第79回は、エスプリやバナナ・リパブリックといったアパレルブランドでブランド戦略を担当され、フォーブスの「世界で最も影響力のあるチーフマーケティングオフィサー」に2度も選らばれたことのあるAna Andjelicさんがゲストで登場。今回は、社会学の博士号を持つAnaさんに、ブランドを再生させる際に現場の人たちに変化を受け入れてもらう方法、次世代ブランドの文化戦略などについてお話を伺いました。
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サマリー
今回のゲストは、前回に引き続き、エスプリやバナナリパブリックなどのアパレルブランドでブランド戦略を担当され、世界で最も影響力のあるチーフマーケティングオフィサーに2度も選ばれたことのあるブランディングのフォローをされているアナ・アンジェリックさんと、次世代ブランドの文化戦略についてお話を伺っています。ユニクロの商品が有名プロダクトになるきっかけとなったインフルエンサーの動画や、ファッションブランドが日本のアニメを取り上げて世界に売り出すなど、ブランド戦略から文化戦略へのシフトが進んでいることが語られています。
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This is Reynamoro's Podcast. 世界のクリエイティブ思考。
Hi, everyone. This is Reynamoro. 皆さん、こんにちは。
ニューヨークと東京を拠点にするグローバルイノベーションファーム I&CO 共同創業パートナーのレイナムです。
この番組では、世界で活躍するトップランナーのクリエイティブ思考に迫り、21世紀を生き抜くヒントを探ります。
今回のゲストは、前回に引き続き、エスプリやバナナリパブリックといったアパレルブランドでブランド戦略を担当され、
世界で最も影響力のあるチーフマーケティングオフィサーに2度も選ばれたことのあるブランディングのフォロー、アナ・アンジェリックさんです。
今回は、そんなアナ・アンジェリックさんに、次世代ブランドの文化戦略とは、についてお話を伺いました。
ブランドを再生させる意識変革
ブランドを再生させるときに、あまり変化を好まない人たちの意識を変える方法はありますか?
ブランドを再生させるためには、その組織で働く人たちに、いかにこのブランドがクリエイティブで文化的な影響力を持っているのか、
そうしたブランド戦略を論理的に説明して、オンラインショッピングなど販売部門を開発することができるのではないかと考えています。
クリエイティブで文化的な影響力を持っているのか、そうしたブランド戦略を論理的に説明して、オンラインショッピングなど販売部門を連携させることが必要です。
ただ、そのブランドで何十年も働いている人たちに、これまでとは違うやり方をするよう求めたり、今まで以上にやる気を出してもらうのは簡単ではありません。
人間はなかなか、変わるために行動を起こすことができませんから、なぜやり方を変える必要があるのか、どうやったら合理的なのか、それを理解してもらう必要があります。
だから、みんなが自分で変わろうと思うまで、論理的に説得するのが私の仕事なんです。
新たな方向性を示すだけではなく、具体的な事柄に落とし込んで、何かすぐに目に見えるような結果が出そうなことに取り組んでもらうのも効果的です。
そうすれば、昔のやり方を否定せず、みんなの意識を変えることができます。
あと、現場の人たちに具体的に変えたいことを言ってもらうのも大切です。
自分で提案したことは、みんな実念しようと頑張りますから、こうすることで、押し付けられたからやるのではなく、自主的に変わろうとしてくれます。
でも、結局のところ、一番大切なのは信頼かもしれません。
変革の具体化と信頼の役割
新しいやり方にみんなが納得していなくても、この人ならグランドを再生してくれる、この人の言うことなら間違いない、そう信じてもらうことさえできれば、組織に変化をもたらすことができます。
信頼を勝ち取るのは本当に大切ですね。
僕の会社でも、フライアントが抱えている本質的な問題を見極めるために、多くの人に話を聞くなど、時間をかけて取り組んでいます。
そして、その会社のトップの信頼を勝ち取ることができれば、より大きな変化を生み出すことができます。
これまで、ブランドを再生する上で一番大変だったことは何ですか?
チーフブランドオフィサーの仕事は、とても大変です。
クリエイティブに関するすべての結果に責任を持つことになりますから、
ウェブサイトやインスタグラムなどを通じて、ブランドを再生することが大切だと思います。
チーフブランドオフィサーの仕事は、とても大変です。
クリエイティブに関するすべての結果に責任を持つことになりますから、
ウェブサイト、ニュースレター、SNSの投稿など、全部に目を通し、多くの会議に出席しなくてはなりません。
ブランドのビジョンを決めるのは楽しい仕事ですが、実際にそれを日々実行していくとなると話は別です。
おきには、写真撮影さえも辛く感じることがあります。
自分の決めたことが売上に直結しますから、責任は重大です。
しかも、ブランドを再生させるときは、みんな口では変わりたい、変わりたいと言いますが、本音では変わりたくない、今までと違うことはやりたくない、そう思っていることが多いので、毎日が挑戦です。
ここまでお送りしてきました、レイナモトの世界のクリエイティブ思考。
今回は、アナ・アンジェリックさんに次世代ブランドの文化戦略とはいついてお話を伺いました。
彼女が書いているニュースデータに、New Rules of Brand Marketing、これからのブランドマーケティングの新しい法則という記事があるんですね。
その中に、特にそのブランドマーケティングのこれからのシフトということを12項、彼女が挙げているんですが、今回の話にもつながることをいくつか取り上げて紹介したいと思います。
キーポイントは、プロダクトから世界観へのシフト。
2つ目に有名人から有名プロダクトへのシフト。
そして3つ目にブランド戦略から文化戦略へのシフト。
この3つのシフトが今回お聞きいただいたアナさんとのお話の中につながりますし、
あと特にそのマーケティングだったりとかブランディングをやっている方にとてもヒントになる内容なのではないかなと思いました。
まずこの1つ目のプロダクトから世界観へということなんですが、これは前回のエピソードでも話していたので、もしまだ聞かれていなかったらぜひ聞いていただきたいんですが、
そのプロダクトを作っているだけではなくて、そのプロダクトをいくつかまとめてキューレーションをしてスタイリングをしてその世界観を作るっていうのが今後どんどん大事になっていくんだっていうことを、
特にファッションの業界を見るとそのところがすごく著しく現れているので非常に参考になると思います。
やっぱりその文化、カルチャーっていうのが今すごくフラットになっている社会だと思うんですね。
というのもここ20年、25年ぐらいインターネット、そしてモバイルが出てきて、そしてソーシャルメディアがもう四六時中ずっと世の中の人々をホリコリにしていると文化っていうものがすごく平らになってくると思うんですね。
というのは以前は例えば有名人だったりとか、例えばテレビっていうマスメディアがある意味文化を作っていて、そしてある意味支配していたので、テレビとかそういうマスメディアにとらわれる文化っていうのが一般の人たちが一般的に認識していたっていう共通言語になっていたと思うんです。
それが民主化されたことによってハイブランドっていう立ち位置とストリートブランドだったりとかそのハイブランドではないものの距離っていうのがすごく短くなってきたというのがここ20年に起こった現象なんですね。
具体的な例で言うとこれは結構もう古い例だとは思うんですが、例えばグラフィティ、落書きと言われているものが以前はそのマスメディアの時はそれっていうのはハイブランドではなくてストリートカルチャーだったりとかその一般的に話題にならないところでのすごくニッチなものだったものがソーシャルメディアとかによってそういうニッチなものでも一般的に認識されたりとかそこそこのスケールで人気に出るものが出てきた。
そうするとやっぱりそのハイブランドというところもそういうものは無視できない状況になって、そういうストリートなものだったりとかニッチなものを取り上げてそのハイブランドと掛け合わせることによって新しい価値を生む。
なのでその一つ一つのプロダクトだけではなくてその全体的な世界観をいろんなものをミックスして新しいものにしていく。そして新しい価値をつけていくっていうのがここ20年ぐらいの社会のあり方、そして企業のあり方、ブランドのあり方、そして文化の作られ方がそんなところにあるんではないかなと思います。
もともとはそのプロダクトからできていた文脈っていうのも逆にその世界観というものを作って、そしてそこからプロダクトに落としていく。そしていろんなプロダクトを混ぜ合わせることによって新しい価値を作っていく。これがアナさんが言っていたプロダクトから世界観へというシフト。
二つ目に有名人から有名プロダクトへのシフトということになるんですが、これもやっぱり最近特にここ5年から7、8年の流れだと思うんですが、ソーシャルメディアの中でも特にTikTokに代表されるショート動画が世の中に与えた影響、そして企業、ブランドに与えた影響っていうのはすごく大きいと思うんですね。
ブランド戦略から文化戦略へのシフトの例
その中でもすごく代表的な例がユニクロさんが数年前に出されたショルダーバッグなんです。
あれってそもそもは他のたくさん大量にある中の商品の一つで特に目玉の商品ではなかったんですね。
なんですが、発売されて間もなくあるヨーロッパのインフルエンサーとまでは言わない数千人からせいぜい数万人ぐらいのフォロワーがいる若い女性の子がユニクロのショルダーバッグを取って、これってすごく便利なんですっていうことをすごく熱意を持って解説し始めたんですね。
それが別にその有名人が発表しているからとか有名人が推しているからっていうことではなくて、もう本当に一般人の人が熱意を持って真剣にこれってこんな素晴らしい商品なのっていうことをほんの1分半ぐらいの動画で説明してるんですが、それがきっかけでそれが有名プロダクトになったっていう背景があります。
これは一つだけの例なんですが、実はこれってそんなに今珍しいことではなくて、もちろん有名人が推すことによって有名になるものもあるんですが、そうではなくても本当に一般の人が自分の言葉で、それも大して上手くない言葉、大して良くない動画ではあるんですが、すごくこの真剣に本質的なことを自分の言葉で伝えるっていうことがいろんな人に伝わって、そしてそれが刺さり有名プロダクトになるっていう。
例が結構どんどんどんどん増えていて、で、それが事業につながるっていうのが特にここ6・7年のそのTikTokっていうものが生まれたことによってできてきたこの社会の流れのこれからの在り方っていうのがここに凝縮されていると思います。
そしてこの3つ目のシフトなんですが、ブランド戦略から文化戦略へのシフトなんですが、これは実は日本の文化もすごく最近企業に与えている影響が多いんですね。
いくつか例を挙げるんですが、まずその日本の文化っていうところで言うとアニメというものがあるんですが、これは日本だとそこそこその一般的なもので、文化というかも僕も子供の頃も読んでましたし、日本だと今いろんなこの年齢層の方がアニメだったりとか漫画に触れると思うんですが、
アメリカだったり海外の場合だと10年ぐらい前はどっちかっていうと英語でもオタクっていうローマ字であるぐらいちょっとニッチなものだったんですね。
子供だったりとかアニメオタクの人たちが漫画だったりとかアニメのことに興味があるって限られた世界ではあったんですが、ここ6、7年になって、いわゆるハイブランドだったりとかファッションのブランドと言われるような企業が日本のアニメを取り上げてそれを世界的に売り出していたりするんです。
最近の事例で言うとここ1年ぐらいの話なんですが、ロエベがですね、スタジオジブリとコラボをして、千と千尋のキャラクターを使ってそれを商品に反映させて、そしてそれを売り出すということをしていたんですが、日本ではある程度一般的なものではあったと思うんですが、世界ではすごくニッチだったものをロエベという世界的に認知度のあるブランドがそれを取り上げて、
それをブランドに反映させる、そしてプロダクトに反映させるっていうことをしているので、一般的だった文化もしくはすごくニッチだった文化に新しい価値をつけることによって、それがブランドになっていくという、今まではブランド戦略を使ってどうやって広めていこうかっていう流れが多かったのが、
これからは文化的に世の中、ニッチなことでも熱狂的なファンだったりとか、熱狂的に興味のある人たちがどうやってそこに接しているか、そこにヒントを見つけて、それをブランドに反映することによって新しい価値にしていくっていうのが、ブランド戦略から文化戦略へのシフトということになるのかなと思います。
似たような例で言うと、これもここ10年20年ぐらいでかなり大々的になってきていると思うんですが、20年ぐらい前まではそのスニーカーオタクだったりとかスニーカーヘッドと言われる人たちしか興味のなかったスニーカーをルイビトンだったりとかバレンシアガとかそういうハイブランドがそのスニーカーを取り上げて、そしてそれを商品ラインナップに組み込んでいくっていうことで、ブランド戦略に落としていく。
文化からブランドへというその流れもじわじわと20年ぐらい前から始まっていって、今となっては特にファッションブランドの中ではかなり一般的な戦略になってきていて、それが今後もいろんな業界での進め方、戦略の作り方になっていくのではないかなと思います。
このブランド戦略から文化戦略っていうのは概念としては正直結構難しいことではあるんですが、非常にためになる考え方だと思うので、皆さん特にそのブランディングだったりとかマーケティングに携わっている方はぜひ参考にしてみてください。
それでは今日の3つのキーテーカーへのまとめです。今回は彼女の記事からも取り上げて3つのシフトになるんですが、まず1つ目はプロダクトから世界観へのシフト、2つ目に有名人から有名プロダクトへのシフト、そして3つ目にブランド戦略から文化戦略へのシフトになります。
そしてもしこの番組を気に入っていただけましたら、Apple PodcastやSpotifyで5つ星の評価をいただけると嬉しいです。次回は注目のクリエイティブをお届けします。どうぞお楽しみに。世界のクリエイティブ志向、お相手はリーナウンドでした。
デジタルガレージは、危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを、創業以来大事にし続けています。これからくるWeb3、オープンソース時代を見据えた、テクノロジーで新たなビジネスを生み出す仲間を募集しています。番組詳細欄にあるリンクよりぜひご覧ください。
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