんじゃないかなというふうに思っています。
ありがとうございます。今日は楽天ショップオブザイヤー、住所店舗のあいつぐ、倒産の要因という話でした。ありがとうございます。
ありがとうございました。
リテールトーク、ここまでお聞きいただきありがとうございます。
番組の詳細欄にGoogleフォームのURLがあるので、質問やメッセージはそちらからお送りいただけると嬉しいです。
番組内でご紹介させていただくかもしれません。
次回もぜひよろしくお願いします。