ポジティブ行動支援の紹介
今回の取り組みは、応用行動分析学の 行動文化強化っていう考え方を応用したもので、
良くない行動にアプローチするんじゃなくて、 それとは別の行動を強化することで、良くない行動を減らしていくという…
今回は、ポジティブ行動支援をテーマにお話しします。 このポジティブ行動支援については、第5回の配信
「うまくいかないとおもちゃを投げるにどう呼び出しする?」でもお話ししました。 今回は、その応用編とも言える内容です。
実は、第5回の配信の時に、ある論文について少し触れました。 それは、問題行動が多かった中学校で、このポジティブ行動支援を導入した結果、
行動が劇的に改善したという研究でした。 今回はそれをヒントに、家庭でもこの考え方を活かしてみたら、
兄弟喧嘩や親子関係の改善にとっても有効なんじゃないかなと思い、 実際にご家庭で取り組まれた実践結果があるので、それをもとに皆さんにシェアをしたいと思います。
なぜこのテーマを話したいと思ったかというと、受講生さんの中に、子どもが家で家族にきつく当たってしまって、特に弟に対してひどいことを言ってしまうというお悩みを持つ方がいらっしゃいました。
その方と一緒に考えて、家族みんなで嬉しい言葉を掛け合って、ポイントがたまるとご褒美があるという仕組みを作ったところ、
なんと弟に対する態度が変わって、よくない行動が目に見えて減っていったんです。
この実践を通して、家庭の中での人間関係もグッと良くなる可能性を感じたので、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思いました。
このポジティブ行動支援を知って実践することで、例えば兄弟喧嘩とか親子関係の課題というのも叱ってやめさせるのではなく、呼び出しでポジティブな関わりを増やすという方法が取れると思います。
家庭での実践例
そうすると、家庭の中に自然と嬉しい言葉とか優しい声が増えていって、家族全体が笑顔になっていくんじゃないかなと思います。
ということで、今回の実践についてまずお話しします。
今回の実践例は、家庭の中で感触を起こしがちな年長の女の子に対して行ったものです。
内容はとってもシンプルです。
家族みんなでお互いに嬉しかったこととか、いいなと思ったことを言葉にして伝え合う。
それができたらハートポイントがたまって、みんなのハートがいっぱいになったら、なんと子どもたちの大好きなテーマパークに行けるっていう仕組みです。
家族みんなが見える場所にどこどこに行くぞとか、どこどこに行こうっていう風に書いた大きな紙を貼って、そこにシールを貼っていくっていうことでした。
この取り組みを続けた結果、お姉ちゃんの感触行動が減って、家の中に嬉しい言葉がどんどんあふれていったという素敵な変化が起きました。
これを聞いていると、中には本心じゃなくてもポイント欲しさに言ってためるんじゃないのっていう風に感じる方もいると思うんですけど、
でもよく考えてみてほしいんですけど、普段よくない言葉とか喧嘩が多いという環境の中で、たとえ最初ぎこちなかったりとか、それ本心なのっていうような行動であっても、
優しい言葉とか前向きな言葉が飛び交うようになったら、それだけでその時点でよくない言葉っていうのは減りますよね。
人間は口は一つしかないので、優しい言葉を話しているときは同時にきつい言葉は出せないと思うんですよね。
さらに私が感動した実践の報告がありました。実際にこんな嬉しい報告が届いていますので、ちょっと読み上げますね。
昨日の夜、びっくりなことがありました。
兄弟で意見が食い違って、どちらも譲らない感じだったんですが、いつもならお姉ちゃんが大声を出しちゃう場面で、
ふと我に返って私の方を見て、「ママ、こういう時どうしたらいいの?」と落ち着いた声で聞いてくれたんです。
すぐに褒めてシールを貼りました。寝る前にも振り返って、困った時は一緒に考えるよと伝えました。
これまでは大声を出すという反応だったんですが、自分でブレーキをかけて、お母さんに相談するという新しい選択肢を取ったんですね。
そして、このお母さんの対応も素晴らしいですよね。
こうした方がいいよとかじゃなくて、一緒に考えるよというスタンスがとても素敵だなと思いました。
今回の取り組みは、応用行動分析学の多行動分化強化という考え方を応用したもので、
良くない行動にアプローチするんじゃなくて、それとは別の行動を強化することで良くない行動を減らしていくという方法です。
ポジティブ行動支援では、こうしたテクニックをうまく使って、自然と良くない行動が減っていくような仕組みを作っていきます。
ただポイントがあるので、ポイントをお話ししますね。
まず、子どもにやらせるのではなく、家族で一緒に取り組むことが大事じゃないかなと思います。
そして、嬉しい言葉を言ってくれるたびに、嬉しいっていうことを言葉で伝えたりとか表情で伝えたりして、
さらにシールを貼る、目に見えて分かるっていう状態がとても良いと思います。
それから、最も注意してほしいことが、この取り組みを脅し文句にしないということです。
どういうことかというと、もし良くない言葉とか良くない行動をしたときに、そんなことをしたらシールたまらないよとか、テーマパーク行けなくなっちゃうよっていうことを絶対に言わないでほしいということです。
なぜそうしてはいけないのかということについてお話ししたいんですけど、ちょっと長くなってしまうので、次回その理由についてお話ししたいと思っています。
今回は、良くない行動をしたときは、取り組みのことについては触れずに淡々と対応するっていうふうに覚えていてもらえたらと思います。
そして、望ましい行動や嬉しい言葉を言ったときだけ喜んでシールを貼ってみてください。
ぜひ、兄弟喧嘩や親子関係などにお悩みの方にも参考にしていただけたら嬉しいです。
もしやってみましたとか、ちょっと難しかったなどの感想があれば、ぜひお便りフォームからお知らせしてもらいたいなと思います。
リンクは概要欄に貼っておりますので、その他ご質問やご感想、一言メッセージでも大関係です。
ということで、今回も最後までお聞きいただきありがとうございました。また次回の配信でお会いしましょう。