このプロジェクトの最大の特徴は、何と言っても現役アイドルグループのメンバー自身が審査員となり、自分たちの新しいメンバーを選ぶという点です。
普通のオーディション番組って、芸能事務所のプロデューサーが新人を選んだり、視聴者投票でメンバーが決まったりするのが一般的ですよね。
でもこのタイプロは、菊池さん、佐藤さん、松島さんの3人が、まるで仲間集めをするようにフラットな姿勢で企画段階から深く関わり、審査も自ら行っているんです。
長年トップアイドルとして活躍してきた彼らが、その経験とプライドをかけて、本当にタイムレスにふさわしい人材か、というのを厳しく見極める。
その様子は、他のオーディション番組にはないリアリティと緊張感があります。
実際、番組の中で、ある応募者が少し安易な夢を語った時に、菊池さんが、「言葉一つが命取りになるってことを覚えていてほしい。」と厳しく指摘する場面がありました。
プロとしての覚悟と、グループへの真摯な思いを持つ人だけを求めている、その本気度が伝わってきますよね。
実は私自身も、元々は音楽業界の人間なので、何度もこういったオーディションを受けたこともあれば、オーディションする側の立場も経験させていただいています。
ミュージカルの配役オーディションや、それこそアイドルグループのオーディションで審査員をやらせてもらったことも何度もあります。
そこで私自身が経験したことなんですが、本当にオーディションって甘くないです。
その場で考えたような薄っぺらい言葉なんてすぐにわかりますし、一つ一つの書さまで本当に細かく見てるんですよね。
そういうところにやっぱり人間性が出るし、たった一つの言動で、今までよかったけどこの子は選べないなぁと思わされるようなことも多々ありました。
さて、注目したいのがそのプロモーション戦略です。
ネットフリックス配信前に公開された予告映像、皆さんご覧になりましたか?
菊池さんが歌詞を忘れた候補船に放った、「歌詞忘れてるようじゃ無理か。歌詞はね、入れとかないと。」というセリフ。
これが独自の言い回しだと、すごい話題になりましたよね。
このフレーズはSNSで瞬く間に拡散して、「○○しないようじゃ無理か。○○はね、○○しておかないと。」っていうパロディーがすごい流行りましたよね。
加納英子さんのコントが切り抜きですごいバズってて、私もこれ見てめちゃくちゃ笑いました。
これは菊池風魔公文としてトレンド入りする社会現象にまでなりましたよね。
番組が始まる前から一般層にもネタとして広まって注目を集めたのは、本当に巧みなバイラルプロモーションだなぁと感じます。
バイラルプロモーションってちょっと言葉が難しいんですけど、バイラルっていうのはウイルスのように自然に広がっていくみたいな意味があって、口コミで勝手にどんどん広がっていくプロモーションのことをバイラルプロモーションと言います。
他にも女性子アンアンの密着連鎖が組まれたり、公式のXやYouTubeで候補生の紹介や、ビハインドザオーディションといった裏側の映像を発信したりと、色々なメディアを横断してファンコミュニティを盛り上げています。
タイムプロジェクトがこれほど画期的だと言われるのは、日本の特に旧ジャニーズ事務所系の伝統的なアイドルの育て方やプロモーションの手法とは、ある意味で真逆とも言えるアプローチを取っているからなんです。
これは私自身、かなり衝撃的なカジキリだなぁと感じています。
ちょっと前のジャニーズだったら考えられなかった手法ですよね。
それではその違いをいくつか見てみましょう。
まず、募集育成方法の違いです。
従来のジャニーズ方式では、オーディションは非公開で、選ばれた少年たちをジュニアとして長年内部で育成し、選抜してデビューさせるのが一般的でした。
ファンはデビュー前のジュニア時代から応援することもありますが、グループ結成やメンバー選定の過程は基本的にベールに包まれていて、ファンが関与したりすることはなかったんです。
一方、タイプロでは、一般公募による公開オーディションで新メンバーを選んでいます。
選考過程をすべて見せて視聴者と共有することで透明性を高めると同時に、そのプロセス全体をエンターテイメントにしているんです。
次にメンバー編成の違いです。
ジャニーズのグループはデビュー後にメンバーが増えたり減ったりすることは基本的にあまりなかったんですよね。
固定メンバーで長く活動し、脱退者が出ても基本的には補充はせず、人数が減ったまま続けたり解散したりするケースがほとんどでした。
しかしタイムレスは既存のグループにオーディションで新しいメンバーを追加するという非常に大胆な策に踏み切りましたよね。
これは男性アイドルグループでは極めて異例です。
過去にモーニング娘さんのような女性アイドルで新メンバー加入が話題になることはありましたが、ジャニーズ系の流れを組むグループでは前例がほとんどありません。
グループを壊すつもりはないけれど、新しい風を入れて飛躍したいというメンバー3人の強い決意が感じられますね。
そしてメディア戦略の違いも大きいです。
旧ジャニーズ事務所はインターネットやSNSの活用は比較的慎重で、公式YouTubeチャンネルの開設やSNSの解禁も他の事務所と比べると遅めでした。
それに対してタイムレスプロジェクトは発表当初からNetflixでの世界配信やSNSでの拡散を前提としたプロモーションを展開しました。
テレビの地上波ではなく、Netflixという世界規模のプラットフォームを選んだ点も画期的です。
これにより日本国内だけではなく海外の視聴者層にもアピールできました。
実際、日本のアイドルオーディションがNetflixで見られると海外のK-POPファン層にも認知が広がったようです。
まずこの企画自体が旧ジャニーズからスタートエンターテインメント社になり、これからどんどん新しく変わっていくという意思の現れなんじゃないかなと思います。
さらに公式Xでの情報発信やファンとの双方向コミュニケーションにも積極的です。
例えば、オーディション発表直後には賛否両論があったファンの声に対して、菊池さんが自らInstagramのストーリーで質問や不安を募集し、それに丁寧に答える場を設けました。
トップアイドルがSNSで直接ファンの疑問に答えるというのは、旧来のやり方では考えられなかった対応で、ファン心理に寄り添う誠実な姿勢が伺えます。
菊池ふまさんは番組内でもずっと今まで応援してくれるファンが大事だという姿勢を貫き通していたのもすごく印象的でしたね。
この姿勢があったから今までのファンも新メンバーを受け入れてくれたのかなと感じました。
最後にグローバル思考の違いです。
セクシーゾーンからタイムレスへ解明した背景には、セクシーという名前が海外で活動する上で少し障壁になっていたという指摘もあったと言われています。
グループ側も世界進出への意欲を示しており、タイムレスプロジェクトのネットクリック最新はその第一歩と言えるでしょう。
従来の国内中心だった戦略に対し、タイムレスは最初からグローバルな視野を持っている点が新しいですね。
このようにタイムレスプロジェクトは、これまでの日本の男性アイドル、特にジャニーズ的文脈から見ると真逆を行く新戦略の連続なんです。
その確信性ゆえに、発表当初はファンから戸惑いや反対の声も上がりましたが、結果的には多くのファンの支持を勝ち取っていくことになります。
タイムレスプロジェクトをより深く理解するために、ここで少し日本と韓国の代表的なオーディション番組の流れを振り返ってみましょう。
近年では日韓で様々なオーディション番組が登場し、大きなムーブメントを作ってきましたよね。
それではまず韓国です。韓国はまさにオーディション番組大国。
2016年に放送されたプロデュース101は社会現象になりました。
101人の練習生が参加し、国民プロデューサーと呼ばれる視聴者の投票でデビューメンバーが決まる。
この仕組みからIOIやワナワンといった人気グループが生まれました。
ファンは毎週のランキングに一揆一揆し、自分の推しをデビューさせるために熱狂的に投票していましたよね。
この視聴者参加型サバイバルのスタイルはその後も続いて、
プロデュース48では日韓合同でアイズワンガ、ガールズプラネット999、図書ガルプラですね。
こちらでは日中韓合同でケプラーが誕生するなど国境を越えた企画にも発展しました。
一方で投票不正問題なども起こりましたが、推し活と連動したオーディション番組の原点として非常に大きな影響を与えました。
一方、日本でも2019年頃から韓国式の影響を受けた大型オーディションの番組が増えました。
プロデュース101ジャパンではJ-ON1やINIが誕生。
彼らは視聴者投票によって選ばれ、デビュー後従来のアイドルよりもさらにレベルの高いダンスパフォーマンスやグローバルな展開で成功を収めています。
また、2020年のNiziプロジェクトでは韓国のJYPとソニーミュージックが共同で開催し、JYパークさんが最終メンバーを選ぶプロデューサー主導型でした。
ここから生まれたNiziUは社会現象的な人気となり、K-POPとJ-POPの融合の成功例とされています。
さらに、アーティストのSKY-HIさんが自らプロデュースしたTHE FIRSTから生まれたB-FIRSTも大ヒットしていますよね。
このように、日本でもプロデューサー主導型と視聴者参加型のオーディション番組が対等し、芸能界に新しい流れを生み出していました。
プロデューサー主導型はNiziUやB-FIRSTなどのプロデューサーチームがメンバーを選んでいくやり方。
視聴者参加型は、プロデュースジャパン型のように視聴者の投票数などでメンバーが決まっていくやり方ですね。
では、こうした2巻のオーディション番組の歴史の中で、タイムレスプロジェクトはどこが新しいのでしょうか。
他の多くの番組は基本的にゼロから新しいグループを作るための戦いでした。
しかし、タイプロは既存のグループをさらにパワーアップさせるための仲間探しなんです。
これは視聴者投票型でもプロデューサー審査型でもない現役メンバー自身が選ぶという、いわば第三のタイプ、グループ継承型オーディションとも呼べる新しいジャンルではないでしょうか。
メンバー自身が当事者意識を持って審査に当たるため、番組内では既存メンバーと候補生が真剣にぶつかり合うリアルなドラマが生まれます。
その様子は視聴者にとっても非常に新鮮で、トップアイドルの本気の後継ぎ探しを覗き見しているような独特のワクワク感と緊張感がありました。
これは私も見ていて、現役メンバーたちの本気と候補生たちの本気でぶつかり合うシーンもあったり、すごく引っ込まれたんですよね。
これによって現メンバーたちの人柄もすごくよく分かって、さらにファンが増えたんじゃないでしょうか。
そして、このプロセスを公開したことで、そんな方法でメンバーを増やすこともできるんだと多くの人たちの心を動かし、アイドル育成の新たな可能性を示した点も非常に大きいと思います。
タイムレスプロジェクトがこれだけ盛り上がった背景には、ファンをうまく巻き込む仕掛けがたくさんありました。
タイプロでは、ファンが参加しやすい形でコミュニティを作り、熱狂を生み出す工夫が見られます。
まずは、SNS発信と拡散力の最大化です。
先ほど触れた菊池風間公文のように、SNS上で話題になる現象が意図的に、あるいは自然発生的に生まれていきました。
公式Xでは、ハッシュタグタイプロを推奨して、各エピソードの配信日に合わせて、舞台裏の写真や候補生の情報を投稿していました。
ファン同士が感想を共有しやすい環境を整えたことができたんですよね。
また、Netflixの本編だけでなく、YouTubeで短いコンテンツを配信することで、Netflixに入っていない人にも情報を届けて、オンライン上でのコミュニティ形成を後押しする形になりました。
まさにSNS時代ならではのマルチプラットフォーム戦略だなと感じています。
次に、ファン参加型の企画です。
タイプロには視聴者投票はありませんでしたが、ファンの声を積極的に取り入れる姿勢が見られました。
菊池さんがInstagramでファンの疑問に直接答えたこともそうですし、新体制発足時にはファンの意見を募って、タイムレスファンの呼び方、いわゆるファンネームを決めるという試みも行われました。
ファンと一緒に歩んでいこうという姿勢が伝わってきますよね。
既存のファンも置いていかないよという姿勢がすごく誠実に現れているなと感じました。
オーディションが進むにつれて、候補生一人一人熱心なファンが付き始め、その声援に応えるように後日からエピソード動画が公開されていたり、ネット記事で取り上げられたりすることも増えました。
最終選考前は、「〇〇くんデビューしてほしい!」というファンの声がSNS上でものすごく盛り上がり、結果発表はファンにとってまるで自分の推しの運命を見届けるような感情移入型の体験になったのではないでしょうか。
投票システムの有無とファン心理についても興味深い点です。
直接的な視聴者投票はなかったものの、ファンはハッシュタグなどを通じて、ある種の非公式な人気投票のような動きを見せました。
ファンは自発的に候補生の魅力を拡散し、それが人気の可視化に繋がっていきました。
制作側もその熱量を感じ取りながら、最終的な判断に影響を与えた可能性はありますよね。
実際最終メンバーには視聴者からの人気が高かった候補生も多く選ばれています。
投票がない分、不正などの心配はなく、公正さは保たれつつも、ファンは応援することで間接的にオーディションに参加している感覚を得られたのかもしれません。
公式には決定権はないけれど、自分の応援が力になるというこの絶妙な距離感が、逆にファンの熱意を燃え上がらせたい面もあるのではないでしょうか。
そしてファン文化と収益化の融合も巧みでしたね。
この象徴が、候補生の公式トレーディングカードの発売です。
2025年1月、第5次審査に進んだ12名のトレカがオンラインで販売されると、何度即完売。
2時間で追加生産が決まるほどの人気だったそうです。
これは、推しメンのグッズが欲しいというファンからの要望に応えて実現化した企画で、デビュー前の練習生の商品化は異例ですが、
これもファンと制作側が共に作り上げたと言えますよね。
ファンにとっては推しを応援する形になり、運営側にとっては収益にもつながる。まさにウィンウィンの施策です。
さらに最終回後は、新メンバーのお昼寝イベント・就命式が開催され、その様子がファン向けにレポートされるなど、プロジェクトの最後までファンの熱量を維持する工夫が凝らされていました。
このように、タイムレスプロジェクトはファンとの一体感を非常に大切にして作られたことがわかります。
オーディションというと厳しい世界ですが、タイプロでは途中脱落した候補生にもファンコミュニティができたり、今後の活動を応援しようという動きも見られます。
推しの頑張る姿を最後まで見届けたい、結果がどうであれ応援し続けたいという健全で前向きなファン文化が育まれたのも、このプロジェクトの大きな成果だといえます。
約10ヶ月にわたるオーディションを経て、2025年2月、ついにタイムレスの新メンバー5名が決定しました。
元ジュニア出身の実力者から一般候補で選ばれた新人さんまで、多様なバックグラウンドを持つ5人が加わり、タイムレスは合計8人体制の新グループとして再始動しています。
デビュー後は早速、新曲ロックディスパーティーをデジタルリリースし、初の8人体制でのアリーのツアーも予定されるなど、精力的な活動が始まっています。
では、このプロジェクトがもたらした今後の展望やビジネスの可能性とは何でしょうか?
まず、ファン層の拡大と動員力のアップという成果は明らかです。
ある調査では、タイプロ主張後に新規でタイムレスのファンクラブに入会した、または入会を検討している、と答えた人が全体の約3割に上ったというデータがあります。
また、会員番号からの推測ですが、オーディション前と比べると30万人増えたとも言われています。
当初オーディション開催に否定的だった既存のファンも、番組を見終えた後はこのオーディションをやってよかったという肯定的な意見が過半数になったという報告もあり、結果的に既存ファンの支持回復と新規ファン獲得の両方を達成したと言えそうです。
メンバーが増えたことで、グループとしての露出機会も格段に増やせますよね。
8人いれば、全員での活動はもちろん、ユニット活動や個人活動も並行しやすくなり、一人一人の負担を減らしつつ、グループ全体の露出総量を増やすことができます。
例えば、テレビ番組のインタビューを旧メンバー3人と新メンバー組で分けて受けたり、先輩後輩ペアでラジオに出演したりと、同時多発的にメディアに出ることも可能になります。
これにより、新規ファンを開拓するチャンスが増え、グループが公言している5大ドームツアーの実現も現実味を帯びてきます。
実際、タイムレスは、数年内に東京ドームなど全国5大ドーム公演を成功させるという大きなビジョンを掲げており、そのために必要なファンや話題性を逆算した結果が、この追加メンバーオーディションという戦略だったとも言われています。
この点からも、タイプロは単にエンタメとしておもろ白いだけではなく、緻密に計算されたビジネスプロジェクトであることがわかります。
さらに、タイムレスプロジェクトは、日本の大勢アイドルシーンに新たなモデルを提示しました。
この成功を受けて、今後は他のグループや事務所が同様の公開オーディションによる活性化作も検討するかもしれません。
最近、旧ジャニーズ事務所を対象したタレントたちが新しい会社を立ち上げたり、別のグループで再デビューするなどの動きもありますが、タイプロのような方式なら既存のブランドを生かしながら人材の流動性を高めることができます。
エンタメ業界全体で見ても、人材発掘とファン獲得を同時に行えるオーディション番組は、改めて強力なマーケティング手法だと認識されたでしょう。
ネットフリックスという巨大プラットフォームで成功したことで、海外からの注目も集まりやすくなり、将来的には日韓合同やグローバル規模のプロジェクト展開も期待できるかもしれません。
最後に、推し活との関係についてです。
タイプロは、ファンに推し活の醍醐味を存分に味わわせてくれるコンテンツでした。
努力する候補生の人間性やメンバーとの絆が丁寧に描かれたことで、ファンは見た目や才能だけでなく、内面も含めて推しへの愛着を深めました。
オーディション番組は、アイドルの成長物語を共有できるので、デビュー後の応援にも一層力が入りますよね。
この子をデビューさせたい、デビューできなかった子も別の形で支えたい、といったファン心理が生まれ、推し活への熱量が高まったという声も多く聞こえます。
こうしたファンの熱意は、グッズ購入や配信支助、イベント参加といった具体的な経済効果につながり、ビジネス的にもグループを支えます。
タイムレスは、今回獲得した新規ファンや盛り上がったコミュニティを大切に育てながら、今後の音楽リリースやコンサート、もしかしたら配信番組の第2弾とか、新メンバー合流後のドキュメンタリーとか、そんなものも展開していくのではないでしょうか。
ファンも一緒に物語を作り上げていく姿勢を貫けば、長期的なブランド価値の向上も見込めるでしょう。
まとめると、タイムレスプロジェクトは、アイドル自身が未来を切り開いていくオーディション、というこれまでにない新しい戦略であり、日韓のオーディション番組の歴史から見ても非常にユニークで画期的な試みでした。
ファンの心を動かすドラマと巧みな戦略によって、多くの支持と成果を得て、今まさに新生タイムレスがスタートを切っています。