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  2. #8『往古来今』磯崎憲一朗
2021-12-24 14:59

#8『往古来今』磯崎憲一朗

#8『往古来今』磯崎憲一朗

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この番組は、本が好きな人たちが集まり、本から始まる様々な思い、広がりを記録してつないでいく番組です。
こんばんは。
こんばんは。
これからよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
お久しぶりですね。
そうですね。
今回、視聴者というかラジオを聴かれている方に説明をしておくと、文学YouTuberのつかつさんが、以前主催されていた文学バーという、バーエデンというところで、うすいさんとお会いして、
そこでお話とかさせていただいて、そこでTwitterとか交換させていただいて、何度かやり取りがあってという感じで、今回ラジオどうですかというお話をいただいて、とても楽しみにしていたんですけど、
結構緊張とかもあるんですけど、どうなるかというのも自分でも結構不安で、本は一冊だけ用意させてもらっているんですけれども、どういう順序でお話させていただけばいいですかね。
大体最初にタイトルと作者と簡単なあらすじと、これに対する自分の感想とか、あんまり書評って考えると難しくなりそうな気がするんで、
自由な感じで自分はこの本を読んで、ここがとても面白かったとか、こんなことが書いてありましたとか、どんな感じでも大丈夫で。
わかりました。
はい。なんか固い感じなんで、ちょっと雑談してからしましょうか。
そうですよね。僕もすごく緊張してしまって。
慣れないと緊張しますよね。
こういう媒体で話すのが初めてで、どうしていいのか全くわからなくて。
あと顔が見えないというのもなんか違和感ありますよね。
僕のほうから話題を振らせていただくと、うすみさんは最近はどんな感じで過ごされていますか。
特にこれといった12月で年末で、やっぱりなんかこう実家に帰ろうかなとか、
なんかいろいろ忙しさを勝手に感じている感じがありますね。
特に何しなくちゃいけないってわけじゃないんですけど。
今大阪に住まえているというラジオでもお話しされていたと思うんですけど、
実家は大阪からちょっと離れている感じなんですかね。
そうですね。私は関東の。
パッと帰れる距離でもないし、帰ろうと思えばすぐ帰れるんですけど。
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コロナとかもありますからね。
そうですね。流行ってるみたいですもんね。
かなたさんはどうですか。何か今の時期。
僕はですね、習慣としてランニングをしているんですけど、足を腰を落ちてしまって、
それで結構走れなくなっているんですよ。
足のどこかというと、すねの内側と言いますか、
すねの内側あたりが傷んでいて、横脚なんですね。
横脚ですねの内側に負担がかかると言いますか、真ん中あたりが結構痛むんですけど、
そこが走れないフラストレーションが溜まっている感じで、
それ以外で言うと、もうすぐ年末ですし、親戚とも集まって楽しみだなという風に。
足治って走れるようになるといいですよね、また。
そうですね。
あとやっぱ走る目的っていうのが結構体重を維持するためにとか、
ダイエット目的で結構4年前からとか始めてたんですけど、
走らないと体重がどんどん増えていく感じで、
それで結構フラストレーションと言いますか、もう溜まっていっている感じですかね。
なんか走る以外の運動をするのはどうですかね。
そうですよね、水泳とか。
水泳とか、あと上半身に特化した運動をするとか。
そうですね。
カロリーを消費すればいいんですよね、きっとね。
でもなんか怪我とかって怖いですよね。
そうですね。
今回お話しさせていただくにあたって、前もって文章を考えてきて、
それでそれを元に話していけたらなと思ってたんですけど、
できるだけ棒読みにならずに喋り言葉っぽく、口語っぽく喋っていけたらなと思うんですけど、
今回紹介する本が、「王子雷魂」という磯崎健一郎さんが書いた本でして、
今回ラジオでお話しさせていただくにあたって、
最初に思い浮かんだのが磯崎健一郎さんという方でして、
先に彼の略歴と言いますか、紹介をさせていただくと、
1965年生まれ、千葉県出身です。
早稲田大学を一浪したんですが出ています。
2007年に彼が41歳の年に「肝心の子供」という作品でデビューしています。
2009年に「次の住処」という作品で芥川賞を受賞しています。
最初は次の住処という作品を紹介しようと思ったんですが、
というのも彼の良さが結構語りづらくて、
一番語りやすいのがこの芥川賞受賞作だったんですけど、
小説の評価ってテクストの外にある情報を頼りに批評する方法があって、
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例えば社会的な問題を扱った小説の批評がしやすいのは、
DVとか夫婦別姓生徒とか、もともとあるものについて
接点を持ちながら語れるからだと思っているんですが、
そういう意味で磯崎健一郎という作家はとても批評しづらい、
難解とも言えるんですけど、その難解さは後で説明するとして、
このついの住処という作品なんですが、夫婦間の関係を書いたもので、
その扱う問題の普遍性がやはり語りやすくて、
そういった理由もあって多分芥川賞を取ったと思います。
今回は彼の作品の中で最も語りづらい作品、
外部からの評価も許さないような、
王子来婚という作品について語ります。
繰り返すようにこの作品はとても語りづらいです。
わかりにくい表現になると思うんですが、
話の筋はあるけどストーリーや物語がない。
形式としては短編集とか連作短編という形式を取っていて、
全部で5編を収録されています。
語り手の説明なんですが、これがまた結構難しくて、
一人称小説なんですけど、語り手が作中でコロコロ変わる。
どういうことかというと、一応その私という語り手はいるんですが、
この私という語り手が別の人物の話をする、
その話の中のどこかで語り手が私からその別の人物に変わる。
私が別の私になって語り出す。
しかもこの語り手の交代がとても自然な形で行われるから、
たまにですが、今のこの話はどの私が語っているんだという風に、
語り手の主張が不明瞭になったりします。
様々な私を媒介としていろいろな話が語られる。
この王子来婚という作品の面白さはその点にあるんですが、
当然、読みにくさも伴います。
話の流れを一応説明しておくと、3本目の小説に
見張りの男という題の小説があるんですが、
40ページの間に回余が1回もないです。
地方都市の話から、母親が川で溺れていた犬を助ける話、
その後で東鏡の話になって、そこから相撲部屋の話になって、
そこから相撲鳥が郵便配達所に転職する話になって、
主人公の独白があって、最後に作家のフランスカフカの話になって、
話が集結します。
ちょっと今聞いただけでは、話の流れはたどれても、
実体が理解できないと思うので、別の短編から引用してみようと思います。
過去の話という一番目の、短編の中で一番最初に来る話を
少しバスとしようと思います。読みます。
34ページ。
もし本当にこの世界が悪くなり続けているのだとするならば、
私たちは常に歴史上最悪の時代を生きていることになる。
私が今まで登ったことのある一番高い建物は、
ドバイにあるホテルだ。
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という文章なんですが、とても自然な文章の流れに見えるんですが、
実は一つ目のセンテンスと二つ目のセンテンスで、
全く別の話題を語っています。
歴史上最悪の時代を生きているという話題と、
私が今まで登ったことのある一番高い建物という話題は別物です。
文章の中でこのような話題の条約があるのは、
僕はあまり読んだことがありません。
多少実験的だと言えると思います。
しかしこのような書かれ方をされていて、
僕自身がそれを面白いと感じる理由は何なのか、
僕はうまく答える自信はありません。
語り手が入れ替わる、改行がない、話の条約がすさまじい。
これらの説明は作品の表面をなぞっただけで、
何も語ったことにはならないのではないかと思ったので、
作品の難解さを解く鍵として、
作者の磯崎健さんのインタビューを引用したいと思います。
インタビューと言うと、大倶楽園の後書きです。
後書きからの抜粋です。
最後のページ。
段差や転調を作者の意図として書かずに、
いかに前に進めるか、どこまで小説に忠実でいられるか、
だけを考えているというふうにあるのですが、
小説に忠実とはどういうことか。
作者の磯崎健一郎さんは、よく同じような意味で、
小説に書かされているとか、小説が自走するとか、
小説があっても生き物であるかのように、
自分を変えているという説明をよくします。
僕は今まで、小説とは作者が書くものだから、
作者が作品を掌握してコントロールするものだという認識があったのですが、
磯崎健一郎さんから言わせると、そうではないらしいです。
小説の流れに身を任せ、筆を任せる、
このことを実践したのが、磯崎健一郎さんという作家です。
この大倶楽園という作品も、
作者自身が小説の力強い流れに巻き込まれて書くのではなく、
書かされている。
そういった小説の牽引力とか、読んでいて驚かされるような話の
店長の巧みさなどが読んでいて、
とても感銘を受けるところだなと思います。
うすりさんも、ラジオを聴いてくださっている皆さんも、
よかったら手に取って読んでみてください。
以上です。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
すごく難解で難しそうな本です。
読んだことがないから、
今のお話を聞いた感じでは、
不思議な本な感じで、
読めば読むほど不思議さ、
難解さって魅力のひとつですよね。
そうですね。
パッと読んですぐ理解できるものよりも、
わからないほうが、
どんどん興味が湧いてきたりするんでしょうね。
そうですね。
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でもそういうのを、
何か人に説明するのって難しいですよね。
難しいですね。
さっきの説明でも僕は言ったんですけど、
こんなにわけがわからないのに、
好きになる気持ちは何なんだっていう。
自分でもわからないけど、
なぜか夢中になっているっていう感覚が、
相反するような何かが僕は面白くて、
それで結構何回でも、
3回くらい読んでるんですけど、
読んでいますね。
わかります、そういうのって。
簡単に説明できちゃったらきっとまた違うし、
なかなかでもそういう人に伝えにくい作品を、
伝えるっていうのも面白いかもしれないですよね。
そうですね。
読む人によってもそれぞれ違うでしょうし、
この作家はたくさん出されてるんですよね。
作品数は。
10作ぐらいだと思うんですけど、
デビューが2007年なんで、
作家人生といっては、
14年活動されてるんですけど、
その間に大学の教授とかもやられて、
それと並行して作家活動されてる。
著書でいうと、
10作とか11作ぐらいあるんじゃないかなと思います。
だいたいどの作品も一貫して、
そういった難しい感じですか。
そうですね。
芥川賞を受賞した次の住み方作品は、
比較的簡単と言います。
さっきも言ったんですけど、
夫婦間の問題という、
普遍的な話題を題材としているので、
人にお勧めするのであれば、
次の住み方作品を僕はお勧めするんじゃないかな、
というふうに思いますね。
そっちを読んでから、
大久保雷子屋を読むと、
慣れた文体に慣れて読みやすいとかありますかね。
あると思います。
慣れがないと、
面白さというものを理解できない。
理解できないことはないと思うけど、
より理解しやすくなるんじゃないかなと思います。
そういうちょっと癖のある作家っていいですよね。
その癖が好きになるってところがありますよね。
そうですね。
こすいさんは、
そういう一癖二癖のある作家さんで誰か思い浮かぶ人はいますか。
そうですね、癖にもいろいろ。
ご視聴ありがとうございました。
次回をお楽しみに。
大阪ブックラジオ
14:59

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