明治維新後の葛藤と西郷の決断
今晩は、今夜もまた、おやすみ歴史ラジオの時間がやってきました。
ベッドに入って、一番リラックスできる姿勢で聞いてね。
さて、西郷隆盛の物語も、今夜で第4話。
いよいよ最後の幕が上がります。
前回は、坂本龍馬の仲介によって宿敵である長州藩と薩長同盟を結び、
さらには江戸の町を戦火から救うという奇跡の江戸城無血会場を成し遂げた高森の大活躍を見てきましたね。
自分の名誉やメンツをすべて捨て去り、ただひたすらに民の命を救うために走り続けた高森。
彼らの命がけの戦いによって、ついに新しく平和な明治の時代が始まりました。
しかし、新政府の最高リーダーの一人となった高森を待っていたのは、
かつて一緒に命を懸けて戦った仲間たちとの、あまりにも悲しい心のすれ違いでした。
新しく誕生した明治政府は、欧米の国々に負けない強い国を作るため、急激な近代化を進めていきました。
その改革の中で、これまで国を支えてきた武士という身分が完全に廃止され、
刀を持つことも、武士としての給料をもらうことも禁止されるという激的な変化が起こったのです。
時代の変化といえば聞こえは良いですが、
それは昨日まで命を懸けて戦ってきた全国の何十万人という武士たちが、
突然職を失い、誇りを奪われ、明日の暮らしにも困るという残酷な現実を意味していました。
政府の仲間たちが、きらびやかな洋服を着て近代化を喜ぶ中で、
高森だけは、路頭に迷う武士たちの悲痛な叫びに、じっと耳を傾けていました。
彼らは、自分の利益のために戦ったのではない、この国を良くするために命を懸けたのだ。
それなのに、持ちが済んだからとゴミのように捨て去るというのか。
高森は、苦しむ彼らを救うために政府の中で懸命に議論を重ねましたが、
近代化を急ぐ他の役人たちとの溝は深まるばかりでした。
ついに、自分の理想とする優しき新時代と、
目の前にある冷酷な政治の現実との板挟みになった高森は、
政府の役職をすべて投げ打ち、静かに東京を去る決断を下したのです。
俺の役目はもう終わった。
高森は、故郷である薩摩、鹿児島へと帰っていきました。
故郷への帰還と私学校の設立
東京の政府を去り、ふるさとの鹿児島へと帰ってきた高森。
彼は政治の表舞台から完全に身を引き、
大好きな犬を連れて山へウサギ狩りに出かけたり、
温泉に浸かったりしながら、穏やかな隠居生活を送り始めました。
しかし、時代は彼を放ってはおきませんでした。
高森を慕って何千人もの決起作感な若い武士たちが、
次々と東京の政府を辞めて鹿児島へと集まってきたのです。
仕事も行くあてもなく、ただ政府への怒りを募らせる若者たちを見て、
高森は彼らが暴動を起こさないよう、
正しい学問と技術を身につけさせるための学校、私学校を設立しました。
高森は、若い教え子たちと一緒に汗を流し、畑を耕し、
これからの日本を支える人材を育てようと、深い愛情を注ぎました。
ところが、この鹿児島の動きを、東京の政府は、
最後が反乱の準備を進めているのではないか、と激しく警戒したのです。
西南戦争の勃発と西郷の最期
政府は鹿児島にスパイを送り込み、
私学校の武器庫から武器を秘密裏に運び出そうと計画しました。
これを知った私学校の若い生徒たちは、
自分たちが完全に政府から敵とみなされたことに激怒し、
ついに政府の施設を襲撃して武器を奪い返してしまったのです。
この知らせを聞いたとき、高森は、天を仰いで深くため息をつきました。
下手、もう取り返しがつかぬ、
それが平和を誰よりも望んでいた高森の本音でした。
決起作反な若者たちの暴走は、
もはや誰にも止めることはできませんでした。
もしここで高森が彼らを見捨てて逃げれば、
若者たちはただの暴徒として、
政府の大群に無惨に虐殺されるだけです。
これまで苦しむ人々のために命を捧げてきた高森、
地獄の島を生き抜いた彼の心の奥底にある優しさは、
ここでも間違った道へ進もうとする若者たちを、
どうしても見捨てることができませんでした。
おはんらの命、この最後を預かった高森は、
すべての責任を自分が背負い、
政府に対して反乱を起こす軍勢の総対象になることを決意したのです。
こうして、かつて明治新政府を一緒に作ったはずの高森が、
新政府に牙を剥くという、日本最後の内戦、
西南戦争が幕を開けてしまいました。
近代的な大砲や最新の銃を持つ政府軍に対して、
高森率いる薩摩の氏族たちは、
古い刀を手に凄まじい闘志で立ち向かいました。
しかし、時代の流れは残酷でした。
どれほど個人の武勇が優れていようとも、
次々と送り込まれる政府の圧倒的な軍事力の前に、
薩摩軍は次第に追い詰められ、
多くの若い命が戦場に散っていきました。
激しい戦いが始まってからおよそ半年、
高森と僅かに生き残った兵士たちは、
故郷の鹿児島にある城山という小さな山へと逃げ込みました。
周囲は完全に政府軍に包囲され、
もはや逃げ道も、かつ見込みもどこにもありませんでした。
最後の夜、高森は静かに夜空を見上げ、
これまでの自分の人生を振り返っていました。
貧しい下級武士の家に生まれ、
愛する主君のために走り回り、
二度も地獄の島へ流され、
それでも天を敬い、人を愛して、
新しい時代を切り開いてきた激動の生涯。
翌朝、政府軍による怒涛のような総攻撃が始まりました。
飛び交う銃弾の中、高森は腰と太ももに激しい銃弾を受け、
もはや一歩も歩くことができなくなってしまいます。
彼は静かに崩れ落ち、
隣にいた信頼する仲間の顔を見つめ、
穏やかな微笑みを浮かべながらこう言いました。
進むどん、もう、ここらでよか。
高森は静かに目を閉じ、
故郷の山に見守られながら、
その波乱に満ちた生涯に幕を閉じました。
日本人同士が血を流し合う悲しい戦いは
彼の死をもって永遠に終わりを迎えたのです。
自分のためではなく、
常に誰かのために、
そして日本の未来のために
命を燃やし尽くした優しき大巨人。
彼の残した経典愛人の心は、
今も私たちの胸の中に
温かい灯火として生き続けています。
物語の終わりと次への期待
さて、第十二奏者、最後高森の物語は、
これでおしまいです。
高森が命を懸けて守り抜いた、
この新しく平和な明治の時代。
次に罵倒を受け取る奏者は、
一体どのような物語を紡いでいくのでしょうか。
それはまた別のお話。
今夜は全てをくるみ込んでくれる高森の
大きな背中に寄りかかるように、
どうか安心して、
心も体も深くゆったりと休ませて、
暖かい布団の中で
心地よい眠りについてくださいね。
それでは、おやすみなさい。