負けることに対する恐怖
この番組は、ティーチャーティーチャーで親御さん向けのペアレンツプログラムの講師をしているkumiが、日々の気づきをシェアしていく番組です。
今回のテーマは、負けたくないが強い子に関わるための2つの視点についてお話ししたいと思っています。
負けたくないとか、勝たないと気が済まない、そしていざ負けてしまうと大泣きしたりとか大暴れしてしまったりとか、そんなお子さんの姿にどう関わったらいいのかっていうふうに悩んでいる方も多いんじゃないかなと思っていて、
今回はこのテーマについて2つの視点からアプローチしてみるといいですよっていうお話をしていきたいなと思っています。
その2つの視点っていうのが、1つ目は負けても大丈夫っていうところを育てていくこと、そしてもう1つは負けた時の感情をどう扱うかという視点です。
このテーマを取り上げようと思ったのは、私が講師をしているペアレンツプログラム日々のコミュニティがあるんですけど、
そのコミュニティでは相談会って言って、おのおの相談したいことを持ち寄って、私が答えたりとか、日々を支えてくれているサポートのメンバーが答えてくれたりとか、
受講生同士で、これ良かったよと、これいいんじゃないみたいな感じで、みんなでアイデアを出し合うっていう時間が定期的にあるんですよね。
その中で、うちの子すごい勝ちにこだわるんです、どうしても負けたくないみたいな気持ちが強くて、どう関わってあげたらいいかわからないんですっていう相談があったので、
みんなでどうしたらいいだろうっていうアイデアを出し合ったんですよね。その時に出てきたアイデアの一つが、とっても素敵だったので、これは多くの方にシェアしたいなと思ったので、今回テーマに選ばせていただきました。
じゃあ早速、その2つの視点についてお話ししていきたいんですけど、1つ目の視点、負けても大丈夫というところを育てていくっていうことについてなんですけど、
負けるのが怖いとか、負けたくないっていうことに対して、強く感じるお子さんっていうのは、おそらく私たちが想像している以上に、負けるっていうことが危険なぐらいのレベルで怖いことだったりすると思うんですよね。
心の中ではすっごく大きな恐怖なのかなっていうふうに思っていて、実際に受講生のお子さんのお話を聞いたりとか、私がソーシャルワーカーとして学校に入っていたときに聞いたり見たりしてきたお子さんの中にも、やっぱりそこに対して負けるっていうことに対して、すっごく不安や恐怖を持っているお子さんっていうのはたくさんいたなっていうふうに思っていて、
なぜそうなのかっていうところの背景っていうのはそれぞれ違うとは思うんですけど、そんなお子さんたちにとって大丈夫だよっていうふうに言葉だけで伝えたところで、なかなか届いていかない不安が取り除かれないとは思うんですよね。
で、そういった不安が強いお子さんについては、ちょっと以前もペア連トークの中で出てきたと思うんですけど、認知行動療法だったりとか、あとは暴露療法とかそういったものによって不安を取り除いてあげるみたいなことも必要になってくるとは思うんですけど、
家でもできること、すぐにでも取り組めることっていうのも皆さん知りたいだろうなっていうふうに思っていて、こうこうこうでこの前わかったよねとか言葉で伝えていくことっていうのももちろんいいと思うんですけど、やはり言葉よりも体感する。
大丈夫だったっていうふうに体で感じるというか、経験するっていうことがより本人にとっては不安が減っていくことにつながっていくのかなって思うので、体で体験する、そういったところを取り入れてみるといいんじゃないかなと思っています。
それについて私がお勧めしたいやり方っていうのがあって、それは私がスクールソーシャルワーカーをしてたときに出会ったとある先生が教えてくれた方法なんですけど、通級指導をしてくれてる先生でしたね。
その方が取り組んでいた遊びというかゲームが有効なんじゃないかなというふうに思っているので紹介しますね。それが名付けてマイッカゲームということで、何てつけてもいいんですけど名前は。
どういうことかというと、くじ引きとか運によって勝ち負けが決まっちゃうようなもの。シンプルにまずくじ引きから始めた方がいいと思うんですけど、くじ引きの中にハズレと当たりがあるっていう状況を作っておいて、ハズレの方が多いんですけど。
ハズレを引いたらマイッカーって言うっていう、ただそれだけのシンプルなゲームなんですけど、まず大人がそれをやってみせるんですよね。ハズレが出たらハズレちゃったでもマイッカーとか残念でも大丈夫またやろうとか。
そんなふうにハズレたとき、ここで言うと負けたときにポジティブに反応する姿っていうのをまず子供に見せていく。今度は一緒にやろうよって子供と一緒にそれを取り組んでみて、お子さんがハズレを引いたらハズレちゃったマイッカーとかいうふうに言えたら、いいねナイス負けリアクションとかそんな感じでこちらもポジティブにフィードバックしてあげる。
それがもうエンターテインメントなんですよね。負けとか勝ちとかじゃなくて負けたときにマイッカーとかいうふうにポジティブに反応するのを楽しむみたいな感じのエンターテインメントにしておいて。
実際にトランプとかボードゲームっていうのもその後にやってみて、そこにそのマイッカーゲームのルールを加えてみたりとかして。今からトランプやるよボードゲームやるよって。
ここにさこの前やったマイッカーゲームのルールを入れようよって。負けた人はマイッカーっていうふうに反応して、勝った人はその負けた人に対してナイスチャレンジとかポジティブな声かけをするっていうルールはどうかなみたいな感じで、一回やったことをそこに付け加えてあげるんですよね。
そして家族でトランプだったりボードゲームっていうのをやって負けたら負けちゃった。マイッカーとか悔しい残念でもまたやろうとかそういう言葉を言えたらOKみたいな感じのゲームを取り入れていくこと。
これはすごく有効なんじゃないかなと思っていて、一回だけとかじゃなくて何度もこういう関わりっていうのを続けていくことで、体感として負けた時に反射的にそういうふうにポジティブな反応ができるみたいなことを擦り込んでいくような感覚ができると少しずつ成長していくんじゃないかなっていうふうに思っています。
感情の扱い方
そして2つ目の視点は負けた時の感情をどう扱うかっていうことでしたよね。どんなに頑張っても負けることは絶対あるし勝つこともあるし、だけどその負けた時に悔しいとか悲しいとか怖いとかそういうふうに出てきた感情をどういうふうに扱おうかっていうところにフォーカスしてあげることっていうのも大事だと思うんですよね。
そこで紹介したいのが、最初にちょっと伝えていた日々のコミュニティの中で出てきたアイデア。日々のコミュニティをサポートしてくれているママさんの実際にされている実践の内容なんですけど、それがとても有効的だなと思ったのでちょっとご紹介したいんですけど。
このお母さんも勝ちにこだわるお子さんを実際に育てていて、その中でこれいいんじゃないかっていうふうに取り組まれた内容なんですよね。
それが何かというと、嫌な気持ちになった時、負けた時とか悔しいとかそういうふうになった時に、どんな行動をするかっていうのを一緒に考えようっていうふうに取り組んだそうなんですよ。
それで出てきたアイデア、そして実際にやっているっていうものが、サンドバックとバランスボールと鉄棒をやってますっていうことだったんですよね。
まずサンドバックで思いっきりパンチして、今度はバランスボールに乗ってぴょんぴょん飛んでみて、そして鉄棒で回ってみてみたいなことをやっていくうちに気持ちが落ち着いていく。
気持ちが落ち着いたらリセットされて、じゃあもう一回やろうかとか、別のことしようかとかいうふうに次の行動にステップできるっていうことだったんですよね。
すごい素敵な取り組みだなと思っていて、ただこの方法って実はしっかり理論的な裏付けもあって、それが感情調整理論っていうふうに言われていて、エモーションレギュレーションっていうふうに呼ばれています。
代表的な研究者の方にジェームズ・グロスさんっていう方がいるんですけど、この方が感情の調整方法っていうのを大きく二つに分けていて、一つは感情が出てくる前の対応、予防的な調整ですね。
もう一つが感情が出た後の対応、対処的な調整、この二つを作っていくといいですよみたいなことをおっしゃっています。
ここではそこについて詳しくお話ししないんですけれども、体を動かして感情を落ち着かせるっていうのは、後者の感情が出た後どうするかっていう部分だと思っていて、
その体を動かすことによって興奮した気持ちとか神経を落ち着かせて、そして次の行動につなげるっていうことのサポートになっているっていうことなんだそうです。
なのでこの提案してくれたママさんのように、お子さんと一緒に気持ちを整える方法っていうのを一緒に探していくっていう姿勢がとってもいいと思っていて、
もちろんこの方法が合うお子さんと合わないお子さんもいるし、そのエモーションレギュレーションでちょっと調べてもらうと他にもいろんな方法っていうのが出てくるので、
それを見てみて、我が子に合った方法っていうのをこちらが提示したり決めつけるんじゃなくて、一緒に考えようよっていうふうにしていくことがとってもいいんじゃないかなと思っています。
安心感の育成
ということで今回のテーマ、負けたくないが強いお子さんへの関わり方について、2つの視点からお話ししました。
1つは負けても大丈夫っていうのを育てていくこと。
もう1つは負けた時の感情をどう扱うかっていう視点でアプローチしていきましょうっていうことでした。
どちらもすぐに結果が出るものでは決してないんだけど、毎日のちょっとした工夫とか声かけとか遊びの中でそういった経験を積み重ねていくことで、
少しずつ子供の中に安心できるとか自信がついたとか、そういうことが育っていくんじゃないかなと思っているので、ちょっとずつでもいいので実践してみるといいんじゃないかなと思いました。
もちろん勝ちたいっていう気持ちも大事だと思うので、そこは大事にしながら、でも負けても大丈夫だよねっていうふうな心を育てていきながら、
またチャレンジしてみようとか、次に向かう力っていうのも同時に育てていけたらいいんじゃないかなと思います。
ということで、番組の感想や聞きたいことなどがありましたら、お便りフォームのリンクを概要欄に貼っておりますので、ぜひぜひお寄せいただければなと思います。
とっても嬉しいんですよ、いただけると。
ということで、今回も最後までお聞きいただきありがとうございました。また次回の配信でお会いしましょう。