真田幸村、歴史に登場
今晩は、今夜もまた、おやすみ歴史ラジオの時間がやってきました。 ベッドに入って、一番リラックスできる姿勢で聞いてね。
今夜から新しく始まるのは、第6走者:真田幸村の物語です。 昨日の第5走者だった石田光成は、関ヶ原の戦いで徳川家康に敗れてしまいましたが、最後の瞬間まで自分の信じる正義を貫き通しました。
その三つなりのまっすぐな心は、家康の胸にも深く刻まれ、誰も戦わなくていい平和な江戸の仕組みへと繋がっていったのでしたね。
しかし、そんな家康の前に、後に歴史上で最も強い武将、日の基一の強者と称えられる一人の天才が現れます。
真田家の危機と父・昌幸の知恵
それが今夜の主役である真田幸村です。幸村がまだ幼くて弁丸と呼ばれていた頃、彼の家である真田家は、品野の国、今の長野県にある山に囲まれたとてもとても小さな大名でした。
どれくらい小さかったかというと、周りを見渡せば、武田信玄や植杉謙信、織田信長に徳川家康といった、誰もが知っているような巨大な国の大名たちが、ギラギラとした眼を光らせて真田の領地を狙っている、そんな恐ろしい環境でした。
大きな鯨たちの中にポツンと一匹だけで泳いでいる小さな眼高のような存在だったのです。普通ならあっという間に大きな国に飲み込まれて潰されてしまうはずの真田家。しかしこの眼高はただの眼高ではありませんでした。他には絶対に負けない強力な武器を持っていたのです。
それは戦国最強の地匠と呼ばれた雪村のお父さん、真田正幸の恐ろしいほどの知恵でした。お父さんの正幸は、周りから表裏卑怯の者、つまり表と裏を使い分ける、最高にズル賢くて食えない狐のような男と恐れられていました。小さな国を守るためならお父さんは何でもしました。
ある時は北の上杉謙信に頭を下げて味方になりますと言ったかと思えば、次の日には東の織田信長に手紙を書いて、あなたの家来になりますと微笑み、さらにその夜には徳川家康を騙すための罠を仕掛ける。そうやって大きな大名たちの間をすり抜けながら、自分の国を絶対に守り抜くという執念の塊のような人だったのです。
お父さんはいつも幼い幸村の手を引き、山の地形を見せながらこう教えてくれたと言います。
便丸よ、よく見ておくのだ。大きな国に力で立ち向かっても、私たちは一瞬で踏みつぶされる。だがな、頭を使い、相手の心の裏を読み、味方を完全に騙すほどの嘘をつけば、どんな大群が相手でも、この小さな城を守り抜くことができる。
体は小さくても、心まで負けるな。知恵を絞り、家族みんなで固いチームワークを作るのだよ。幸村は、そんなお父さんのはちゃめちゃで、けれど誰よりも頼もしい大きな背中を見つめながら、小さな国が生き残るためのずる賢い知恵と戦い方を、スポンジが水を吸い込むようにどんどん吸収して育っていきました。
徳川家康との戦いと真田の知恵
やがて大人になった幸村に、初めての大きな試練が訪れます。なんと、あの徳川家康が、数千人というものすごい数の大群を率いて、真田の小さな城を潰しに攻めてきたのです。真田の城にいる兵隊は、徳川の数分の一しかいません。
誰もが、もうおしまいだ、勝てるわけがないと怯えるような大ピンチでした。しかし、お父さんの正幸と、成長した幸村の心は少しも折れていませんでした。それどころか、お父さんはにやりと不敵な狐のような笑みを浮かべ、幸村にこう言ったのです。
さあ幸村よ、私たちが毎日磨いてきた、真田の知恵を見せる時が来たぞ。お前なら、この大群をどうはめる?幸村は力強くうなずきました。お父上、相手は大群だからこそ、こちらの小さな城を侮り、早く手柄を立てようと焦っています。
その焦りを誘い、城下町の狭い道から城の奥深くまで引きずり込んで、一気に叩きましょう。真田の親子は、町全体を使った罠だらけの作戦を組み立てました。何も知らない徳川の大群は、真田の小さな城を見て、あんな小さな城、一日で落とせるぞと油断しきって、一斉に突撃してきました。
幸村たちは、わざと慌てて負けたふりをして、城下町の細いあぜ道や城の門へと逃げ込んでいきます。それ見ろ、敵は逃げ出したぞ。一人も逃がすな、追えと徳川の兵隊たちが狭い通路にぎゅうぎゅうに詰めかけ、身動きが取れなくなったまさにその瞬間でした。幸村の鋭い声が響き渡ります。
いまだ、真田の知恵の恐ろしさを思い知らせてやれ、次の瞬間、通路のあちこちに隠されていた大きな丸太や岩がドカンと落ちてきて、徳川の兵隊たちの行く手を完全に塞ぎました。さらに、屋根の上や壁の隙間、さらには刈り取った草の中に隠れていた真田の兵たちが、一斉に鉄砲を打ちかけたのです。
どこから攻撃されているかもわからないパニックの中で、徳川の大軍は大混乱に陥ってしまいました。それだけではありません。
慌てて引き返そうとする徳川の軍勢の後ろから、幸村自身が率いる部隊が、ものすごいスピードで横から奇襲を仕掛けたのです。小さな国の驚くような大逆転劇でした。
徳川家康の大軍は、自分たちの何分の一しかいない真田の知恵とチームワークに完全に翻弄され、たくさんの大損害を出して、胃の力がら逃げ返っていったのです。この戦いによって、真田の国にはとんでもない天才親子がいる、という噂が日本中に轟くことになりました。
若き日の幸村の成長と未来への予感
あの天下の家康に大恥を欠かせた、小さな国の大きな知恵。幸村は、お父さんと一緒に城を守り抜いた大きな達成感の中で、真田の武将としての強い誇りと、知恵でかつ面白さを、その胸に深く刻み込んだのでした。しかし、歴史の激しい波は、この幸せな親子をそのままにはしておきませんでした。
この後、真田家をさらに大きな運命の渦が襲うことになるのですが、そのお話は、また明日。今夜は、小さくても知恵を絞り、大軍を相手に爽快な大逆転を見せた、若き日の幸村の姿を思い浮かべながら、温かくして休んでくださいね。それでは、おやすみなさい。