その投稿者さんの言葉が、そのまま商品名や色の名前に使われていて、この投稿には17万いいねがついて大きな反響になったそうです。
こんにちは、株式会社KAZAORIの矢沢矢乃です。推し活未来研究所第7回へようこそ。
前回の第6回では、ビジネスに効く事例で見る推し活最前線の前編として、企業がなぜ今推し活に注目しているのか、そしてファンを獲得育成するために用いる5つの戦略パターン、
コラボレーション、コミュニティ構築、体験型マーケティング、ファン創作支援、パーソナライズについて具体的な事例を交えてご紹介しました。
様々な企業がいかにしてファンの心を掴もうと工夫しているかが見えましたね。 そこで今回はその後編です。
テーマは、推される企業の条件とは、企業のファン獲得戦略後編です。 単なる戦略を実行するだけではなく、ファンから心から推される企業になるためには一体何が重要なのでしょうか。
その成功の秘訣に迫ります。 さらに企業が推し勝つと向き合う上での注意点や、これからの未来についても考えていきたいと思います。
今回も皆さんのご意見や、私の推し企業はここがすごいといったエピソードがあれば、 ぜひハッシュタグ推し勝つ未来研究所をつけてSNSでシェアしてくださいね。
それでは本編スタートです。 さて前回は企業がファンを獲得するための5つの戦略パターンを見てきましたが、
それらの戦略を成功させ、ファンから熱烈に推される企業やブランドになるためには、一体どんな秘訣があるのでしょうか。
成功している事例には、いくつか共通する大切な要素があるように思います。 私なりに4つのキーワードで整理してみました。
まず何よりも、何よりも大切なのがファンが抱いている好きという純粋な気持ち、 そしてその対象である推しそのものや、ファンが長い時間をかけて育んできた独自の文化に対する深いリスペクトだと思います。
コラボレーションをするにしても、コミュニティを作るにしても、ファンイベントを開くにしても、 その根底の推しやファン文化への深い理解と愛情がなければ、ファンにはすぐに見抜かれてしまいます。
ビジネスのため上手く利用としているだけだなとか、この上全然ファンのことわかってないなと思われてしまったら、 これはむしろ逆効果になりかねません。
例えば、コラボグッズのデザインが原作の世界観を著しく損なうものだったり、 イベントの運営がファンの気持ちをないがしろにするようなものだったりすると、 SNSなのであっという間に批判の声が広がってしまう可能性があります。
逆に、企業側が本当にこの作品やキャラクター、アイドルなどが好きなんだな、 ファンのことを、私たちのことをちゃんと考えてくれているなと感じられるような、 細かな配慮や愛情が感じられる企画は、ファンからの絶大な信頼と指示を得ることができます。
この揺るぎないリスペクトの姿勢こそが、企業とファンの良好な関係を築くための最も重要な土台になるんですね。
私は本当にこれが一番大切だと思っていて、 企業がタレントさんとかキャラクターとコラボするときって、 ただ有名心を出せばいいってもんじゃないんです。
本当にファンの心をグッと掴むには、 あ、これ気づいたの私だけかもっていう小ネタが実はめちゃくちゃ効くんですよ。
例えば背景のちょっとした小物や、本当に好きな人じゃないとわからない画角とか、 キャラの口癖がさらっと出てきたり、
それを見つけたファンが、ねえこれ見た?ってXとかインスタで広めてくれる、 まさにファンが解説者となって、勝手に口コミで広げてくれるという流れが生まれるんです。
そしてすごいのは、そういう細かい仕掛けがあると、 この企業本気でこの作品のことが好きなんだなっていう愛が伝わるんですよね。
推しを利用されているというより、本当のコラボ、本気の共演という感じですよね。
だいたいそういう場合って、企業の担当者が昔からファンだったとか、 そういうパターンが多いんですけど、
自分たちの推しを大切にしてくれたから好きになるっていうのは、 押される企業になるための勝ちパターンだなと感じています。
そして一番大事なのが、その世界観と企業のイメージがちゃんとリックしていること。
例えば信頼感があるブランドだったら、 それに合ったキャラを起用して世界観を壊さないようにしている。
それってファンも企業もどっちも嬉しい関係なんじゃないかなと感じています。
2つ目は本物であること。
ちょっと難しい言葉で言うとオーセンティシティですが、 要は企業の姿勢や発信するメッセージに嘘がない、そして一貫性があるということです。
ファンはその企業やブランドが持つ独自の価値観やストーリー、 あるいは社会に対する真摯な姿勢などに強く共感して、この企業を推したいと感じることがあります。
例えば環境問題に本気で取り組んでいる企業の製品だから応援したいとか、 地域社会に深く貢献しているこのお店を支えたいといった気持ちですね。
前回ご紹介したヤホーブルーイングさんも、 ビールに味を人生に幸せをという明確なミッションを掲げて、
それをファンイベントなどを通じてまさに本物として体現されていますよね。
あるいは化粧品ブランドのラッシュさんが、 動物実験反対や環境保護といったメッセージを創業以来ずっと強く打ち出し、
それに共感する多くのファンを獲得しているのも、 このオーセンティシティの良い例だと思います。
こうした企業の本物の姿勢は、ファンにとって単なる商品やサービスの魅力を超えた、 押すための強い理由になります。
逆に、言っていることとやっていることが違っていたり、 その場限りの流行りに乗っかっただけで中身が伴っていなかったりすると、
ファンは敏感にその矛盾を感じ取り、心が離れていってしまいます。
企業として、自分たちが何を本当に大切にし、 社会に対しどう貢献していきたいのか、というぶれない軸をしっかり持ち、
それを誠実に伝え続けること、 これがファンとの深い絆を育む上では欠かせません。
3つ目は、ファンが何らかの形でその活動に参加できる余白、 あるいは自分が応援しているんだ、という実感を得られる機会を提供するということです。
人は、自分が時間や労力、思いを注いで関わったものに対して、 より強い愛着や当事者意識を持つ傾向がありますよね。
推し活においても、ただ一方的にコンテンツを受け取るだけでなく、 自分もこのムーブメントに関わりたい、
何か役に立ちたい、というファンの能動的な気持ちに、 企業がうまく応えていくことが大切です。
例えば、前回のカゴメさんのように、 ファンコミュニティで自由に意見を交換したり、
無印良品さんのように、ファンが商品開発のアイディアを提案すれば、 アイディアパークを設けたり、
JR東日本さんのように、ファンが主体となって、 推しを応援する広告を出せる仕組みを作ったり、
あるいは、もっと気軽に、SNSでハッシュタグキャンペーンを実施して、 ファンからの素敵な投稿を公式アカウントが紹介したりするのも、 立派な参加の形ですよね。
こうした参加の機会は、ファンに、 自分もこのブランドを一緒に育てているんだ、
自分の応援がちゃんと力になっているんだということを、 自分事としての実感を与え、より深いエンゲージメントにつながります。
企業側も、ファンからの思いもよらない貴重なアイディアや、 忌憚のないフィードバックを得られるという大きなメリットがあります。
ファンを単なる情報の受け手としてではなく、 共に価値を作るパートナーとして捉える。
その視点がこれからの時代、ますます重要になってくるのではないでしょうか。
最後、4つ目は、特別感の演出です。
ファン一人一人に対して、あなたは私にとってかけがえのない大切な存在ですよ、 と感じてもらうための心のこもった工夫ですね。
数量限定のグッズや、会員だけが参加できる限定イベント、 あるいはファンクラブ会員限定で見られる特別なコンテンツ、
前回紹介したカラオケパセラさんのような、 個々のファンの細かいニーズに合わせたパーソナルなサービスなどがこれに当たります。
スターバックスコーヒーさんが、マニュアル通りの接客ではなく、 バリスタさんがお客さん一人一人の様子を見て、ちょっとした声かけやパーソナルな対応を心がけ、
家でも職場でもない第三の居心地の良い場所、つまりサードプレイスを提供しようとしているのも、 広い意味ではこの特別感の演出と言えるかもしれません。
あなたのために、この場所だけでしか手に入らない、といった希少性や限定性は、 ファンの心を強く引きつけ、所有する喜びや体験できたことへの満足感を満たします。
また、それが推し仲間の中でちょっとしたステータスになったり、 SNSでこんな素敵な体験をしたよと自慢したくなるようなきっかけを提供することも特別感につながりますよね。
ただし、注意したいのは、この特別感の演出が単なる限定商法や囲い込みと受け取られないようにすることです。
やりすぎると、結局お金儲けかとファンに思われてしまい、反感を受かう可能性もあります。
あくまでもファンへの日頃の感謝の気持ちや、 もっと喜んでもらいたいという純粋な思いが伝わるような形で特別感を届けること。
そのバランス感覚がファンとの良好で長期的な関係を築く上でとても重要だと思います。
私が個人的に、このアーティスト推せるな、この店好きだなと思う時って、 振り返ってみると、やっぱり今お話したような要素が自然と満たされていることが多い気がしますね。
作り手のこだわりや情熱がひしひしと伝わってきたり、ファンの声に真摯に耳を傾けてくれたり、
ちょっとしたサプライズや心遣いが嬉しかったり、 そして何よりもその音楽や商品、サービス、そしてファンに対する深い愛が感じられること。
逆に、これはちょっと応援できないなぁと感じてしまうのは、やっぱり短期的な利益ばかり追いかけているように見えたり、
ファンをただの就勤対象としてしか見てないような姿勢が透けて見えたりする場合でしょうか。
そういうのってやっぱり寂しい気持ちになりますし、心から応援したいという気持ちにはなれないですよね。
企業がファンから本気で押される存在になるためには、小手先のマーケティングテクニックだけではなく、
ファン一人一人と誠実に向き合い、長期的な視点で信頼関係を築いていこうという真摯な姿勢が何よりも大切なのかもしれません。
さて、ここまでお仕事をビジネスに生かすための戦略や秘訣についてたっぷりお話ししてきましたが、もちろんいいことばかりではありません。
企業が押し勝つという熱量の高い領域に取り組む上で注意すべき点もいくつかあります。
そして最後に、これからの押し勝つマーケティングがどうなっていくのか、少し未来の話もしてみたいと思います。
まず心に留めておかなければならないのは、熱量の高いファンを相手にするということは、それだけ期待値も高く厳しい目で見られているということです。
企業側の対応一つでファンの大きな期待を裏切ってしまった場合、その反動は大きく、いわゆる炎上と呼ばれるような事態に繋がってしまうリスクも常に隣り合わせです。
特にコラボレーション企画などで原作やキャラクターへの理解が浅いと判断されたり、ファン心理を無視したような言動や企画があったりすると、SNSなどを中心に厳しい批判にさらされる可能性があります。
また、ファン同士の意見の対立やトラブルに企業が意図せず巻き込まれてしまうケースも考えられます。
これは私の実体験で、すごい昔にとあるアーティストさんの現場の制作を手伝っていたことがあって、その時に大きな節目になるようなライブがあったんですが、ファンの方たちが何人か集まって、今でいうフラワースタンドを出してくれたんですよね。
リーダー的なファンがいて、周りに声掛けをして、みんなですごく大きなフラワースタンドを送ろうと企画してくれたんです。
それ自体はすごくありがたいし、とても嬉しいことだったんですが、みんなでお金を出し合ってお花を送ったのに、そのライブが終わってもお金を払わない人がいるという連絡が運営側に来たんですよね。
それで、あの人はお金払ってないから、次からライブで金にしてください、みたいなことを言われたりして、正直そこは公式は関与していないので、何とかできる問題ではなく、なかなかトラブル収束までに時間がかかってしまったことがありました。
もちろんあくまで個人間のトラブルということで、運営側としてできることというのはなかったのですが、もう少しお花について規定などしっかり設けることができたんじゃないかという話になり、その後ファンからのフラワースタンドは受け付けないということになってしまったんですよね。
すべてのファンを平等に扱わなければいけないということを考えると、どうしてもこうするのが一番トラブルやリスクが少ないという流れになってしまったんです。
やっぱり大切なのは、どんなときもファンに対して誠実であること、そして万が一問題が起きてしまった場合には、見て見ぬふりをするのではなく、迅速かつ丁寧に対応することです。
ファンとの日頃からのオープンなコミュニケーションを通じて良好な信頼関係を築いていくことと、明確な線引きがこうしたリスクを最小限に抑えるための一番の防御策になるのかもしれませんね。
推し活が盛り上がり、特にファンによる創作活動、二次創作などですね、これが活発になると、著作権や肖像権といった様々な権利関係の問題が絡んできます。
企業がファンの創作物をプロモーションに活用したり、あるいはファンに創作活動を促したりする際には、どこまでが許容範囲なのかという点に十分な注意と配慮が必要です。
最近では、企業側が二次創作に関するガイドラインを明確に設けるケースも増えてきました。これは非常に良い流れだと思います。
ファンが安心して創作活動を楽しめるためのルールを明確に示すことで、無用のトラブルを未然に防ぎ、健全なファン文化の発展をサポートすることができます。
権利者への敬意を払い、ルールを守って楽しむという意識を企業もファンも共に持ち、尊重し合うことが大切ですね。
そしてもう一つ、推し勝つマーケティングは、必ずしもすぐに売上や数字に結びつくような速攻性のある施策ばかりではありません。
ファンとの感情的な繋がりを時間をかけて築き、コミュニティをじっくりと育てていくには、やはりある程度の時間と継続的な努力、そして情熱が必要です。
短期的なキャンペーンで一時的に話題になったり売上が伸びたとしても、それがブランドに対する長期的な愛着や信頼に繋がらなければ、本当の意味での成功とは言えません。
目先の数字だけを追うのではなく、ファンとの関係性を大切に育んでいくという長期的な視点を持つこと、これが推し勝つマーケティングに取り組む上で非常に重要な心構えだと思います。
ではこれから、推し勝つと企業の関わり方はどのように進化していくのでしょうか。
一つ考えられるのは、やはりテクノロジーとのさらなる融合です。
例えば、メタバース上にファンが集うバーチャルなコミュニティがもっと一般的になったり、AIがファン一人一人の好みや行動履歴を分析して、よりパーソナルで心に響く推し勝つ体験を提案してくれたり、といったことがもっと当たり前になってくるかもしれません。
また、ファンと企業の関係性は、より深く、より双方向的なものになっていくでしょう。
企業が一方的に情報や商品を提供するだけではなく、ファンと一緒に商品開発のアイディアを出し合ったり、ブランドの未来の方向性を共に考えたりといった動きが、さまざまな分野でさらに加速していくのではないでしょうか。
そして、企業の社会的な活動や存在意義と推し勝つの結びつきも、より強まっていくかもしれません。
環境問題や社会課題の解決に真剣に取り組む企業を、ファンがこの姿勢を推したいと応援するというような動きです。
自分の好きという気持ちが巡り巡って社会をより良くすることにもつながるというのは、ファンにとっても大きな喜びであり、応援するモチベーションになりますよね。
最近、Xでちょっと素敵だなって思った投稿があって、ある女性が、25年前に母がフェリシモで買ったワンピース、今も大切に着ているんです。
同じ形があったら欲しいなってつぶやいてたんですね。
この投稿には、柔らかいグレーのワンピースを着た写真が載っていて、すごく上品で可愛いんですよ。
そうしたら、その投稿が思った以上に広まって、このワンピースうちにもあった!懐かしい!という声がどんどん集まっていって、
それをフェリシモというブランドの中の人がちゃんと見てて、なんと復刻が決まったんです。
当時のカタログを見直して、なるべくそのままのデザインで、だけど今のモーションの気候に合うように、ちょっとアップデートされて再販されることになったんだそうです。
しかも面白いのが、その投稿者さんの言葉がそのまま商品名や色の名前に使われていて、
エレガンスって言葉がピッタリっていう一言から、商品名は平成エレガンスになったんだそうです。
色が2色展開なんですが、その色の名前も投稿の写真からインスピレーションを得たそうです。
これ、ただ商品ができたっていうだけじゃなくて、ちゃんと声が届くんだなっていう安心感とか、
この会社センスあるなっていうブランドイメージにもつながってて、すごくいい事例だなと思いました。
この投稿には17万いいねがついて、大きな反響になったそうです。
SNSって、ちょっとした一言でも届くところにはちゃんと届くんだなって改めて思った出来事でした。
SNSって炎上とか、良くない方向に広がってしまうパターンもあるんですけど、
本質はこういう風に素敵なエピソードにつなげていきたいですよね。
いずれにしても、推し活という概念は、企業がファンと心で深くつながり、
長期的な信頼関係を築いていく上で、今後ますます重要な考え方になっていくことは間違いないと思います。
というわけで、今回は、押される企業の条件とは、企業のファン獲得戦略後編というテーマでお届けしてきました。
前回の第6回と合わせて、2回にわたって企業の推し活戦略を探ってきました。