叱責の副作用の探求
この番組は、ティーチャーティーチャーで、親御さん向けのペアレンツプログラムの講師をしているkumiが、日々の気づきをシェアしていく番組です。
前回、叱られることは嫌なこととは限らないよっていうお話をしました。
叱られることが注目されるという意味で、そのご褒美になっている場合もあるんですよという話でした。
じゃあ、そうなると次にこんな疑問が出てくるかもしれないなぁと思ったので、今回このテーマにいたしました。
じゃあ、叱られるのが本当に嫌なことだとすれば、叱り続ければ行動っていうのは治るんじゃないの?っていう疑問ですね。
確かに行動分析学では、嫌なこと、献死って言うんですけど、嫌なことが待っていればその行動は減っていくっていう原理があります。
悪いことをしたら叱られたくないからやめるみたいな、こういう関係性っていうのが理屈としては成立します。
なんだけど、実はこの嫌なことがあるから行動をやめさせるっていう関わり方には、大きな副作用があるっていうことがわかっています。
今回はこの飴と鞭の鞭、つまり罰や失責による関わりっていうのが、どんな副作用を持つのかっていうことについてお話ししたいと思っております。
で、ちょっとこんな場面を思い浮かべてみてほしいんですけど、子供がなかなか宿題に取り掛からない、そうするとイライラしたお母さんが早くしなさいっていうふうに言いますよね。
で、子供はでもそれでもダラダラして動かない、そこでお母さんが次やらなかったらゲーム取るからね、取り上げるからねっていうふうにしっかり飛ばすみたいなことがあるとしますよね。
すると子供は多分しぶしぶ宿題に取り掛かるということになって、その行動をするっていうことになるんですけど、一見叱ったから行動をしたっていうようにこの一連の様子が見えるんですけど、
こういった無知を使ったやり方、罰を使った、叱責みたいなものを使ったやり方っていうのは、実は大人が見落としがちな副作用っていうのがたくさん潜んでるということなんですよね。
で、行動分析学ではその嫌なこと、犬死っていうのを使った関わり方がどんなリスクを生むのかっていうことについても研究されていて、奥田健司さんが書かれた著書のメリットの法則でもその副作用っていうものがわかりやすくまとめられております。
今回はその本から6つの無知の副作用について皆さんにも共有したいなと思っております。
で、はじめに伝えておきたいのは、これを知ったからといって、その叱ってしまっている自分を極端に責めないでほしいなっていうふうに私は思っています。
実際私も、もうなんでよっていうふうに感情的になることもありますし、いつもニコニコできる親なんて存在しないんじゃないかなっていうふうに思っています。
親子関係っていうのはやっぱり一筋縄にはいかないし、我が子がゆえに期待も大きいので感情が出てしまうっていうことはすごく自然なことだと私は自分も子育てしていて思うんですよね。
ただそのこの副作用を知っておくことと知らずに子育てするっていうことでは大きな違いがあるんじゃないかなと思ってて、今回のお話を聞かれて、そうかなるほどできるだけ罰による関わりは控えようかなっていうふうに思っていただけると、
一旦こう思考を整理した状態で子育てに向かえるので親御さんの心も軽くなるんじゃないかなっていうふうに思っています。
無知の副作用の具体的紹介
答えのない子育てに一つ根拠のある理論っていうのを持っておくことがよりどころになるんじゃないかなと思いますので、ぜひ最後まで聞いていただければなと思います。
はい、ということでじゃあ無知の副作用について6つあるんですけど、ちょっと順番にご紹介したいと思います。
1つ目は行動自体を減らしてしまうリスクですね。
叱られるのが嫌で宿題だけじゃなくて似たような行動だったりとか、いろんな行動も一緒に減ってしまうことがあるというふうに書かれています。
怒られるくらいなら何もしない方がいいかなみたいなふうに考えてしまうってことですね。
挑戦する意欲そのものを失ってしまうリスクがあるっていうふうに書かれておりました。
2つ目に新しい行動を教えていないということですね。
仕方だけじゃどうすればいいのかっていうのが伝わってないことが多くあると思います。
宿題やりなさいって言われたからやったとしても、それは叱られたくないから動いただけで、宿題に前向きに取り組む力とか姿勢っていうのは身につかないし、
他の場面でもそれはダメだよっていうふうに言われたとしても、どうすればOKなのかっていうのを身につけなければ、それ以降も望ましい行動っていうのはできないことになるので、
必ずこの行動だったらOKだよっていうのが伝わらないと子どもにとってはスキルを身につけることになっていかないですよね。
3つ目に一時的な効果で持続しないっていうリスクがあります。
叱られた直後っていうのはビクッとなって動くと思うんですよね。
みんなそうだと思うんですけど、でも叱られたらやるっていう関わりを続けていると、叱られなければやらないっていうことにもなるわけですよね。
つまり近くに常に叱ってくれる人がいないと行動をしなくなる。
これを回復の原理って言ったりするんですけど、ずっとずっとそばで叱ってくれる人がいないとその行動はしないっていうことになるので、叱らない人がいるときにはもちろんしない。
他の場面だとよろしくない行動をしてしまうっていうことが起こってしまいます。
4つ目に罰を使う側がエスカレートしがちになるっていうリスクです。
これも想像できるなと思うんですけど、なんでわかんないのって、なんで言わせるのって叱る側も次から次に感情が高ぶってきて、
罰の強さっていうのがエスカレートしていっちゃう可能性があるんですよね。
これが行き過ぎると虐待にもつながっちゃうんじゃないかっていうふうに岡田憲次さんはおっしゃっております。
これはちょっとドキッとしてしまうなと私も思います。
5つ目にネガティブな情緒反応を引き起こすというリスクがあります。
叱られることで人を恐れたりとか恨むようになったりとか、自分はダメなんだっていうふうに自己否定するようになったりします。
それから6つ目に力喚起が逆転したときに他人に同じことをしてしまうというリスクがあります。
罰によって育った子っていうのは自分が逆に強い立場になったときに、
弱い人に対して同じように罰を与えるという形での関係性を作ろうとしてしまうリスクがあるってことですよね。
これちょっとゾッとしてしまうなっていうことなんですけど、
親と子の関係では親が強くて子供が弱いっていう立場になってしまう。
だけどいざ学校に行くと自分が強い立場になって、ちょっと自分より弱いなって感じるお友達に対して、
罰によってその子をコントロールしようっていう関係性を作ってしまう。
無知と副作用
これがよく言われるいじめにつながったりとか、人間関係の難しさにつながってくる可能性があるので、避けたいなっていうふうに私は思います。
こんなふうに6つの副作用っていうのがありますよっていうふうに小倉憲次さんは教えてくださっています。
こうやって見ると、無知を使う関わりっていうのは一時的な効果はあるかもしれないけど、長期的に見るとたくさんの副作用がある。
しかればわかるとか、どなればわかるみたいな考え方っていうのは本人には伝わってないということですよね。
じゃあどうすればいいのか。
行動分析学の視点で大事なのは、その無知で、罰って無理やり行動を抑えるんじゃなくて、その行動をした結果、雨、こうしですね。
嬉しいことがないよっていうシンプルな結果を作るという関わりが大事ですよと言われています。
例えば、おもちゃを片付けたら遊びを続けようねとか、おもちゃを片付けたら嬉しいことがある。
順番を守ったら一緒に遊ぼうねとか、順番を守ったら嬉しいことがあるっていうふうに望ましい行動には雨という、こうしっていうのがあると。
だけど望ましくない行動をした時には叱るんじゃなくて、その雨がもらえないよっていう結果が待っているよっていう形を作っていくっていうことが大事です。
これが雨ありか雨なしの法則です。
行動はその後の結果によって形作られているので、良い行動とか望ましい行動にも雨があって、そうじゃなければ雨はないよ、それだけで実は行動っていうのは自然と整っていくんですよね。
そこに無知をプラスする必要はないということです。
アメあり・アメなしの法則
そういうふうに雨がもらえる行動、言い方としては甘えかしているような感じで聞こえるんですけど、その行動をしたら嬉しいことがあるよっていう結果があるっていう、そういう行動を子どもと一緒に育てていくというか、一緒に作っていくみたいなことが大事で、
この行動は褒めてもらえたから、もうちょっとこれをやってみようかなっていう、自発的な行動とか意欲っていうのに繋がっていくんじゃないかなと思っています。
なので雨と無知で行動をコントロールしようとするんじゃなくて、雨があるか雨がないかっていうこのシンプルなルールを丁寧に積み上げていくことが行動を整えていく大事なポイントになってくると思います。
今回のお話なんですけど、この話をしたかったのは、私自身が子どもが夏休みに入って宿題しなさいと毎日叱ってしまっているからなんですよね。
もちろんどなり散らかすみたいなことはないんですけど、気づいたら宿題しなさいって言ってるなっていうふうに思っていて、
この原理っていうのを知っていても、やっぱり我が子とのやりとりになると感情が溢れ出てしまうんだなっていうふうに思ってて、
バツのある関わりをしないように心がけているんだけど、やっぱり夏休みは毎日疲れるし、どんなに大好きな我が子であっても、ずっと一緒にいるとストレスも溜まってしまうんだなっていうふうに感じました。
今回のテーマは題名としてはちょっと重たかったかなって思うんですけど、どうか皆さんそんな自分はダメだみたいなふうには思ってほしくないと私は思ってて、
この事実を知っているか知らないかっていうのが大事で、最初にも言ったんですけど、それを100%子育てに生かせなくても大丈夫なんじゃないかなと思ってます。
子供と一緒で自分も成長していくんだっていうふうに思ってもらえたら嬉しいなと思います。
そんなふうにこのラジオを聞いてもらえたら嬉しいなと思っております。
理論も大事だけど、目の前のことを一生懸命な自分っていうのもぜひ大事にしていただきたいなと思っております。
ということで、一緒に頑張っていきましょう。今回も最後までお聞きいただきありがとうございました。
番組の感想は概要欄のお便りフォームからよろしくお願いします。
皆様の感想が励みになります。質問や相談などもお待ちしておりますので、よろしくお願いします。
それではまた次回の配信でお会いしましょう。