こんにちは、株式会社KAZAORI代表の矢澤 彩乃です。推し活未来研究所へようこそ。
さて、今日のテーマは、2025年推し活トレンド総まとめの1回目 エンタメビジネス編です。
2015年も、もう終わりが見えてきましたね。 皆さんにとって今年はどんな推し活イヤでしたか?
市場規模が3兆5000億円から3兆9000億円とも言われる、この巨大市場。 今年も本当に色々なことがありました。
今日は、この激動の1年をエンタメとビジネス、 そして私たちの心の変化という視点から一気に振り返っていきたいと思います。
かなり濃い内容になりますが、最後までお付き合いいただければ、 今の推し活がどこに向かっているのか、そのヒントが見えてくるかもしれません。
まず最初に振り返りたいのは、今年の流行語です。 毎年恒例の、ゆうきゃん新語流行語大賞ですが、今年のラインナップをご覧になりましたか?
実はここに、推し活総の心理がリアルに映し出されていました。 年間大賞に選ばれたのは、高市さなえ総理の
働いて働いて働いて働いて働いて働いてまいります、でしたね。 この言葉は、高市さんの覚悟を感じさせる言葉でした。
でも私が注目したいのは、この重厚な言葉と対照的にトップ10入りした、ある擬音なんです。 そう、えほえほです。
元ネタをご存知ない方もいるかもしれませんが、オランダの写真家ハニーヘイレさんが撮影した 綿袋のヒナが地面を走っている写真がきっかけなんですね。
まだ飛べないヒナが両翼を広げて必死に、でもどこかユーモラスにトコトコ走っている。 その姿に、SNSで誰かがえほえほという音を当てたところ、爆発的に広まったんです。
気長さを表現するミームとして定着しました。 企業もこれに飛びつき、パロディーもたくさんありましたよね。
ホッカホッカ亭が袋を唐揚げに変身させたり、高知県警が交通安全の標語に使ったり。 これってすごく面白い現象だと思いませんか?
一方で、働いて働いてという現実の厳しさがあり、 もう一方では、えほえほという意味のない可愛らしさ、脱力感に救いを求めている。
2025年の推し活って、まさにこの過酷な現実と癒しへの逃避のバランスの上に成り立っていたと言えるかもしれません。
私たちは現実を生き抜くために推しというえほえほを必要としていた。 そんな風に言えるかもしれませんね。
そしてもう一つ、見逃せない言葉がオールドメディアです。 テレビや新聞といった従来のマスメディアの影響力が相対的に下がり、
SNSや動画配信といったニューメディアが主役になったことを決定づけた言葉でした。
かつてはテレビで紹介されたから流行るでしたが、今はTikTokで流行ったものをテレビが紹介するという逆転現象が当たり前になりましたよね。
この流れは、先週取り上げた今年の年末を象徴する第76回NHK紅白歌合戦にも色濃く反映されています。
今年の出場歌手の顔ぶれ、ご覧になりましたか? オールドメディアなんて言葉が流行る中でも、紅白はその年のエンタメの総決算としての地位を維持していますが、その中身は劇的に変わりましたよね。
キーワードはボーダーレス、そしてSNS初です。 出場アーティストを見てみると、赤組にはちゃんみな、はな、エスパ、フルーツジッパ。
白組にはナンバーアイ、エンチーム、ミルクなどが並びました。 これ何が変わったかといえば、先行基準が完全にCDの売上からSNSでの熱量やグローバルな拡散力にシフトしている点なんです。
例えばフルーツジッパ。 私の一番可愛いところがTikTokで大ブームになりましたが、彼女たちのようなTikTok初のアイドルが国民的番組のステージに立つ。
これはSNSというデジタル空間での支持がリアルな権威を犯した象徴的な出来事だと言えるかもしれません。
そしてKPOPとJPOPの境界線ももう意味をなさなくなってきました。 エスパのような韓国初のグループとナンバーアイやビーファーストのような日本初のグローバルグループが同じステージで共演する。
さらにはバーチャルな存在も当たり前に溶け込んでいます。 2025年のエンタメは国境も次元もメディアの壁も超えて、ただ面白いもの、熱量があるものが勝つ。
そこで2025年に定着したのが、メリハリ消費と100均DIYというスタイルです。 ライブのチケットやどうしても欲しい限定グッズにはドカンとお金を使う。
その代わり、普段の食事や移動費は徹底的に切り詰める。 そしてグッズも全部公式で買うのではなく、自分で作る人が増えました。
ダイソーやセリアといった100円ショップや、300円を中心としたオシャレでコスパの良いアイテムが揃うスリーコインズなど推し活コーナー、行ったことありますか?
行くと本当にびっくりするんですが、品揃えが半端じゃないんです。 内輪のカバー、トレーディングカードを飾るケース、ぬいぐるみの服、アクリルスタンドを立てる台座。
これがこの金額で買えるの?と疑うようなクオリティのものが揃っています。 ファンは、こうした安価なアイテムをベースにリボンやシールでデコレーションして、世界に一つだけのグッズを作る。
節約のためだけではなく、オリジナリティを出したいという欲求も満たせる。 このDIY推し活はインフレ時代を生き抜くための、お宅たちの知恵と工夫の結晶だと言えるかもしれません。
さらに進んで推しに投資する人も増えました。 推しの所属事務所や関連企業の株を買うんです。
株主優待でグッズをもらったり、配当金で次の遠征費を賄ったり、消費するだけでなく、経済活動そのものに参加してリターンを得る。
金売りテラシーの高いZ世代ならではの新しい推し活の形ですよね。 さて、2025年のトレンドを語る上で、避けて通れないのが推し活疲れという問題です。
調査によると、推し活をしている人の約7割が疲れを感じているというデータがあります。 先日は地上波のゴール天体で推し活疲れをテーマにした番組も放送されていましたね。
理由は様々です。お金がかかりすぎるという経済的な理由はもちろんですし、情報が多すぎて追い切れないという情報の洪水。
そして何より、SNS上での人間関係のトラブルです。 ファンのマナー問題や解釈の違いによる炎上、推しを愛するがゆえの熱量が時に刃となって自分や他人を傷つけてしまう。
また、前回ご紹介した動画配信プラットフォームの分断も深刻でした。 このドラマはNetflix独占、ライブ配信はHuluで、ファンクラブ動画は専用アプリで。
推しを追いかけるためにいくつのサブスクに入ればいいの?という経験、皆さんもあるんじゃないでしょうか。
これは金銭的負担、見逃しの不安、共有の分断という三重句をファンに敷いています。
推し活は本来日々の疲れを癒すためのものだったはずなのに、それがストレスの原因になってしまっては本末転倒ですよね。
でも、私はこれを悲観しているわけではありません。 2025年は、こうした課題が浮き彫りになった年だからこそ、解決への動きも始まった年だと思うんです。
例えば、脈々現象。 最初は怖い、気持ち悪いと言われていた大阪関西万博のキャラクターが、SNSでの日誌創作や着ぐるみのコミカルな動きを通じて、いつの間にかキモ可愛い、愛おしい存在へと変わっていった。
ぬいぐるみは売り切れ続出、転売まで起きるほどの人気になりました。 これってファンが自分たちの手で意味を書き換えた、リブランディングした事例ですよね。
公式が一方的に与えるだけでなく、ファンが面白がって、茶化して、めでて、価値を作っていく、この参加型の強さが、どんなネガティブな状況もひっくり返す力を持っていることを脈々は教えてくれたんだと思っています。
2025年を総括すると、推し活は単なるブームを超えて、日本経済が支えるインフラになり、私たちの精神的なセーフティーネットになったと言えるのではないでしょうか。
働いて働いて疲れた心をエホエホと癒し、インフレや分断といった壁をDIYや投資という知恵で乗り切る。
私たちは推し活を通じて、実はとてもパクマしく進化しているのかもしれません。
さて、この激動の2025年を経て来たる2026年、推し活はどうなっていくのでしょうか。
AIは?メタバースは?そして、私たちはもっと幸せに推せるようになるのか。
そのあたりについては、次回の2026年推し活トレンド大予測でたっぷりと語っていきたいと思います。
それでは、今回の推し活未来研究所はここまで。お相手は株式会社カザオリの矢沢矢乃でした。
ご視聴ありがとうございました。また次回お会いしましょう。