K-POP GIRLSデーモンハンターズの紹介
This is ReinaMoro's Podcast. 世界のクリエイティブ思考
Hi everyone, this is ReinaMoro.
皆さん、こんにちは。ニューヨーク、東京、シンガポールを拠点にするグローバルイノベーションファーム、I&CO共同創業パートナーのレイ・イナモトです。
目まぐるしいスピードで世の中が変化する中、この番組は日本人が世界で必要不可欠な存在となるためのヒントを探ります。
今回は注目のクリエイティブをお届けします。
今日もこの番組のプロデューサー、竹村玲子さんと一緒にお届けしたいと思います。
はい、レイさんよろしくお願いします。
今日の注目のクリエイティブ、何を取り上げましょうか?
今回は今までと少し違う方向で、今まで注目のクリエイティブのコーナーだと、ブランドの関係のことだったりとか、商品だったりとかが多いんですけども、
もう少しカルチャーよりの、エンターテインメントよりのものを今回は話すネタとして持ってきまして、
今世界中で大ヒットしている映画、K-POP GIRLS デーモンハンターズについてお届けします。
おー、なるほど。なんでこのテーマを選んだんですか?
このK-POP GIRLS デーモンハンターズは、6月からネットフリックスで配信されているアニメ映画なんですが、竹村さんこれは知ってました?
いやー、全然知らなくて。
しかもレイさんがK-POPとかアニメとかを取り上げると思ってなかったので、ちょっとびっくりしました。
そうなんですね。僕も別にアニメとかはそこまでファンでもないですし、ネットフリックスも見ますけども、そこまで熱中して見る方でもないんですが、
6月、7月ぐらいから、なぜだかやたらとこのK-POPデーモンハンターズの広告が耳に入ってきてたんですね。
耳にっていうのは、他のポッドキャストを聞いていて、もっと具体的に言うと、このK-POPデーモンハンターズの映画版で、映画にみんなで行って、そこで映画の会場で、映画の劇場で、カラオケみたいにみんなで歌うっていうシンガワンっていうのがあるから聞けねっていうのを、音声の広告で、ポッドキャストを他の聞いてて、いっぱい聞いてたんですね。
なんだろうと思って、それが配信され始めてから1ヶ月後ぐらいだと思うんですけども、やたらと耳について調べてみたら、実はすごい勢いで世界中に広がっていて、なんとほんの2ヶ月ぐらいで、ネットフリックス史上一番見られているコンテンツになりつつあるんですよ。
おー、アニメなのにそんな勢いがあるんですか。
そうなんですよ。日本のアニメだったりとか、あとK-POPもここ10年ぐらいすごい世界中で大ヒットしているので、言ってみればそこまで驚きではないっていうのはあるんですが、でも結構この空前の大ヒットというか、59の国と地域で視聴数1位を獲得していて、しかも映画の中の曲がビルボードチャートで1位になったりだったりとか、
あとこのガールズグループがビルボードチャートで1位になるのはなんとビヨンセが所属していたディスニーチャイルド以来ということで、24年ぶりだとかなり上がるんですね。
へー、アニメ映画の中の曲がとにかく大人気っていうことなんですね。
アニメ映画の中の曲もそうなんですけども、映画自体もってことですね。
おー、いったいどんなものなんでしょうか。ぜひ教えてください。
では早速ご紹介しようと思います。
レイさん、このK-POP GIRLS DEMON HUNTERSご覧になっていかがでしたか?
はい。Netflix以上一番多くの人が見た映画っていうのは、実は2021年に公開されたアクションコメディのレッドノーティスっていうものなんですけども、このK-POP GIRLS DEMON HUNTERSは今のところ歴代2位で、ほぼ確実1位になると思うんですよね。
おー、すごい。どんなストーリーのアニメ映画なんですか?
もともとこの映画はアメリカのツイーンと言われる世代で、ティーネイジャーになる前8歳から12歳ぐらいの子たちを対象に作っているんですね。
ストーリーはですね、K-POPのガールズグループが3人組なんですけど、3人の女の子がこのバンドなんですけども、ファンを守るために悪霊と戦うというのがファンタジーの一つになっています。
で、ちょっとミュージカルっぽくなっていて、ところどころにこの子たちが歌を歌いながら、このデーモンハンターズなのでこの悪霊たちと戦うっていうのをやっていくんですけども。
この映画自体はですね、背景を説明すると、これ制作に7年ぐらいかかっていて、オリジナルの発案者がマギー・ケンという映画監督兼作家なんですね。
その方が一番最初にこれを発案されて、その後にクリス・アポハンズっていう、この人も監督なんですけども、その人と協力を組んで映画を作って、ソニーアニメーションエンターテイメント社が制作を約150億円、約100ミリオンUSドル、150億円をかけて制作したんですよ。
150億円ってすごい規模ですね。しかも7年。
作ったはいいんですけども、実はこのソニーアニメーションエンターテイメントがこの作品はヒットしないだろうと思って、その権利をネットフリックスに20ミリオンUSドル、つまり30億円で売り払ってるんですね。
150億を30億で売り払ったら、もったいない気がしますよね。
120億円の損失ってことですよね。
そこまで損をして、この映画自体、なおかつこのキャラクターのライセンスを全部ネットフリックスに、もうこれお荷物だからということで売り払っちゃったんですよ。
売り払ったら、もうあっという間にほんの1週間でこの制作費もカバーできるぐらいの売り上げができてしまったと。
人気の要因
それぐらいヒットしたので、ソニーアニメーションエンターテイメントの人が聞かれていたらちょっと失礼になってしまうかもしれないんですけども、すごい誤算ですよね。
残念すぎますね、それは。
もったいない気がしますね。
何がこんなに人気になった秘訣なんでしょうか?
いくつか要因があると思うんですけども、K-POPっていうのがここ10年ぐらいもすごく大ヒットしていて、代表的なところで言うとCAT-IだったりとかBKSだったりとか、もうK-POPのグループが世界中で大ヒットしているその流れの一つっていうのと、
見てる人が感情移入をしているっていうところが大きなヒットの要因だと思うんですけども、
何かというと、自分を発見する物語になっているんじゃないかなって思うんですね。
僕も今ティーネイジャーの娘がいるんですけども、10歳、11歳、12歳の思春期真っ只中の時ってすごく情緒が不安定で、
自分としても友達ができないとか居場所がないとかっていうことに悩まされて、すごく精神的に不安定になったのを見てたんですね。
でもそれって我々のこの番組で一つのテーマとして、そしてリスナーの人たちが、例えばAsk Me Anythingのコーナーだったりとかですごく聞いてくるのは、
キャリアをどうしたらいいんですかとかっていう、自分を見つけられないっていう悩みを持っている人たちが結構いらっしゃるじゃないですか。
それって世代を超えた課題で、例えば40代、僕ぐらいの世代になっても、それってずっとつきまとう課題なんですよね。
それがこの中にいる、特にこの3人のメインキャラクターのこのK-POPガールズがある意味代弁をしてくれてると思うんですね。
なおかつ、この一人一人が完璧じゃないんですよ。
なんかちょっと問題があったりとか、なんか悩みを持っていて、例えば一つのキャラクターの子が離婚した親の子供なんですね。
片親は同じ一緒のところに住んでて、もう一人は海外に住んでいて、そういう狭間でお父さんとお母さんの間で別れちゃってるんだけども、生活してる女の子だったりとか、
学校ではなかなかいい成績が取れないとか、そういう悩みを抱えている子たちがこのK-POPガールズデーモンハンターズという、
表向きにはスーパーヒーロー的なことをやってるんだけども、個人的には悩みを持ってるっていうことだったりとか、なんか葛藤があるっていうところが、
やっぱり自分のツイーンという世代からティーネイジャーになっていって、自分自己発見をしていくっていうところが間接的に描かれたと思うんですよ。
それが、もちろんその表面的なK-POPっていうことがあったりとか、楽しい音楽、そこに選ばれてる曲だったりとか作られてる曲だったりとか、それと一緒に歌うっていうことができるっていう、
そういうエンターテイメントもあると思うんですけども、その裏側に自分を発見するっていう世代を超えたテーマが隠されてるんじゃないかなっていうのが、このヒットにつながっている要因だと僕は思います。
なるほど、じゃああらゆる要素がうまくはまったっていう感じなんですね。
そうですね、ある程度狙って作ったっていうこともあるとは思うんですけども、やっぱり冒頭にお伝えしましたように、作った大大大企業のソニーの子会社であるソニーアニメーションエンターテインメントで、こういうことを作る人のプロたちの集団じゃないですか。
これを作ればヒットするっていうのはある程度見越して作っているとは思うんですけども、作ったんだがでもこれってヒットしないだろうと思って大赤字で売りに出しちゃってるわけじゃないですか。
だからなかなかやっぱりこれだけデータが進んでいて、これだけAIが進んでいても、ここまでヒットするっていうのが読めないっていうのは、やっぱり人間ってこういう不可解なところがあったりとか、何が刺さるかっていうのは計算と分析じゃできないんだなっていうのをすごく思います。
いやーだって、楽曲もデスティニーチャイルド以来の大ヒットとか、そんなにヒットするの?みたいなビルボードチャートにアニメに出てくる架空のガールズユニットが入ってくるの?なんて誰も想像していなかったんではないかなっていう感じですよね。
そうなんですよね。だからそこで考えると、もう本当に歴史に残る史上1位にネットリフトでもなりつつあるっていうすごい作品ってことですよね。
K-POPガールズデーモン・ハンターズの魅力
いやーなかなかヒットって予想して作れるものじゃないんだなっていうのを改めて感じますが、Kポップねすごく流行っているっていうのは知っていましたけれども、でも日本からこういう作品が出ていってくれたら嬉しいなーなんていうのは私は日本人として思うんですが、
日本の作品がこれと同じくらいの規模の大ヒットを生むためにはどうしたらいいとレイさんは思いますか?
いやーそれは深い課題で答えを持っていれば問題はないんですけども、Kポップガールズデモハンターズを見てみて思ったのはパッと見アニメーションだったりとかキャラクターのデザインってどっちかっていうと西洋風で、そしてディズニーぽいキャラクターのデザインではあるんですね。
なかなかその日本のアニメではないキャラクターのデザインではあるんですけども、その映画の中にアニメーションの中に出てくるキャラクターの描かれ方だったりとか、ところどころなんですけどもそのデフォルメの表情の作り方がすごく日本風になって思ったところがいろんな箇所にあったんですね。
そういうのって、それこそ僕が昭和に生まれて、そして子供の頃10歳になるかならない頃ぐらいの頃日本に住んでいる時に流行り始めていたドラゴンボールだったりとか、もっと古いところで言うとあられちゃんだったりとか、それこそ巨匠の鳥山明さんが作られていたアニメだったりとか、あともうちょっと後で言うとバスケのスラムランクだったりとか、もうちょっと最近言うとワンピースだったりとか、
日本のアニメならではのデフォルメの仕方っていうのがあるんですけども、それがこのK-POPガールズデモハンダルの中にもいろいろ反映されていて、昭和時代のアニメっていうのが80年90年代ぐらいから徐々に世界のいろんなところで、このネットウィークが出る前、YouTubeが出る前にいろんなテレビネットワーク、ケーブルネットワークで配信されるようになっていて、
それも現地の言葉、英語だったりとかスペイン語だったりとかで配信されるようになっていたんですね。
それを見て育った子たち、その時10代にもなるかならないか、そして今20代30代になっている人たちが、それを日本のアニメとしてもしかしたら認識していたかもしれないし、認識せずにずっと見ていた人たちもたくさんいると思うんですけども、
そういうところで日本のアニメにも10年20年と触れている人たちが今世界中に何十億といて、そういう土俵があるからこそ、いわゆるその日本チックな表現も受けられるようになったのはその土台があったからだなと思います。
それが一つ目の要因。
二つ目の要因はですね、これは特に目新しい話ではないんですが、人の共感を生む一つの手法としてすごく効果的だなと思うのが、現実逃避なんですね。
現実逃避で、そしてある意味すごく非現実的な世界を作ることによって、もちろんドキュメンタリーとか実写の映画っていうのもあるんですけども、実際には実在しない世界を作ることによって、そこに人々が現実逃避として感情移入ができる。
このアニメっていう非現実的な世界、絵を描くことによって、この普段のモヤモヤしている、例えばさっきお話した自分を発見する、自分がどこにいるかわからない、自分が何やっているかわからない、自分がどういうのがわからないという悩みを、そういう非現実的な世界で描くことによって、そこに感情移入ができる、現実逃避ができるっていう架空の世界を作っているっていうのが、このヒットの要因の二つ目だと思います。
やっぱりこういう、この現実逃避ができるような世界を作ることによって、例えばその日本のアニメっていうこともありますし、映画だったりとかいろんなものがあると思うんですけども、そういう場所を作ってあげること、これは実際に具体的に物理的にある場所ではまだないですけども、でも映画館に行って一緒に歌う場所を作ったというか、きっかけを作ってあげるっていうのはその現実逃避ができるっていうことなので、
日本のエンターテイメントだったり他のものでも、そういう場所を作ってあげるっていうのは一つのチャンスなんじゃないかなと思います。
なるほど。
三つ目は、この現実逃避のところにつながってはいるんですけども、やっぱりストーリー性っていうのは大事で、ストーリーだと感情移入だったりとか共感を生みやすいってことなんですけども、このK-POP GIRLS デモハンターズの中にもあるように、実は敵の存在って意外と大事で、敵がいることによってその敵を撃ち倒したいっていうふうに思わせる。
そのために、この正義の味方のこのデモハンターズに感情移入をするだったりとか、あとこれって、それこそ今の政治の世界でもよく見れるみたいに、特にアメリカの政治見てると敵を作りまくってるんですよね。
それが他の国だったりとか、あとアメリカ国内でも右翼が左翼なのかとか、西党なのか共和党なのかっていう、そういう敵を作って、そして俺だけが全ての皆さんを守ってあげることができるんだっていうふうに言って、大統領になっちゃってる人もいるわけじゃないですか。
でもやっぱりそこには常に敵を明確に作っておいて、この敵を撃ち止めさせるのは自分なんだぞっていう文脈を作ってるんですよね。
だから敵がいるっていうことは強いブランドを作る要因の一つなので、やっぱりその日本のものでも、日本のハードなものでもソフトなものも、やっぱりその敵が何かっていうことを意識するとそういう文脈を作れるんじゃないかと思います。
なのでちょっとまとめると、このK-POPガールゼンモンハンターズのようなヒット作を日本からも生むっていうことをどうしたらいいのかっていうときに、今お伝えしたこの3つの要素。
まず1つはその日本式のデフォルメを作る。
2つ目は現実逃避をさせてあげる場所を提供する。
そして3つ目は敵を意識する。
もしくは敵を作ってそれを打ちのめかすのが自分たちだというそういう文脈を作る。
その3つを作ればこのようなヒット作につながるんじゃないかと思います。
いやー日本からもね、偶然の大ヒットが生まれたらいいなーなんていうふうに思いました。
さてここまでお送りしました。
レイナムトの世界のクイズ指向。
今回はアニメ映画K-POPガールズレーモンハンターズを取り上げました。
はい、レイさんにお勧めされてまだ見ていない方は
これ話を聞いた後でもすごいね、より楽しめると思うので
ぜひネットフリックスで見ていただきたいなーなんていうふうに思いました。
はい、ぜひ見てみてください。
そしてもし感想があったら僕もちょっと聞いてみたいです。
はい、ぜひですね、私たちの番組のSNSもありますので
そうしたところで皆さんの感想も教えてください。
はい、それでは次回もどうぞお楽しみに。
世界のクイズ指向、お相手はレイナムトと
竹村由紀子でした。
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