女性リーダー向けプログラムの意図
組織を考えるメディア Organize。このポッドキャストは、エールの篠田さんと山田で、組織を考える、とらえ直す上で、我々が面白いと思った視点や観点をシェアしていこうという番組です。では篠田さん、今回もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
前回は、システムとして組織をとらえる話が、大変僕ら、好みのゾーンで盛り上がって長くいきそうだったんですが、今回は、そういうわけで、もうちょっとじゃあ具体の側から、システム的にとらえるって、例えばこういうことだねっていうのが、
最近のご経験でも、篠田さんがあったということなので、ぜひその辺りをひも解いていければなと思います。
ありがとうございます。最近、ある企業で、女性管理職をもっと生んで増やしていきたい。今いる管理職の方たちも、より上位の職位っていうんですかね、に意欲を持ってチャレンジしていただきたいなっていう経営のアジェンダがあって、
そこに基づいた女性リーダー向けのプログラムの、ある一コマを私が受け持ったんですね。その時に、やっぱり当然ですけど、女性ってひとくくりにされても困ると言いますか、皆さんそれぞれ一人一人の個性もあるし、仕事や立場も違うわけなので、
むしろ女性ってこうですよね、みたいなことは不毛だから、前半に話したシステム思考っていうものをちょっとご紹介して、システム的なテーマだから多分、女性がビジネス界で、教育水準は男性とほぼ一緒なのに、日本の場合。
ビジネスの世界とか政治の世界になるとガターンとこう少ないので、この現象は何なのか、何が起きてるのかっていうのを捉え直すっていうことを一緒にやりませんか、っていうテーマにしたんです。私の狙いは、それによって一人一人自分が置かれている状況の範囲だけで課題を捉えると、人によっては私別に女性だからって不利な思いいっぺんもしたことないですっていう方だって当然いるし、
人によっては子育てとか介護の負担がある方は、確かに日本社会の通念からいくと女性だっていうことで不利なのはわかるが、そこまで配慮するんですかねっていうような考えの方もいて、様々なんですよね。それをもうちょっとこう、まさにシステム的に捉えると、ご自身が今見えている景色ってシステムのここを私見てるのねっていうことがわかるから、
それってリーダーに今後なっていらっしゃったり、後輩ができてきたときに、より適切な対応ができるようになるよねって。そういう意味でこのシステム思考的に捉えるっていうのをやってみましょうよって、こんな立て付けをしたんです。
ここでちょっと数分超かいつまんでしゃべると、前回お話ししたシステム思考の道具立てでいくと、1個はその「鳥の目、虫の目、魚の目」っていうのを紹介した上で、鳥の目で見るとどうですかって言って、皆さんに出してもらったんですよね。
そうしたら、私もそこで初めて教わったんだけど、例えば過去この会社ではこういうことがあって、例えばある時期こういう事情があって女性の採用がとても少なかったのだと。だから今リーダー層に女性いませんって当然ですよ、みたいな要素が出てきたり。
あるいはその事業領域が、例えばユーザーのジェンダーバランスが結構男性によっている事業領域があるからっていう話とか、結構やっぱりその鳥の目ならではの要素が出てきたんですよね。すごい面白かったんですよね。
次にその「氷山モデル」を使ってやってみましょうって。私はその会社についてそこまで深く知らないし、むしろ外部だから世の中こうなってますっていうことを情報をご提供するっていう感じで、これは氷山モデルでやったんです。
例えばその事象として起きているのは、さっきも言ったように女性のビジネス界における活躍が少ないとかっていうことがあるんですけど、それパターンになってないかなっていうのを見に行って。
出した事例として、例えば顔認識AIって最近だいぶ良くなってますけど、例えば10年前ぐらいまで肌の白い男性のエラー率って1%未満だったのが、肌の黒い女性になるともう2割3割みたいな。
それがアメリカの警察でうっかり使われちゃって冤罪の温床になってるんじゃないかみたいな指摘があったよね。それって元々をたどると開発したエンジニアが白人系アジア系の男性がとても多くて、一番初めの学習データに偏りがあったからじゃないのみたいな話。
いい悪いの話じゃなくて、システムの話
そうですよね。たぶん元のデータセット自体が白人男性のデータが多かったりすると、ラーニングできる元データに違いがあって。
その上に当時の技術だといくら上から学習を重ねても、初めのバイアスを取り除くのがすごい難しくて。
一時その事業をものすごい縮小したり撤退せざるを得なかったっていうこのパターン。今もですけど、自動車の安全基準を検査するダミーって男性の体なんですよ。
結果として女性が同じ事故にあった時の負傷率死亡率が優位に高いんですね。日本の中でいくと、男の一人親家庭って平均年収500万超えてる。女性の一人親家庭って平均年収300万切ってるんですよ。
っていうパターンとか、逆に男性に不利な事例として、ご夫婦でいて配偶者が亡くなった時の遺族年金って男性は受け取るの大変なの。ある年齢を超えないと基本受け取れない制度なんですよ。
まだ係争中なので、ある方が国を訴えていて。それは男は仕事、女は家庭っていうのがパターン。パターンこんなにあるよね、我々の社会っていうのをまず見て。
それどういう構造で起きてるんですかっていう時に構造として、こういう社会の基盤になる技術とか法律とかの意思決定をするところに女性がいない。これまではとても少なかったですっていうことが構造的に問題ですよ。
だから女性比率を上げましょうっていう話になってんだよねっていう話をし、そのベースにあるメンタルモデルの一つとして、男性は仕事、女性は家庭っていう無意識の役割分担意識がある。こんな風に使っていたりした。
なんか今の話、最後のところすごいいいなと思ったので、誰も悪いともいいとも思ってないじゃないですか。かつ、ある種そういう前提を持ってた方が結果的に全体によっていいシステムパターンが作れたっていうことも当時はきっとあった。
例えば車で言えばわかんないですけど、雑に言えば運転する人は男性がほとんどだったって時代だったとしたならば、ダミーの人形が男であることは大変合理的ですよね。
はい、そうですそうです。
むしろ女性にして合わなくなって、男性が怪我しやすくなったら、ドライバーの多くが男性なのに怪我しやすくなるって、当時は違ったねっていうのは、まさにパターンですよねっていう。
まさにパターン、もうほんとそうなんですよ。
いい悪いの話をしてるんじゃなくて、今は女性が働くという機会があることの方が望ましいという世界に変わってるんだから、それに合わせた意思決定をするところに女性への視点が入っているという構造じゃないと意味ないじゃん。うまくいかないじゃんっていうシステムの話ですよね。
まさにそうなんですよ。そうなると、女性活躍でむしろ不利になっている人がいますとか、その捉え方を否定するつもりはないけれども、そこに着目しても全体の課題の解決に全然ならないっていうことも、
今お話ししたようなシステム思考的に今起きている事象の背後にある構造やメンタルモデルまで一旦捉えてみると、それこそその研修にね、人によっては忙しいのに、自分は女性だからって一度も苦労したことないのに、なんで今さら女性管理職なんちゃらみたいな研修に追われるんでしょうねって、純粋に疑問を持たれるんですよね。
そうだと思うんです。その方、当然。なんだけど、この構造があることをやっぱり当時、実は自分がシステムの一部なんで、当事者だから知っておくのは良いのではないでしょうかっていう。
その視点を変えた時にこういう研修が必要だなと感じる経営層の視座っていうのもなんとなくわかるよねっていうような、そんな流れになっていったのかなと思います。
今日のお話、システムとして組織も捉えられるよねっていう話と、一見するとエールが事業として聴くとか対話するって言ってるのって、一見すると距離がありそうに聴こえるじゃないですか。1対1のコミュニケーションのこと言ってるんですよね、みたいなことで。
なんですけど、篠田さんがしきりにやっぱり組織力として聴く対話するという力が備わることが大事なんであるって言ってるのって、むしろこのシステムのメカニズムがより良くなるためにそれが必要ですよねっていうこと、実は同じこと言ってますよねっていう。
「聴く」という選択肢がシステムに増えると
ありがとうございます。本当そうなんですよね。どうやって説明したらいいのかな。
つながりを作るシステム図、ループ図的なところのイメージでいくと、聴くっていうところを支えるまさに姿勢と言いますか、メンタルモデル。
っていうのが、その組織のループ図に加わると様々な要素の相互の関係が変わって、より良い循環が増えるのであるっていうことを概念的には言ってるんだと思います。
まえすごい興奮気味に話した、『企業変革のジレンマ』って、宇田川元一さんの本は、それを宇田川さんの視点で、多数の要素が対話っていうものが入ることでずれちゃって、システムとしてはどっちかが良かれと思ってる、どっちかが足を引っ張るっていうことで打ち消しあって全く前に進みませんっていう関係性から、
そこに対話、私たちの感覚でいくと聴くから始まる対話を入れることで打ち消し合う要素ではなくて、新たに新しい枠組みを作るっていう動きが生まれますよねって言ってる。システム図的に表せるっていうことなんだと思います。
これ言った上で氷山モデルの方に行くと、聴くっていうことによって各レイヤーそれぞれあると思うんですけど、わかりやすいのはこのメンタルモデルって、聴くって自分が正しくて周りが間違ってるとかいうのとはだいぶ違う、自分はそうなんだけど他者は他者でその人の世界観価値観があるよね。
withoutジャッジメントで一旦それを見に行くと。で、その上で共に何かを作ろうというメンタルモデルと聴くっていうことは親和性が高いから。で、そこのメンタルモデルが変わるとその上に乗ってる構造やパターン、そして事象は、実は構造が変わらなくてもメンタルモデルが変わるだけで結構最後のパターンや事象って変わる。
組織構造とか組織をわざわざフラットにしますとか言わなくても組織の挙動が変わるよねっていうのが氷山モデル的な説明。
多分どっちからも本当に行けますし、エールの代表の櫻井さんの本の中でも、その聴く、傾聴するという意味での聴くと、その門構えであえて聴く、ジャッジしながら聴くとジャッジしないで聴くって言い分けたりしてるのって、なんかどっちかがいいとかではなくてどっちもですよねって言ってるのとかって、やっぱシステム図的な捉え方でなんかわかりやすいなと思ったので、
その別のシステム、傾聴できるという経路も持つことによって違う作用も生まれるよねっていう話と、今のそのメカニズムそのものが何か間違ってるから変えるべきみたいな話をしてるんじゃなくて、他のやり方も持つことによってよりスムーズなシステムになり得ますよねっていう提案をしてるに近いですよね。
もちろんその結果全体が変わったり、より良くなったりする可能性もあると思うんですけど、なんか選択肢持ちましょうっていう提案だなって捉えた方が、なんかより篠田さんの今話されたことにも通じそうな気がしていて。
そうそう、選択肢があるっていう状態ってシステム図でループ図で表現するとその要素が一個足される。その要素と既存の要素の相互作用が新たに生まれるっていうことですもんね。それによって様々な要素の挙動や力関係がちょっと変わる。
システム、組織というシステムに起きる変化の話をしている面と、一方で、じゃああの人が本当に目の前の人に聴いてもらっている時間があって、その人自身が自分のことをより深く理解できたりとかっていう個人にとって大切な影響、要素、変化みたいなこともあるしっていうのは、
どっちも我々エールの中で事業をやりながら非常に語っているなっていう感じが、なかなか伝わりづらいんだな、ここまでしゃべらないとっていう理解をちょっとし直した感じが。
最後言ってくれたところを拾うと、人っていうもの自体が、人一人っていうのは非常に複雑なシステム。
本当そうですよね。
確かにね。
その人がこう2人並んでコミュニケーションを取ろうとするだけでむっちゃ複雑なんですよね。
そうですよね。
よくこのポッドキャストも確か篠田さんが、いや人ってそういうものじゃんみたいな、その人間観というか人というものをどう捉えるかということ自体も、多分人というシステムの捉え方が人によって違ってっていうのからそもそも多分全てが始まりますもんね。
いや本当そうですよ。
ということでシステムということを前回今回割と僕らは熱く語った気がしますが、好きでだいぶ突っ走って僕らしゃべったんじゃないかと、ちょっと若干振り返りながらソワソワしてるんですが。
また聴いてくださってる皆さんを若干置いてきぼりにした可能性があるけど。
置いてっていたらもうちょっとちゃんと解説してとかってなんかフィードバックいただけると嬉しいですね、これは。
よろしくお願いします。
はい、ということで今回はこの辺で終わりたいと思います。篠田さんありがとうございました。
ありがとうございました。