最初にご紹介するのは、ロレアル、それこそシャンプーなどを作っている会社ですけども、そこが発表した作品で、
実はこれドキュメンタリーなんですけども、The Final Copy of Elon Speckっていうタイトルの、これは15分くらいのドキュメンタリー短編映画なんですね。
これはですね、僕も実はこの作品を見るまでこの背景知らなかったんですが、
ロレアルのキャッチコピーで、英語で言うとBecause I'm Worth It、私には価値があるからっていう表現なんですが、
Because I'm Worth Itっていうロレアルのブランドのタグラインになっている言葉なんですけども、
このThe Final Copy of Elon Speckっていうのは、このElon Speckさんっていう女性のコピーライターなんですけども、彼女が書いたコピーなんですね。
私には価値があるから、Because I'm Worth It。
1973年に、まだ彼女が30歳になるかならないかぐらいの時に書いたコピーなんですよ。
そうなんですか。すごい今っぽい。
そうでしょ。
ちょっと時代の背景を説明すると、この1973年にこのBecause I'm Worth Itっていうコピーを、このコピーライターのElon Speckさんが書かれたんですが、
その時って、ベトナム戦争の直後で、あとその女性の参戦権だったりとか、
その1960年代から70年代で、特にアメリカで社会運動がたくさん行われていた時期なんですね。
特にやっぱりその女性の権利っていうことが、今とはちょっと違う形ではあるんですけども、
それに一番最初の動きがその時代に行われていたっていうのが一つ社会の動き。
もう一つは、ちょうどその時って、いわゆる現代の広告、現代って2025年のっていうよりかは、いわゆるテレビとか、
そういうマスメディアをメインに使ってメッセージを広げる、告知するっていう、いわゆるモダンアドバタイジング、
現代の広告の一番最初の前世紀がちょうどその60年代から70年代になるんですね。
その時にまだ若手であったこのイロン・スペックさんがコピーを任されて書いたんですが、
ロレアル、フランスの会社やパリの会社で、アメリカである商品を広めるために商品コピーとして書かれたんですけども、
後々はこれはブランドの全体の思想を表すコピーとして使われることになっているわけです。
もう一つこれすごく面白かったのが、これ彼女が書いたんですけども、その時のその広告って、
女性向けの商品でも男性目線で作られてたんですね。
いやー、あるあるですよね。今でも日本にはそれはあると思いますね。
よくある。
でですね、これ具体的にどういうことになったかというと、このBecause I'm Worth Itっていう女性目線で彼女が書いたコピーを、
まあ言葉を選ばずに言えば、その時のその責任者だったりとか留学の男性のおじさんたちが、
いやいやこれは男目線で言わないと売れないということで、コマーシャルを男性が語る、
でその隣に女性が腕をこうやって組んで一緒に歩いてるっていう映像を撮って、
で男性がこの彼女はBecause She's Worth It、彼女に価値があるからロレアルはちょっと高いけど、
彼女が買うべきだ使うべきだっていうのを男性目線の言葉に変えて映像を撮ってコマーシャルで流そうとしたんです。
いやーすごい違和感。
でしょ、でそれに対してこのイロンシュペクさんがいやふざけんじゃないと、
で自分でですねこの撮影監督を探して、で出る女優も探して、で撮って、
でその女性がカメラに向かって女性からの目線で自分の言葉としてBecause I'm Worth Itっていうのを撮り直して、
でそれをクライアントに売り込んで通して、でそれが流れたと。
でそしたらそれがすごい大反響で、でそれからどんどんどんどん広がっていって最終的にはアメリカだけじゃなくてグローバルでこのBecause I'm Worth Itっていう言葉が採用されることになったっていうのが背景なんですよ。
いやー昔はモテてこそなんぼみたいな、男性に受けが良くてこそ女性の価値だみたいな価値観ってものすごくあったと思うので、
このコピーライターの女性がそんな全然時代を覆すようなことをやったら一緒に働いていた年配の男性たちは本当にびっくりしたし本当にイライラしたでしょうね。
そう、だからそういうことで考えるとまあ52年前に書かれたBecause I'm Worth Itっていうたった4つの言葉の女性のマニフェストだっていう言い方をこのドキュメンタリー作品の中で主役で語っているのがですねこのイロン・シュペックさんの義理の娘の人なんですよ。
でその人がお父さんが再婚してでその相手がイロン・シュペックさんだったんですね。
で実の親じゃないんだけども本当に自分の子として育ててくれてその主人公である人は実のお母さんとは関係が良くなくてすごく悲しい思いをしてたんだけども、
彼女が子供の頃にイロン・シュペックさんとお父さんが再婚してですごく勇気づけられたっていうことを言ってて本当ねこれはなんか見てても本当男の僕でももうすごく心打たれて
言葉っていうことが持ってる力だったりとかあと最近アメリカ特にヨーロッパでいわゆるそのパーパス経営とかパーパス広告とかパーパスマーケティングっていうのがすごくこう下火になってるっていうか結構非難を浴びてるんですね。
へーなんでですか?
それはですねまあ平たく言うと消費者はパーパスを求めて商品を買ってるんじゃない?
それはそれで一理あると思うんですね。例えばその冷蔵庫を開けた時にその中にあるものに対してみんながこれはこのパーパスだからこれはこういう存在意義があるからっていう風に買ってるっていうかこれがね他のように10円安いからとかこれが味が好きだからとかっていうそういうことを気にして買ってるんだからパーパスなんてマーケティングに反映されるべきじゃないっていう批判をする人が結構出てきてるここ5、6年で出てきてるんですよ。
へーなんか視点が逆に狭くなっているというか現実的というか細かいことに気にするんだなっていう感じしますね。
あの確かに間違ってはないと思うんですね。確かに僕もスーパー行ってこの会社の企業理念がどの子のかって考えるかっていうとそうでも正直ないじゃないですか。
そうですね美味しいからっていうので買いますよね食べ物とかね。
美味しいからとか安いからとか気に入ってるからぐらいでパーパスがどの子のっていう議論は自分の中でもほとんどしないのであのそういう批判があるのはわからないでもないんですけどもでもその一方で特にこれはですね僕日本の企業でいいなと思うのはパーパス経営とかっていう言葉がここ5年から7、8年日本でもちょっと流行り気味になってるところはあるんですけど
日本の企業で特にやっぱりその戦前戦後からずっとその何十年もある企業ってもう本当にどうやって日本を復興しようかとかどうやって人の生活豊かにしようかということに対してすごく真剣に向き合ってる企業ってのも少なくないと思うんですよ。
だからまあ今その世界のグローバル企業と言われるような日本企業例えばトヨタさんだったりとかソニーさんだったりとかパナソニックさんだったりとかアシクスさんだったりとかってその歴史とか企業理念をちゃんと見てみると本当に企業としてそして今のその後継者とか家元ではないかもしれないけども経営者の人たちが本当に世の中を良くしようっていうのをちゃんと持ってる軸があるんですね。
そうですね。
でも正直アメリカだったりとかはそれが弱くて口先ではそういうこと言ってる世界を変えようとか世界を良くしようと言ってるかもしれないけどもでも結局資本主義者でお金儲けが目的だったっていう人は特に今政権が変わってそれがもう明らかに浮き彫りになってる時代ではあるんですけどもそんな中でロレアルっていう企業がその女性のエンパワーメントっていうことを最近の流行りってことだけではなくて
もう50年以上前からずっとやり続けていてそれも変えずにずっとやってるっていうのが改めてこうやって評価されるっていうのはすごくこれ僕はポジティブなことだなと思って今日紹介することにしました。
いやーこのドキュメンタリーはあの番組の概要欄にもリンク載せてありますので皆さんぜひ見てみてください。
それでは続いてはどんな作品でしょうか。
はい次の作品は実はこれは日本からの作品で日本のメディアでも結構取り上げられているものなのでご存知の方も多いかとは思うんですけどもヘラルボニーですね。
指摘障害者の人たちのやる傾向の一つに絵を描いてもらうとパターンを描く傾向があるらしいですね。
でだったらそのパターンをデザインの柄として服にしたりとか傘にしたりとかいろんな例えば水筒とかのその模様にしたりとかそういうことでそしてそれの売上はちゃんとそれを書いた人たちに渡すっていう。
でなおかつその最終的にできたものがとても素敵なんですよね。
そういうのって後から見るとそうだよねと思うかもしれないんですけどもそれをちゃんと形にしてるそしてそれもビジネスにしてるっていうのがなかなか正直できないことだと思いますしでそれがその世界の舞台で認められたっていうのもそれもそれで一つすごい価値になることじゃないかなと思いました。
なんか人との違いを才能として捉えるっていうのはこの番組でも何度も紹介していることですけれどもそういう人との違い障害って見られる場合もあればその多様性っていう中の一部だよねっていう見方をする方もいて
でもそれを才能なんだって捉え直してビジネスにつなげているっていうのは本当にこの番組でこのヘラルボニーも紹介できてよかったなっていう感じですね。
そうですね。なんかその障害者に対してのもしくは障害者に関してのコミュニケーションだったりとかビジネスってなんかすごくニッチな感じがしちゃってなんかその社会活動一環でやるみたいなあんまりこう真剣に動いてるっていうよりかはちょっとPR的にやってる企業も少なく正直ないんじゃないかなっていうのは思うんですね。
別にこれ日本の企業はっていうよりかはアメリカでもなんかそういう活動ってやらなきゃいけないからやってるみたいな。
PR活動の一環としてやってるっていう仕方がないからやってるみたいなことだったりとかもしくはその障害者の人たちもすごいんだぜみたいなことを広告にしてちょっとこう説教じみた見せ方だったりとかいかに我々が素晴らしいのかっていうことを表現するためにやってるだけで本当にそれにビジネスとして取り組んでるところはあんまり正直多くないのかなとは思います。
そんな中このヘラルボニーですごくいいなと思ったのはただの見せ方だけではなくてもうビジネスの根本的なところから欠かせない存在としてあり方としてやってるっていうのがなかなか他にはない形だと思うんですね。
アメリカとかってなんかあんまりやっぱりお金にならないとかそういうことがスケールが出ないとかやっぱりその通りシリコンバレットでスケールスケールとかグロスグロスっていうところにこだわるのでその少数派の人たちに向けてもしくは少数派の人たちのためにっていうことはあんまり積極的にやらない傾向があると思うんですね。
そんな中このヘラルボニーの活動そしてビジネスはもう本当にそこを中心というか核のところに置いてそれをビジネスにしている。
この会社の創業者のお二人実は双子だっていうことを最近まで知らなかったんですけども松田文人さんと松田隆さんという方たちが立ち上げてあのこのヘラルボニーという言葉は実はこの松田五兄弟のお兄さんである方が子供の頃に書かれたそうで。
自閉症だそうなんですけどもこのヘラルボニーという言葉自分の同語でこの一見こう意味のないような言葉かと思いきや彼なりにこれは馬だっていうことで書かれたそうなんですね。
なのでそのこの会社のネーミングにもそういうストーリーがあり何かその実の体験から実の経験からそしてじゃあどうやってそういう人たちが活動そして活躍できればを提供するかというのを場所だけじゃなくてそれをビジネスにつなげるっていうこの全体的なグランドデザインが僕はすごくいいなと思いました。
さてここまでお送りできました。レイナモトの世界のクリエイティブ思考。今回は前編後編にわたり注目のクリエイティブで今年のカンヌライオンズで僕が気になった作品を合わせて5つご紹介しました。