子どもの噛みつきの問題
この番組は、ティーチャーティーチャーで、親御さん向けのペアレンツプログラムの講師をしているkumiが、日々の気づきをシェアしていく番組です。
今回のテーマは、「子どもがお友達を噛んじゃう時の関わり方」についてです。
今回は、リスナーさんから届いたお便りをもとに、子どもの噛むという行動をどう捉えるか、
そして、どう関わっていくといいのかということについて、2つの視点からお話ししたいと思っています。
それでは早速、お便りを紹介したいと思います。
ニックネーム、まめこさんからです。
前回もまめこさんだったんですけど、多分違うまめこさんかな。
ティーチャーティーチャーも、ペアレントークもいつも聞いていて、とても勉強になります。
ありがとうございます。
相談なのですが、2歳の子どもが噛みつきを頻繁にしてしまいます。
保育園で、お友達のことを何度も噛んでいます。
物の取り合いなどがない場面でも、ただ目の前にいて邪魔だったというだけで噛んでしまうようです。
言葉は発達していて、意思疎通もできるのですが、噛みつきは1歳から相変わらずです。
その都度、噛んだら痛いよ、お友達泣いてるよ、言葉で言ってみてねと伝えてはいますが、何か良い対処法があれば教えていただきたいです。
ということです。
行動の分析とステップ
まめこさん、ありがとうございます。そして毎日の子育てお疲れ様です。
2歳って、まさに自我が芽生えてくるタイミングって言われてますよね。
言葉も出てくるけど、感情のコントロールとか伝え方ってまだまだ難しい時期で、
我が家にも同じ2歳のモンスターがおりまして、かわいいんですけどね。
かわいいんですけど、だけどなんですよね。
私も毎日毎日アクセントしております。
今回のようなお悩みって、きっとまめこさんだけじゃなくて、うちの子もそうなんだよなっていう風に感じている方ってたくさんいらっしゃると思います。
噛むっていう行動だけじゃなくて、手が出ちゃうとか、暴言を吐いちゃうとか、そういったやめてほしい行動。
どちらかというと、お友達を傷つけちゃうことになるから許しがたいって思ってる行動について、どうやって関わるとその行動が減っていくのかっていうのを今日はお話ししたいなと思っています。
そして、今回紹介するアプローチについては、決して2歳児さんだけに通用する考え方じゃなくて、相手が何歳であっても応用できる方法なので、年齢問わずお子さんの困った行動をどうにかしたいって思っている方にぜひ聞いていただきたいなと思っています。
では本題に入りますね。今回お話ししたいのは、噛むというような良くない行動、とりわけ許しがたい行動に対してどういう風に関わっていくといいかっていうことについてですね。
ポイントは2つの視点を持つことです。
1つ目は、その行動を減らすにはどうすればいいかっていう視点。
もう1つは、代わりにどんな行動を育てていくかっていう視点です。
この2つを組み合わせることで、子ども自身が噛む以外の方法を学んでいけるようにお手伝いができるんじゃないかなと思います。
この視点を持った上で、まずは行動の分析をしてみたいと思っていて、
豆子さんのお子さんの場合、例えばどいて欲しいとか、おもちゃが欲しいというように要求がうまく伝えられずに噛んでいるんじゃないかなというふうに見えるんですけど、
それに加えて噛んだことで大人がやめなさいとかダメでしょとか噛んだらお友達痛いよとかいうふうに反応している場合、
注目を引く手段として学習している可能性もあるんじゃないかなと思います。
つまり、噛むことが自分の願いを叶える手段になっていたり、誰かに噛まってもらう方法になっていたりするっていうことなんですね。
おそらくそうだと思うんですよね。
じゃあ、そんなふうに行動を分析してみたとして、具体的にどんな対応をしていけばいいのかっていうのを3つのステップでお伝えしたいと思います。
まず一つ目は、言葉で伝えたら願いが叶うっていう学習をすること。
例えば、子どもがボールって言ったらすぐにボールを渡すとか、どいてと言ったらすぐにどいてあげるっていうこのすぐにっていうのがポイントで、
その後でボールって言えたねって褒めたりとか、どいてって言えたねとしっかりフィードバックしてあげることっていうのも効果的だと思います。
言葉で伝えるとちゃんと目的が叶うっていう、そんな成功体験をたくさん積ませてあげることが大事だと思います。
ただ、これって子ども同士の場面ですごく難しいと思うので、まずは大人がその対応をしてできた、言葉で伝えたら願いが叶ったっていう経験を何度も何度も体験させることがまずは一つ目としてできることだと思います。
2つ目に、普段うまくお友達と関われているときに注目をしてあげること。
これ意外と見落としがちなんですけど、お友達と仲良く遊べているときこそ声をかけるチャンスだと思って、
仲良くできてるねとか、優しいね、ちゃんと順番を待ってたねっていうふうにできていることを評価というかポジティブにフィードバックしてあげて、その行動を評価していく。
こういうふうにできていることをフィードバックしてあげることで、その行動が増えていくことにつながっていきます。
そして3つ目に、噛んでしまったときは何も得られないという状況を作るということです。
これが応用行動分析学でよく出てくるタイムアウトっていうものの考え方です。
噛んだときに大人がコラーとかダメでしょとか反応をどうしてもしちゃうんですよ。
それをする代わりにそっとその場から話して、数分間離れた場所で落ち着かせる、何も得られない状態を作る。
これをやるときの一番大事なポイントが、その場から話したときに、その子と何も話さない、コミュニケーションを取らないという対応が大事です。
噛むという行動をしても要求が叶わないし、誰も注目してくれないという学習をする。
道徳的なお話とかお説教とかそういうことは一旦置いておいて、噛んだら何も得ることができないよっていうのを体で体験できるようなことを繰り返すことで、
噛んでも自分は何も得られないんだなというふうに学習することができていくと思います。
家庭での実践方法
この対応はおそらく保育園とか幼稚園の先生の協力も必要になると思うので、相談して実践してほしいなと思っています。
でも、お家でもできることも欲しいなというふうに思われると思うので、お家で何ができるかっていうと、ロールプレイすることっていうのができるんじゃないかなと思っていて、
わざと子供の前に立ってみて、どいてって言えたらどいてあげるとか、おもちゃを持っておいてちょうだいって言えたら渡すとか、言えなかったら渡さないで待っておくとか、
取ってとかちょうだいって言えたらすぐに渡すっていうのを日々の生活の中で練習として取り入れていくと、こういう時はこういうふうに言ったらいいんだなっていうのを覚えていくことができるので、
お家ではそういったことが取り組めるんじゃないかなと思っています。
ここで一つ強調したいことがあって、今紹介したやり方のうちのタイムアウトだけやっておけばいいんじゃないかっていうふうに考えてしまうこともあるかと思うんですけど、そうじゃないよっていうことを伝えたくて、
タイムアウトをすることで確かにその行動っていうのは意味を持たなくなるので、その行動は減っていく。だけど、じゃあ物が欲しい時とか、そこをどいて欲しいって思った時にどんな行動をすればその願いが叶うのかっていうのを同時に学習していかないと望ましい行動っていうのは習得できないっていうことになるので、
タイムアウトだけではなくて、同時にこれはOKだよってこういうふうに言えばいいんだよっていうやり方をロールプレイしていくっていうことがとっても大事だと思うので、この3つのステップっていうのをぜひ実践してみてほしいなと思っています。
ということで、今回は子どもの噛むという行動に対してどういうふうに関わっていいかっていうことについてお話ししました。
行動には必ず目的があって、噛むっていうことだけを見るんじゃなくて、その前後の環境の変化を見て、なんでこの子は噛むのかなとか目的は何なのかなっていうふうに見てみると、その関わり方のヒントっていうのが見えてくると思っていて。
さらに望ましい行動を育てるためには、その望ましい行動によって要求が叶うっていう体験を繰り返し行うことで、望ましい行動を学習していく。そうすると、こちらは叱らずに、説教せずにでもちゃんと変わっていくっていう、そんな関わり方をぜひ試してほしいなと思っています。
最初にもお伝えしたんですけど、他の困りごとにも応用できる考え方なので、ぜひ実践してみてほしいなと思います。
実践例と感想の紹介
最後にもう一つお便りで感想をいただいたので、最後にご紹介したいと思います。ニックネームちまちまさんよりいただきました。
ちまちまさんありがとうございます。
久美さんこんにちは。初めてメッセージさせていただきます。毎回これはすぐにやってみようと思える実践例や、今まで持っていなかった視点がもらえるお話をしてくださりありがとうございます。
今回の実践も素敵な取り組みで聞いていて心が温かくなりました。
前々回の配信でお話しした家族で取り組むポジティブ行動支援のことについてメッセージをいただいております。
お子さんの行動の変化に感動し、家族みんなでできているという点もとてもいいなと思いました。
このお話に刺激され、やり方は違うのですが、昨晩酔い出し会をしてみました。
夕食時に家族のいいなとかすごいなと思うところを3つ見つけて言えたらジュース1杯とご褒美を設定してスタート。
中1の長男は人のいいところを見つけて何になるんと最初は乗り気じゃなかったですが、結局家族に巻き込まれてコメントしていました。
みんな自分に対してそんなこと思ってたんだと嬉しそうだったり驚いたりとても楽しい時間になりました。
実践をシェアしてくださりありがとうございました。これからの放送も楽しみにしていますというメッセージでした。
めっちゃ嬉しいな。めちゃめちゃ嬉しいです。
長男さんが照れながらも家族のいいところを言っている姿を想像するとにやけてしまいますね。
かわいいな。とても素敵なアレンジだなと思いました。
ポジティブ行動支援を紹介したときに結構大掛かりな作業についてお話をしたので、なかなか敷居が高いと思った方もいらっしゃると思うんですけど、こんな感じでみんなでやるぞってがっつり計画立ててやらなくても、
気軽にご家庭の中でポジティブな言葉を発する機会っていうのを作っていくだけで、親御さんもお子さんも笑顔が増えていくんじゃないかなと思うので、とっても素敵な取り組みだなと思いました。
そして、私の配信が誰かにちゃんと届いているっていうことを感じることができたので、本当に嬉しいです。これからも頑張って配信していきたいなと思いました。
ありがとうございます。
ぜひ他の皆さんも質問や感想とか、やってみたけど難しかったとか、何でもいいのでお便りをいただけると本当に嬉しいです。
お便りフォームのリンクを概要欄に貼っておりますので、ぜひぜひお寄せいただければなと思います。
ちょっと今日は長くなりましたけど、最後までお聞きいただきありがとうございました。また次回の配信でお会いしましょう。