相談内容の紹介
この番組は、ティーチャーティーチャーで、親御さん向けのペアレンツプログラムの講師をしているkumiが、日々の気づきをシェアしていく番組です。
さて、今回はリスナーさんから届いたご質問にお答えしたいと思います。
ニックネームまめこさんからのご質問です。
中学生の子供がいます。ゲームをしているときに、うまくいかないと死ねなどきつい言葉を使います。
ゲームを一緒にしている子に言っているわけではなく、独り言ではありますが、そのような言葉を使ってほしくありません。たまに机をバンと叩いたりすることもあります。
イライラすることは仕方ないけれど、その言葉は使ってほしくないと伝えていますが、つい出てしまうようです。
いつもそのような言葉を使っていると、ゲーム中ではなくても、普段イライラしたときにも人に言ってしまうのではないかと心配になります。
実際、兄弟喧嘩のときに言うこともあります。どのように伝えたらよいでしょうかということです。
まめこさん、ご相談ありがとうございます。こういったケースは多くのご家庭であるのではないかと思います。
兄弟喧嘩のときにも言うことがあると書いてあったので、ぜひ前々回に紹介したポジティブな行動支援を実践してもらえたらいいなと思ったのですが、
書いてあるように、お子さんのつい出てしまうという行動とか言葉っていうのは、他の場面でもよくあることじゃないかなと思っていて、
これを応用行動分析学の視点で見てみると、自己刺激だったりとか、あとは回避とか逃避っていう機能が関係しているんじゃないかなというふうに見ることができそうです。
今回は、この自己刺激だったりとか回避とか逃避の行動としての良くない行動を減らしていくためのステップについて、今すぐできそうなことについてお話ししたいと思います。
ゲーム中の良くない発言だけじゃなくて、本当にいろいろな場面で使えそうな手順なので、まめこさんも他の皆さんもぜひ参考にしてもらえたらなと思います。
ということで、今回のお悩みは、ゲーム中に発する良くない言葉をやめさせたいということだったので、まずこの行動を分析してみると、先ほど少し出てきたんですけど、2つの目的というか機能を果たしているんじゃないかなというふうに見ることができます。
1つ目は興奮状態で自己刺激する、自分の中ですっきりするという言い方がわかりやすいかな、そういう機能を持っているんじゃないかなという分析と、回避とか逃避ですね、ゲーム中に感じる不快な気持ち、負けそうな焦りだったりとかストレスとかそういうものから一時的に気をそらすために言っているんじゃないかという見方ができると思います。
じゃあそういった場合にどういうふうに対応すればいいのか、方法というのはいろいろあると思うんですけど、今回はすぐにできそうなことについて順番にお伝えしたいなと思います。
まず1つ目としてできていることを見つけることですね。いきなりこれはしないでねっていうふうにルールを作ってやめさせるのではなく、おそらくゲームをしている最中にそう言っていない瞬間があると思うんですよね。
言っていない瞬間だったりとか、その言葉だったらOKだよっていう言葉、クソとかムカつくとか、そういう言葉だったらOKだよっていう言葉を言っているときに、その行動を褒めるっていうことですね。
なので、よくないことをしているときじゃなくて、望ましい行動だったり、それはセーフだなって思う行動をしているときに、とにかく褒めてあげるっていう方法です。
このときに、それはダメだよっていう注意をするんじゃなくて、それはいいよね、それはOKだねっていうふうに声をかけてあげるのがいいんじゃないかなと思います。
もちろん、セーフラインっていうのはご家庭によって基準が違うと思うので、ご家庭に合うセーフラインっていうのを決めてもらいたいなと思います。
こんなふうにできていることを褒めるアプローチっていうのは、これまでもラジオとかインスタの方でも発信していますので、そちらも参考にしてもらえたらなと思います。
2つ目の手順として大事なことが、冷静なときに伝えることです。
ついついゲームをしている最中に、死ねっていうふうに言った瞬間に、もうその言葉は言わないでって言ってるでしょって、それを言ったら周りの人が嫌なんだよねとかいうふうに説得したくなっちゃうと思うんですけど、
そういうふうな発言をしている瞬間っていうのは、さっき出てきたように興奮している状態だったり回避しようとしている状態なので、何を言っても本人の頭の中には入ってこないわけですよね。
なので、本人が落ち着いているときで、こっちも冷静な状態で怒ったりしてない状態のときに、死ねっていう言葉は周りの人を嫌な気持ちにするんだよね、だから使ってほしくないんだっていうふうに子供に伝えると。
だけど、ゲームしてたら悔しいって気持ちになるのはわかるよ、そういうときはクソとかそういう言葉だったらOKなんじゃないかなと思うよみたいな感じで、どの言葉だったらセーフだねっていう話をそういう冷静なときに話し合うことっていうのが大事なんじゃないかなと思います。
3つ目に減らない場合の対策をお伝えしたいと思います。そういったできてることを褒めたりとか、冷静なときに伝えるっていうことをやってみても、なかなかその言葉が減らないよっていう場合には、行使消失により弱化っていう手続きを行うこともできると思います。
それは何かというと、例えばゲーム中に死ねと言ったら、1回発言するたびに翌日のゲーム時間が何分減っていくよというようなシステム作りですね、ルール作りです。これはその場で言ってやるんじゃなくて、これもちゃんとルールとして作るものです。
何か良くない行動をすると、楽しみとか喜びとかが減っていくっていうシステムですね。どんなふうにやるかっていうと、例えばフルポイント溜まったポイントカードみたいなものを作って、そこにはシールが全部溜まってるんだけど、それを持った上で死ねって言うたびにそのシールが1枚ずつ剥がされていくみたいなものだったりとか、
ホワイトボードにマグネットを入っておいて、そこから発言するたびにマグネットが外されていく。その外された分、翌日のゲーム時間が減っていくよみたいなものですね。こういったシステムも有効かなと思っていて、この方法っていうのは叱ることじゃないんですよね。
言うたびに叱られるわけじゃなくて、喜びが減っていくっていうものなので、叱るっていうことでお互いの負担っていうのがあまりない状態。そして視覚的にも分かりやすいっていうのがポイントですね。もちろんこれも事前にしっかり話し合ってルールを決めることが大事だと思います。
それから、このような行使消失による弱化っていうものについては、望ましい行動を褒めるっていうポジティブな行動支援をしても、それでも減らない場合に使用してほしいなと個人的には思っています。ただ、さっきも言ったんですけど、このアプローチっていうのは叱らない関わりとしては有効なので、本人にとって負担が多すぎない範囲で使う分にはいいかなと思います。
まとめと今後の展望
今回紹介したアプローチは応用行動分析学に基づいていて、この考え方のベースは言葉で注意したりとか、叱責したりするんじゃなくて、行動そのものに注目して、その機能を分析して環境を整えていくっていう考え方がありますので、それをベースにお伝えしました。
その手順としてお伝えした大事なポイントは、いきなりルールを作らないっていうこと。それから、まずできていることを見つけて褒める。そして、セーフな行動っていうのを具体的に伝えるっていうことですね。
最後に必要なら行使消失っていうのを使ってルールを作るっていうこの順番がとても大事で、この順番を守ることで子どもとの関係性を崩さずに子どもの行動変容を促すことができると思います。ぜひ今回のお話を参考に取り組んでみてくれたらなと思います。
まめこさん、ご質問ありがとうございました。今回のように皆さんからのお便りとかご質問とかご感想っていうのを募集しておりますので、概要欄のお便りフォームのリンクから送っていただけたらなと思います。今回も最後までお聞きいただきありがとうございました。また次回の配信でお会いしましょう。