今回は、夏目漱石の「草枕」。
この本は、小説の形をした漱石の芸術論です。
まだ漱石が新聞小説として活躍する前であり、ある意味ピュアに漱石が自分の書きたいことを書けた作品といえます。
美しい文章とともに、草枕のキーワイド「非人情」の境地を一緒に学んでいきたいと思います。
サマリー
このエピソードでは、夏目漱石の小説『草枕』が取り上げられ、その芸術論と文語体の美しさが探求されています。作品のストーリーと文学的背景の関係が焦点となり、漱石の影響について考察されています。『草枕』については、美文や芸術論が深く掘り下げられ、詩や絵に関する漱石の考えが紹介され、彼の文学が持つ普遍的な価値について議論が展開されています。また、作品における美しい文章とその深い哲学が探求され、喜びと苦しみが表裏一体であることや、魂のありかを見つける過程が取り上げられています。漱石の劇的な芸術論を通じて、喜びと悲しみの関係が深く考察され、詩人はただ喜びを歌えない存在であり、悲しみが必ず影を落としていることが語られています。
夏目漱石と草枕
- こんにちは。 じゃあ、じゅんさん、今日はどんな一冊ですか?
- 今日はですね、夏目漱石の草枕。
- おー。
- 岩波文庫版ですけど、僕が持ってるのは。
- 草枕、夏目漱石さん。
- はい。
- 満を持して、詩人の図書館に登場ですね。
- 確かに。ほんとに、近代文学の、ねえ。
- ねえ。言わずと知れたというか。
- 象徴と言ってもいいことですよね。
- そういう意味だね。
- そうなんですよ。
- うんうんうんうん。
- 草枕とか、読んだことあります?
- いや、僕ないんですよ。草枕。
- そうですよね。
- だいたい教科書に載ってるのって。
- だから。
- 我が平和の子であるとか、心とかだもんね。
- そうだよね。
- うん。
- そうだよね。
- うん。
- なんかね、時々そういう、その書名はもちろん聞いたことあるし。
- うんうん。
- あれだけど、読んだことないから、ちょうどよかったというか。
- ねえ。
- 楽しみで。ジョンさんは何?何回も読み直してるやつなんですか?
- 何回も読んでる、これは。
- 何回も読んでるんだ。
- そうなんですよ。っていうのもね、草枕って、これね、小説の形をした芸術論なんですよ。
- うーん。
- いや、もちろん夏目漱石って、文学論っていう本が出ててね。
- うん。
- あれは、その、帝国大学、今の東大で講師をしてた時にの講演録なんですけど。
- うん。
- あれはね、文学論を語ってくれてるんですけど、この、そういうのもむしろあるんだけど、この草枕は小説の形をした文学論、芸術論なんですよ。
- うーん。
- ちょっと想像できないなあ。
- そうなんだ、そうなんだ。
- そう、主人公の人が画家なんですよ。
- うん。
- なんか名前も出てこない。首相もよくわからないんですけれども。
- うんうん。
- その主人公の人が、こういう俗世の煩わしさみたいなものから離れたいと思って、山道を歩いてるところから入って、ある温泉地に向かってるっていう話なんですよ。
草枕の芸術論
- うん。
- で、温泉地に着いていろんなドラマがあるんですけれども、
- うん。
- その、主人公の人が画家だから、その、どんどんどんどんその、芸術論が出てくるんですよね。
- ああ、画家が語る形で。
- そう、そうそうそう。
- ああ、それが夏目漱石さんの芸術論。
- うん。
- ある種代弁してるような形で。
- そうそうそう。
- 作ってるってこと?
- そうなんですよ。
- うーん。
- 面白いですよ。
- うん。
- ねえ。
- うん。
- 夏目漱石自体は、1867年に生まれてるのね。
- はい。
- だから、大正奉還が行われた年だ。
- そっか。
- そっか。
- で、厳密には江戸時代に生まれてるんですよ。
- そっかそっか。
- そう。で、明治を生きて、1916年、大正時代に亡くなってるって感じ。
- うーん。
- 1916年に亡くなってるってことは、2016年の時が没後100年だったんだね。
- そっかそっか。なんかあったのかな、イベントとか。
- ねえ。
- 前回そこにアンテナ建てなかったけど。
- いやー、やっぱ古書屋とか行くとさ、ドステウスキーの本とかバーっとたくさんあるけどさ、夏目漱石論の本もめちゃくちゃあるよね。
- あーでもそうだよね。
- そう。
- うん。ま、言わずと知れた。
- そう、ほんとに。ほんとに。
- そんだよねー。
- なんで、その夏目漱石ってさ、38歳の時にデビュー作書いてるんですよ。
- 我が輩は猫でやる。
- うーん。
- 書いてて。
- だから結構遅いよね、パッと見の印象としては。
- 遅いよね。38歳で出して49歳で亡くなってるから、11年間ぐらいしか小説家としては生きてないっていうか。
- そうだったんだ。
- そう。
- あー、お亡くなりになったの早いんだね、ある意味でしょ。
- そうだね。やばいで亡くなっちゃってる。
- そうなんだ。
- うん。
- えー、何してたんだろうね、38まで。
- 基本的には先生ですね。中学の先生とか高校の先生とか。
- あん時の高校なんで、大学の先生みたいな感じですね。
- えー、そうか。
- で、この草枕って、39歳の時に出てる本なんだよね。
- デビューして1年後?
- そう。なんですけど、なんかいろいろ読んで調べてみると、その我輩が猫であるっていう最初の作品を書いた10日後にもう執筆し始めて、2週間で書き切ってる。
- だから出たのは翌年なんだけど、もうその時に書いてたっていう。とも言われてた。
- すごいね、2週間で書き切ってるな。
- そうなんです、そうなんです。まぁ薄いですけどね、確かに。
- まぁまぁ薄いけど、とはいえだよね。
- 本当に。
- だから本当に初期の、初期の作品。初期の名作。
- そう。
- しかも10日後でしょ。なんか溢れるように書いてたのかなぁ。
- そうみたいだね、本当に。
- いや、相撲ってなるじゃないですか。
- そうだよね。本当に。
- 一択書いてさ、すごい。書かずにはいられない、書いたって感じなのかな。
- へぇー。本当に。
- 38年まで書かずにいたからバッて、こんな11年でたくさん作品が出たんでしょうね。
- うんうんうんうん。
- いや、いいね。そういう背景をちょっと知っておけると、また面白みが増しますな。
- ね。まぁなんといってもね、やっぱり文語体の美しさね。
- あー、出てたね、それあのー。
- そう。
- うーんと、幸福炉の時だっけ。
- 幸福炉の時にね、お店さんの言葉も美しかったけど、やっぱ夏目漱石の文章もいいですよ、本当に。
- じゃあ今日はその、文語体の美しさも感じるのも一つのポイント。
- そうです。そうですね。
- うーん。
- やっぱりなんかそのストーリー、なんか現代ってどっちかっていうとストーリー性を求めたりとかさ、
- あるねー。
- その斬新さを求めたりとかさ、
- 伏線とかね。
- そう、そういうことになっちゃうけれども、もう本当に純粋に文章が美しいっていう。
- うん。うんうんうん。
- やっぱり文学で大事なところだよね。
- そうだよねー。確かにねー。
- うーん。
- 本当に。
- 楽しみです、楽しみです。なんか純粋的に、その文語体の美しさみたいなところに加えて、
- お楽しみポイントとかさ、他にもあったりするんですか?
- そうねー。やっぱ芸術論。
- その中身。
文学論の重要性
- 芸術論というか、なんだろうなー、芸術に興味がない、そう言っちゃうと芸術に興味がない人にとっては、
- 関心が詰まっちゃうかもしれないけれども、
- まあ、生きていくためのティップス的な感じもやっぱあるよね、と思ってます。
- うーん。
- そっか、芸術論って言葉に僕とかは馴染みがないから、
- はいはい。
- その生きていくことのティップスと繋がってくるっていうのがまだピンとこないけど、
- そうだよね。
- そうなんだね。
- そうなんですよ。
- そうなんだ。
- そうなんですよ。
- それもちょっと感じ取りながら聞いてもらうのもいいかもしれないよね。
- そう、シンプルに勉強になるなって感じするなぁ。
- そうなんだ。
- そう。
- 生きるのが上手くなるっていうのも、芸術と全く関係なさそうだけど、あると思うなぁ。
- うーん。
- なんか今そのじゅんさんが言ってるこの感じが、
- うん。
- まぁ1時間後ぐらいに、
- そうね。
- なんとなくそういうことだったのね、みたいになってたら面白いですね。
- ね。
- うーん。
- じゃあ行きましょうか。
- うん。
- これね、今日は使うところはね、第1章、1章って言ったらいいのかな、別に章がこれ別れてるわけではないけど、
- うん。
- でも1って書いてあるから、まぁ一応第1章って言わせてもらって、第1章だけを今日は使う予定なんですよ。
- あー。
- 第1章だけ読むのでもいいと思うんですよ。
- へー、どういうことですか、第1章だけ読むの。
- 第1章に、やっぱ文学論の大事なところが詰まってるんですよ。
- あー、そっか。
- そう。
- あー、さっきストーリーじゃないって言ったのもそういうことか。
- まぁ1章だけ読んでも、それだけでも十分、いろいろ味わえる。
- あるあるある。
- はいはいはい。
- で、これ冒頭の言葉が有名なんですよ。ちょっと読んでみますよ。
- はい。
- 山道を登りながらこう考えた。地に働けば角が立つ。城に差をさせば流される。
- 維持を通せば窮屈だ。都画に人の世は住みにくい。
- という言葉から始まるんですね。
- あ、なんか聞いたことあるかもって今思いましたね。
- そう、そうですよね。
- うん。
- そうなんですよ。
- 人の世は住みにくいってなんか、うんうん、確かに。聞いたことあるって思ってる人いるかも。
- で、山道を登りながらこう考えたと。地に働けば角が立つって。地ってこれ知恵の地ですね。
- 城に、下に火がついてる方の地ですけど。地に働けば角に立つ。
- まあなんか理屈だけでこうやってると角が立っちゃうよねと。
- 城に差をさせば流される。
- 差をさせばってこれ差をってあのあれですわ。物欲しさの差をのことで。
- うん。
- まあもうちょっと言うと船を漕ぐときのオールのことですね。
- うんうん。
- だから差をさせばっていうのはその流れに乗ればってことですよ。
漱石の文学とことわざ
- 城に差をさせばってことは城のままにしておけば流されちゃうと。
- うんうんうん。
- 人の感情とかを気にしちゃってると流されちゃうよねと。
- うんうんうん。
- 自分を大事にしたいことが大事にできなかったりしちゃうよねと。
- うん。
- かといって維持を通せば窮屈になるよねと。
- ほんとそうだね。
- とかくに人の世は進みにくいと。
- うん。
- いうこと言ってるんですよ。
- そっか。
- うんうんうん。
- まあ今生きてる人たちもほとんどの人がなんか頷いてる感じがしますけどね。
- そうですね。
- そうですよね。
- うんうんうん。
- この言葉が有名すぎてさ、なんかびっくりしたんだけど、
こないだの辞書でさ、ここ検索してみたらさ、普通にことわざとして載ってるのよ。
- え、ことわざ?
- だからもともとあったんじゃなくて、
夏目漱石の文章がもう一つのことわざとして登録されてるってことなんですよ。
- すごいっすね。
- すごくない?
- ことわざ生み出しちゃってる。
芸術の役割
- すごくない?
- 例えばどうなってるんですか?なんていうことわざ?
- え、地に働けば稼働が立つ。
錠に差をさせれば流されるっていうのが一つのことわざになってる。
- あ、ここが、そこがことわざになってるんですよね。
- そう。
- へえ。
- いや、よくさ、僕もさ、本読みながらわからない言葉あると検索して調べるのね。
- うん。
- 今も辞書で調べないけどさ、検索するじゃん。
- 検索するじゃん。
- じゃあさ、例文とか書いてあって、ああいう例文ってだいたいさ、こういう明治の文学が多い。
- ああ。
- 夏目漱石とか森鴎外とかね、いずみ教科とかいろんな人の例文が載ってて、それはよくわかるんですけど。
- うん。
- あの、もうその言葉自体が例文じゃなくて、もう。
- そのものになってるんだね、ことわざそのものにね。
- そうそうそう。
- すごくない?
- すごいね。
- へえ。
- まあ深くな、ほらもう、なんかもっとポピュラーな本だったのかもね。100年前とか、なんかわかんないけど。
- うん。
- 今の自分の感覚だとちょっとまたね、とは違う読まれ方してたのかな、このスタマクラって作品が。
- そうね、当時は識字率そんなに高くなかったですからね、文学はまだある一部の人に限られてきたんだけど、やっぱりまあその後識字率が上がってきて、どんどん読まれるようになっていって、
こういうふうに乗っていったんでしょうね。
- うんうんうん。
- 文章がやっぱ美しいですよね。地に働けば稼働が立つ。これ地と城が重なってるし、城に差をさせば、働けば差をさせば、稼働が立つと流される。
これ全部対になってるような感じというかさ。
- うん。
- ほぼ地に近い感じもしてくるというか。
- あーなるほどな。
- 韻というかリズムみたいな。
- そうそうそう。
- 読んでいて気持ちよさそうですしね、なんかね。
- そうなんですよ。
- リズムがある。
- ね。
- うん。
- これ続き読んでいきますよ。
- はい。
- なんか、いいっすね。
- いいでしょ。
- ちょっと油断しましたね、なんか。ちょっとしばらくぼやきみたいなのが続くのかと思っていたら。
- はい。
- 詩が生まれて絵ができるみたいな。
- そうそう。
- みたいな。
- そうなんです。
- うんうん。
- 住みにくさが麹じると、安いところへ引っ越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて絵ができる。
- って言うんです。
- 住みにくさが麹じると、安いところへ。
- まあ、安いところへかな。
- 住みやすいところへってことかな。
- 住みやすいところへ引っ越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて絵ができる。
- はあ。
- ね。
- 詩。
- で、ちょっと読んでいきますよ。
- うん。
- ちょっと3行だけ飛ばしちゃいますけど。
- 越すことならぬ。
- まあこれ引っ越すことならぬってことかな。
- 越すことならぬ世が住みにくければ、住みにくいところをどれほどかくつろげて、
- つかのまの命をつかのまでも住みよくせねばならぬ。
- ここに詩人という天職ができて、ここに画家という使命が下る。
- あらゆる芸術の詩は。
- 詩はこれは武士の詩だね。
- だからあらゆる芸術を志すものはみたいな感じかな。
- あらゆる芸術の詩は、人の世をのどかにし、人の心を豊かにするがゆえに、たっとい。
- 尊いって。
- うんうんうんうん。
- この方画家って言ってたよね、じゅんさん。
- うん。
- 詩人、詩と絵が何かこう対になって出て、対じゃないけど、なんか両方出てくるんだね。
- そうですね。
- 詩と絵みたいなものが。絵だけじゃないし。
- うん。そうだね。
- 詩が出てくるのがまず僕は純粋に面白いなと思いましたけど。
- 面白いね、確かに言われてみれば。
- あの、明治の時代ってね、小説家って言わなかったと思うんですよ。
- うーん。
- これ僕が秘密にはその、別に明治に生まれてないからちょっと間違ったらすいませんけど。
- でもね、明治時代の人ってね、小説家の人もね、詩人って名乗ってた。
- あ、そうなんだ。
- だからいわゆる今のポエム、現代詩を書くことが詩人じゃないんですよ。
- もっと広い意味を込めて詩人って言われてたんですよね。
- うーん。じゃあ夏目漱石も詩人?
- ねえ、どうなったのかな。
- どっちかっていうと夏目漱石ぐらいから文学者みたいな言い方だったんじゃないのかな。
- うーん。ねえ。
- うん。そっか、だから時代的にももっと広い意味で詩というものが。
- そうそうそう。
- 捉えられていて。
- うーん。そうそうそう。
- 絵描きの実感としてもやっぱそこを経由するのだね。詩が生まれて絵ができるって言ってたもんね。
- そうそう。ここはだからやっぱりその、芸術論としての普遍性を作るために、絵だけじゃなくて、その詩とかも並べさせることによって、そのその普遍性を見出しにいこうということで並列させていってるんだと思うんですよ。
- これ続く文章も、
- 住みにくき世から住みにくき煩いを引き抜いて、ありがたい世界を目の当たりに映すのが詩である、絵である、あるいは音楽と彫刻である。
- っていうぐらいまで言ったりしてるから。
- 広がってきてるね。
- そうそうそう。
- 芸術的なものがこう。
- うんうんうんうん。
- 芸術とは何かってすごい定義するのが難しい気がするんですよ。
- はい。
- いろんな芸術論とか、詩だっていろんな詩学があったりしますしね。
- はい。
- でも、やっぱりここで述べてくれたことって、一つの普遍的な答えっぽい感じはなんかこう、やっぱりしますよね。
- どんなタイトルのアプリ?
- そうだね、こう分析して、
- 予測できるようになったら。
- はい。
- 大分尽力して頂戴なんですけど、
どんなタイトルのアプリ?
もう一回読むと、この
こすことならぬ世が住みにくければ
住みにくいところをどれほどかくつろげて
つかの間の命をつかの間でも
住みよくせねばならぬ
ここに詩人という転職ができて
画家という使命が下る
あらゆる芸術の詩は
住むことの意味
人の世をのどかにし
人の心を豊かにする
というわけで
そういうことか
住むって言って、あの、つい家とか想像してたけど
もっと広い意味なのかな
この世に生きるってことなのか
そういうことか
で、生きづらさもあるよと
そうそうそうそう
石森光子さんのあれね
花をたてまつる紹介したときにも
石森光子さんは
文学っていうのは
この世の岩と侮辱の沼の中から
原画を作り出す
仕事であるって言ってましたけども
で、すると
間近しいような感じ
しますよね
確かに
いいですね
読んでいきますよ
はい
これちょっとまた少しだけ飛ばしてですけど
まあこれあるんですよ
もうこれ冒頭こういう形から入るのが
なんかもういいでしょ
ねえ、なんか
頭の銅箔、なんだろう
いきなり入ったよね、山登りながら
そうですよ
なんか不思議だよね
不思議
もう1ページ目からもう
魅了されちゃったな
そうだよね
だいたい歩いてる山道の情景描写とかさ
そうだよね
その主人公に対しての説明みたいなこととかさ
入りそうだけどさ
なんか
そういうのに結構すっ飛ばし
まあ書いてあるのかわかんないけど
じゅうさんが読んだところだけ触れるとね
いきなりなんかこう
ちょっと語りたいところの確信に
一気に触れていってるみたいな感じが
してます
ねえ
そうなの
じゃあちょっと続き読んでいきますね
はい
世に住むこと20年にして
住むに甲斐があるよと知った
25年にして
明暗は
峡理のごとく
日の当たるところにはきっと影がさすと悟った
30の今日はこう思うている
喜びの深き時
憂いいよいよ深く
楽しみの大いなるほど
苦しみも大きい
これを切り離そうとすると身が持てぬ
漱石の哲学と明暗
片付けようとすれば世が立たぬ
って言うんですよ
うんうん
20歳の時は
20歳25歳30歳で
こういうちょっとずつ書いてくれてるんだ
でこの画家は30歳だったね
うんうん
うん
ちょっともう一回振り返って
どんな感じで言ってたっけ
20歳25歳
そうだよね
世に住むこと20年にして
住むに甲斐あるよと知った
住むに甲斐あるよと知ったと
うんうんうん
生きるにも甲斐がある世の中だと
そう
苦しみがあっても生きる甲斐あるよねと
うんうん
25年にして
明暗は氷のごとく
日の当たるところにはきっと影がさすと悟ったと
うんうん
これどういう意味なんだ
明暗っていうのはさ
明るいところと影はセットなんだよと
氷のごとく一つなんだよと
嬉しいことも苦しいことも一つなんだ
両方あるんだよとセットであるんだよと
幸も不幸もセットであるよねということを悟ったと
はい
30の今日はこう思っている
喜び深き時憂いいよいよ深く
楽しみの多いなるほど苦しみも大きい
これを切り離そうとすると身が持てぬ
片付けようとすれば世が畳む
美しい
美しいね
いいね
美しいですね
うん
喜び深き時憂いいよいよ深く
そうですよね
うん
誰かを深く愛するっていうことは
その人がいなくなるとき
愛した分だけ悲しみが深いじゃないですか
うんうんうん
そういうことだと思うんですよ
うん
楽しみの多いなるほど苦しみも大きい
ここで言う楽しみっていうのは
いわゆる今で言う楽しいというよりかは
なんか
例えば自由を得れば得るほど
それだけ苦労も多いとか
うん
そういうのもあるでしょうし
うん
なるほどね
うん
そっかでそれを切り離そうとする
そうそうそう
別のものとして
これを切り離そうとすると身が持てぬと
身が持てぬ
なんていうの
その喜びだけ欲しい苦しみはいらない
みたいな風に思うのが
まあ人の人情だと思うんですけれども
それってまあ不可能なわけじゃない
無理にさあそうやろうとするとさ
かえって苦しみが増すでしょ
あー
ってことだと思うんですよ
はいはい
もう恋愛して失恋失恋して
もうこんなに失恋が苦しいならもう恋愛いいですって
ね
マッキーね
それもその気持ちはわかるけども
恋愛しないということによってかえって身が持たないでしょ
ある種不自然なことをやろうとするから
無理も来る無理も来るしバランス
心身のバランスも崩れるし
そうそう身が持たないよね
そう
片付けようとすれば世が立たぬって
これ綺麗だね
綺麗だね
片付けるっていうのはだからさもう
なんていうの
そのそういう本来この
明暗は表裏のごとくあるはずなのに
どっちかだけみたいな感じで
本当は矛盾するものが人間のなのに
その
もういい
もう苦しみはいいとかそうやってやっちゃうと
世が立たぬ
そう
魂の居所と美しさ
そんな感じだと
本来の人間の人間らしさとか
っていうものがなくなっちゃう
でしょ
うん
世っていうのは世界の世
世界の世
うん
そうそうそう
そのね
うん
うんうん
なんだろう
言葉に反してるみたいな感じのイメージなのかな
そうそうそういうことだと思う
うんうんうんうん
悲しみとか苦しみがあって生まれてるものってあるじゃないですかたくさん
それがあって生まれたサービスやビジネスもあるだろうしきっと
うん
そういうのもなくなってしまったら世が立たないんですもしね
そうだよね
喜びの中に悲しみも混ざってるし
悲しみの中に喜びももう混ざってるものっていうか
うんうん
をこう無理に分けて
うん
取り扱おうとすると
まあその世の中の流れことわりと
まあちょっと逆行しちゃうよねというか
そもそもそれが違うというか
うん
不自然だよねってことなのかな
うん
うん
なんかとにかくやっぱ美しいですね文章がね
美しいですね
美しいですね
そして非常にね
深いところまで一気に入っていってくれる
なんか感じもありますよね
確かにね
なんかもうちょっと文章分量かかりそうだよね今の言葉で言おうとすると
そうそうそう
説明的になるとか
なんかすごい短い言葉でなんかすごいキュって
最短距離でなんか言いたいこと言おうとしてる感じなのかな
うん
って感じました
うん
いいなあ
なんかこういうのが結構いろいろ出てくんだろうねハイペースで
名言みたいなやつが
そういうことそういうこと
そんな感じがしてきましたね
そうでしょ
うん
じゃあ読んでいきますね
またちょっと飛ばしてですけど
うん
って書いてある
もう
いやー
なんか
やっぱりすごいね
なんか同じこと言っちゃうね
いやー
いい美しいねなんか
いいでしょ
うん
なんかちょっとさ
意味は全く分かってないんだけど
全部絶対分かってないんだけど
美しいし
なんかがあるってことは分かるでしょ
そうそうそうそう
なんか自分の中の何かがちょっと起動する感じ
そうそうそう
これなんですよこれ
これか
これなんですよ
もう一回読みますかちょっと
もう一回読んでほしい
おかわりしたくなる文章でしたね今
うん
春は眠くなる
猫はネズミを取ることを忘れ
人間は借金のあることを忘れる
時には自分の魂の居所さえ忘れて正体なくなる
っていうですね
面白いですね
いいね
面白いね
おもしろいね猫とかね
なんか分かりますよね
うんうん
で
ね
魂の居場所さえ
居所さえ忘れて正体なくなるって
これ魂とは何かってことが非常に難しいんですけれども
でもなんかその
その
そういう状態に春はなりますと
ただ
菜の花を遠く望んだ時に目が覚める
って言うんですね
ヒバリの声を聞いた時に
魂のありかが反然する
魂のありかが分かるって
言うんですね
だからこの辺が分かってない
分かってないけど美しいよねって言ってたところのあたり
この辺もあるよね
この辺だね
分からないけど
全く分からないわけではないんだよね
そうそうそういうことなんだよね
こういうことはやっぱ
この詩人の図書館では何度もありますが
そういう感覚だよね
そうなんですよ
いや面白いな
シェレーとの関連
ヒバリの声とか
菜の花が
自分の魂を
遠くに見えるってことだよね
望むっていうのは
そうだよね
視覚的に何か菜の花が入るとか
聴覚
っていう意味でヒバリの声を聞く
みたいなことが書いてあるのか
そういう時に
自分の魂のありかが分かる
自分の魂が目覚めてくる
続き
ヒバリの泣くのは口で泣くのではない
魂全体が泣くのだ
魂の活動が
恋に現れた者のうちで
あれほど元気のある者はない
ああ愉快だ
こう思って
こう愉快になるのが死である
これ実際次
死が書いてあるんです
そのまさに
ヒバリの泣き声的な死が
あるんです
これ全部だから画家が歩きながらの
ある種心の中での
自分での
一人で言ってる話だよね
そこで死も出てきて
面白いね
あんま読んだことないな
続き
シェレーの
ヒバリの死を思い出して
出てくるんですよ
シェレーって
シェリーのことね
イギリスのね
ロマン派の詩人なんですよね
ジョンキーズとか
あのあたりなんですけど
ソウセキの愛読書だったんですよ
今ヒバリの話をしたから
続き読むとね
たちまち
シェレーのヒバリの死を
思い出して
口の内で覚えたところだけ暗唱してみたが
覚えているところは
2、3句しかなかった
その2、3句の中にこんなのがある
英語で書かれてるんですよ
we look before and after
まあちょっとこれ
訳も書いてあるので訳の方読んでいいですか
もちろんですよ
これ
ソウセキの訳だと思うんですけど
前を見ては
尻絵を見ては
尻絵って後ろのことね
後ろって書いて絵って書いて尻絵
前を見ては
尻絵を見ては
物欲しと
憧れるかな我
腹からの笑いといえど
苦しみの
底にあるべし
美しき極みの歌に
悲しさの極みの想い
籠るとぞ尻絵
名訳ですね
よくこんなに美しく訳せますね
よくこんなに美しく訳せますね
これ
本当に
英語が多くまだ見れてないけど
すごいね
そうだね
そうなんだ
さっきの話と繋がってそうだよね
っていう話だよね
喜び
ことすごい繋がってるし
前を見ては
尻絵を見ては物欲しと
前を見てっていうのは
漱石の芸術論の探求
人間の未来を見たり
尻絵っていうのは
過去を振り返ったりして
物欲しと
人間は何かと欲しいと
憧れるかな我
憧れ求めてしまうものだなと
私はと
腹からの笑いといえど
苦しみの底にあるべし
わらはらから笑っていても
奥底にはきっと苦しみがあると
美しき極みの歌に
悲しさの極みの思いこもるとぞ知れ
美しいです
本当に
それでね
うん
続き読むとね
なるほど
いくら詩人が幸福でも
あのヒバリのように思い切って
一心不乱に
前後を忘却して
我が喜びを歌うわけにはいくまい
って言うんですよ
えーどうしてだろう
これちょっと興味深いでしょ
うんうんうん
これちょっとね
これどういうことなんだろうって感じなんですけど
続き読むとね
はい
西洋の詩は
無論のこと
シナの詩にも
シナの詩にも
よく
万国の憂いなどという字があると
万国っていうのはね
計り知れないって意味なんですよ
万国の憂い
だから計り知れない憂い
っていう字が
あると
詩人だから
万国で
素人なら一号で進むかもしれぬ
って
詩人だから計り知れぬ
何かものがあり
素人なら一号
ちょっとご飯一号で
進むものが詩人だと
もう計り知れないぐらいまで
あるかもしれないと
してみると
詩人は次の人よりも苦労症で
凡骨
凡人かな
凡骨の倍以上に神経が
鋭敏なのかもしれんと
長俗の喜びも
あろうが
長俗の悲しみも
多かろう
そんならば
詩人になるのも考えものだ
なんとなく
伝わりました
なんとなく
ちょっと解説も欲しいですけど
その詩人の人の方が
神経が鋭敏で
普通の常人よりも憂いみたいなものを
無限に
抱えているよ
感じているよと
そうそう
鋭敏だから長俗の喜びも
あるけれども
喜びも大きけれども
その分悲しみも
大きかろうと
そこ大事だね確かに
喜びも大きくて
その分悲しみが多い
悲しみも多いということは
そんならば詩人になるのも
ちょっと考えもんだなと
花がよく聞く人は
自分にとって好きな香りを
たくさん匂えるけれども
同時に自分の嫌な匂いもたくさん匂うと
なるほど
わかりやすい
これさっき言ってたね
いくら詩人が幸福でも
あのヒバリのように思い切って
一心不乱に
前後を忘却して
我が喜びを歌うわけにはいくまいって
これはね
さっき言ったように
詩人というのは喜びと同時に
悲しみも深く感じてしまう存在だから
だからこそ
喜びだけを
一心不乱に
何もかも忘れて歌い上げることができないんだって
それは
能力的にできないって話じゃなくて
原理的にできないよねってことなのか
そもそも喜びの歌を
歌ったときにそこには
悲しみが
含まれているっていう話だったと思っていて
そういう意味での
原理的にできないよねって
話なのかな
わかんない
そうだと思うな
いや喜びを
歌うわけにはいくまいって
これ文字通り読んじゃうとさ
喜びを歌ってる詩たくさんあるじゃないですか
って
なりますよね
でさ
でもさ
その喜びの詩っていうのも
悲しみがないわけじゃないんです
ってこと言ってくれてますね
ここまでね
悲しみを知ってるからこそ
喜びの詩ができるわけ
ですよね
うん
ということなんですよ
うん
そういうこと
うんうんうん
だからこそ詩人はそのひばりのように
歌っちゃダメなんだ
って素朴に思っちゃうけどね
なんかその
うん
その悲しみも
人より感じていて
喜びも人より感じていて
その喜びの歌を
思いっきり歌ってみたら
いいのに
ダメなんだ
自然とそこに悲しみがわざるだろうけど
そこは負けられるものじゃないんだけど
って
なんだろうね
うん
いやひばりのように歌っていいんですよ
うん
それは
悲しみを
知ってるからこそ
ひばりのように
歌うことを求めざるを得なくなってくる
っていう
感じなんじゃないかな
うん
あれ?
なんて書いてあったっけ最初のさっきの
読んでくれてた文章
なるほどいくら詩人が幸福でも
あのひばりのように思いきって
一心不乱に前後は忘却して
我が喜びを
歌うわけにはいくまい
歌うわけにはいくまい
って言ってるんですね
ここで漱石が言ってるのは
喜びと
悲しみ苦しみ
というものを切って切り離すことが
できないから
喜びだけを歌うことができまい
っていうことが言いたいんだと思うんですよ
うん
我々は喜びの歌
歌っていいんですよ
それが生まれてくる
っていうのは悲しみがあるから喜びの歌が
より出てくるっていうことがある
気がしてて
そういう意味でだから
やっぱりそういう意味では
喜びも悲しみも
別れてない
うん
そっかそっか
ちょっと続きじゃあ行きましょうか
はい
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