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2025-05-30 15:42

S1E4 国家はある領域内で物理的強制力を正当に独占する組織です

国家とは国境で区切られた一定の地理的領域の内部で物理的強制力の行使を正当に独占する組織として定義されています。このマックス・ウェーバーの定義では、軍事力や警察力を持つことが重視されていますが、それだけでなく、領域性、独占性、正当性が重視されています。このことを理解すれば、国家の存在が社会において果たしている役割の大きさも自然と分かりますし、国家の権力を制御する仕組みを適正化することの重要性も明らかになると思います。

 

 

サマリー

国家は特定の地理的領域の中で、物理的強制力を正当に独占している組織であり、主に警察や軍隊を通じてその支配を行います。国家が権力を持つためには、その正当性が重要な条件となります。また、国家の物理的強制力の独占は個人の自由を脅かす可能性があります。このエピソードでは、無政府状態が引き起こす治安の問題や、そこから現れる破綻国家の事例について探ります。

国家の定義と役割
普段目にする政治ニュースで、国が主体になっている話題っていうのは、あの、とてもたくさんあると思うんですね。
皆さんはそれを何気なく見て、まあ政治というのは国のことなんだろうなっていうふうにイメージされる方も多いと思うんですけれども、
では実際に国っていうのがどういうものなのかっていうことを説明することはできるでしょうか。
意外とですね、これは難しい問題で、なのでまあ今回はこの国家というものがどういうものなのかっていうことについて
きちんと体系的に勉強して、で、さらにですね、この国家というものがどのような役割を果たしているのか、私たちの社会に何をもたらしているのか
ということについてちょっと考えてみたいと。まず政治というのは、価値というものを権威的に配分することであると
いうことを最初にお話ししました。その後で、この権威的な配分を可能にしているものとして権力があるということも話しました。
この権力にも様々な強度があって、その非常に強い権力というのは、もう相手が自分は何か誰かによって操作されているということを意識すら
させずにですね、その行動を誘導されていくような、そういう権力というものが最も強力な権力としてあるということも理解したわけですね。
で、さらに正当化という手続きを踏むことによって、そうした強い強度の、非常にレベルの高い権力というものが実現するということも勉強しました。
この正当化の手続きについては、いろんなやり方があって、伝統とか、あるいは法律とか、あるいはカリスマによって正当化を行うということもできるということも勉強してきたわけですね。
では、国家とは何かということについては、政治学でどう議論されているのでしょうか。
これについては、その社会科学の非常に大きな業績を成し遂げた人物であるマックス・ウェーバーの定義というものが一般的に受け入れられています。
ウェーバーは国家というのは何かというと、ある国境ですね、地理的な区分によって区切られた、その地理的な領域の内部で
物理的な強制力を行使するということができる組織であると。
しかも、その物理的な強制力の行使というのは、正当化されているということですね。
正当化された状態で、その物理的強制力を独占しているような組織というのが国家であると。
これがその国家というものの基本的な特徴ということになります。
領域支配の重要性
いくつかその要素があったと思うので、そのことについてお話ししますけれども、
まず国家というのは、ある領域を支配している状態で存在している。ここがまず最初のポイントですね。
その日本の例を挙げると、日本は北海道から沖縄まで複数の島によって構成されている国家ですけれども、
こうしたその領域支配というものが前提になっていることによって国家というのは成り立っていると言えます。
同じことはアメリカでも中国でもロシアでも他の国々でも言えることであって、
その領域支配を確立しているっていうことはどういうことかって言ったら、他国の支配に服従していない状態ですね。
その領域を他国の支配下に置かずに、自国の領域として支配しているという、そうした状態が保たれていることがその領域支配の条件ということになります。
もちろんその国内においては、その分離、独立というものを主張するような人たちがいたりもするわけですけれども、
そうした人々がいたとしても、その警察力であるとか軍事力によってその行動を抑圧することができているのであれば、
それはその実行支配がきちんと成り立っているという状態が見て取れるので、ですからそれは領域支配ができているということが言えるわけですね。
もう一つ、先ほどの説明でもちょっと触れましたけれども、物理的な強制力というものを独占しているということが、国家の成り立つ上でとても重要な条件になります。
物理的な強制力というのは具体的に何のことを指しているのかって言ったら、軍事力と警察力のことを言っているんだというふうに理解していただければ良いと思います。
皆さんもこの警察官は見たことが普通にあると思うんですけれども、拳銃を傾向していますよね。
自衛官は自衛官で、もちろんすごく大掛かりな武器を持っていたりするわけなので、こうした物理的な強制力っていうのは誰でも持っているものではないわけですよ。
その銃刀法っていう法律もありますし、私たちは普段そうした武器を身につけて生活するっていうことは基本的にはないわけですけれども、国家というものはこうした物理的な強制力っていうものを独占している状態。
こうした状態にあれば、もし国民の一部が何か国家に対して反乱を起こしたり、あるいはテロ活動を行ったりするということをやっても、すぐにそれをその脅威に対処することができるわけなので、こうしたことがその国家というものを成り立たせているということが言えます。
正当性と権力の関係
最後にですね、この正当性の話を言いますけれども、物理的な強制力っていうのは明らかに暴力的な側面を持っているわけですね。なので、そうした暴力的な手段によってその支配、ある一定の領域を支配しているという状態が見られれば、じゃあそれは国家なのかっていうと、必ずしもそうではなくて、
その正当性というものが、やはり国家の支配を成り立たせる上で、とても重要な条件になります。それがなぜかっていうのは、もう皆さんはご存知のはずなんですね。
権力というのは、その支配される側の権力の行使を受ける側の方が、服従するという姿勢を示すことによって、初めて安定的な長期的な関係になっていくということなので、ですからその正当性というものが、その物理的な暴力を独占しているっていう状態について、
国民が、まあそれはいいんじゃないのっていうような形で、その受け入れている、そうした状態っていうものが成り立っていることが、この国家の支配というものを安定的なものにしているということですね。
まとめると、国家というのは警察とか軍隊とか、そうした物理的な強制力っていうものを独占している組織であって、その組織はそのある一定の範囲の領域とそこに住んでいる人々っていうものを支配していると、そういう組織であるっていうことを理解していただければ、国家について基本的なことはもうわかったよっていうことだと思うんですね。
で、改めてその国家というものをこのように理解すると、その国家っていう組織っていうのは、なかなか強力な権力を持っているんだなっていうことがわかると思うんですね。
で、皆さんはこれまでの話で、権力っていうのは必ずしも大きな組織ばかりが持つものではなくて、その対人関係の中でも権力関係っていうのは普通に存在しているんだっていうことは、もうよくお分かりいただけたと思うんですよ。
今まではそういう話を主にしてきたんですけれども、ただそうした権力っていうのは、すごくもうミクロなレベルでしか機能しない権力なんですね。
しかしその国家のような非常に大きな組織が持っている権力っていうのは、個人の力では対抗することができないような、それぐらいすごく強力な政治組織なので。
ですからその国家というのは、非常に強力な権力を持っている分、すごく理不尽な命令を国民に強制するっていうこともできますし、すごく抑圧的なルールを強制するっていうこともできるわけですね。
なので、じゃあ国家っていうものをなくした方がいいんじゃないかっていうふうに思う方もいらっしゃるかもしれないですけれども、政治学ではアナーキズムという無政府主義というふうに呼ばれている政治思想が昔からあって、
この思想は国家のような統治機構っていうものを完全に排除するっていうようなことをやろうと、そうしたことを主張する政治思想ですね。ですから、物理的な強制力っていうものを国家だけが持っているっていうのは、やっぱりその個人の、例えば意思決定とか自由っていうものを脅かす恐れがあるというふうに恐れる人たちがこういう主張を掲げていたりもするんですけれども、
こうした無政府状態っていうものを目指すっていうようなことになった場合、どういう問題が起こるのかって言ったら、当然、皆さんもすぐピンとくると思うんですけれども、治安の問題っていうのが出てくるんですよ。
ですから、その国家の権力っていうものが完全に消滅しているような状態っていうのは、社会の中で何か統一的なルールっていうものを決めて、それを強制するっていうことができない状態になってしまうので、ですから、その暴力団みたいな組織が出てきて、そうした組織の下でしか暮らすことができないような状態になったりとか。
で、実際に比較政治学の研究なんかでは、そうした国家のことを、そうした無政府状態になっている国家のことを破綻国家というふうに呼んでいて、実際には、例えば南スーダンとかソマリアとか、今後民主共和国とか、そうした国々ですね、割と発展途上国で政治的な力っていうものが弱い国家っていうのが、
世界にはいくつかあるんですけれども、こうした国々では、やはり支配する能力っていうのがすごく低いので、各地方ごとにこの武装勢力とか軍閥のようなものが出てきて、あるいは暴力団のような組織が住民を支配下に置いていると。
国家権力の管理
ですから、その物理的な強制力っていうものを国家から奪い去ってしまうと、結局国家以外の勢力がそこに介入してくるということが起きるわけですね。
先ほど今後民主共和国の例を挙げましたけれども、そこは本当に無政府状態が長く続いている地区っていうのが東部地域を中心にあるんですけれども、
今後民主共和国の東部地域は長年にわたって複数の武装勢力が乱立している状態で、100を超える小さな武装集団がそれぞれ軍用駆挙しているというような状態にあるわけですね。
そうした中で、人々はすごく貧しい生活っていうのを余儀なくされていてですね、非常に生活が困難な地域になっていると。
ですから、国家権力というのは非常に危険な存在ではないかっていう直感、無政府主義者の直感っていうのは、それ自体は別に間違ってはいないと思うんですよ。
実際に国家の権力が恣意的に使われるっていうことになれば、人々の生活っていうのは一変する恐れがあるわけですね。
じゃあそれをなくせばいいのかっていうと、そうではなくて、国家の権力っていうものが非常に弱い地域っていうのは、
そうした民間のレベルでの武装勢力とか、あるいは実行支配を行うような組織っていうものが出てきて、人々の生活を彼らが抑圧するっていう可能性もあると。
結局、国家がないっていう世界は非常に管理が難しいので、結局国家を維持するっていうことはどうしても必要にはなってくるんですけれども、
じゃあどういうふうにそれを管理すればいいのかっていうことが問題になってくるわけですね。
先ほど述べたように、国家は物理的な強制力っていうものを持っている組織なので、これをどういうふうにすれば人々の公共の利益にかなうような形で維持管理することができるのか。
これがですね、やはり政治制度を作る上で最大の問題と言ってもいいのではないかと思うんですけれども、
これがですね、非常に難しいんですね。
で、その政治制度っていうものを組み立てる際には、もちろんですね、誰かが国家全体を統括するっていう役割を果たさないといけないわけですけれども、
その役割をできるだけ小さく留めておく。
ですから国家の役割をできるだけ最小限度に抑えておくっていう考え方もあれば、その国家の力っていうものをできるだけ大きくしてですね、
で、その社会をきめ細かく管理していくっていうような、そういう考え方をとるべきだっていう考え方もあって、
で、それ以外にもその政治権力というものを複数に分割したりとか、いろんな方法っていうものが考えられています。
次回以降はですね、この国家というものを中心にして、その政治というものを考えるっていうような段階に少しずつ移っていきたいと思います。
今回はこれぐらいでおしまいにしようと思います。お疲れ様でした。
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