弊社株式会社カゾオリは、バルーンの会社でもあるんですが、
やはり本人不在の誕生日会での需要はすごく大きいですね。
さらに、ファンが有志でお金を集めて、
駅構内のポスターや街灯の大型ビジョンに応援広告を出す活動も近年よく見られています。
クラウドファンディングを利用して声優さんの活動を直接支援するプロジェクトも生まれています。
例えば、これは企業主体の面白い企画だったんですが、
シャープのウォーターオーブンヘルシオ、
こちらに声優の尾形めぐみさんのオリジナルボイスを搭載する企画がありました。
こちらは目標金額33万円に対し、なんと380万円の支援が集まって予想以上の反響だったそうです。
実はこれ、シャープが展開しているココロボイスというサービスを通じて行われたクラウドファンディング型の先行販売だったんです。
ココロボイスはシャープの製品のホットクックや空気清浄機などの家電の音声を人気声優の声に変えられるんです。
朝起きたらおはようとか、推しの声が聞こえる生活ってファンにとっては最高ですよね。
尾形めぐみさんやスワベ純一さんなどアニメファンにはたまらないラインナップ。
一部は無料で使えて、プレミアムボイスは有料。
つまりこれはファン向けの新しい課金モデルでもあるんです。
企業にとっては、家電に推し活という付加価値を加えることで、ファンとの絆を強化するマーケティングにもなっているんですね。
推し活ってライブやグッズだけじゃなく、日常生活の中にどんどん広がっているんだなぁと感じました。
そして、現代の推し活を語る上で欠かせないのがSNSの存在です。
Xは公式からの最新情報のキャッチ、イベントのリアルタイム実況、ファン同士での感想共有や情報交換など、情報収集拡散のハブとして機能していきます。
インスタグラムは、購入したグッズをおしゃれに撮影したお着替えや、推しのぬいぐるみと一緒にお出かけした際の写真、ぬいどりなど、ビジュアルを中心とした推し活の発信が盛んです。
YouTube上では、ファンが制作したマッドムービーや作品の考察動画、面白いシーンをまとめた切り抜き動画などが人気を集めています。
TikTokでは、推しの楽曲を使ったダンスチャレンジに参加したり、ユニークな切り抜き動画を共有したりと、より気軽な形でファン活動が展開されています。
公式ファンクラブやオンラインサロンも、声優さんとファンとの重要なつながりとなっています。
会市制のクローズザナコミュニティで、限定コンテンツの配信や会員限定イベントの開催、ファン同士の交流などが活発に行われています。
さらに、デジタルならではの新しい推し活の形として、デジタルグッズも登場しています。
声優さんからのパーソナルなボイスメッセージや、デジタルグロマイド、NFT技術を活用したコレクションアイテムなども見られるようになりました。
例えば、エミーレターのような、ファンに向けてパーソナライズされたボイスレターを販売するプラットフォームや、クリエイター向けのマーケットプレイス、ブースなどで個人がオリジナルのボイスコンテンツを販売しています。
これまで見てきたように、声優推し活は非常に活発で、大きなエネルギーを持っています。
しかし、その華やかな光の部分だけでなく、その裏に潜む影、つまり業界が抱える課題や、私たちファンも含めて未来に向けて考えていくべき点もたくさんあります。
声優さんの活動が、音楽、イベント、グッズ販売、メディア露出など多岐に渡るにつれて、関連する市場も目覚ましい成長を遂げています。
例えば、アニメソングや声優さんによる音楽公演を含むアニメ関連ライブ市場は、2007年に開催されました。
その後も成長は続き、2023年には1イベントあたりの平均動員数が増加し、チケットの単価も上昇傾向にあると報告されています。
2018年の段階で、すでに年間200億円規模に達し、約265万人もの動員数を記録しました。
その後も成長は続き、2023年には1イベントあたりの平均動員数が増加し、チケットの単価も上昇傾向にあると報告されています。
声優という職業自体の人気も高まっており、声優のデータベースとして知られる声優名館に掲載されている声優さんの数は、
2011年の988人から2021年には1562人と、この10年間で約1.5倍増加しています。
そして、声優関連市場も含まれるアニメや声優のライブ、グッズ、ゲームなどに関わるお金の動きが、
2023年の予測では年間8000億円以上の巨大産業になると言われています。
声優さんの多岐にわたる活動を支えているのが、所属事務所やレコード会社、イベント企画会社といった関連企業です。
声優事務所のビジネスモデルも時代の変化とともに大きく変わってきました。
かつてはアニメのアフレコや洋画の吹き替えといった声の仕事が中心でしたが、現在はそれだけでは事務所の経営が成り立ちにくくなっています。
そのため、所属声優のイベント出演の企画運営、オリジナルグッズの製作・販売、音楽活動のプロデュースなど、事業の多角化が必須となっています。
ファンクラブ運営も声優ビジネスにおいて非常に重要な要素です。
会員限定のコンテンツ配信などを通して、ファンとの特別なつながりを提供し、月額または年会費による安定した収益を確保しています。
また、声優を目指す人が通う養成所や専門学校のカリキュラムも変化しています。
声優のアイドル化・アーティスト化の流れに対応するため、従来の発声や演技のレッスンに加え、歌唱指導やダンスレッスンを導入する学校が増えています。
そして、一見華やかに見える声優業界ですが、その裏には厳しい現実も存在します。
まず、競争の激化です。
声優志望者は30万人とも言われ、専門学校や養成所も多数存在しますが、実際にプロとしてデビューし、声優の仕事だけで生計を立てられるようになるのは非常に狭きもんです。
次に、労働環境の問題も指摘されています。
一部の人気声優さんを除けば、収入は決して高いとは言えず、特にフリーランスで活動する方が多いため、雇用形態も不安定になりがちです。
コロナ禍においては、アフレコが個別収録になったことで、新人育成の機会が減ったり、イベント中止による収入激減など、さらなる困難も経験しました。
声優の尾形恵美さんもインタビューで、コロナ禍が業界に与えた深刻な影響について語っています。
そして、求められるスキルの多様化とそれに伴うプレッシャーも大きな課題です。
現代の声優さんには、卓越した演技力はもちろんのこと、歌唱力、ダンススキル、イベントでのトーク力、SNSでの自己発信能力、時にはルックスまでもが求められるようになっています。
私たちファン側も、推し活を心から楽しみ、そして持続可能なものにしていくためには、気をつけるべき点、考えていくべき課題があります。
まずは、金銭的な負担です。
推し活にはお金がかかりすぎる、グッズを買いすぎて貯金ができないといった悩みは、多くのファンが抱える共通の課題かもしれません。
次に、マナーの問題です。
残念ながら、一部のファンによるイベント会場での迷惑行為や、SNS上での誹謗中傷、声優さんのプライバシーを侵害するような行為、さらにはストーカー行為といった問題も後を絶ちません。
最近では、声優の小倉優衣さんが悪質なストーカー被害を公表し、事務所が法的措置を取ったという報道もありました。
声優さんのスキャンダルに対するファンの反応も、時として加熱し、大きな騒動、炎上に発展することもあります。
そして今、声優業界にとって、そして私たちファンにとっても非常に大きな課題となり浮上しているのが、AI、人工知能による音声合成技術の急速な進化とその影響です。
より深刻なのは倫理的な問題です。
特に懸念されているのが、既存の声優さんの声をAIに無断で学習させ、そっくりな音声、いわゆるクローンボイスを生成し、利用する行為です。
これは声優さんの著作権、肖像権、そして人格権を侵害する可能性が極めて高い行為です。
しかも声優さんの声そのものは、現行の法律では著作物と認められにくいという議論もあります。
この問題に対し、業界団体も危機感を強めています。
共同組合日本俳優連合、日俳連をはじめとする声優関連団体は、AIによる声の無断利用に強く反対し、声優の権利保護とAI技術の適切な利用に関するルール整備を国や関連企業に強く求めています。
具体的には、生成AI音声をアニメーションおよび外国英語等の吹き替えでは使用しないこと、生成AI音声を学習・利用する際は本人の許諾を得ること、生成AI音声にはAIによる生成物であることの明記を求める、といった具体的な主張を発表しています。
これは早急に解決しなければいけない課題ですよね。
最後に、今後の声優業界の未来についてお話しします。
日本の声優さんは、今やその活躍の場を国内だけに留めず、世界中に多くのファンを持っています。
海外のファンによる日本人声優の人気は非常に高く、例えば海外のアニメファン向けサイトなどで行われる人気投票では、カジユウキさん、宮野まもるさん、神谷ひろしさんといった日本でもおなじみの声優さんたちが常に上位にランクインしています。
こうしたグローバルな人気を背景に、日本人声優さんが海外のアニメコンベンションやイベントにゲストとして出演する機会も格段に増えています。
アメリカのアニメエキスポやシンガポールのアニメフェスティバルアジアといった大規模イベントでは、多くの日本人声優がファンとの交流を深めています。
また、声優さんがVTuberとしてアバターを通じて活動することも、言語の壁を越えて海外のファンとコミュニケーションを取り、新たなファン層を獲得するための一つの有効な手段となる可能性を秘めています。
日本のアニメやゲームが世界中でこれほどまでに愛されているように、そこで活躍する声優さんたちもまた国境を越えて多くのファンから熱い支持を受けています。
言語や文化の違いを越えて、声の力、演技の力が人々の心を掴んでいる証拠ですよね。
これからの声優推し活は、ますますグローバルな広がりを見せていくのかもしれません。
それはファンにとっても、そして声優さん自身にとっても、新たな出会いや刺激に満ちたエキサイティングな未来と言えるのではないでしょうか。
今回は、声優と推し活、その歴史と最新の推し活事情というテーマで、声優という職業の成り立ちから現代における多種多様な推し活の形、さらには市場の動向や業界が抱える課題、未来への展望に至るまで本当に幅広く、そして深く掘り下げてきました。
声優さんの声には本当に不思議な力がありますよね。
時に力強く、時に優しく、時にコミカルに、その声一つでキャラクターに命を吹き込み、物語に深みを与え、私たちリスナーや視聴者に言葉では言いつかせないほどの感動や勇気、そして笑顔を与えてくれます。
その唯一の声の主である声優さん自身をもっと知りたい、応援したいというファンの純粋で熱い気持ちが、これほどまでに多様で、創造的で、そして大きなエネルギーを持つ声優推し活という文化を育んできたのだと今回改めて強く感じました。
ビジネスの視点を見れば、このファンの熱量は間違いなく大きな可能性を秘めています。
しかし、その可能性を最大限に生かすためには、声優さんたちが心身ともに健康で、安心して創造的な活動に打ち込める環境を整備すること、そして私たちが切度と敬意を持って健全に応援できるようなルール作りが重要となってくるでしょう。
推す側も、そして推される側も、互いに対するリスペクトの気持ちを常に持ちながら、この素晴らしい声優と推し活の文化を、より豊かで、より輝かしい未来へとつなげていけたら本当に素敵だなと思います。
今回も最後までお聞きいただき、本当にありがとうございました。
今日の放送を聞いての感想や、あなたの推し声優さんへの熱い思い、あるいはこんなユニークな推し活をしていますといった体験談など、どんなことでも結構です。
ぜひハッシュタグ、推し活未来研究所をつけて、SNSでシェアしてください。
皆様からの声が、この研究所の未来の、そして新たな研究テーマにつながっていきます。
それでは、ここまでのお相手は株式会社カザオリの矢澤彩乃でした。
また来週、月曜日の朝7時にお会いしましょう。
素敵な1週間をお過ごしください。