一本道ではないっていうこと?
ああ、そっかそっか。
分かりにくいっていう。
うん、分かりにくいはあるよね。
こういう話にしたって一言じゃ言えないもんね。
そうですね、何かその目的に向かって進むとかそういうものではないと思うんで。
でも正直読んでて、これなんかもう最初からやべえ名作だっていう感じがすごいしたんで、
確かにこれ最初の30ページ読んで合わないと思ったらもうあるかもしれない。
その人には合わない小説なのかもしれない。
最初多分読んで名作だなって思ったのは本当このベンラーナーの文章というか文体というか、
そこかなとは思うんですよね。
すごい詩人でもあるし、
すごい物事を考えてる内省的な人というかですね。
それがいきなりビシッて書かれてますしね。
最初からそこにちょっと痺れましたね。
この作品が書こうとしていることは帯にも書いてあるんですけど、
ほんの少し違う世界があるとしたらみたいなところが主題で置かれていて、
読んでると存在した過去が揺らいでいったり、
来ると思っていた未来が消えていくようなほんの少しだけ違う世界が顔を覗かせるそんな不思議な小説なので、
試行実験とまでは行かないけど、
行ったり来たりするのが好きな人にはめちゃめちゃハマる小説だなと思ってます。
なんか独特な読み応えありますよね。
他にはないね。
読んでて、さっき一本道って言いましたけど、
同じところ行ってきたりしてるのかもって多いようなところがあったりして、
その独特な感じも後で触れていけたらなと思ったりしてます。
ちょっと先に作者のベン・ラーナーさんについてなんですけども、
ベン・ラーナーさんは20代から主人として活躍して有名だったという人で、
初めて書いた小説が絶賛されて、その小説も書くようになっていくんですけども、
ニューヨークワシがベン・ラーナーさんに短編を書いてほしいという依頼をして、
その短編を書いたんですけども、
さらにそれをもっと膨らまして長編にできないかという話になっていて、
その短編をベースに作られたのがこの10時4分という作品で、
なのでこの10時4分はこのために作られたと言いますか、
結構作られるまでに過程があったというのが実際みたいでした。
ベン・ラーナーさんの小説はポール・オースターやジョナサン・フランゼンという
アメリカの文学界の大御所の人たちが絶賛しているというですね。
その絶賛当時は若立作家であったと。
今はニューヨーク私立大学の英語学科の教授も務めていて、
以前このラジオで紹介した地上で僕らは束の間煌めくという小説を書いた
オーシャンボンという作家さんをゼミで指導していたということもあるという、
そういう方になります。
ありがとうございます。
これタイトルの意味なんですけれども、
10時4分というのはバック・トゥ・ザ・フューチャー、
映画のバック・トゥ・ザ・フューチャーを多くの人が見たことがあると思うんですけれども、
名作の映画の主人公のマーティがですね、
バック・トゥ・ザ・フューチャーの第一作で、
最後、過去から現在へ戻るシーンがあると思うんですけれども、
その時に雷と時計台を使って飛ぶ時の時刻が10時4分となっています。
この小説で繰り返しバック・トゥ・ザ・フューチャーの話が出てきたり、
10時4分にやたらこだわる描写が出てきて、
ここを起点にしているというか、
起点にしているわけではないか、
ちょっと変わってしまうというところを主題に置いている小説なので、
ここに対する妙なこだわりみたいなのがたくさん出てきますね、この本を読んでいると。
バック・トゥ・ザ・フューチャーみたいに過去に戻って何かをしてみたいな話ではないんですけど、
メタファーなのかなというか、
イメージとしてずっとこの10時4分というのが出てきて。
バック・トゥ・ザ・フューチャーは本当に作品の最初から最後まで、
結構まんべんなく出てきているなというのが読んでいて思ったんですけども、
それだけすごくその映画から影響を受けているんだろうなというのをすごく感じましたし、
実は僕はバック・トゥ・ザ・フューチャーを見たことがないんです。
マジですか?嘘でしょ?
見ずに大人になってしまった。
今結構衝撃だった。
私DVDボックス持ってますよ。
すごいじゃないですか。
これは何回も見返すだろうなと思って。
永遠の名作だって。
見ないといけないなと思いつつも時間が経っていったんですね。
今からでも遅くないと思います。
分かりました。
マジか。なるほど。
その共通項がない状態で十字音符を話すことになるとは思わなかった。
でも正直バック・トゥ・フューチャー見てなくても楽しめますけどね。
そう思います。
なんとなく認識間違っているのかもしれないんですけど、
なんとなくは分かるので、こういうことを言っているのかなって思いました。
作中でも。感じ取るって言いましたね。
たぶん映画見てない人は大丈夫かなとは思います。
そうですね。確かに。
ざっくり言うと、過去に行ったり未来に行ったりして歴史が変わっていく話ではあるんですけど。
そんなところは知っている。
トラブルもですね。
そんな余談を置いておいて、具体的にちょっと入っていきましょうか。
ではですね、ここからまず十字音符のあらすじを説明していきたいと思いまして、
これはウェブサイトで掲載されていたものを引用しているんですけども、説明しますと、
全ては今と変わらない。ただほんの少し違うだけで、主人公の主人を通じて語られる世界が組み替わるいくつもの瞬間。
身体感覚は失われ、過去と未来、史実と虚構、あらゆる境界が閃き出す。
モンスター・フランゼンが才能を評価するアメリカの若手作家によるフラヌール小説。
フラヌールというのは和装部に歩くと書いてUFOという漢字があるんですけども、それのフラヌールと呼ぶみたいです。
UFO小説、フラヌール小説と呼ばれます。
続けて、ハリケーンの上陸が迫るニューヨーク・ブルックリン。
詩人である語り手の僕は、前年に発表した小説デビュー作で思いもよらぬ評価を受けていた。
新たにニューヨーク話に掲載された短編を組み込んで長編を書くと約束すれば、六桁経の原稿料が前払いでもらえるという。
その一方で、帰りの可能性があると診断された僕の大動脈。
人工受精のために僕の精子を提供してほしいと言い出した親友の女性アレックス。
ニューヨークの街を歩き回ったり、テキサス州マーファーで芸術家としてレジデンス生活を送ったりしながら、
僕は長編の構想を練る。
そして自分が買って雑誌を編集していたときに著名な詩人たちとの間で交わしたやりとりを偽造し、小説に取り組むことを思いつく。
作者は1979年生まれの若手。
詩人としての評価も高く、本作の自意識的な主人公の語り手もその独特のリズムを存分に味わえる。
同時に複数の未来に自分を投影してみようと思うと、冒頭で宣言するこの語り手を通じて私たちはいくつもの現実とはほんの少し違う世界を目撃する。
図版多数収録というあらすじになっています。
そうですね。これがこのあらすじの通りといえばあらすじの通りなんですけど、もう全員ちょっとよくわかんなくなっていると思うんですが、
本筋はまたちょっと後で説明しますが、結構この最後の図版多数収録っていうのもなんだって思われた方あると思うんですけど、
小説なんですけど途中で話している内容を補足するような図版がいくつかできます。
結構それが面白かったりするんで、その辺もですね、もし本屋さんで見かけたらパラパラ見てみると面白いかなと思います。
あと先ほどの10時4分が書かれた背景というのと、この作品の中のあらすじというのが結構一致していてですね、
この辺も作品のフィクションでありながら自伝的な要素も生まれているという、そういった内容になっています。
ちょっとストーリーを話す前にですね、この本の魅力みたいな部分を話していきたいんですけど、
まずこの本なんですけど、さっきから繰り返しお話しているようにやや仕掛けが奇妙というか変わっていて、
読んでいるとですね、何が小説の中でこの小説の現実なのか、それともこの主人公の僕が起きてほしいと願っただけのことなのか、
それとも何かの妄想なのか、ちょっと一瞬判断がつかなくなることが多いんですけど、
正直読んでいると、どっちでもいいかなと思ってきてしまって、最終的には不思議な感覚に陥りながら、
この主人公の視点についついついていってしまうという、本当に不思議な小説だなと思いました。
僕が読んでいたときの感覚としては、主人公に動詞化しているというかですね、
本当に主人公目線になるし、主人公の人生を追体験しているような、
ちょっとライブ感もあるかのような、このライブ感というのがですね、
本当に主人公がやっぱりあちこちに話が展開していてですね、結構先が読めないというか、
先まで言っていたことと実際起きることが全然違っているとかですね、
そんなのばっかりで、そこが結構面白い追体験みたいな感覚になりましたね。
これは結構計算されている感はすごいあるね、本当そこは。
ただ単に起きたことを羅列しているわけではなく、
出す順番とか読み手がどう印象をつけるだろうかみたいなところは、
ちゃんと考えて書かれているんで。
そうですよ。話は決して破綻とかしているわけではなくて、
多分材料をすごい上手いこと散りばめて書かれているんだろうなというのは感じましたね。
冒頭でもちょっと話したんですけど、読んですぐ名作だって思ったんですけど、
さっき三枝さんが言ってた通り、文体とかなんだと思うんですけど、
正直最初自分がこれ何がいいのか全くわからないけどいいなって思っている自分がいて、
これはすごいぞと思いながら何がすごいんだろうみたいな、
自分の中で上手く言語化できないままちょっと最初読み進めてたんですけど、
確かにおそらくこの作品が持つ語り口とか文章のリズムとか、
心情やこの情景を細かく表現していくところが良かったんだろうなと思います。
上手く言えないんですけど、読んでて心の芯が興奮していくような感覚がすごい最初あったんですよ。
なんかすげえいいもの読んでるみたいな、何なんだみたいな。
心の芯が興奮していくようなっていうのはちょっと珍しい表現ですよね。
大地さんから初めて聞いたようなことまで。
なんだろう、でもなんかすごく興奮しましたね最初。なんかすごいいいって思って。
でもなんかその良さが全然自分の中で何がいいんだか全くわからなくて、
ちょっと今心の芯が興奮していくようなって言っちゃったけど、
まあでも上手く言えないんだと思います。
結局まだ上手く言えないままちょっと収録を迎えちゃってる感じがしますけどね。
まあでも文体なのかな、やっぱり。
確かにね、この文体の魅力ってすごいあると思いますね。
例えばなんですが、すごい最初ここの表現良かったなって思ったのが、
これは出だしすぐの12ページ。
主人公の作家が親友の女性のアレックスと美術館に行くんですけど、
そこで美術館に行ってアレックスから人工受精したいから精子提供してほしいという話題を切り出されるんですけども、
そこに至るまでのちょっとした説明ですね。
なんで美術館なのかっていうところの話がなかなかいいこと書いてるなと思ってですね。
ちょっと読み上げるとですね、彼女がコーヒーを飲んでいる時とかではなく、
美術館でその話題を切り出したのはひょっとするとそういう場所だとお互いに向き合うのではなく、
目の前のキャンバスを一緒に見るせいで散歩の時みたいに視線が平行になる線で区切って、
それは最も親密なやり取りをする時の必要条件だからかもしれない。
目の前にある文字通りの風景を共同構築しながら、2人で見方を話し合うのだ。
僕たちは互いの視線を避けていたわけではないし、
僕は影のある彼女の目を線で区切って、透き通った光彩ストラマと色の濃い上皮が大好きだったが、
2人は目が合うと黙り込むことが多かった。
例えばランチの間はずっと黙っているか、可愛いのない話をしているかだったのに、
歩いて帰る途中で彼女の母親が真っ気と診断されたりと聞かされたり、
その後僕たちが線で区切って、彼女は涙を流しながら、僕はその肩を抱きながら、
それでも2人とも前を向いたまま、アトランティック通りを歩く姿をあなたは見かけたかもしれない。
あるいはひょっとして、ブルックリンブリッジの途中で最近ますます涙もろくなってきた僕を、
逆に彼女が慰めている場面をあなたは見たことがあるかもしれない。
うん、わかります。私もここすごい印象に残った。これ上手いですよね、ここね。
主人公と彼女の関係とかどうなのかって、ちょっとなかなかユニークな、
この男女の友達の設定なんでわかりづらいんですけど、
すごくその2人のユニークな設定だった。ちょっと読むとそれが馴染んでくるというかですね。
そんなふうに思いましたし、美術館に何でわざわざ入って、
そんな性質提供の話をするのかというところも、ちゃんとそこに理由があってというところで、
これいい文章だなというのを思いましたね。
こういうところが上手いですよね、なんか書き方が。
うん、そうですよね。あとは、これも文章の魅力の一つだと思うんですけど、
主人公、それはつまりベンラーナーのことなんですけども、
おそらくカッコつけてなくてですね、本当にあるがままに書いてる部分があるのかなと思って、
結構恥ずかしいことも書いてるところがあると思っていて、
なんかね、そこを自覚的に、しかもユーマーを交えて書いているので、
結構そういうのを読んでると面白くてですね。
これも例えば、ちょっとこれ小説内小説の中で出てきた部分で、
この主人公がめっちゃ、なんていうんですかね、
この小説内小説の主人公も同じくベンラーナーというか主人公。
ややこしいんですけど、主人公なんで、作家であり詩人なんですけど、
その人がですね、結構気動た、周りくどい喋り方をして、
相手に物事を伝えるタイプの人間なんですけど、良かれと思って、
それに対して女性ですね、愛嬌というふうに話を聞いて受け止めて、
で、他の小説と同じ喋り方をなさるんですねって言って、
これが皮肉と言えば皮肉になるんですけど、
それで一気にその主人公がもう、なんかね、凶が覚めてしまって、
なんかすぐにしょんぷりしてしまうという、そんな一幕があったりして、
もしかすると、詩人とか作家さんならではならないかもしれないんですけど、
こんな面白い絵っていうのがあったりしましたし。
僕はやっぱりこの文体というところは、すごい文章を書いてるなと思う一方で、
やっぱり慣れるまでは読みにくいなと感じていてですね、
実は100ページぐらいまで読んで、全然頭に入ってこなくて、
もう一回一から読み直したんです。
それぐらいちょっとね、何の話をしてるのかって、
もう分かんなくなってくることがあって、
あと慣れたら、やっぱり2回読み直すとちょっと頭に入ってきたんですけども、
やっぱり作者の人が芸術家派だというか、感性が豊かなので、
情報量が多い文章を書かれているなというのは、
そのため集中しないとなかなか頭に入ってこない文体でもあるかなというのは思いましたね。
私実はですね、最初全然大丈夫だったんですけど、逆に途中で集中力が途切れた瞬間があって、
全然頭に入らないまま2、30ページ読んでた時がありました。
で、「あれ?」って思って、「何だっけな?」って思ってちょっと戻るみたいなことは結構やってましたね。
最初の100ページぐらいは結構私すんなり逆に。
コロナが2回目読み直した時からは比較的スムーズにいけましたけども。
最初のページの方がすごい楽しいと思いながら読んでるんだ。
あとこの小説の特徴で、さっき大地さんの話でも文字情報だけではなくて、
例えば画像が入っていたり、あと小説内小説も入っているし、
詩であったり、あと実は自動書も中に挿入されているんですね。
すごく表現手法が多彩というのが特徴としてあって、
これは面白いのが、作中で実際そういう話をしてるんですね。
例えばバックトゥーザーフィーチャーのこういうシーンがあってとかですね、
バックトゥーザーフィーチャーのその画像が入っているし、
主人公の作家がこんな小説を書こうと思っているみたいな話になったら、
それが小説内小説として出てきたり、詩とか自動書もそうですね。
ロベルトという少年にこんな恐竜の物語を作ったよって言ったら、
それが実際に4ページぐらいかな、自動書が挟まれていたり。
この辺はすごいことやってるなっていうのは感じましたね。
ロベルトのやつ好きなんですけど、後でちょっと触れますな。
思ったより面白かったですね。
あのね、この表現手法で言うと詩についてですね、
やはり元々ベンラーナーという人は詩人であったので、
作中にも詩が出てくるんですけども、その印象、
読んだ上での印象で思ったこととしては、すごく平坦な言葉で書かれていて、
読みやすい詩ですし、優しい印象があるというかですね、
言葉遣いがすごく優しいなというのを感じました。
詩からすごく作者の感情というのが伝わってきて、
詩の中にも主人公というかベンラーナーという人のアイデンティティというのが
すごく含まれているんじゃないかなというのは読みながら感じましたね。
全体的に文章で極端に難しい言葉が使われていない印象ですね。
それが結構配慮されている感じがする。
ちょっと情報量がめっちゃ多いっていうぐらいで、
言葉遣い自体は難しくないし、
むしろ優しく書いているところもあるんじゃないかなとは思ったりしましたね。
正直ですね、最初に話した作品の魅力みたいなのが、
正直この10時4分で話したいことの中心ではあったような気がするんですけど、
この後はストーリーに少し触れたいと思います。
ストーリーだけを話しても結構突拍子もなかったりするし、
ある意味一人の人間に起こる生活のトピックを拾っていっているような感覚なので、
一貫性はないです。
なんですけれども、描き方が上手いので、
描かれていることがどれも印象に残っていくような感じになっています。
とはいえ、ここでは最低限この10時4分という小説を知る上で、
抑えるべきところを話したいと思います。
冒頭でまず、主人公は作家であるということが分かって、
何回も出ていると思うんですけど、
ある短編を長編にすることで、
前笑いで結構多額の原稿料がもらえるという状況になっているという話が出ます。
エージェントから、どうやってその短編を膨らませるの?
ということを聞かれるんですけれども、
主人公はいくつもの未来を作品の中に投影してみようと思うというところから言い出して始まります。
これが前置きみたいな感じですね。
実際には、またこの主人公に多額の原稿料が入るかもしれないみたいな話は、
この小説の半ばぐらいでまた出てくるので、
これは本当前提だったんだなということが後で分かります。
最初ですね、主人公には大両脈流という、
大両脈の中で一部大きくなってきたりしていて、
破裂したら死ぬ可能性があるというところが示されます。
診断されるところから始まりますね。
これがどれくらいの危険性を持っているかというのが、
ちょっとこの最初の段階では全く分からなくて、
手術しなくてもいいかもしれないし、
手術しなきゃいけないかもしれないし、
もしかしたら急に破裂するかもしれないとかいうこともあって、
なんというか、いきなり命の危険性みたいな話が出てくるときに、
この主人公の自分の存在が由来できるような設定から始まっていきます。
結構この小説で超重要人物になってくるのが、
主人公の親友アレックスという女性がいます。
この人は子供が欲しいので、主人公に生死を提供してくれと言ってきます。
主人公と関係が長いので、改めてセックスするというのはちょっと気恥ずかしいというか、
変な感じがするというので、
人工受精をしてほしいという話が出てきます。
その結果、できた子供に対して父親として振る舞うかどうかは、
おいおい考えてくれればいいけれども、生死を提供してほしいという話が出てきて、
正直主人公はこれに対してどう判断していいかわからない状態で話が進んでいきます。
もう一人そこそこ出てくる重要人物で、アリーナという女性がいるんですけど、
これは現在の主人公の恋人みたいな位置づけなんですが、
この人はですね、破損した美術作品を集めて展示するという不思議な行動というか企画をしている人です。
実際にその展示会のシーンとかも出てきます。
いろんな話があって、尊敬した主人が骨折して入院していたりとか、
そこにお見舞いに行ったりとか、
あとちょっと個人的に面倒を見ている男の子とのやり取りとか、
いろんな流れがあったりするんですが、
最終的に物語の仲間で彼はこの多額の原稿料が入る予定の短編を長編にするという仕事をするという決意をして、
ちょうど5週間ぐらいですね、テキサス州マーファーという街で、
ある財団が芸術活動を支援するために滞在させてくれるという企画に彼は選ばれていたのかなっていう状態で、
そこで一人しばらく滞在するということになります。
そこで執筆するのかと思いきや、
行ってもその長編集図全然書かずにですね、ホイットマンの詩や著作を読んだり、
アローコとかドラッグパーティーとかに行ってしまって、ドラッグを決めてしまったりとかするっていう、
ちょっとですね、やばい展開とかもちょっと見せてきます。
でなんやかんやって戻ってくるんですけど、
その後はアレックスと子供を作るということにちょっと励んでいくような流れになっていき、
最終的には物語の最後か、
その辺の描写があって終わるっていう小説になっています。
今話したとおりですね、結構筋がもう行ったり来たりしててよくわからなくなるというような小説なんですけれども、
変わった出来事っていうのは結構起こってるんですけども、
一貫した筋みたいのは全くなくて、
ただこの主人公の生活を描写していくような小説になっています。
ただそこで描かれていることが印象に残っていくというような感じですね。
ストーリーというと本当今の流れで何か特別ドラマチックな展開とかっていうのがあるわけではないんですけども、
僕がちょっとストーリーについて思ったことがちょっと二つありまして、
一つがですね、これが現実とフィクションが入り混じったようなストーリーかなと、
この漢字がすごく良くて、それがこの小説を読ませてくれる力にもなっているなと思ってます。
文体もすごくいいんですけど、この登場人物のリアルさっていうのが、
この本を読む上ですごく支えになっているなと思ってます。
登場人物数、実は結構多くて、想像何人か分からないけど結構出てくるんですよ。
誰もがですね、結構その人柄とかその人の感情、また背景が分かるような表現をされていて、
すごく鋭くてリアルだなって思いました。
この辺って、どこまでがモデルの人物がいて、その人をそのまま描いていて、
どこからがフィクションな人物描写なのかっていうのがちょっと気になりましたね。
そのくらいリアリティを感じましたし。
多分結構リアルなんじゃないかなと思わせ、
でも多分一部だけ拾ってきて膨らませる可能性もあるなっていうのはちょっと判断がつかないところですね。
アレックスとかアリーナとかっていう女性キャラは本当にこういう人いるのだろうかっていうのはちょっと気になるところではありましたけど、
そういう意味ではそういう人たちの描き方もすごくリアルだなって感じましたし。
ちょっと例えばなんですけど、さっき話したアレックスとかアリーナ以外で、
結構私印象に残ってるのがロベルトという少年なんですけれども、
おそらく南アメリカの方から来ている一家の子供だと思うんですよ。
スペイン語を話している、スペイン語と英語を2号併用学校みたいなところに通っている子供で、
主人公がスペイン語の練習のためにちょっと面倒みたいということで、
ちょっと関係が始まっていく男の子なんですけれども、
この少年とのやりとりの中で、本筋は全く関係ないんですけど、
恐竜でアポトサウルスという恐竜が、いないんだけどいたというか、
間違いから生まれてしまった実在しない恐竜のことを話していたりするんですけれども、
そこがこの小説のテーマである、実在するのか実在しないのかみたいなところに絡んでくるところではあるんですけど、
そもそもこのロベルトという少年とのやりとりも結構リアルで、
博物館連れて行ったら、すごく自由に動き回ったりするし、
それに対して主人公がすげえイライラするっていうシーンもあったりして、
結構そういうあたりがリアルだし、
あとこれ、最後にこのロベルトのために本を作るんですよね、主人公が。
自費出版で、その前払いされた原稿料を使って、
なんですけど、2人で作った本だぜみたいな感じで持ってくと、
ちゃんと製法してね、持ってくと、
そのロベルトはですね、なんか違うことに興味が移っていて、
あんまり感動してくれないっていう悲しいシーンがあったりとかして、
この辺ってなんかちょっとリアルだなって思ったりして、
個人的にはすごく印象に残ったところですね。
あと個人的にめちゃくちゃ、これ多分ね、すごくね、話の本質からはですね、
どうでもいいっていうかあんまり関係ない部分で、
すごく印象に残ったのは、なんかこれ主人公が、