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2022-05-23 35:18

第80回 戦時の悲しみと芸術が導く物語たち「戦時の音楽」レベッカ・マカーイ著

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【今回の紹介本】 

■『戦時の音楽』レベッカ・マカーイ著 戦いのさなかにも、いつも音楽があった。 

多様な作品が、「戦争」と「音楽」というテーマのもと響き合う、 

ベスト・アメリカン・ショートストーリーズに4年連続選出された著者の初短編集。 

是非、お聴きください。 

【番組内で紹介したトピック】 

■『戦時の音楽』レベッカ・マカーイ著 藤井光訳 新潮クレストブックス 

https://www.shinchosha.co.jp/book/590148/ 


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硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。

案内役の二人は、 東京都内で読書会を主催する「小説が好き!の会」のダイチ

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文学のプロではない二人ですが、 お互いに好きな作品を東京と京都を繋ぎ、

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#本 #小説 #読書 #読書会 #文学 #海外文学 #ブック

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文学ラジオ空飛び猫たち。 戦いの最中にも、いつも音楽があった。
多様な作品が、戦争と音楽というテーマの下、響き合う。 ベストアメリカンショートストーリーズに、4年連続選出された、レベッカ・マカーイによる短編集
戦時の音楽を、今回はご紹介します。 どうもみなさんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、 文学と猫が好きな2人がゆるーくトークするラジオ番組です。
お相手は、私、小説が好きのカイのダイチと、羊を巡るカフェのミエの2人でお送りします。 文学とプロデューサーの2人ですが、東京と京都をつないで、お互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
番組概要欄に詳細情報を記載しているので、初めてお聞きになる方など、そちらを見ていただけるとありがたいです。
今回紹介するのは、戦時の音楽という作品になります。 レベッカマカーイさんが書いて、藤井光さん役で、新潮クレストブックスから2018年に出版されています。
こちらは、取り上げた経緯を話しますと、リスナーのリクエストから選ばれた本になります。 年末だったかな?ちょっと忘年会でやった時に必ず紹介しますよという形で、一冊選ばせていただいた本になります。
すいません、私、役者の藤井光さん大好きなんですけど、この作品知りませんでした。
僕も名前は聞いたことがあるというか、本屋さんで見かけたことがあるので、どういう内容かとかは全然知らなかったですね。
こちらは短編集になってまして、17編の短編が収録されています。 長さも結構様々で、2ページで終わるものもあれば、30ページぐらいのものもあったりして、結構いろんなバリエーションがある作品です。
語り口や切り込み方とか話しごとに結構違っていて、正直ですね、とても同じ作家が書いたとは思えないような話も中にはあります。
個人的にはこの戦時の音楽というテーマのもとに書かれた、いろんな作家のアンソロジーのように感じてしまうぐらいですね、多彩な短編集だなと思いました。
確かにテーマに戦時という、戦争というワードが入っているので、結構全体通しても生き延びるのに精いっぱいというかですね、そういう状況の人たちの話というのが多いんですね。
生き残るとか、自分を守るみたいな、なんかそういう感覚は確かにちょっとあるかも。
そうですね。そこと音楽の要素がうまいことが結びついていて、決して重たいだけの話ではないというところが、この短編集の特徴かなとは思ったりしましたね。
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その辺りも含めて話しますが、なかなかうまい短編集だなと思っています。
作品紹介の前に、作者のレベッカ・マカイさんについて話をしたいと思いまして、生まれは1978年アメリカ国籍になりまして、お父さんがハンガリー出身ということで移民2世の方になります。
これアメリカのショーですか、The Best American Short Storiesというですね、ショーに4年連続で選出されているなど、短編の名刺として注目されている方になります。
ただ、なかなか短編集というのが出てこなくて、長編小説を1冊出版した後に、この短編集が出たという経緯があります。
特異ピースの短編がそれまで出版しないというですね、そういう思いでされていたので、この短編集の一つ一つの効力というか、そういったところはすぐに伝わって作られたんじゃないかなと思います。
この短編集にも、The Best American Short Storiesに選出された4本の短編も収録されているということになっています。
後書きに、この作品とこの作品とこの作品が、The Best American Short Storiesに選出されましたよというのが書いてあるんですけど、
他の作品もクオリティ高いですけど、その作品はやっぱりすごかったなとは思います。
じゃあちょっと具体的にいきますか。
そうですね、では作品紹介をしていこうと思います。
まず、あらすじをですね、ちょっとウェブサイトから引用させていただくと、
往年の名ヴァイオリニスト、サーカスの嘘使い、大学教授になりすますシェフ。
時代や運命の不条理に翻弄されつつも、何かを生み出そうと苦闘する人々の物語は、作家自身の家族史を盛り込みながら繋がり合うように広がっていく。
The Best American Short Storiesに4年連続選出された名刺による脅威に満ちた17編。
もうほんとあらすじの通りなんですけど、17個の短編が入っています。
全体的な魅力をまず先に話した上で、2編だけ取り上げて紹介しようと思っているんですけれども、
まずですね、これ17つの短編なんですけど、どの作品も個性的で、小説作るの上手すぎるなっていうのがまず第一印象です。
なんかね、読み始めはね、この主人公が置かれている状況とかよくわかんなくて、そのまま始まっていくんですが、
読み始めてくるうちにですね、徐々にこの主人公が置かれている状況や感情っていうのがわかってきて、その段階では結構のめり込んでしまうっていう作りをしているのが多くて、
この小説の流れの作り方っていうのは短いながらめちゃめちゃ丁寧に作られている作品だなと本当感じました。
この辺り上手いなっていうのと、あと紹介しない作品もあるんですけど、
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読み終えてみると、あ、途中から主人公って実はこっちだったのねみたいなパターンとかもあって、
なんか語り手…あ、一人称じゃなかったりする作品が多いのかな?なので、結構、そうか、主眼はこっちに置かれていたんだみたいなのがちょっと後々わかったりする作品があったりして面白かったですね。
あのちょっとリトルフォーク奇跡の数年間とかそんな感じなんですけど、最初サーカス団の話が入ってたと思うんで、
あ、でも最初から出てるのか?なんかでも、ボクシーが主役だとはちょっと最初思わなくて、
この人を通してなんか違うことが語られるんだろうなと思ったら、あ、この人の話だったみたいな感じだったりするんで、
ちょっと意外なことを見せたりする作品もあったなと思います。
作りがちょっと工夫されてますよね。導入のところとか。なんか単純にいきなり現在進行形でいくっていうわけでもなくて、
なんか過去から始まったりとかね、あのさっきの話だと主人公はボクシーさんなんですけど、なんかサーカス団の話から始まったりとか、
この辺のなんか作り方っていうのは、なんかどれも工夫されてるなっていうのは感じましたね。
で、えっと今回はですね、そのうち2編をご紹介したいと思いますが、
え、すいません、これ完全にちょっと、今回私の方が先に読み終えたんで、みえさんの先に。
なんでこの2編でいきましょうって、あの、私の方からちょっと言ってしまいました。
で、まぁちょっと結構私のC的なセレクションになっております。
でもあれか、1編目の砕け散るピータートレリーは、これから話す砕け散るピータートレリーって話は、みえさん側のあれかな、意向も強かったかな。
あ、そうですね。この読んだ中ではこれが一番良かったなと思ったやつで、あの大地さんチョイス何個か候補が上がってきたんですけど、
あのもう全部良かったんで、今回の2編は僕個人的にはもう納得の2編なんで、
あ、なるほどなるほど。
そこはもう心配なくやっていきたいなと思います。
そっか、ちょっと後で触れますが、私そうなんですよね、ベスト2選ぶとしたら実はもう1つ違うのがあるんで、
ちょっとそれは後で話したいと思います。
じゃあまず。
では先に紹介する作品が、砕け散るピータートレリーという短編になりまして、これは高校の同級生だったゲイの2人の物語になります。
主人公の僕と言いますか、主人公の僕は高校の同級生のピーターという人と仲が良かったんですけども、
このピーターというのがとんでもない美形のめっちゃもうかっこいい人で、
学校中の女子からモテて本当アイドルのような扱いを受けていました。
実際にアイドルでもあって、高校卒業あたりではもうすでにプロの舞台俳優になっていて、
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その後ですね、社会に出てからも舞台とか映画とかで活躍していくような人でした。
実はこの僕とピーターというのは、2人ともゲイの男子であったということですね。
当時、これは書かれていたのはシカゴの高校でゲイの男子というのは2人しかいなかった、みたいな感じで書かれたりしていました。
それから時代は進むんですけど、36歳の時にピーターの俳優人生は転落します。
俳優としてすごくキャリアを築いてきたんですけども、リチャード3世という舞台の講演中に突然セリフが言えなくなってしまって、
ピーターが舞台上で凍りついてしまうというですね、そういう事故のような出来事が起きてしまいます。
それ以降ですね、舞台の本番の時に同じような症状が出てしまうという、急にセリフが言えなくなったりですね、
動きが止まってしまうというですね、そうなってしまって、ちょっと劇団にいられなくなってしまってですね、
そこをやめて地味な俳優生活を送るというですね、そんな状況にピーターになってしまいます。
そんなピーターの状況を知った僕はラジオクルークとシカゴ美術館が連携したあるプロジェクトを進めていたんですけども、
僕がプロデューサーのような役割というのをしていて、そのプロジェクトの内容というのが美術館の柔度と呼ばれるプロジェクトで、
これは美術館の所蔵品について詩人とか作家が短い作品を書いて、それを俳優が朗読するというですね、
その朗読役何名かその俳優を選ぶんですけど、その中の一人に僕はピーターを選びます。
その選ばれた俳優というのはオープニングイベントですね、このプロジェクトのオープニングイベントでもゲストたち、いろんな人たち相手に朗読を披露したり、
その後その朗読がオーディオガイドとなって一般の人たちが聞けるようになるというですね、そういった内容になってまして、
主人公の僕にとってはこのプロジェクトの発案者であって、キャリアにおいても一大プロジェクトであったんですけども、そこに昔からのピーターというのを抜擢します。
オープニング当日ですね、人々が集まる中で俳優たちがそれぞれの作品の朗読というのをしていって、ピーターの出番が回ってきたのでピーターも朗読をするんですけども、
ちょっとそこで思わない出来事が起きてしまうというですね、そんな話になります。
これはもうなんていうかかなり名作ですね。全体的に結構ユーモアもある話があったりするんですけど、これは割と深刻なというかシリアスな話で、
主人公の初恋というか、初恋あるいはピーターなんですけど、その初恋を引きずってるわけじゃないけど、ある意味僕の中でひとつ刻まれていて、それが関わってくる、見えてくる話ではありますね。
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最終的にだいぶ悲しいなって思う。ピーターが立ち回りがうまくできなくて、結局彼は悲しい終わり方をしていくんですけど、その彼のピーターの背中が結構悲しくてですね、結構そこで怒って思ったし、もう結構名文があって、
これピーターと僕との関係の話ではあるんですけど、ピーターが去っていく瞬間があって、118ページなんですけど、僕はピーターを追っていこうかと考えたってあって、その後、君が酔ってるだけだとか、みんな君を愛してるんだよと僕は言う。
僕は君を愛してるんだとは言えずじまいだった。みんなとだけ言い、パーティーに来てる人たちみんな、彼が出会った人たちみんな、通りの反対側から彼を見たことのあるみんなを指していた。
もうそれは嘘になってしまった。世界は彼を愛してはいなかった。僕だけが彼を愛していた。もしそれを得たとしても、その言葉では自分ではないという気がした。
もしそれで自分だったとしても、その後はどうなるのだろう。僕はその責任をどう添えればいいのだろう。あってもこのあたりが、なかなかやべえ名文だなっていうのが出てきてですね、ちょっともうだいぶ、このラストの3ページぐらいなんですけど、ここに集約されてきてるなっていう感じがあって、すごい良い小説だなと思いましたね。
名文本当に多い。僕はもう書き出しの一番上がすごく良かったなと思っていて、ちょっとね賛議をあるんですけど、自分のこれまでのキャリアを危険にさらしてまで、どうしてピーター・トレリーを救おうとしたのかとカルロスに聞かれて、僕はこういった高校時代の3年間、ピーターと僕はシカゴで2人だけの家だったんだよというですね、なんかいいですね、自分のこれまでのキャリアを危険にさらしてまで、
ピーターを救おうとしたのはなぜなのかってね、という声から始まるっていうですね。あとはちょっとシリアスな話というかね、ちょっとピーターがかわいそうだなって思う話ではあるんですけども、結構この作中で主人公とピーターとの会話というところはですね、なんかすごいお互いユーモアに富んでて、それを読んでてすごい小粋な感じるような会話がされていてですね、
この辺なんか小説書くのが本当に上手いんだなってすごく思ったんですけども、なんかね、読んでて本当に気持ちよくなるような会話を途中までは書いてあって、それももう短編の魅力かなと思いましたね。
あと僕がちょっと気になったところとしては、ピーターがなぜ舞台で突然演技ができなくなってしまったのかというところは気になりましたね。何かそういう病気的なものなのか、作中ではですね、ドラッグやってるんじゃないかとかですね、そんな疑いもあったりしたんですけど、なんかそういうはっきりした原因があるのか、それとも何かもう原因不明のものなのか、そこがもう明らかにはされていなかったので、なんでだろうというのは思いましたね。
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ここはでもなんか衝撃的なとこですよね。やっぱり役者としてこう上手く立ち回れなくなってくる。ピーターが精神的に多分何かあったんだろうなぁと思うんですけど、舞台でこのなっちゃった瞬間っていうのはちょっと何が原因かっていうのは分からないですけど、結構彼はどんどん追い詰められていくっていうところがあって、それはかなり読んでてくるものはありましたね。
それが結構ラストの一部に結構、全体的に繋がってるんですけど、ちょっとだけ読み上げちゃうと、ラストの一部すごい良くて、誰にともなくこういう、かつて何かがここにあった、美しくそびえていて、私たちみんなに影を投げかけていた何かがあって、その時にはとても大事なものに思えた。それが今ではその名前すら思い出せないっていうので締めてて、めちゃめちゃいい名文で終わってんなぁと思って、なかなかこの哀愁というか、悲しさみたいなのが満ちる作品でしたね。
そうですね。この主人公もピーター初恋の相手ではあるし、恋愛感情だけではないと思うんですけど、本当にピーターという人の才能というかですね、そこにすごい尊敬していたっていうところも読んでいてあるなと思っていてですね、それをプロデューサー的な立場になっても、やっぱりピーターの才能というのは信じていたと思いますし、
実際ピーターがダメになるまではすごい俳優として活躍していたっていうところで、そこの輝きっていうところも知ってましたし、そんな思いが込められた僕は最後の一文かなっていうのを思って、すごい最後、なかなかちょっと儚い話だなと思いました。
じゃあちょっと次の作品いきますか。次なんですけど、まあこれちょっと正直、私がこの17個の中で、もし優劣をつけるとしたら一番良かったなと思った作品で、一番最後に収録されている作品で、押し回れつつ世を去った人々の博物館という短編になります。
これあらすしなんですけど、ガス漏れの事故によってアパートの入居者12人が死亡するという悲惨な出来事から物語は始まります。この主人公、メラニーという女性なんですけれども、メラニーはですね、亡くなった住人の一人であるマイケルという人と婚約関係にあり、マイケルの遺書によりこのD号室を譲り受けるということになりました。
マイケルなんですけども、メラニーと結婚を控えていたので衣装を作っていたんですが、このD号室にはですね、マイケルの他にバネッサっていう前の妻も一緒に住んでいたことが判明します。
メラニーはマイケルから、前の妻であるバネッサは自動車事故で亡くなったと聞いていたが、実際は生きていて、まだ共同生活をしていたということが判明します。
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メラニーはマイケルが嘘をついていることを知り、深く傷つきます。
これちょっと状況が複雑なんですけど、バネッサの遺品はマイケルのものになるので、結果的にメラニーのものになるという状況になっています。
このD号室の遺品整理をするためにメラニーはアパートに来て、作業を始めるんですけれども、そこで若い芸術家のジェットという人物と出会い、
ジェットはこのアパートの遺品を集めて作品を作ろうという、ちょっと変わったことをやっていて、メラニーはそれに協力する形になります。
メラニーとジェットはこの事故当日にアパートにいなくて命拾いしたジュジとラスローという夫妻がいるんですけれども、
その2人にもマンションをレプリカにして作品としているので、彼らの部屋もあるので、そこに何かしらちょっと入れてもらいたいので参加してもらえないかということで、話を持ちかけに行きます。
この94歳のジュジはユダヤ人でホロコースの生き残りでした。この作品のためにジュジは妹の片身を渡してきます。
ジュジはですね、このジェットとメラニーに1944年ブタベストでソプラ歌手だったこの後にジュジの弟となるラスローによってホロコーストから逃れてきたという出来事を語り出します。
その後ですねジェットはツイート作品を完成させてメラニーに作品をなぜ作ったかというところを話し出します。
その後メラニーはですね、マイケルへの怒りはあるが、ジュジの話を聞いて人生や愛について考え出すというところで終わります。
これすごい小説ですよね。ちょっと出だしびっくりしたのが、ガス漏れ事故でいきなり12人全員死んでしまうというところから始まるんで、一体これは何なんだと思ったらそこから残されたというか、マイケルの婚約者だったメラニーが結婚を控えていたのに急に婚約者が亡くなったっていう。
天国から地獄になるような展開で、しかもマイケルが知らなかったほうがよかったというような現実というかですね、結構悪いことをやってて、結構最悪の状況だったんですけど。
でもメラニーが若い芸術家のジェットという人のおかげで、両親を取り戻していったりとかですね、あとジュジというホロコースト生き残りの女性から人生とか愛とかっていうのが自分の想像が及ばないような形でもあるんだというのを教えてもらって、結構これはメラニーの回復の物語だなと思いましたね。
なんか結構ね、名作で。僕は好きなところは2つあるんですけど、1つがジェットがツイート作品ですね、このマンションのレプリカ。これは作中では博物館と呼ばれてたりもするんですけど、それを何で作るのかっていうのを、それを作って満足してるのかっていうのをですね、メラニーに聞かれるんですけど。
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そこでジェットが答えるのが、それが生存者の務めなんだと言って、メラニーにちょっとハッとさせるシーンとかですね。そういうのが好きでしたし。あとはやっぱりジュジの物語ですね。
ハンガリーのブタペストでソプラの歌唱をやっていて、ただユダヤ人ということでちょっと迫害を受けるんですけども、でもなんとかに旦那さんのおかげで生き延びることができたっていうですね、そういうとあって、このジュジとラースローっていう旦那さんとの関係もちょっと複雑なところがあって、ここのところもですね、人を許すかどうかみたいな問題っていうのがあって。
それもメラニーもマイケルを許せるかとかですね。バネッサーを捨てるかとかですね。そういう格闘みたいなところになっていくんですけども。この辺の、もうちょっと終わりの方の話なんですけど、展開はなかなか考えさせられましたね。
これ、バネッサーはメラニーの存在を知らなかったんですよね。これ、ちゃんと書かれないかな。ちゃんと離婚はしてるんですよね、たぶんね。 離婚はしてるんでしょうね。1章まで書いてたっていうことなんで。
まあまだなぜ関係を持っていたかっていうのはちょっとわからないんですけど、でもそのバネッサーには新しい結婚をするってことは言ってなかった。その辺りもちょっと、それをメラニーは知ることにもなるんで、その辺りの流れもちょっといいんですが、自分が結構これぶち抜かれたところが、個人的には304ページのこのジュジの話を聞いている時に、
メラニーが、ジュジが、人生はこういうものだからみたいなことをちょっと語り出して、それがメラニーにとってちょっと勘違いなんだって思って、言おうとしたけれども、一緒に聞いたジェットが視線で、これは君についての物語じゃないとその目は言っていた。黙っておくんだっていう一文があって。
ここが結構私すごいハッとさせられたところで、この他の短編集も自分の話じゃない話とか結構あって、あ、語り手の話ではない話みたいな。例えばさっきのはピータートレイの話も結局語り手とその語っていることはちょっと違ったりすると思うんですけど、まあ他も結構そういうところがあったんですけど、なんとなくこの物語、この短編集っていうか、他人の物語っていうのは結構重要なんだなぁっていうのがちょっとなんとなくここで私は思い当たって、ちょっと面白かったというか、
ハッとされたところなんですよね。やっぱりこのラストがすごい良くて、みなさんもちょっと今話しましたけど、人の人生とか人の愛情とかっていうのは、なんかちょっと他人からはですね、ちょっと理解しえない部分とか、
なかなか想像できない部分っていうのがあるよねっていうことが、この小説では語られている気がして、そこにちょっとすごく感動してしまいました私は。
まあしかもこの、まだ現在進行形の夫婦でも語られているし、このバネスタとマイケルの関係も何だったんだろうってちょっと思うし、そのマイケルと関係を結んだメラニーがどう感情を持ってっていいかっていうところもあるし、なんかすごく良い、いろんなことを考えさせられる小説だなぁと思いましたね。
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やっぱり物語の力がすごい強く働いている小説だなっていうのは思いましたね。なんか大地さんの話で、その他人の物語を語っている話が多いっていうのは、やっぱりなんか人生の中でどうしても受け入れるのが難しいこととか、
どう乗り越えていいかわからないとか、そういう状況になった時って他人の物語が一つの道しるべになったりするのかなと思うこともあってですね。そういったところとか、もしかするとこの厳しい状況の人たちに必要な物語として提示されているんじゃないかなというのを感じ取りしましたね。
そうですね。じゃあちょっとそんなところにして、テーマトークに入っていきたいなと思うんですけど、今回のテーマはですね、ちょっと戦時化の音楽というこの作品は結構芸術が結構いろいろ出てくるんで、音楽だけじゃなくて美術とかいろいろ出てくる作品なので、
芸術についてちょっと話したいなと思ってまして、今までのことで芸術に救われた場面とか、芸術が身に乗って力をもらったこととかあったら話してみたいなーって思ってます。
なるほど。芸術って思ったんですかね。難しいからね。
僕はね、ちょっと一つありまして、それは芸術を感傷するのではなくて、自分で絵を描くっていうですね。
あーなるほど。
ちょっとそれが一つあってですね、僕は自分ではすごい絵が下手だと思っていて、よくダークとか言って馬鹿にされたりとか。ああいうタイプなんですね。
小中高等。絵は自分の中でも下手だと思っていて、そもそもそんな描いたこともないので、上手く描けるわけもないので、ちょっと避けてきたところはあって、本当に全く自信がない分野だったんですけど。
30歳過ぎたぐらいの時にちょっとしたワークショップでですね、みんなで絵を描いてみようと。
で、そこでいうのは上手く描くとかではなくて、決められた、まあすごい短い時間なんですけど、短い時間の中で描写していくと、で、それは自由なんですよ。
絵で見えてるそのまま描かなくても、ある一部分をめっちゃアップにしたり、めっちゃ俯瞰で描いたりとか、色も、空も青なのにピンクにしてしまったりとかですね。
自由にしていいよというので、本当に自分の想像力というか、上手い下手ではない部分で、そうやって自分の思うように、意外と褒められたんですよ。
こういうふうに絵を描いてもいいんだって言うんですね。その時初めて知りまして、なんかそれ以降、上手いが芸術って言うと、僕は絵に関してなんですけど、上手い下手っていうのが持っていたんですけど、
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今回も音楽とか他の分野に関してもそうだと思うんですけども、なんかその自分の持ってるものを出すって言いますか、想像力を出すっていうか、むしろ救いになった、何か励ましてもらえたような、というのがありましたね。
すごい良い話ですね。なんか自分で描いたものに評価もらって救われるってすごく良い流れですね。その絵見てみたいですね。
ひどい絵だと思いますからね。自分の中では自己評価もめちゃめちゃ低いんで。
それ良いですね。バッと私が描いた、何もアイディアもなくてあれなんだけど。なんかでも芸術とかっていう小説とか、物語があるものの話とかいくらでもできちゃうから、そこをしないでいくと、
やっぱりなんか救われたとか力になったとはちょっと違うんですけど、現代アートなんか大学期だったかな?友達と2人で見に行った時があって、なんで一緒に行くことになったか全然覚えてないんですけど、
まあその当時、今全く連絡取ってないけど、まあそこそこ仲が良かった友人で、2人で見て、コンテンプラリーアートみたいなの行って、見たんですけど。でその後、なんか飯食べてうち、確かうちに泊まったんですよね。1日一緒に行った記憶があるんですけど。
なんかその時に、ちょっとその交わした会話とか、詳細まで覚えてないですけど、感想を言い合ったこととかがやたら印象に残ってるなぁと思う。
まあなんか多分その時、自分が思ってもなかったようなことを言われて、ああって思っただけだと思うんですけど、でも誰かと美術館一緒に行くことって結構あると思うんですけど、でもなんかちゃんと話したっていう記憶があんまなくて。
多分その数少ないちゃんと話した経験の一つで、やたら印象に残っているし、なんでその後一緒にずっと1日行ったのかもよく覚えないんですけど、不思議な1日で知ることだけなんかちょっと今思い出した。
それはなんですかね、美術館の空間が何か作用しているのか、もしくはそこの中のある一つの展示物。
多分展示物だと思うんだよな。私もそれ見た時の印象を覚えてて、その時に友人が見せた表情とかなんかやたら覚えてるんですよ。
その時の彼の顔はよく覚えてて。何を言ったかはちょっとよく、そこまではあれなんですけど、なんかいつもと違う顔をしてたなーって思って、で、ちゃんとその先について話した気がするなぁと思いますね。
何かその通じ合ってたのかもしれないですね、その作品への感想というかあれですけど、こんなことを思ったとかっていうところとか。
ちょっとなんか今ちょっとその話、その時のことが夢がありました。
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あれもそうかもしれないですね。一つの作品というのがあって、そこに対してどういう感情を抱くかとか、どういう価値を見出すかっていうところを人と共有できたら、それは結構救いになるんじゃないかなと思ってですね。
芸術作品とかって数値化できるものじゃないですか。分かりやすい基準とかってないので、それなのにその人と人がそれに対して同じような感情を抱いたりとか、同じような価値を持てたりして、何かねそこで分かり合えたりする瞬間とかってすごい幸せなことなんじゃないかなって。
そうですよね。なんか分かんないけど、同じ美術、結構有名な美術展とかあったら何人かやっぱり友達も行ったりとかして、あの美術展行ったみたいな話とかすることはあると思うんですけど、多分ねあんま深い話しないんですよね。
なんか良かったよねぐらいの話しかしなくて。多分ね、どんな話をしたかわからないですけど、多分その時結構深い話をできたっていう感触だけ残ってるんだと思う。
確かにそれが自分にとっての救いなのかもしれない。この作品をすごく感銘を受けたんだけどみたいな。それと同じように感銘、同じレベルじゃないし同じ感覚じゃないかもしれないけど、何か受け取ったんだなこの人っていうのを何か間近で感じられたっていうのが、もしかしたらすごく自分の中で何か救いになっている部分もあるのかもしれない。
うん、確かにね。自分と作品ともう一人相手がいるってことで、三者で進まれる感じはなんか良いですね。
まあ、そんなところにしておきましょうか。
なんか思いのほかに今回のテーマトークなんか良い話ができたんじゃないかなと。
そうですね。美術の話もすごい面白かったし。見栄が博の話もできたし。
これはね、世には出さないですけど。
じゃあ、いつも通り感想とどんな人に読んでもらいたいか話して終わりにしましょうか。
じゃあ私の方から。自分が読んできたどの短編集ともですね、なんか今回の短編集は違う短編集な気がして、すごく面白く読めました。
なんか同じ作家の違う面が見れるのが短編集の良いところだと常々思ってはいるんですが、なんかそれにしてはですね、この幅が広いというか多様性みたいなのがめちゃめちゃあって、
上手く言葉にはできないんですけど、何か通廷しているテーマがありつつまとまりを見せているのにこんなに幅があるっていうのはなんか面白いし、
読み終わった後ですね迫ってくるものがあってなんかすごく面白いなと思いました。タイトルの戦時の音楽とそれと絡むんだけどそれとはまたちょっと違う
人間がどうしても抱えてしまうような感情っていうのを描いている気がして、今正直その感情っていうのが上手い言葉で隠れないんですけれども、
だからこそこの短編集っていうのに何かまとまりっていうのを持たせることができているのかもしれないなと個人的には思いました。
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全体としては読みやすい作品が多いので、割と海外文学初めての人でもオススメな一冊なんではないかなと思います。
一度読んでもピンとこなくても二度三度読むとですね、すんなり入ってくる作品ばかりなのではないかなと思っております。
僕は戦時の音楽というこのタイトルもそうですけど、モチーフですね、戦争と音楽っていうところがすごく面白いなと思いますし、
それで17編もこんなにいっぱい短編作れるのがすごいなと、これはやっぱり作者の本当に才能というか力がすごいんだなというふうに感じました。
視覚的ストーリーがしっかりあって、読みやすい小説かなと思ってまして、ただ一筋縄ではいかなくて、やっぱり余韻のある終わり方をしている作品が多いのかなと思っていました。
最後の特に作品ですね、おしまれつつよう去った人々の博物館を読んでちょっと思ったのは、人生生きているなら音楽とか恋愛、そういうのを楽しんで、
あとおしまれつつ去ってしまった人々というのを忘れてはいけないんだなというのをすごく感じました。
すごくクオリティの高い短編集だなと思いますので、しっかりした海外文学とか読んでみたいなという時の入り口とであったりですね、
そんな長編は読めないけどもっていう時にすごく読みごたえのある本かなと思います。
今回読めてよかったですね。じゃあ次回予告して終わります。
次回はですね、番外編でちょっと特別なゲストが来る回になりますので、ぜひお楽しみにしていただければなと思います。
おそらく我々からするとすべての今までのリスナーに全員聞いてもらえたような内容になるんじゃないかなと思っておりますので、楽しみにしていただければなと思います。
番組の最後になりますが、メルマガ会員を募集しております。
毎週土曜日配信しておりまして、いろんな内容をちょっと配信しております。
詳しいことは番組概要欄に記載しておりますので、そちらをご確認ください。
番組の関数やリクエスト、またこのラジオを聞いて紹介された本を読みました、読み返しましたでございましたら、
ハッシュタグそらとみねこたちをつけて教えていただけると大変嬉しいです。
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この番組気に入っていただけたら、ぜひ積極的に拡散共有してください。よろしくお願いします。
ではまた来週。
ありがとうございました。
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