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2022-10-03 21:49

少子化に対応して「大人向け」絵画教室を作り、展覧会を設け、美術館までつくったサクラクレパス

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唯一、日本で産まれた「描画材」のクレパスを生産する「サクラクレパス」。
少子化に転じて市場の縮小が予想される中、とった戦略は「大人にも」クレパスを使ってもらうこと。そのため大人向けの絵画教室「サクラアートサロン」を設置、全日本アートサロン絵画大賞展を毎年開催し、本社の社屋内に美術館「サクラアートミュージアム」までつくってしまう・・・


【聞き手】安本寿久(産経新聞大阪本社・編集委員)


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改めまして、今晩のゲストもですね、先週に続いてですが、株式会社さくらクレパスの代表取締役社長、西村彦四郎さんです。西村さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今夜はですね、先週に続いてということですので、西村社長のお人柄について、深く伺ってみようと思っています。
5代目の社長ということですが、兵庫県生まれで東京育ちということなんですが、さくらクレパスは、今、大阪日本社を持っている会社ですので、東京からですね、この会社を学生時代、あるいは子供の頃、どう見ていたのかというところから伺いたいんですが。
私は、高校野球で有名な甲子園で生まれまして、3歳くらいですね、幼稚園の今で言う年少ですかね、時に父が東京の転勤ということで、東京に越しまして、父もさくらクレパスに勤めていたんですけども、父は四男ということで、長男が社長で、私は四男の子供で、直系ではないですから、
その会社を継ぐとか、そんなそういう立場でもないんで、そういう意識は全然なかったですね。ただ、一族のしている会社ということで、文房具には苦労しなかったというか、父がいつでもクレパスや絵の具やシャープペンシルとか、イライマーかペンとかですね、何でもいつでも持って帰ってきてくれるんで、文房具にはあまり苦労しなくて、いつもいろいろ使ってたというような、
そんな感じですね。ですから、会社についてはもちろん親しみと言いますか、人一倍にありましたけども、別にその仕事をするとかどうとか、そういうとは特に何も感じてはおらずに、自由に楽しくやってました。
でも、その時には、先週伺ったこの会社の成り立ちとかですね、文化に貢献してきたことはご存知だったんですか?
いやいや、そうじゃないんですね。ただ、実際には24歳で入社されているわけですが、入ろうと思った、この会社で働こうと思った経緯がどんなもんですか?
実は大学を東京で卒業しまして、私はアメリカに行きたいなと思いまして、親父さんに頼んでアメリカに行かせてくれないかと。ということで一年間、一応大学でもちゃんとして学部に入ったわけじゃないんですけども、一年間ですから、アメリカのポートランドにあるところに行かせてもらいまして。
一年、当然言っていればですね、どこも就職活動、就職試験を受けていないようですね。
03:09
大学卒業して行って、3月頃に親父が1年だから約束だから帰って来いと言って帰ってきて、どこも就職試験も何もしてないですから、さて困ったなと。
親父がですね、桜名入れてやると。当時父の兄が社長で、私の叔父に当たるわけですけども、入れるのは入れてやるということで、会社に入れてもらったという次第ですね。
これ受かった見方ですが、お父様はですね、自分の会社に入ってほしくて、一年間の留学を許可したということはないですか。
あんまり特にそういうのはなかったと思いますね。父は私にどうこうしろって一切言いたくてもないですし、たぶんそれは入ったら嬉しいなと思ってくれてたのかもわかんないですけども、特に私はそういう話を聞いたりそういうことはなかったですね。
なるほど。実際に入られてみて、会社の社風とか会社の組織とかにどんなことを感じられましたか。
あのですね、そういえば子供の時会社どう思ってたかっていうのがあったんですけども、なんか私はその教育、美術教育というかそういう感じで、なんかあんまりモダンな感じは受けずにですね、なんか地味な古臭いイメージが。
クレヨンとかクレバスが本当ですもんね。
そういう言い方したら悪いかもわかんないですけども、やはりなんか先端企業というイメージじゃないじゃないですか。コンピューターやってるとかなんかそういう時代の先端企業。ですからちょっと古い会社のイメージがこうありましたね。
で、会社入った時もやはりそのどちらかといえば地味と言いますかね。その学校周りをする営業活動で学校周りしたりとか先生方と話をしたりとか、商品もですねクレヨンクレバスの昔からある商品ですから、ちょっと地味でちょっと古い感じは正直感じてました。
中入るとですね、でもそれだけじゃなくて新しい筆記具があったりとか、そういうのでオフィス市場に進出していこうとしてたりですね、海外に伸ばそうとしてたりとか、いろいろ新しいことはしていたので、会社入ったらそういうあんまり悪いイメージは持ってなかったんですけども。
なるほど。先週ちょっと伺いましたけども、やっぱり子供の数も減ってきたりとか学校も変化してくるわけですから、今までと同じようには売れなくなるという中で、新しい方策を模索している頃とちょうど重なっている感じがするんですけども、そこに新しさとかやりがいみたいなものを感じられた。
06:02
そうですね。やはりちょうど私が入って2年か3年目ぐらいに初めてですね、日本の子供の数が減り始めた。それまではずっと増えていたのが、私が本当に会社に入って2年目ぐらいに初めて下がり始めたんですね。
そういうところもあったりして、会社としてもいつまでも学童用の美術用の描画材だけをやっているだけでは将来がないということで、そういう意味で、いろいろ筆記具とか文室市場とか海外とかそういうところに目を向けて、いろいろチャレンジしていこうとしていく時代だったんだと思います。
なるほどね。じゃあある意味厳しい関係環境にある会社に入ってほとんどそこで生活されてきたということになりますね。
そうですね。
それが何となくやりがいに通じているというところもお話を伺っていると感じますけども、ご自身の性格についてどういうふうに思われていますか、この分析というんですか、自己分析というんですか。
そうですね。私はあまり楽天的といえば楽天的ですね。それとこれはちょっと本当に好天的なものなんですけども、私は会社に入って、最初は営業で大阪の千州とか池田とか大阪の周辺地区を担当して回したんですけども。
病気をしましてね。数ヶ月ほとんど寝たきり。
かなり重い病気だったんですね。
内臓で病気をしまして、とにかくあまり薬がなくて、医者はとにかく安静にしてろということなんで、寝てるしかなかったんで、やることないんで本を読み始めたんですね。
それまで本というのは月に1冊くらい読むかもわからないけど、別にそんな好きではなかったんですけども、病気をしてやることがないんで、とにかく本ばっかり読んでたら、本が大好きになりましたよ。
活字中毒になりました。それが20代半ばですから、20代半ばから30代くらいまでは、1日1冊くらいで、硬い本から柔らかい本まで、とにかく本が好きで、本をたくさん読んでたんですね。
今となってみると、それが自分にとってはすごくプラスになってるんですね。別に本を読んで賢くなるわけじゃないですけど、やはりそこで知識や視野が広まって、いろんなものに興味を広がって、いろんなものを助けにもなるし、そういうことがあって。
今の自分にとっては、私は本が好きになったということは、すごいプラスだなと感じてるんですね。ということは、やはり病気をしたことがプラスに転じてるということで。それから、私はすごく悪いことがあると、それは結局、今悪いことでも、それは必ずいつかはプラスに転じると。
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それが一つの自分の信念じゃないんですけど、自然にそういうふうに思うようになったんですね。悪いことがあっても、それで落ち込むんじゃなくて、「ああ、悪いことがあったな。でも、これはきっと次はいいことあるや。」と。
だから、そんなふうに考えてですね。ちょっとしたものを壊したと。でも、これは次、それで気をつけるようになったから、また大きな事故を防ぐことができたんだとか。結局、悪いことがあっても、全部いいことに転じて考えるようになったんで。
それはですね、非常に自分にとってはプラスというか、今もですね、会社の経営って口幅たいこと言えないですけども、いいことばっかりじゃないですよね。会社の経営じゃなくても仕事でもですね、人生でもやっぱり嫌なこともたくさんあるでしょうけども。
でも、それを明るく乗り越えられるというか、プラスに考えられるようになったのは非常に自分にとってはプラスで、そういう性格で。
もともとは楽天的だもんね。何も考えていないのに、ぼーっとしているのに関わる。
経営者っていうのは、僕、常々思うんですけど、やっぱり明るさが絶対的に必要ですよね。そういった楽天的な方の方が成功する経営者だなと思っていますが、それにぴったり西村社長はまってるような気がしますけど。
西村さん、明るい未来を信じれないと、野郎的にならないですよね。
わかりました。話を聞いていて、僕も勇気づけられたような気がします。後半はですね、本がお好きだったというところから、今、桜クロワッサンはいろんな文化活動もされているのでですね、そこにどういうふうに繋がっていったかというあたりにも伺おうと思いますので、後半も引き続きよろしくお願いします。
はい、後半です。引き続き株式会社桜クロワッサンの代表取締役社長、西村彦四郎さんにお話を伺います。西村社長、前半で本がお好きだという話を伺いましたが、もう一つお好きなものがあるんですね。ジャズが非常にお好きだということなんですが、どの程度お好きなんですか?
そうですね、高校時代ですかね、昔からなんとなくジャズに憧れているというか、なんとなく大人のイメージがあるじゃないですか。中学校の時とか、でも聞いてもよくわからないし、あれだったんですけども、高校の時に、具体的に言うとチクコリアという人が、Return to Foreverという音楽を非常に、なんていうんですかね、ジャズだけど、
聴きやすいと言いますかね。それを聴いて、ああ、こういうジャズもあるんだということから、ジャズが聴き始めて、当時ですと、キース・ジャレットとかですね、そういう人たちを聴き始めて、すごい好きになってですね、本当にしょっちゅうジャズ喫茶行ったりとか、レコード聴いたりとか、そうやってジャズがすごく好きになりましたね。
12:11
なるほど。レコードを千枚買いでお家だと言うと。
そういうレコードをたくさんお持ちだと思いますが、なぜこういうお話をするかと言いますと、そういった社長の個性がですね、僕はだいぶ影響しているのではないかなと思うんですが、桜クレパスは、例えば全日本アートサロン会が対象点ですとか、いろんな社会貢献、文化の面で社会貢献されているんですよね。こういったことに力を入れる理念と言いますか、お気持ちはどんなところからかというのを伺いたいんですが。
なるほど。これはですね、本当はですね、本当はと言いますか、実は仙台の社長がですね、始められていて、仙台の社長がお父さんから社長を継がれた時に、さっき言ったちょうど子供が減り始めた時だったんですね。
仙台の社長はやっぱり大人向けの子供だけじゃなくて、大人向けにやらなきゃいけないということで、いわゆる絵画教室を作られたアートサロンという。絵画教室、アートサロンを作られて、今度は絵を習ってこうやったら、なんとなく表彰というかコンテストとかそういうのを出したくなるだろうということで、アートサロン対象点という、今度そういうのを作られて。
物ができたら今度飾る場所ということで、ちょうど新社を作った時に会社にミュージアムを作ってと。そういうようなことを、うちの仙台の社長が始められたんですね。
ですからどちらかというと、この辺は私が始めたというよりも、仙台の社長が熱心に取り組まれた事業ですね。
なるほど。企業美術館、桜アートミュージアムというのが一応ゴールになっているわけですね。
そうですね。
これも僕は企業としては長いスパンで考えられているなと思うんですが、まず大人たちにも画材を使ってもらおうと思って、絵画教室を開かれるわけですね。
開画教室をしているうちに、当然ながら展示したい、見てもらいたいという気持ちがあって。ということで、この市場を作るゴールがミュージアムみたいになっているんですが、市場を育てているという感じがして、これはなかなか企業として足腰がしっかりしていると言いますか、地に足がつきながらビジネスをされているなという気がするんですが。
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今、社名になっていますようにクレパスと開発して、実は溶画材料、油絵具とか水彩絵具がたくさんありますけれども、実はヨーロッパ以外で生まれた唯一の画材というのがクレパスなんですね。
あとは全部ヨーロッパで生まれているんですけれども、アメリカ、アクリルがアメリカですから西洋で生まれているんですけれども、クレパスというのが唯一、オイルパステルというのが唯一日本で生まれた描画材でして、やはりこのクレパスというのは誇りを持っているというか、クレパスというと子ども用の画材というイメージが非常に強いんですけれども、
実際に使っていただくと、プロの画家の方でも十分に使える表現力を持った画材なんですね。そういうクレパスが専門に描かれている画家の先生もおられるんですけれども、そういう方の作品を見ると、これクレパスで描いたの?という皆さんが驚かれるくらい表現力の豊かな画材なんですね。
専門的に一般名称で言うと、棒状油絵具というんですけれども、棒状油絵具のように多彩なタッチで表現できる画材なんですね。やはりこのクレパスというものをしっかり広めたいなと、子ども用の画材だけじゃないよと、専門家でも使える立派な画材なんだよということを広めていきたいなという思いがあって、クレパスが教室というものをしたりとか、
ミュージアムもですね、ミュージアムといったら日本人たくさんあるじゃないですか。でも桜がやるミュージアムなんだから、やはりそれなりの桜がやる存在価値というものがないといけないんで、クレパスに特化してやろうということで、今約1000点ほど収蔵があるんですけど、そのうちの500点以上はクレパス画なんですね。
まあ、日本の古い有名な、いろんなオコム太郎さんやそういう画家の方から今の、それも引き続き今でもですね、若い作家さんの方にクレパスをお渡しして作品を描いていただいてということをずっと続けたりしてるんですね。
とにかく、専門家でも使える豊かな表現力を持ったクレパスというものを広めていきたいという思いが、それをミュージアムで見ていただこうという気持ちがすごく強いものがあります。
【岡田】防状絵具ですね。普通、油絵って、なかなかね、僕たちが敷居が高くて、とてもじゃなくて自分で描けないと思うんですが、クレパスだったら描けるわけですね。
比較的、敷居が低いと思うんですね。絵を描きたいという方はたくさんおられるんですけども、いざ描こうとなると結構大変だなってそこで尻込みされて、なかなか一歩踏み出せないんですけども、クレパスだったら簡単に子供の頃も思い出して簡単に描こうと入れる敷居の低さがあるので、そういってぜひ大人の方々にもですね、クレパスどこでも売ってますから、ちょっと絵を描いてみられるといいんじゃないか。
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私でも絵は描けないんですけども、クレパス塗ってるだけでもなんか気持ち、感触がですね。色が色めたり、色が綺麗な色が、楽しい気持ちにはなりますね。
なるほどね。各地で開かれてる絵画教師っていうのは大体年齢的にはどの程度、層の方来られます?
圧倒的に多いのはやっぱり女性の方で、60代以上の方が多いですかね。でも最近はやっぱり男性の方も少しずつ増えて来られてる気はしますね。
60代というともう会社勤めもそろそろ終えて、自由な時間が出てくるということなんですね。
なんか趣味で描いてみようかっていうような方が来ていただいてるんだと思うんですけど。
絵を趣味にしてると、ちょっと自分がランクアップしたような気になっていいですもんね。
このコーナー、ここ2年半、3年くらいコーナーじゃないですか。その時に通販で油絵の具セットっていうのがすごく売れたんですよ。
だからやっぱり絵を描いてみようと。じゃあ絵描くなら油絵の具っていうふうに皆さん思っておられるのかなと思って。
でもきっと油絵の具買われて、その後あんまり描かれてないんじゃないですか。
なんか大変そうですもんね。
匂いもきついですし、手入れも大変ですし、実際に描こうと思ったらすごい大変なんで。
そういう意味ではクレパスで描かれたら、本当に楽しい8日がまた過ごせるんじゃないかなと思います。
なるほどね。出し入れだけでも簡単そうですもんね。
そうです。
なるほど。ぜひそれはやってみて。
最後にですね、さくらアットミュージアム、知らない方もいらっしゃると思いますので、これ所在地がどこにあって、どういうふうにしたら見に行けるのかというのをちょっと教えていただけますか。
会社のほうで、うちの本社の森宮駅から歩いて3,4歩南のほうに、玉作りすいぞいにあるんですけども本社が。その1階でミュージアムがあります。
基本的には年6回ほど企画展をやってまして、無料でどなたでも見れます。
無料なんですか。
はい、無料です。ただ休館日と、毎日空いてるわけではありませんので、ネット等でちょっと見ていただくと、今はちょうど空いてる時期なので、今でしたらぜひ。
今はですね、ちょうど若手の作家さんが描かれたクレパス画の展覧会をやってますので、非常に面白い若い人の感性で描かれたクレパス画というのも非常に楽しみなものがあるので、ぜひ見ていただければと思います。
21:05
ぜひそれ見てもらって、自分も描いてみようと思って、クレパスを買うというところになればいいですね。
はい、わかりました。ありがとうございました。
最後までお聞きいただきありがとうございます。
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