ガヴの多層的な魅力
こんにちは。こんにちは。さて今日はですね、最終回もいよいよ近づいてきました。 仮面ライダーガヴについて送ってくれた方が、非常に熱のこもった考察を寄せてくれたので、これを一緒に見ていきたいなと。
拝見しました。シリーズ全体を見渡しながら、特にお菓子のモチーフですよね。 それとはちょっと裏腹のハードな魅力っていうところに光を当てている考察でしたね。
そうなんです。見た目はポップなのに、中身はかなり重いぞと。
そのギャップにまず注目されている。
まさに。送ってくれた方の言葉を借りると、なんでお菓子でこんなヘビーな話をっていう、その驚きから始まってるんですよね。
なので今回は、この共有してもらった考察を手がかりに、ガヴっていう作品が持つその多層的な部分、特にそのドラマの部分を掘り下げていきましょうか。
はい、ぜひ。
まず、送ってくれた方も一番最初に言ってる根本的な、え?なんで?っていうとこですよね。モチーフ。
うん。
お菓子。
お菓子ですね。
過去にはね、果物モチーフのガイムとかありましたけど、今回はもうドストレートにお菓子。
この選択がまずなんか面白いというか、フックになってる。
そうですね。でそのポップさ、ある種の可愛らしさすらあるモチーフと、実際に描かれている物語のそのハードさ。近年のライダーの中でもかなりハードだったんじゃないかと指摘されてますね。
うんうん。この対比、コントラストがまず画部を理解する上で重要な入り口であり、面白い点だと。
でそのハードさっていうのを具体的にいくつか挙げてくれてるんですよね、この考察。これがまた鋭いなと思ったんですが。
ほう。
単に敵が強いとかそういうレベルの話じゃなくて、もっとこう構造的な部分に切り込んでる。
なるほど。まず一つ目が仮面ガイダーシリーズの原点ともいえる改造人間っていう設定。
あー出ましたね。石野森先生の原作にも通じる非常に重要な要素ですけど。
そう。ただ近年はいろいろな事情があるのか、ちょっとオブラートに包まれてた感がありましたよね。
ええ、ありました。直接的に改造って言われることは少なかったかもしれない。
でもガブでは主人公のショーマも、それから相棒になるハンティも、もう明確に人体改造によってライダーの力を得ていると。
そうなんですよ。そこはっきり書かれてますね。資料によればショーマ、つまりガブは人間と敵対する種族らしいグラニュートとのハーフ。
ハーフ、うん。
それ故に力が不完全だったのをお父さんが心配して、おじさんですかね、デンテンに依頼して改造手術を受けたと。
本人の意思とはちょっと違うところで力が与えられたみたいな。
そうですね。一方のハンティ、バレンの方は、さらに悲劇的というか、敵なサンガ、これもグラニュート内の派閥なのかな。
その手によってグラニュートの体液を生成する器官、これを移植されるっていう。
移植ですか。
ええ、もう完全に本人の意に反する形で改造されてしまっている。
うわあ、どっちも望んで力を手に入れたわけじゃないっていうのがまず重いですね。
自分の体が変えられちゃうっていう根本的な恐怖感もあるし。
まさに。
それから主人公が社会の中でどういう立場なのかっていう点、これもハードさの一つとして挙げられてますね。
特に序盤。
ええ、ショウマは人間社会では怪物であるグラニュートの存在。だから正体を隠して、いわば日陰者として生きていたと。
これも令和ライダーとしてはちょっと異質な感じがしますよね。ヒーローが最初から阻害されてるというか。
そうですね。異形であることの苦悩みたいなものがしっかり描かれていた。
身体的な改造と社会柄の阻害感、この一つがまずガブのハードさの大きな柱になっていると。
なるほどなあ。で、もう一つの大きな軸が人間関係の断絶とか対立。
はいはい。
ここでも二つの要素が挙げられてます。一つが抜け人パターン。
ああ、なるほど。古典的だけど厚い展開ですね。
そう。主人公のショウマが元々は敵のグラニュートの一員だった。
そこからまあ離反して、かつての仲間、つまり同族と戦わざるを得なくなる。送ってくれた方はサイボーグ009とかを例に出してましたけど。
ええ、わかります。組織を裏切るという葛藤と過去の自分と向き合うという、単純な善と悪の話じゃなくなってきますよね。
そうなんですよ。で、その対立をさらに過酷にしているのが、四つ目の要素として挙げられている敵が血を分けた兄弟であること。
うわあ、それはきついですね。
これは精神的にエグいって書かれてますけど、いや本当にそう思いますよ。
ええ、だって過去に自分をいじめてきたりとか、下手したら殺そうとしてきたりした相手が実の兄弟だと。
でもその兄弟を倒さないと、自分とか守りたい人が守れないこの状況って、もう主人公の心理的負担は測り知れないですよね。
フィクションの中でも、肉親同士の殺し合いって相当重いテーマですもんね。
ええ、ここにもガブのなんか容赦ないハードさがはっきり出てるなぁと。
キャラクターの魅力
さらにもう一つ、これもかなり衝撃的な要素として、死の描写が挙げられてます。
ああ、ありましたね。これも近年の特に子供向けとされる番組ではかなり踏み込んでるなという印象です。
具体基地には、人間がなんかアクリルスタンドみたいな無機質なものに変えられちゃう描写。
そうそう。で、そのアクスタがこう壊れること、それがイコールその人の死なんだっていうことが示唆されている。
それだけでも結構ショッキングですけど、さらにその破片が。
ええ、その破片がグラニュートによってお菓子の材料として消費されてしまうという。
うわ、お菓子のモチーフだからこそ、余計になんか不気味さが際立ちますね、それ。
そうなんですよ。甘くてポップなイメージのあるお菓子が、実は人の命を原料にしているかもしれないっていうその暗示。
これは単に残酷ってだけじゃなくて、もっと深い、例えば生命の尊厳とは何かとか、あるいは現代の消費社会そのものへのある種の風刺としても読めるかもしれない。
なるほど。ここでもそのモチーフと内容のギャップがテーマをより鋭くしてるわけですね。
いやー、しかしこれだけ聞くと本当になんか救いのない暗い話になっちゃいそうなんですけど。
でも送ってくれた方の分析では、そこをちゃんとバランスとってたんじゃないかっていう点も評価されてるんですよね。
そこが作り手の見せどころというか、大事な部分ですよね。具体的には人間側の協力者、サラキダさんでしたっけ?いわゆるギャル社長。
ああ、はいはい。
ああいうちょっとコミカルで人間味のあるキャラクターたちとの交流。日常のほのぼのとしたシーンがある種の干渉剤になってたんじゃないかと。
なるほど。重い展開ばっかりじゃなくて、そういう息抜きの部分が入ることで視聴者も感情的に追い詰められすぎずに済んだと。
そういうことですね。それに加えて、主人公正馬自身のキャラクター、これも大きかったんじゃないかと。
正馬のキャラですか?
ええ。天真爛漫って表現されてましたけど、あれだけ過酷な状況なのに、あんまりこう絶望したりとか、ずっと深刻に悩み続けるっていう姿を見せない。
ああ、確かにそうかも。
その前向きさというか、ある種の明るさが物語全体のトーンを決定的に暗くするのを防いでいたんじゃないかっていう。
確かに主人公がずっとうじうじ悩んでたら見てる方も辛くなっちゃいますもんね。
ええ。
絶望的な状況なんだけど、どこかこうカラッとしてるというか、希望を感じさせる存在だったということですかね。
そうかもしれませんね。重いテーマを描きつつ、エンタメとしての見やすさも保つっていう、そのためのかなり計算されたキャラクター設計だったのかもしれないですね。
物語の深掘りっていう点でも評価されてますね。
例えば、2号ライダーのハンティ、彼には親を殺された過去があるとか、
ええ。
あと、敵幹部のラキアにも弟を亡くした過去があるとか、そういう各キャラクターの背景がちゃんと描かれていたと。
そういう背景があるからこそ、キャラクターの行動とか心情の変化に説得力が出ますよね。
最初は反発しあっていたショーマとハンティが、お互いの痛みを知って、だんだん理解し合う過程とか。
うんうん。
あるいは、敵対していたハンティとラキアが共通の悲劇を知ることで、なんか奇妙な連帯感みたいなものを見せたりとか。
ああ、ありましたね。
物語とキャラクターデザインの葛藤
そういう人物関係の変化が物語に厚みを与えていたんじゃないかと。
アクションについてもちょっと触れられてましたね。
CGで派手にするだけじゃなくて、狭い場所での立ち回りとか、結構工夫が見られて面白かったみたいな。
うんうん。物語、キャラクター、アクション、それぞれにちゃんと見どころがあったと感じてくれてるみたいですね。
しかしですよ。
はい。
これだけ物語の内容、設定、キャラクター描写、そしてそのバランス感覚、
これを高く評価していながら、送ってくれた方がこの1年間ずっと吹き切れずにいた葛藤があったと。
ここがすごく正直に書かれてて、この考察の一番の、もしかしたら核なのかなって感じたんですけど、
それはやっぱり、お菓子のライダーっていうデザインそのものについてなんですよ。
ああ、なるほど。そこに来ますか。
新しいフォーム、つまり新しいお菓子モチーフの姿が出るたびに、もっとストレートにかっこよくならないのかなって思っちゃったと。
うんうんうん。
物語とか設定には燃えるんだけど、肝心のライダーのそのビジュアルを見た瞬間に、なんかふっと冷めちゃう感覚があったと。
なるほどね。燃える冷める、その繰り返しだったと。
いや、この感覚なんかすごくわかるというか、作品のストーリーとかテーマにはめちゃくちゃ感動してるのに、
それを体現するはずのヒーローのデザインが、どうしても自分のかっこいいっていう感覚とちょっとずれてる。
このジレンマって特撮ファンじゃなくても、何かを好きになった時に経験することあるかもしれないですよね。
それはありますね。物語の体験と視覚的な体験、どっちも作品の魅力ですけど、
その時にその2つが個人の感性の中で、ちょっとぶつかっちゃうことがある。
送ってくれた方にとっては、ガブの物語は本当に素晴らしかった。
でも、その感動を100%ピュアに受け止めきれない要因として、デザインへの違和感が常につきまとっていたということなんでしょうね。
これは非常に個人的な、でもすごく重要な受け止め方の問題提起ですよね。
結末への期待感
制作側としては、もしかしたら意図的にそのギャップを狙ったのかもしれないし。
単純に挑戦的なデザインだったとかね。
でも受け取る側としては、そこで引っかかっちゃうことがあるんだと。
そうですね。特に仮面ライダーみたいに、デザインのかっこよさっていうのが大きな魅力の一つとされているシリーズだと、
この問題はよりはっきり出やすいのかもしれないですね。
話は最高なんだけど、デザインがどうしてもみたいな声って他の作品でも聞くことはありますから。
この送ってくれた方の葛藤っていうのは、作品とその個人との関係性を考える上で、非常にしさに飛んでるなと感じます。
とはいえですよ。その葛藤を抱えながらも、やっぱり物語の結末はちゃんと見届けたいと。
これだけハードな人生を歩んできた主人公の正真には、最後はちゃんとハッピーになってほしいと願っている。
その言葉でこの考察は締めくくられているんです。
最終的にはやっぱり物語の力とかキャラクターへの共感の方が、そのデザインに対する個人的な不満とか違和感を上回っているということなんでしょうね。
あるいはもうその葛藤も含めて作品体験として受け入れているのかもしれない。
いずれにしても結末をしっかり見届けたいっていう強い期待感が伝わってきますよね。
さて、今回は送ってくれた方の仮面ライダーガブに関する非常に深い考察を一緒にたどってきました。
お菓子っていうね、ポップな見た目の下に隠された改造、離犯、死、兄弟像、疎外観、いくつものハードなテーマ。
そして、その重厚な物語体験とどうしても吹き切れないデザインへの違和感との間で、こう揺れ動いた一人の視聴者のすごく正直な葛藤。
いや非常に感慨させられる内容でした。
物語が持っているテーマ性と、それを視覚的にどう表現するかというデザイン。
この2つが時にはうまく合わさり、時には反発し合いながら受け手の心にすごく複雑な影響を与えるんだなぁと。
送ってくれた方の体験談はまさにそのダイナミズムをはっきりと見せてくれた感じがしますね。
もしかしたらですけど、そのしっくりこないっていう感覚こそが、実は作り手が狙った効果だった、なんていう深読みもできなくはないかも。
あーなるほど。その違和感こそが味。
かもしれないですね。
いやー面白い視点ですね。この考察を飲んだことでまたちょっと違う角度からガブっていう作品を見つめ直せそうな気がします。
送ってくれた方本当に貴重な分析をありがとうございました。
ええ本当に作品とどう向き合うかっていうその多様性を示してくれるような素晴らしい考察でしたね。
次回の配信もお楽しみに。
さよならー。
さよならー。