不安を抱える子どもへのアプローチ
この番組は、ティーチャーティーチャーで親御さん向けのペアレンツプログラムの講師をしているkumiが、日々の気づきをシェアしていく番組です。
ということで、今回は、いつもと違うことに対して不安がある子には、事前契約が大事だよ、というお話をしたいと思います。
えっと、いつもと違うことに対して不安がある子って、不安になってパニックを起こして、周りや自分を傷つけてしまうことがあったりするんですよね。
そうなると失敗経験になってしまって、なんて私ってできないんだろうって、ダメだな自分とか、後から振り返って自分を責めてしまうことがあったりして、
で、そんな我が子を見ている親御さんも、私がしっかり関わってないからだ、とかいう気持ちになってしまって、また自分を責めてしまって、
それってこう誰もハッピーにならないよなっていうふうに思っていて、不安な状況でもちょっと環境を整えておくことで、
それが失敗体験にはならずに、うまくいったっていう経験を得られたら、お子さんの自己肯定感も高まっていくと思うし、親御さんも自分を責めずに済むと思うので、
この事前契約っていうのをやることってすごい大事だなと思っています。
それで、なんでこのテーマを話そうと思ったかっていうと、日々の受講生の方が実践したその事前契約っていうのが、とっても上手ですごい工夫をされていたので、
実際に結果的にトラブルが起きなかったっていう報告がありました。なので、皆さんにぜひそれをシェアしたいなと思います。
この事前契約っていうのをうまく生活に取り入れることで、もちろん初めてのことに不安なお子さん、いつもと違うことに対して不安があるかもそうなんだけども、
不安を持ちやすいお子さんに対して、親御さん自身もどうすればいいかっていう見通しを持つことができて、パニックになる場面とか、
感触が起こる場面っていうのが減ってくるので、叱ることよりも褒めることが増えて、お子さんも親御さんもハッピーになれるんじゃないかなと思います。
ということで、今回のケースなんですけど、まずお子さんは4月から年長さんになる女の子で、お母さんが日々を受講してくれています。
このお子さんは不安が比較的高い傾向にあるお子さんで、不安になってしまうと大きな声を出したりとか、お母さんに対して嫌な言葉を言ったりして、
その関わり方にとっても困っていて、ということで受講していただいているケースです。
で、今回取り上げる実際の場面はと言いますと、ある時ですね、お家にご友人を呼んでホームパーティーをするっていうことになったそうなんですけど、
これまでもお家に人を呼ぶと不安とか興奮とかからか、少しでも思うようにいかないと大声を出したりとか、お母さんに強く当たってしまうっていうことが起きていたそうなんですよね。
で、そんな過去があったので、今回は事前に本人とちゃんとお話をしておこうと思いましたということで、
そこでこのお母さんが行ったその事前契約の仕方っていうのがとっても素晴らしいなと思ったので、今からお話ししますね。
まず最初に本人がどんな時に大声を出してしまうのかっていうのをきちんと分析されていました。
これまでの行動パターンとかから、その大人が集まってちょっと盛り上がってくると大きな声が出たりするじゃないですか。
そういう時にわーってなってたりとかしてたそうなんですよね。それとか、一緒に連れてきてたお子さんと子供同士が遊んでいる時にうまくいかなかったりすると、
そういう声が出ていたっていうことだったので、おそらくそういう時に不安になっているのかなっていうふうにこのお母さんは予測してて、
で、実際に本人と何が嫌なのかなっていう話をちゃんとされました。
そして大人の大きな声が聞こえたら嫌なんだね、うまくいかない時に嫌になるんだねっていうその気持ちをしっかり共感して、
だけどその時に大きな声を出すっていうのはみんなびっくりしちゃうし、お耳が痛いよっていうことで、その行動についての振り返りを行ったんですよね。
で、気持ちはわかるけど行動が良くないんだよっていう話ですね。
で、じゃあどんな行動だったらいいんやろうかねということで、どんな行動にしようかっていうことをちゃんと本人と話し合われました。
それで決まったのが、そういう嫌な気持ちになったらお母さんをツンツンってするっていう内容でした。
そしてわかった、ツンツンってしてきてくれたらちゃんとどうしたのって話を聞いたり、ギューってしてあげるねっていうふうにお母さん自身の対応を確認しました。
そして当日お母さんは大丈夫かなーってすごい心配になってたそうなんですけど、なんと一度も大声を出すことはなくツンツンってしに来てくれたそうです。
で、もちろんお母さん自身も約束した対応をちゃんととって、みんなが帰った後にいっぱい褒めてあげましたって褒めることができて嬉しかったですっていうふうに報告してくれました。
で、結局親御さんも叱ったり困ったりすることはなく褒める場面ができて、子供も嫌にならない、そしてできたっていう成功体験をすることができた。
とっても素晴らしい事例だなと思いました。
成功するためのポイント
で、この一連の出来事、ちゃんとベースになる根拠があります。
このように望ましい行動を増やすためのこの一連の対応っていうのを応用行動分析学では強化の手続きと言ったりします。
今回の事例はこの強化の手続きで大事なポイントをすっごく上手に押さえてらっしゃるなと思いました。
そのポイントをちょっと簡単にまとめたいと思います。
一つ目にまず行動の目的を分析すること。
なんでその行動をとるのかな。理由は何なのかなっていう視点を持つことですね。
で、二つ目にその理由を本人の性格とか特性とか気の持ちようとかにせずに気持ちを一旦受け止めること。
そして三つ目に行動そのものが良くないんだよっていうことにフォーカスすること。
四つ目にみんながハッピーになる代わりになる行動は何がいいかっていうことを本人と決めること、そしてこちらの対応も決めること。
契約内容の確認みたいな感じですね。
で、最後五つ目にとっても大事なことはできた時の褒め方が本人にとって喜ぶ形であること。
というこの五つのポイントをしっかりと押さえて事前の契約をするととってもうまくいくんじゃないかなと思います。
で、これだけでも素晴らしい事前契約だなと思うんですけど。
もちろんお子さんによってはもう少し工夫が必要な場合もあって、少しだけポイントを付け加えるとするとその行動が起こりやすくなるような環境設定っていうのを作っておくこととか、きっかけを考えておくことっていうのも大事です。
例えば、時々目があったらニコッとしてグーサインを出してあげるとか、ツンツンしてねっていうジェスチャーでツンツンっていう風に見せておくとか。
そういうのを見るとそうだと嫌なことがあったらツンツンしたらいいんだって思い出されるっていうことだったりとか、あとはできなかった時の対応やフォローっていうのを決めておくこと。
今回はねうまくできたから良かったんですけど、これがうまくできなかった時に、じゃあできなかったら例えば落ち着く場所、お家のどこどこのお部屋に行ってお母さんとクールダウンしようねとか、外に行って深呼吸しに行こうねとか、そういう風に約束してた行動ができなかった時には何をするっていうのも決めておくと、
できなかった、はいおしまいじゃなくて、できなかったけど他のお部屋に行くっていうことはできたよねとか、クールダウンはできたよね、結末ができたで終わることができるので、より成功体験として残ることができるかなと思います。
ということで、今回はいつもと違う状況に対して不安がある子には事前契約が大事ですよ。
その時の契約の仕方についてポイントがあるので、そこを押さえて決めておくことで失敗ではなく成功につながって褒める機会が増えて子どもも親もハッピーになるよというお話でした。
皆さんもぜひ参考にしてくださったらいいなと思います。
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本日も最後までお聞きいただきありがとうございました。