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This is ReinaMoro's Podcast 世界のクリエイティブ思考
Hi everyone, this is ReinaMoro. 皆さんこんにちは、ニューヨーク、東京、シンガポールを拠点にするグローバルイノベーションファーム
I&CO、共同創業パートナーのレイ・イナモトです。 目まぐるしいスピードで世の中が変化する中、この番組は日本人が世界で必要不可欠な存在となるためのヒントを探ります。
今回は注目のクリエイティブをお届けします。 今日はこの番組のプロデューサー、竹村優香さんと一緒にお届けしたいと思います。
はい、レイさんよろしくお願いします。 今回の注目のクリエイティブ、何を取り上げましょうか?
V字回復の背景
今回はV字回復を遂げたブランドについてお届けします。
V字回復ですか。なんでこのテーマを選んだんですか?
僕の職業から経営者の方たちだったりとか経営層の役員の方たちとやり取りをすることが非常に多くて、
一応僕がやっていることはそのブランド戦略だったりとかデジタル戦略だったりとかそういう領域なんですけども、
やっぱりその経営者の方、そして役員の方たちが望んでいるのはどうやってその企業を伸ばそうかっていうことなんですね。
特にその業績がこう右肩がこう下がっちゃってる、右肩上がりではなくて下がってる企業の場合、
これってブランドが良くないからとかマーケティングがちゃんとしてないからとかっていう方向に目が向きがちなんですけども、
でも蓋を開けてみるとそれってもちろんそれが原因の場合もあるんですけども、それだけではなくて他に原因があることが少なくないんですね。
例えばその体調が悪い時にお腹が痛いだったりとか頭が痛いだったりとかなんかちょっと調子が良くないんだよなっていう時に風なんじゃないかとか何かにかかったんじゃないかっていうふうに思うことがあるとは思うんですけども、
やっぱりその問診みたいに聞いてみると実は原因が違うところにあったりとかあとその処方箋っていうのもひとえにこれをやればっていうわけでもないので、
ちょっとそうですねこの番組でもやっぱりその注目のクリエイティブでどっちかっていうとやっぱりその目に見えるものだったりとかかっこいいものだったりとかよく見えるものを取り上げることが少なくないんですけども、
じゃあその裏側に原因があるのか何があるのかっていうことを考えながら今日は話してみたいなと思います。
はい。
はい、では早速行きましょう。
So, let's get started.
Gapの過去と現在
最近レイさんがV字回復を遂げたなって思っているブランドってどこですか?
まず最初に取り上げるのはですねGapなんですけども、日本に上陸してから30周年を迎えたということなんですが、アメリカでは老舗のブランドで1969年にアメリカのサンフランシスコでホストアップした会社なんですね。
まあ結構定番のファッションのマスブランドですよね。
特にですね、僕がそうだな高校生とか大学生ぐらいの時に90年代から2000年ぐらいにかけてなんですけども、すごくイケイケのブランドで、カジュアルなんですけども、かっこよく着れて、
そして値段もまあその10代20代の僕らのようなその当時の若者でも手の届くような、まあその時はすごく重宝していたブランドなんですね。
そしてまあマーケティングとかブランディングという観点から見ても、その当時2000年前後なんですけども、まだまだいわゆるテレビ広告っていうのが主流の時代で、それもすごくかっこいいものを何個も打ち出していて、そしてまあその時一世を風靡していたと言っても過言ではないぐらい受け入れられたブランドなんですね。
で、それがこうガクッと下がってしまって、そして2005年ぐらいからこうどんどん業績が悪くなってしまって、もうリバイバルはできないんじゃないかっていうふうに言われていたんですね。
たとえばGパンとかGジャンとかって、すでに世の中の多くの人がもう持ってて、そんなに頻繁に買い替えるものでもないし、なんか新たにそれを欲しいって思わせるのってすごく難しいんじゃないかなと思うんですが。
いやーそうなんですよ。だからいくらたとえば広告打ったりとかそういうことをしても、なかなか特に今これだけ情報が多くて、そして情報の動きもめちゃくちゃ早いじゃないですか、そうすると一時的に話題になったとしてもすぐ忘れられちゃうので、なかなかやっぱり広告とかマーケティングだけではその企業のV字回復っていうのはできないんですよね。
やっぱりその根本的なところからちゃんと、いわゆる治療をしていかないと、表面的に絆創膏だけが張っていったとしても、外の傷は治ったとしても、もしかしたら中身が、中が良くないと結局治んないわけで、一つだけの理由ではないんですが、いくつか要因があって、社長の交代が数年前にあったんですね。
この社長の方はですね、リチャード・ディクソンという、もともとマテルっていうおもちゃの会社のCOO、チーフオペレーティングオフィサーという副社長的な立場の人だったんですけども、その方がヘッドハンティングでギャップ社に入社をして、その方のまず影響がすごく大きいというのが一つあります。
やっぱり業績が良くないっていう会社の転換をしようとすると、じゃあどこをコストカットしようかとか、どこに無駄があるかっていうことを、やっぱりコストとか数字とか、測りやすいところから直していくのが一番手っ取り早いことではあるんですね。
もちろんそれもされたとは思うんですが、本当の本質的なブランドの意味は何なのかっていうところの最低位、ギャップのブランドが何かっていうことを明確にする、それもちゃんと言葉に起こしたりとか、その定義をまず社員の人たちにちゃんと理解してもらう、そっから始めたっていうふうに言われています。
で、その後にやっぱりそのブランドっていうことも大事なんですけども、それがちゃんと商品に反映されてなきゃっていうことで、結構有名なザック・ポーゼンさんというデザイナーを雇うんです。
で、その彼はもともと自分のラグジャリブランドをやっていた人なんですけども、ギャップとはかけ離れたところの、そういう人をギャップに連れてくるっていうこと自体がちょっと変わった方程式というか方法で、それもそれで話題にはなっていたんですね。
で、その時にポーゼン氏が一番最初にやったことの一つで、アナ・ハサウェイっていう有名な女優がいるんですけども、その彼女のドレスをギャップとして彼がオートクチュールでデザインをして、イベントのレッドカーペット上に彼女がそのギャップの服で歩いたっていうのがあったんですけども、
新たな取り組み
そういう超有名人で普通だったら、それこそシャネルとかグッチとかそういうブランドでオートクチュールでカスタムのドレスとか着るのが普通だと思うんですけども、そうではなくて、いわゆる低価格の、それもマスブランドのギャップの人がそういう有名人をスタイリングするっていう、それもザ・ポーゼン氏が入った後の一つの活動として、
これはちょっと今までと違うギャップがなんかやらかすぞみたいな話題になったの、僕も記憶してます。
ドレスってすごくカジュアルの真逆にあるものだから、それは話題になりますね。
だからちゃんとやっぱりそのカルチャーとか文化にどう切り込んでいくかっていうのを、もちろんこのリチャード・ディクソン社長が理解をしていて、彼も彼、それだけではできないからということで、そういうことが分かっているデザイナー、クリエイティブの人をキーパーソンとして起用して、こういうものを作る会社なんだっていう話題を少しずつ作っていくっていうのを、
プロダクト起点で、まずそのクリエイティブ起点で、それからそれが形になった、その可視化してるっていう、その価値が何かっていうことをちゃんと可視化して、それをリバイバルの一つのステップとして早い時期にやっていたっていうのがポイントの一つなんじゃないかなと思います。
へー。だから、こう一度ちょっとイメージがよくなくなっちゃったけれども、また最近なんか勢いあるなっていうイメージをみんなに持ってもらうことができているっていうことですよね。
そうですね。つい最近、それこそGapのマーケティング市場で一番バズったと言われるキャンペーンがあって、K-POPのCAT'S EYEというグループなんですけれども、その彼女たちが出ている動画が何千万回ですね、と見られて、ものすごく話題になったんですね。
元気の良かった頃のGapがまた戻ってきたなっていう感じはするんですね。これいい意味で。で、特にアメリカでそれが著しくて、10代だったりとか20代の若者たちもそう思ってるんじゃないかなっていうふうには感じますね、見ていて。
ほー。では続いて、V字回復を遂げた他のブランドのこともご紹介いただいてもいいですか?
はい。2番目は、実はこれは日本のブランドで、日本では知らない人がいないというぐらいのブランドで、MUJIなんですね。で、日本だとやっぱりそのね、銀座だったりとか、予約所だったりとか、東京でも大きいお店がたくさんあったりとか、あと近年ではMUJIホテルができたりとか、いろんな活動をしているので、すごく勢いがある企業には見えるとは思うんですが、
はい。
コロナの最中に特にアメリカで業績がすごく悪くなってしまって、そしてチャプターイレブンと言われる倒産を宣言して、今それこそ起死回生をしようとしている真っ最中の企業でもあるんですよ。
ほー。
はい。で、じゃあどうやって回復をしようかなっていうことを調べてみたところ、いくつか要素があるんですけども、
はい。
一つはですね、さっきお伝えしたギャップとはちょっと違う戦略で、ギャップの場合だと、もともと何が人気のあったのかっていうことを分析して、もちろんやっぱりデニムが結構目玉商品となっていて、じゃあそれを良くしようっていうことをギャップはしたんですけども、MUJIの場合はそれとは逆の戦略で商品の選択肢を広げようっていうことをしたそうなんですね。
へー。
で、日常的に使える商品をもっと提供しようっていうことで、二つの領域の商品開発としたらそうなんですけども、一つは化粧品、で、もう一つは食品なんですって。
で、それ二つで考えると、化粧品も食品も毎日使うもの。
で、なおかつ数百円で買えるものもたくさんある領域で、例えば服だったりとか家具だったりとか、文房具も安いかもしれないですけども、それまでその毎日使うものでもない場合もあるじゃないですか。
そうですね。
とか消耗品じゃないっていう、それほど。
で、それに比べて化粧品だったりとか食品っていうのは毎日必ずどっかで使う必要があるものだし、頻度も高いし、消耗する頻度も高いし、消耗される割合も高いから、そういうサイクルをどんどん作っていくってことですよね。
それをまずされたそうなんですね。
だから商品開発のところであえて領域を広めた。
それが一つ。
で、もう一つは、これはですね、今ここまでデジタルと言われていて、特にECとかもすごく発達している時代に少し逆の発想かなと思うんですけども、
MUJIが戦略としてやったもう一つのことは、大型店を増やすってことをされたそうなんですよ。
で、この時代だと、いろんなデパートに行く人の数は減ってたりとか、オンラインでいろんなものが買えるから、別にお店に行かなくていいっていう人も増えていると思いますし、それは事実だと思うんですけども、
それとはあえて逆に、大型でその品揃えがすごく大きくて、もういろんなものが見つけられるような、その大型フォーマットのお店をどんどんどんどん開いていくっていうことをやられているそうなんですよ。
なんか真逆ですね。
そうなんですよ。で、2024年度、2025年にかけては、今までの最高売上を達成しているそうです。
確かに最近MUJIのお店行ったら、食べ物多いなっていうのは以前よりも思いました。バラエティーに富んでました。
そうですね。なので、日本だと調子が悪かったっていうのはあんまり実感されないかもしれないんですけども、特にアメリカではそれがすごく顕著に出てしまって、
さっきも言ったように倒産に追いやれてしまったんですが、そういう改革を今しながら、それこそV字回復に臨んでいる真っ最中のブランドですね。
ブランドの違い
さて、ここまでお送りしました。レイナマットの世界のグレープ思考。今回はV字回復を遂げたブランドについてご紹介しました。
いやー、GapもMUJIも日本でも知らない人がいないようなグローバルに展開しているブランドですけれども、V字回復の仕方っていうのが全然やってることが違って、
Gapは原点回帰だし、MUJIは選択肢を増やしたり、そしてサイクルの早いものに商品を切り替えたりっていうところだったり、本当にブランドによって回復の仕方っていうのも全然違うんだなっていうふうに勉強になりました。
そうですね。もちろんある一定の方程式だったりとか考え方の思考みたいのはあると思うんですけども、一つの方程式をそのまま他の企業に当てはめたからといって、それが必ずしも成功するっていうわけではないんだなっていうのは、僕も今回のこの話をしようと思ったときにやっぱりそういう違う視点があるんだなってことを皆さんに紹介したくて、今日このトピックを取り上げてみたわけです。
いやー、面白いですね。レイさんならではのお話が聞けてよかったです。
はい。次回はEarth Communityをお送りします。どうぞお楽しみに。世界のグリップ指向、お相手は李奈本と竹村幸子でした。
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