S1E5 国家とマフィアの違いは軍事技術の程度の違いです
前回学習したウェーバーの国家の定義を踏まえ、チャールズ・ティリーの国家理論を導入し、「マフィアのような犯罪組織と国家との違いは程度の問題」と述べた意味を理解します。国家は高度な軍事技術を持ち、常備軍を組織することで、社会に対して強固な支配体制を確立します。支配下の住民から税金を搾り取る略奪国家のあり方が前近代では当然視されていました。しかし、こうした国家の抑圧や暴力を防止する仕組みを模索するため、社会契約論という政治思想が成立したことを述べ、次回以降の政治体制論の議論に繋げていきます。Tilly, C. (2017). War making and state making as organized crime. In Collective violence, contentious politics, and social change (pp. 121-139). Routledge.
S1E4 国家はある領域内で物理的強制力を正当に独占する組織です
国家とは国境で区切られた一定の地理的領域の内部で物理的強制力の行使を正当に独占する組織として定義されています。このマックス・ウェーバーの定義では、軍事力や警察力を持つことが重視されていますが、それだけでなく、領域性、独占性、正当性が重視されています。このことを理解すれば、国家の存在が社会において果たしている役割の大きさも自然と分かりますし、国家の権力を制御する仕組みを適正化することの重要性も明らかになると思います。
S1E3 正当性は人々から服従の意欲を引き出す観念です
ひどいのど風邪を患ってしまって、長く更新を休止してしまい申し訳ありませんでした。まだ声は本調子ではありませんが再開します。前回に引き続き権力の話ですが、今回はマックス・ウェーバーの古典的学説である正当性の3類型(伝統・カリスマ・合法性)を紹介します。より多くの人々を支配しようとするとき、その権力関係を正当化する根拠を用意することは重要な政治課題です。今回は権力者の目線で正当性を考えましたが、伝統・カリスマ・合法性にいったん従ってしまうと、相手の影響力から逃れにくくなる危険があることも覚えておいてください。正当性は、権力関係を固定する上で重要な基盤となります。
S1E2 権力は自分の意思を誰かに強制する手段です
今回は、政治学の基本概念である権力(power)について解説しています。はじめに哲学者バートランド・ラッセル『権力』(1938)に少し触れていますが、主たる内容は政治学者スティーヴン・ルークスが1974年に出した『現代権力論批判』で整理された3つの枠組みを紹介する内容になります。音声教材の内容を少し文章で補足しておくと、ルークスの権力論は彼の独創ではありません。1961年にロバート・ダールは権力関係を集団的な意思決定の結果から評価する方法を提示し、ピーター・バックラックとモートン・バラツが集団的な意思決定の前提となる議題(agenda)を操作することも権力行使の一種として取り扱い始めました。こうした成果を踏まえ、ルークスは、決定を下す際に人間が示す選好(preference)さえも操作の対象となる可能性を考慮すると想定し、幅広い政治現象を研究対象に組み込むための枠組みを整えています。ポッドキャスト制作はまだ不慣れですが、このシーズンを何とか完走できるように頑張りたいと思います。不定期更新となりますが、どうか宜しくお願いします。Bachrach, P. & Baratz, M. S. (1962). Two Faces of Power, American Political Science Review, 56: 947–52.Dahl, R. A. (2005). Who governs?: Democracy and power in an American city. Yale University Press.(邦訳『統治するのはだれか : アメリカの一都市における民主主義と権力』河村望, 高橋和宏監訳、行人社、1988年)Lukes, S. (2021). Power: A radical view. Bloomsbury Publishing.(邦訳『現代権力論批判』中島吉弘訳、未來社、1999年)Russell, B. (2004). Power: A new social analysis. Routledge.(邦訳『権力 : その歴史と心理』東宮隆訳、みすず書房、1992年)
S1E1 政治は社会に価値を権威的に配分するシステムです
はじめまして。大学の授業の内容を一般向けに再構成した内容になります。まず、初回では政治学を学ぶことの意義について述べた上で、政治をどのように定義するのか、その定義から政治のあり方がどのように捉えられているのかを説明します。基礎から少しずつ学んでいきましょう。途中でお話した日本の歴史における富の分布の変化に興味がある方はWorld Inequality Databaseの日本の項目でTop 1%の富裕層の所得変動を確認してみると面白いと思います(World Inequality Database/Japan)。(初版2025年4月8日、改訂版2025年4月9日)
こちらもおすすめ
発信中毒〜発信者の本音と苦悩〜
1600回以上毎日ポッドキャストを配信し、note、Xも毎日更新する発信中毒者が、普段は言わない、発信者の本音と孤独をさらけ出しながら、「僕たちが発信を続ける理由」を、リスナーの皆さんと一緒に探ってていく番組です。 【パーソナリティ】 かねりん KANERIN Podcast Studio 代表 【リンク】 Voicy プレミアム https://voicy.jp/channel/2534 note メンバーシップ(記事版+限定コラム) https://note.com/kanerinx/membership X(感想タグ #発信中毒) https://x.com/kanerinx 匿名お便りフォーム https://x.gd/Q_Kanerin
元学長の 体験的大学論
“Where raw voice becomes shape — Podcast 2.0.” 【元学長の体験的大学論】 A former university president discusses Japanese universities. Based on my 12 years of experience as president of two private universities, I will frankly and boldly discuss the difficulties and issues faced by private universities in Japan, including the internal circumstances. A must-read for those involved in private schools. 有料エピソードは試し聴き(プレビュー)ができます。LISTENで購入・フォローすると音声とともに文字起こしされたテキストを読むことができます。 YouTube https://www.youtube.com/@Camp_us_6214 note https://note.com/takahashihajime LISTEN Profile https://listen.style/u/campus Camp@Us Map https://listen.style/pl/10/Camp@Us+Map Membership Patreon https://www.patreon.com/campus6214/chats note https://note.com/takahashihajime/membership
はや通
メディアごっこをしながら、「メディア」について考えたいと思います。 いつか本当のメディアになれる日を夢見て。 めも - VREW - AIボイス「カズハ」 - 効果音:リン!集中させる音 - BGM:些細な希望
耳ヨリな音の話-音マーケティング情報-
様々なゲストと共に、音を使ったマーケティング情報を発信していきます。リスナーとのエンゲージメントを高め、ブランドの理解や共感をつくりやすい「音を使ったマーケティング」について、楽しくそしてわかりやすく、皆様にお届けします。<Twitterハッシュタグ>#ミミヨリ<音マーケティング (note)>https://note.com/d2cradmimi/
あそびやさんの「不登校はギフトでしかない!」
「あそびやさん」の馬場桜です。あそびやさんは、神奈川県逗子市のちょっと変わった造形教室。主に小学生が対象です。平日放課後クラスの他に、平日ひるまもやってます。このチャンネルではあそびやさんの様子や、不登校に関することをお話してます。 不登校という道なき道で出会うものは、一見困難の連続。でも振り返れば面白いことばかりでギフトでしか無かった。トンネルを抜けた先は、絶景でした😊 https://listen.style/p/asobiyasan?v9L8GvbM
English for Japanese hackers
他ではあまりみない、ITセキュリティに特化した初心者向け英会話。IT系の技術書や英語の記事、実務で使用される英語表現をストーリー仕立てで覚えやすく構成しています。