そこで今回は一歩踏み込んで、
じゃあ企業は具体的にどうやって推し活の力を
自社のファン獲得やビジネスの成長に繋げていけるの?
という疑問に、最新の事例を交えながら迫っていきたいと思います。
ファンから熱烈に押される企業やブランドは、
一体どんな工夫をしているのでしょうか?
前編となる今回は、
まず企業がなぜ推し活に注目するのか、
そして具体的な戦略パターンを見ていきます。
皆さんの、この企業は押せる、このファン戦略すごい!
という事例があれば、
ぜひハッシュタグ、推し活未来研究所をつけて
SNSで教えてくださいね。
皆さんのリアルな声、いつも参考にさせていただいてます。
それでは早速本編に入っていきましょう。
まず、なぜ今こんなにも多くの企業が
推し活に注目しているのか、
という根本的なところから一緒に考えてみたいと思います。
数年前までは、推し活というと
アイドルやアニメのファンなど
一部の熱心な人たちの活動というイメージが強かったかもしれません。
でも今は本当にジャンルや業界問わず広がっていますよね。
私もよく推しという言葉を使っているなぁと最近感じています。
自分の好きという気持ちをライトな感じというか
カジュアルに表現できる言葉として使われていますよね。
人だけでなく、キャラクター、作品、スポーツチーム、
食べ物、場所、そして企業やブランドそのものまで
推しの対象はどんどん多様化しています。
そしてその大きな背景には
やはりSNSの普及があると思います。
自分の好きという気持ちを発信しやすくなって
同じ好きを持つ人たちを簡単につながれるようになりましたよね。
それによってファンの熱量が目に見える形になって
時には大きなムーブメントを生み出すほどのパワーを持つようになったんですよね。
このファンのパワー、特に推しに対する熱量の高さは
経済的にも大きなインパクトを持っています。
関連グッズを買ったり、イベントに参加したり、
遠征したり、ファンの方々の推しのためならという
強い思いが実際に市場を動かしている。
ある調査によると、日本の推し活関連市場は
数千億円規模とも言われています。
これはもう立派な一大産業ですよね。
企業から見ると、この推し活が生み出す熱量は非常に魅力的です。
従来のマーケティングって、企業が情報を発信して
消費者に買ってもらうということを目指すベクトルが強かったと思うんです。
もちろん顧客満足度を高めたり、リピーターになってもらったりという視点はあったんですけれども、
この推し活の対象になっている企業やグランドとファンの関係性って
もっともっと深い感情的なつながりに基づいていることが多いですよね。
ファンは単なる消費者ではなく、その企業やブランドを心から応援して支え、
時にはもっとこうなってほしいと一緒に未来を考えてくれるパートナーのような存在になっているということがわかります。
これは私自身、ベーシストとしてステージに立つ中で日々強く感じていることですね。
ライブ会場で手作りの応援ボードを見かけたり、SNSで本当に心のこもった感想をいただいたりすると、
私の音ってちゃんと届いてるんだな、見てくれてる人がいるならもっと頑張ろうかなっていう、
本当にそういう気持ちを、そういう力をいただいています。
これは押される側を経験しているからこそ、その価値が痛いほどよくわかります。
実際に弊社カザウリのプクートというサービスを導入していただいて、
そこから購入していただいたお客様からお礼のメールやSNSへのメッセージをいただくことが結構あるんですけれども、
それは私たちにも本当にすごく励みになっていますし、すごく嬉しいです。
次回も楽しみにしていますとか、すごくいい思い出になりましたなんてメッセージをいただいたり、
弊社で施行したフォトスポットで撮った写真をSNSのアイコンにしてくれたりとか、
そういう皆さんが喜んでくれたっていうのがわかる瞬間がすごく嬉しいし、
次ももっと喜んでもらえるような企画を提案しようという原動力になります。
本当にありがとうございます。
これって他の企業にとってもきっと同じだと思うんですよね。
自社の製品やサービスをただ買ってもらうだけでなく、
ファンから熱烈に推してもらえる存在になれたら、
それは何にも変えがたいすごく強力な推進力になります。
熱心なファンは自発的に魅力を広めてくれる歩く広告党になってくれますし、
時には愛があるからこそ厳しい意見で成長のヒントをくれるかもしれません。
そして何より長期的にブランドを支え続けてくれるかけがえのない存在になってくれます。
だからこそ今多くの企業がどうすればファンに推してもらえる存在になれるのか、
ファンの皆さんの熱い思いにどう応えていけるのかということを真剣に考え始めているんですね。
企業は具体的にどんな方法で推し活の力を活用し、
ファンを獲得育成しようとしているのでしょうか。
本当に様々なブロージがありますが、
今日は代表的な5つの戦略パターンに分類して、
具体的な企業の事例と一緒にご紹介したいと思います。
まず一つ目はコラボレーション戦略。
これは既に多くのファンを持つアイドルやキャラクター、アニメ、ゲームといった
推しの対象と企業がタッグを組むという手法ですね。
ファンがもともと持っている推しへの熱い思いを、
自社の商品やサービスへとつなげることを狙います。
例えば、セブンイレブンさんが行った
劇場版名探偵コナンとのコラボレーションキャンペーンは
記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
このキャンペーンでは、
1.購買インセンティブ
2.デジタル連動施策
3.地域限定企画という3層構造で推し活を加速させていました。
具体的には、揚げ物を4個買うとコナン特製フライヤーボックスがもらえたり、
対象商品を買うと謎解きに挑戦できたり、
LINEの友達追加で限定スタンプが手に入ったり、
ファンにとっては普段使いのコンビニと映画の世界がつながることで、
日常的に推しを感じられる嬉しい機会になりますよね。
企業側としても、SNSでの話題化はもちろん、
アプリ会員の獲得や客単価の向上、
さらには地域限定企画による地域活性化といった、
まさに三方よしの効果を生み出していました。
映画の興行収入増加にも貢献したと言われています。
2つ目は、コミュニティ構築戦略。
これは企業が主体となって、ファン同士が集まって交流したり、
時には企業と直接コミュニケーションを取れたりするような
場所を提供するアプローチです。
ファンにここが自分の居場所だと感じてもらうことで、
ブランドへの帰属意識を高め、長期的な関係性を築くことを目指します。
食品メーカーのカゴメさんが運営されているオンラインコミュニティ
&カゴメは、この戦略の素敵な例だと思います。
このサイトでは、カゴメの商品を使ったレシピを投稿し合ったり、
食に関する様々な話題で他のファンの方と語り合ったり、
カゴメの商品開発担当者さんと直接意見交換をしたりすることができるそうです。
ファン向けの限定イベントなんかも開催されているようですね。
単に商品を売って終わり、ではなく、
ファン同士や企業との繋がりという価値を提供することで、
カゴメというブランドに対する愛着や信頼感を
より深く温かいものにしていこうという思いが伝わってきます。
ファンは、自分の声がもしかしたら商品開発に活かされるかもしれない
という期待感を持てますし、他のファンとの交流を通じて
カゴメ好きとしての仲間意識も育まれますよね。
企業にとっては、熱心なファンの生の声を直接聞ける
非常に貴重なマーケティングの場になりますし、
ファンとの継続的な対話を通じて長期的にブランドを支えてくれる
ロイヤルカスタマーを育成することができます。
まさにファンと一緒にブランドを育てていくような
そんな関係性を目指しているのかもしれません。
3つ目は、体験型マーケティング戦略。
これは商品やサービスそのものの機能的価値ではなく、
ファンにとって忘れられない特別な体験を提供することで
強い感情的な結びつき、エモーショナルなつながりを生み出す戦略です。
リアルなイベントやワークショップ、特別な空間演出などがこれに当たりますね。
プラストビールメーカーのヤホーブルーイングさんが開催している
大規模なファンイベント、ヨナヨナエールの超宴
はこの戦略を象徴する事例と言えるでしょう。
ヤホーブルーイングさんはコンビニとかスーパーとかにも置いてある
ヨナヨナエールとか水曜日の猫などで有名なクラフトビールメーカーで
独特のネーミングとアートなパッケージがとても特徴的ですよね。
これは全国からヨナヨナエールをはじめとする
ヤホーブルーイングさんのビールファンが集結し
美味しいビールを片手に音楽ライブや
様々なアクティビティを楽しむという一大フェスです。
社員の方々もスタッフとしてではなく
ファンと一緒に楽しむ一員として参加し
直接交流をされるそうです。
単にビールという物を売るのではなく
ビールを通じて生まれる最高に楽しい時間や空間
という体験をファンと共有することで
ブランドへの熱狂的な愛着