00:01
スピーカー 2
のらじおのMuroです。
スピーカー 1
かえです。こんにちは。
こんにちは。
スピーカー 2
今日はあれですよ。
スピーカー 1
もうあれです。
スピーカー 2
我々にとっては重いテーマになってきますね。
ちょっといいのかな。
僕は知らなかったんですよね。
クラブハウスで、確かかえちゃんと萩尾本の話を話しているときに、
周一さんという方がいらっしゃって、その人が
一度きりの大泉のこと、大泉の話、一度きりの大泉の話っていう
萩尾本のエッセイが最近出版されましたよっていうのを知ってくれたんですよね。
スピーカー 1
そうそう。
スピーカー 2
かえちゃんは前から知ってたんだよね。
知らなかった。
スピーカー 1
知らなかった。
スピーカー 2
僕たち慌てて買ったんだよね、その萩尾本の。
一度きりの大泉の話を。
そしたら読んだら結構やばい話だったんだよね。
スピーカー 1
これはね、やばいですね。
スピーカー 2
ちょっと萩尾本好きっていうのをね、第2回に特撮出しちゃったから、
この話しなきゃいけないなっていうことになって、
この話で多分ね、長くなっちゃうんですよ。
スピーカー 1
長くなると。
終わり見えないからね。
スピーカー 2
多分編集とかもしないんで。
スピーカー 1
しない、そのまま。
スピーカー 2
多分聞くにあたって、一度きりの大泉の話と少年の名はジルベールを読んだほうがいいんじゃないかなっていう、
少年の名はジルベールっていう竹宮圭子のエッセイもあって、
すごく簡単に問題の背景を言っておくと、
萩尾本と竹宮圭子っていうのは少女漫画第2世代みたいな感じで出てるんですよね。
2.5世代みたいな感じで。
もともと少女漫画っていうのは、男性が描いてたんですよね。
哲川さんもリボンの消しとか描いてて、
男性が少女漫画を描いてたんだけど、
それが女性が描く少女漫画っていうところにシフトセンチしていったわけですよね。
それが終焉写とか高段写とか小学館とか出ていくんだけど、
小学館が終焉写や高段写に比べると高発で、
その小学館の少女漫画の雑誌を観光するときに、
その雑誌を牽引する注目の若手として、
竹宮恵子と徳島出身の竹宮恵子と、
福岡県大本市出身の萩尾本っていうのがほぼ同時に上京して、
その2人が東京の練馬区の大泉っていうところで、
2年間一緒に生活しながら、
いわゆる大泉サロンと呼ばれる、
03:03
スピーカー 2
いわゆる花の24年組と呼ばれる山岸涼子とか、
大井諸君の人とか、いろいろな少女漫画家がそこに集まって、
一緒に創作をしたりとか、一緒に楽しんだりとか、
そういうふうなことをしてたっていうのがあって、
大泉にいわゆる大泉サロンがあったっていうのは、
2016年に竹宮恵子が、
少年の名はジルベールっていうエッセイ本を出すまで、
よく知られていなかったんですよね。
スピーカー 1
なんとなくそういうのがあったようだっていうのは、
多分漫画界ではあったけど、
手塚治虫とかの、なんだっけ、
スピーカー 2
時和装みたいなね、手塚治虫とか藤子藤代とかがいた、
時和装みたいな感じで、女性版時和装みたいな感じで、
大泉サロンっていうのがありましたみたいな、
多分出版界とか少女漫画界とかの狭いソーシャルサークルの中では、
スピーカー 1
なんとなく知られていたし、
スピーカー 2
多分ファンの間でもなんとなく想像されていたんだけど、
スピーカー 1
実態がよくわからなかった感じですね。
スピーカー 2
わからなかった。
それを竹宮圭子が少年の名はジルベールっていうエッセイで、
バーンって出したんですよね。
バーンって出したら、竹宮圭子が1970年から72年まで2年間、
一緒に住んでましたよっていうのを、
萩尾本と一緒に住んでましたよって出したから、
もんだから萩尾本のところにたくさん取材の依頼が引くようになって、
萩尾本側から見た大泉サロンっていうのが、
いわゆる大泉サロンっていうのが提示された。
それが一度きりの大泉の話っていうエッセイ本になっているっていう。
僕たちは萩尾本結構好きだけど、竹宮圭子結構読んだりしましたか?
スピーカー 1
全然ですね。
風と木の歌もちょろっと出だしだけ見て、やめちゃったんですよね。
ちゃんと読んでないです。
スピーカー 2
僕はこの話をね、たぶんするのは初めてなんだと思うんだけど、
僕高校の時文芸部っていう小説とか詩とかを書くサークルにいて、
詩で僕結構いろいろな賞をいただいたんですよね。
高校1年生の時は詩で最優秀賞をいただいて、
2年生の時は剣で最優秀賞をいただいて、
3年生の時は国で最優秀賞をいただいたんですけど、
その国で最優秀賞をいただいた時に、
詩のイメージっていうのは、僕の中では森博史と萩尾本から釈用されたんですよね。
06:10
スピーカー 2
もっと言うと有言と微笑のパンっていう森博史の本と、
東魔の心臓っていう萩尾本の代表作を、
僕の中で成り交ぜにしたような詩を書いて賞をいただいたんですけど、
それ前回話した、ネットで全文を上げてた人、
消さしたってやつなんですけど、
読売新聞に詩で一等賞になると読売新聞に全部出るんですよ、一面使って。
そこから書き写したんですよね。
ここまでは結構僕いろんな人に話してるんだけど、
2年生の時に県で最優秀賞を取った詩っていうのは、
僕も記憶が曖昧なんだけど、
確か竹宮圭子の短編漫画にインスパイアされている。
スピーカー 1
へー!
スピーカー 2
竹宮圭子ってSF短編集みたいなのが出てるんですけど、
告白とか殺意の底とか3冊って、もう1冊ちょっと忘れちゃった。
あるんですけど、これすごい良かったんですよね。
すごい良かったから風と木の歌を読ませてもらって、
僕たち共通の友達の鹿児島の友達に借りて、
風と木の歌を読んだんだけど、確かに僕もピンとこなかった。
その後バナナフィッシュっていう漫画を読んで、
あれもまた似たような話なんだけど、
それもやっぱりピンとこなかったんだよね。
トーマの心臓にピンときた感じが、
風と木の歌とかバナナフィッシュには僕はなかったんだよ。
でも竹宮圭子って僕結構気になってたから、
3編SF集結構好きだったから、私を月まで連れて行ってとか、
竹宮圭子、寺へとかね。結構いくつか読んでたんですよ。
ファラオの中とか。
この人たちモチーフとか絵柄とか似てるなと思ってたんだけど、
あんまり深く考えてこなかったんですよ。
この本を読むまで。全然知らなかったんだけど、
この本を読んだことで、あまりにもいろいろなピースが繋がった。
今回この話をするときにリスナーの皆さんが、
もし時間があるなら、おそらく一度きりの大泉の話を読んで、
その次に少年の名はジルベールを読む。
その次にトーマの心臓を読んで、風と木の歌を読む。
中川祐介っていう人が、萩尾本と竹宮圭子っていう心象を出してるんで、
09:02
スピーカー 2
もしよかったらその本を読んでみれば。
スピーカー 1
それ知らなかったです。
スピーカー 2
今日この集落をするために、徹夜でこの辺全部読みになりました。
どうでした?一度きりの大泉の話、かえちゃんは。
スピーカー 1
まず感想を読んで、最初の感想は、ただただ悲しみにまとわれたというか、
こんなに悲しいことがあったという感じだったんですけど、
ファンとしてね、萩尾本ファンとしては、なんと悲しいことがあったのかと、
ただただそれだけだったんですけども、
なんていうかね、落ち着いてじっくり考えると、
ちょっと何から言っていいだろうか。
まず、この本は望まれて生まれた本じゃないっていうのが、
スピーカー 2
それすごかったね。
一応、本の内容を簡単に説明した方がいいかな。
スピーカー 1
そうですね。もうネタバレごめんでいきましょう。
スピーカー 2
ネタバレごめんで本の内容を簡単に説明すると、
東魔の心臓っていう萩尾本の、すごい有名な表題作があるんですよね。
代表作っていうのがあって、
その東魔の心臓が盗作なんじゃないかっていう噂が、
連載当時にあったわけですよね。
どこからどう盗作したのかっていうと、
竹宮恵子の風と木の歌を盗作したんじゃないかっていう噂なんです。
誰が献伝してたとか全然わからなくて、
東魔の心臓っていうのは、
その前段階として11月のギムナジウムっていう作品があって、
テーマは共通してるんだけど構想は東魔の心臓の方が早かったらしいんですよね。
これに共通してるのはドイツのギムナジウムで、
少年たちの軍蔵劇が描かれるっていう作品なんです。
少年たち同士のちょっと説明つかないような、
愛情の絡まりっていうのが見れるっていう話なんですけれども、
一方竹宮恵子の代表作である風と木の歌っていうのは、
男将みたいな体を売るような活動している学生が、
12:01
スピーカー 2
確かあれフランスだったよね。
スピーカー 1
竹宮恵子はフランスですね。
スピーカー 2
フランスの寄宿学校でそれが起こったっていう。
それはもう完全に少年愛。
少年と少年が出会ってお互いに愛し合っていくっていう、
その真面目なタイプのちょっと褐色の肌の男の子、
紺血の男の子と男将をしている天使のような顔をした男の子が、
お互いに惹かれ合っていくっていう話。結構長い。
11巻ぐらいあるのかな。結構長い話だよね。
この風と木の歌っていうのは少女漫画というか漫画界に、
いわゆる今で言うBLだな。
ボーイズラブとかヤウイとか言われるような、
男性同士の恋愛とか男性同士の性愛みたいなものを、
漫画文化の中に持ち込んだ非常に画期的な作品だったわけですよね。
竹宮恵子はそれで名を成して京都聖火大学の教授になったりとか、
いろいろな偉い人になっていくわけなんですけれども、
それがどのように生まれたかっていうのが、
少年のアージルベールっていう竹宮恵子のエッセイに書いてある。
竹宮恵子側の話だと徳島から出てきて、
1回漫画家活動をした後、学生運動の動向を見るために、
1999年に1年間だけ漫画家を休業する。
70年に漫画家を再開した時に仕事を受けすぎてしまって、
東京で缶詰になっちゃう。
缶詰になった時にたまたま東京を訪れていた萩尾本と出会う。
萩尾本と東京で出会って、竹宮恵子はこの子は天才だと思うわけですよ。
2人同い年なんですよね。
天才だと思って東京で一緒に住もうって誘うんですよ。
前回のラジオ第2回でも言ったと思うんですけど、
萩尾本と萩尾本の家族というのは漫画を描くか描かない対立があって、
家族に非常に監視されていたのね、萩尾本が。
それを渡りの綱として東京に出てきて、2人で大泉に住み始める。
今回初めて知ったんだけど、2人の他に増山の理恵っていう、
もう1人重要な竹宮恵子のブレインみたいなことをやってた女の人がいて、
スピーカー 1
もともと増山の理恵は萩尾本のファンだった。
ペンフレンドだったんですね。
スピーカー 2
萩尾本と分通してたんですよね。
3人で大泉で一緒に共同生活みたいなことをして、
いろいろな少女漫画家が集まってきてみたいな生活をしてる。
初めの1年はそれで楽しい生活だったんだけれども、
2年目にこの3人にアラベスクの山岸旅行を加えた4人でヨーロッパに旅行して、
15:03
スピーカー 2
帰ってきて大泉が解散してしまうと。
なんて読むのかな?しもくさいって読むのかな?
別の土地でまた大泉サロンみたいなことをやり始めようとするんだけど、
そこで竹宮恵子のエッセイからすると、
萩尾本の才能が恐ろしかったので距離を取りましょうと萩尾本に言った。
スピーカー 1
という2行ぐらいで書かれてるんですよ、この出来事が。
そこまでで竹宮恵子の萩尾本に対する嫉妬心というか、
もうこの人にはかなわないって思い知らせられる辛さみたいなのがローロッとずっと語られてきて、
いよいよ解散っていう場面は2行ぐらいで終わってるんですね。
私がもう距離を置きたいと言いましたぐらいの感じで書かれてる出来事について、
萩尾本が一冊本を出すっていう感じ。
スピーカー 2
本当だよね。
この2行についての萩尾本の出演ではこの2行の間に何が起きたかっていう本なんだよね。
この一時ドッキリのお泉の話は。
スピーカー 1
350ページ使ってこの2行についてのことをやってるんですよね。
スピーカー 2
で、誤解してほしくないのは少年のジルベールで竹宮恵子は萩尾本が倒作したとか全然書いてないんですよね。
スピーカー 1
書いてない。
スピーカー 2
萩尾本を悪く言うようなこと書いてなくて。
スピーカー 1
全然書いてない。
ただ自分が主としてだと。
スピーカー 2
ずっと持ち上げてんだよね。
で、これを一時ドッキリの大泉の話を読んでから少年の名はジルベールを読むと不自然なほどに持ち上げっぱなしなんだよね。
で、しかも少年の名はジルベールにはトーマの心臓って1回も出てこないんだよね。
スピーカー 1
あ、そうでしたか。
スピーカー 2
11月のゲムジナウの話も1回も出てきてない。
スピーカー 1
竹宮恵子が決定的に萩尾本を指摘したのはコトリノスっていうポーの心臓、ポーの心臓じゃない、ポーの一族の中の話なんです。
それについても一切触れられてないけど、とにかく少年の名はジルベールで書かれていることっていうのは、私がいかに萩尾本を恐れていたかっていう。
で、なぜか萩尾本は私が恐れるに足るこれだけ素晴らしい人物なのであるっていうことが語られて、私は嫉妬心に負けて距離を取ってそこから復活しましたっていう話なんですよね。
萩尾本と距離を取ることによって私は私の漫画を見つけましたっていう感じのチャンチャンって感じだよね。
スピーカー 2
チャンチャンって感じ。
で、私がこれジルベールと大泉、萩尾本と竹宮圭子の読み比べてすごい思ったのは、少年の名はジルベールっていう作品はもうこれは完全に辞伝、エッセイ、文学作品として書かれてる。
18:15
スピーカー 1
竹宮圭子が作品として書いてるっていう感じ。
でもね、一度きりの大泉の話は裁判に提出する事情聴取みたいな、ただただ事実を淡々と述べている。
私の見解ではこうであるっていうのがずっと時系列で、しかも話し言葉で。
スピーカー 2
これがすごいよね。だから僕思ったんだけど。
スピーカー 1
これがすごい。
スピーカー 2
竹宮圭子は真実を書こうとしてるんだけど、萩尾本は事実を書こうとしてる。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
で、僕すごいね、この2人の物の見方の違いにすごいびっくりしたんだよ。
スピーカー 1
びっくりした。
スピーカー 2
大泉の家に入るシーンがあるじゃん。大泉のアパートに。
大泉のアパートに入るシーンに竹宮圭子はその大泉のアパートがいかにおんぼろだったかっていう話をする。
スピーカー 1
そうそう。
スピーカー 2
で、大泉のアパートの間取りがどうだったかってこれね。
書いてある。
竹宮圭子が2021年に出した扉を開く行く旅をにも書いてあるんだよ。大泉の間取りを。
スピーカー 1
間取りめっちゃ狭いですね。
スピーカー 2
けど一度きりの大泉の話では大泉の間取り書かれてないんだよね。
書かれてないし。
大泉の家がどんなだったかも書かれてないんだけど。
スピーカー 1
書かれてない。
スピーカー 2
けど萩尾本はそこにイチゴを植えたっていう話をする。
スピーカー 1
そうそうそうそう。これはね。
スピーカー 2
恐ろしい違いだよね。
スピーカー 1
恐ろしい。竹宮圭子はいかにそのアパートがボロボロで汚くて、
どんなに住み心地が良かったか、私が想像していた素晴らしいサロンとどんなに違うかっていうことを書いてるけど、
萩尾本はここがどんなに楽しい場所で私はイチゴを植えたことを書いてるんですよね。
スピーカー 2
これね、すごく難しいんだけど、もう分かんないんだよね。
なんかこの本を読んでも分かんないんだなってことがすごくよく分かったんだけど、
松山範英という人がどういう人なのか我々には分からなすぎるもんだよね。
スピーカー 1
この人が一番恐ろしいと思うんですよ、私は。
スピーカー 2
松山範英も恐ろしいんだけど、この松山範英はこの1970年に何をしようとしたかっていうと、
1970年ね、リストラの皆さんご存知ない人もいるかもしれないから、一応念のために言っておくと、
21:02
スピーカー 2
1950年代から60年代っていうのは日本は共産主義の社会運動がめちゃめちゃ流行ってた。
これは学生運動とか労働者の運動になっていて、1969年の安田行動事件の陥落まですごい大きな社会運動だった。
1969年に安田行動が陥落した後、70年代には一部残った左派の学生たちとか労働者たちっていうのはテロリズムに走っていくんだけれども、
革命の時代だったわけですね。50年代から70年代までは日本っていうのは戦争とは何だったのか、戦後とは何なのかっていうことを問い続けることで、
革命をしようとしてた時代だった。その後70年代経済が良くなっちゃったんで、
日本人はそれを忘れていくんだけれども、けどその1970年という時代に当時20歳だった増山のりえという人物は、少女漫画界に革命を起こさなければと思ってたらしいんですよ。
スピーカー 1
すごいですよね。どういうことやねん。
少女漫画にどうやって革命を起こすかっていうと、それは少年愛を描くことによって革命を起こせるって思ってたんですよね。
っていう人が、漫画家じゃない人がいたんですね。文化に精通してる人がいた。
スピーカー 2
なんて呼べばいいのか分かんない。
スピーカー 1
なんて呼べばいいか分かんない、友達。
スピーカー 2
友達がね。増山のりえがいわゆる大泉サロンにおいて、竹宮恵子や萩尾本やその他の若い漫画家たちに自分の影響力を呼ぶし始めるんです。
スピーカー 1
そうですね。もういかんなく自分の持てる知識と感性を植え付けるって感じですね。
そう。
植え付けるって感じなんですよね。
恐ろしい。
恐ろしい。紹介するとかいう優しい言葉じゃない。もう植え付けるって感じ。
スピーカー 2
時代を感じるよね。
スピーカー 1
ねじ込むって感じ。
スピーカー 2
これすごい面白かったのが、一度きりの大泉の話ではこの増山のりえが描こうとしてた漫画っていうのがあるんだよね。ちょっと名前忘れてた。
スピーカー 1
美蓮津物語。
スピーカー 2
美蓮津物語描くのが。美蓮津物語を増山のりえが美蓮津物語を萩尾にまず話し、その後竹宮に話し。
竹宮は美蓮津物語を聞いて、その絵をたくさん描くことによって風と木の歌を思いつき、風と木の歌のことを増山に思いつき、増山はそれは大傑作だと思ったっていう話がかなり丹念に書かれてるんですよね。
けど少年の縄ジルベールの方では美蓮津物語の話が出てこないんですよ。
スピーカー 1
そうなんですよね。ジルベールはそういうことで、大泉の話ではどういうところがジルベールと違うのかというと、実系列で起こっていることは全部一緒なんですよね。
24:00
スピーカー 2
すごいよね。
だから2人とも嘘は言ってないんだよね。
スピーカー 1
嘘は言ってないんですよ。いついつに出会う、出会ってこういう経験で一緒に暮らし始める、ヨーロッパ旅行に行くとか、誰々が来て誰々が来てみたいなこういう話があって、全部一緒なんですよ。
スピーカー 2
全部一緒なんだけど、起きたことに対する両者の感想が全然違うんですよね。
スピーカー 1
2行でジルベールで語られた萩尾と距離を取ったっていう部分の事実として、萩尾本からの見解としては、解散した後に小鳥の巣を発表した。
萩尾本がポーの一族の中で、ポーの一族の一つのストーリーとして発表した寄宿学校での事件を題材にした話を発表したときに、竹宮圭吾に呼ばれていくと、あれは私のアイディアの動作ではないのかっていう疑いをかけられる。
で、萩尾本はもう全然そんなつもりないからびっくり仰天して、そこで驚くのが、盗作をしたと思われたことに対してこの人が怒ってるっていうんじゃなくて、私がとろいから、グズでダメな人間だからこの人を怒らせたっていう風に思う、萩尾本が。
スピーカー 2
そうなんだよね。一度きりの大泉の話では、竹宮が萩尾を別居した後、竹宮が萩尾を自分の家に呼びつけて、あなたが発表した小鳥の巣は盗作なんじゃないかって尋問するんですよね。
で、尋問するときに、萩尾本は盗作なんじゃないかって言われてるって気がつかないんですよね。
スピーカー 1
なんか怒られてるって思ってる。
スピーカー 2
結構、しばらくするまで気がつかないんですよね、萩尾本が盗作を疑われてるっていうのを。
で、この人は怒ってるっていうのはわかるんですよね、萩尾本は。
スピーカー 1
どの部分が全然、何の部分について盗作だと思われるかっていうのがわからないんですよね。
寄宿学校っていう部分と音質、そういう単語単語で似てる部分があることは、萩尾本もわかってるけど、こんなに話が違うのになぜこの人は盗作だと言うんだろう、私のことを怒っているからだってなるんですよね。
スピーカー 2
で、それは萩尾本の能力の不足に問題があるんだって萩尾本は思うんですよね。
トロ臭いとか人間との距離感が下手だとか、そういう何らかの自分の人間的な能力の不足が竹宮慶子を怒らせたんだと思うんですよね。
27:06
スピーカー 1
で、後日決定的に手紙も渡されて、そこにいっぱい条件が書いてあって、
もうあなたとは会わないっていうことなんだけど、部屋に来ないでほしいとか、私の本棚を見ないでほしいとか、私のスケッチブックを見ないでほしいとか、具体的に拒絶されるんですね、竹宮慶子から。
でも萩尾本はショックで、精神的にも参ってしまって、目を患う。
スピーカー 2
目が見えなくなるんだよね。
スピーカー 1
目が見えなくなる、ストレスで。
でも漫画もやめようかと悩むけど、何とかかんとか周りの助けもあって、徐々にまた漫画に取り組むようになったっていうのが書かれているんです、大泉の話。
スピーカー 2
竹宮慶子と距離を取ったことによって回復していって、面白いんですよね。
竹宮慶子は萩尾本に自分の弱さで距離を取ろうって言ってしまったって言ってるんだけど、萩尾本は繰り返し、私はこの大泉の話を封印して、冷凍して封印したんだと言ってるんですよ。
そのことについて何も考えなかった。
スピーカー 1
もう消したい。
スピーカー 2
このことについて考えずに生きてきた。
竹宮慶子の出した、もう会わないとかスケッチブックを見ないとか本棚を見ないっていうのを忠実に守り続けているんですよね。
スピーカー 1
守ってきて。
スピーカー 2
萩尾本は。
スピーカー 1
でももう相当なショックですよ。
スピーカー 2
ジルベールを見読んだ時に驚いたのは、当時竹宮側も具体的に体調を屈している。
スピーカー 1
そうそう、どっちも体調が悪くなってる。
どっちもストレスで、自律神経があれで、車に乗ると吐き気がするみたいなことになってる。
どっちも体調が悪くなってる。
まず竹宮が体調悪くなって、距離を取りたいって言われて、具体的な禁止事項を通達されて、萩尾本は目が見えなくなってる。
スピーカー 2
これは難しいよね。
でも今でこそ我々からしたら竹宮慶子も萩尾本も大先生じゃん。
偉大な人物じゃん。もう歴史上の英雄と呼んでもいいぐらいの人物じゃん。
けど当時彼女たちで22、3歳なんだよね。
スピーカー 1
すごいっすね。
スピーカー 2
それは体調も悪くなるよっていう話だよね。
スピーカー 1
萩尾本がなぜこの一度きりのお泉の話を出したかっていうと、
自分が封印して、冷凍して、もう二度と見ないと決めた過去について、
30:00
スピーカー 1
少年の名はジルベールが出たことによって掘り返されると。
あなたはどう思ってたんですか?あの時はどうだったんですか?
ってインタビューが来たり、何かエッセイを頼まれたり、
映画化にしたいとかドラマ化したいとか話が来ることにもううんざりして、
うるさいと。
墓荒らしされるぐらいだったら、一回だけ全部話してやるから、
二度と話しかけてくんな!みたいな本なんですよね。
スピーカー 2
そういうとこだよって感じだね。
スピーカー 1
いやーでもこれね、すごいですよ。
スピーカー 2
だからこの本、一番萩尾本が出したくなかったんですよ。
ねえ。
そう。
というか、この世の誰も読みたくなかった。
この世の誰も。
こんなことになるとは誰も思ってなかったし。
スピーカー 1
だから原爆の発明とかに近いんだよね。
みんな今までね、萩尾本に教えてください。
あの時どうだったんですか?とかドラマ化しませんか?って言ってた人たち、
こんなもんが出てくると思わなかったですよ、多分。
スピーカー 2
これもう普通の人たちって、あんまそういう感じの人たちいないと思うけど、
普通の人だったらこれ読んだら死にたくなるよね。
スピーカー 1
本当。
スピーカー 2
すいませんでしたって、土下座したくなるよね。
スピーカー 1
本当に。
ごめんなさいって感じです。
これを興味本位で読み始めてしまって、ごめんなさいっていう気持ちになる。
でもね、ちゃんとその凄みが出てるのがやっぱりすごいんですよね。
スピーカー 2
すごいね。
スピーカー 1
でね、これね、文学的な構造とか技法とか、そういうのがほぼ、多分意図的にない。
本当に教術って感じなんですよね。
スピーカー 2
あのね、村上春樹のアンダーグラウンドって読んだことある?
ない。
アンダーグラウンドって結構熱い本なんだけど、2も出てるはずなんだけど、
オウム心理教の信者に聞き書きをしてる本なんだよ。
スピーカー 1
うんうん。
スピーカー 2
あの、事件の後に。
スピーカー 1
うんうん。
スピーカー 2
これがやっぱこんな感じ。
スピーカー 1
あ、そうなんだ。やっぱり教術っていうか、証言って感じですかね。
スピーカー 2
そう。
スピーカー 1
これ、インタビュアーを立てて、萩本が一から全部書いたっていうよりかは、
インタビュアーを立てて、そのインタビューの中から本に書き起こしていったっていうこともあると思うけど、
少年の名はジルベールに比べてと、これを比較したときに、
萩本はこれを作品にする気がないっていうのがすごい出てる。
スピーカー 2
あー。
スピーカー 1
と思うんですよね。
これはもう証言なのであって、
私の他の遠前神像とかいろんな子供たちと肩を並べるものではないっていう、
33:00
スピーカー 1
なんかそういう感じがする。
あー、なるほど。
スピーカー 2
僕は少年の名はジルベールを読んだときに、
これはほとんど完全に萩尾に向けて書かれたと思った。
そうですね。
で、ということにして許してほしいっていう本だった。
スピーカー 1
うんうん。
スピーカー 2
ということにして許してほしいっていう本だったんだけど、
今私はそう思ってる。
そうそう、それに対する萩尾の返事が一度きりの大泉の話だったっていうのは、
いやこれね。
普通だったら死んじゃうよね。
スピーカー 1
これね、あの、まあ起こったことは、
正確には私たちにはね、
本当のところ、どこがどう真実なのかって確かめられないけど、
あの、竹宮圭子もちょっと気の毒。
もうやめとく、もうこの辺でやめときなって感じ。
もう忘れてなって。
ああいうのもう忘れてって感じ。
スピーカー 2
竹宮圭子は手放せないよ。
だって人生でほとんど唯一の汚点なんだと思うよ、これが。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
それがデカすぎる汚点なんだよ、しかもね。
スピーカー 1
いや、後悔してる。
めちゃくちゃ後悔してるんだろうなって思いますね。
竹宮の方は、竹宮さんの方はね。
ただ萩尾本はもう封印したから。
封印したからもう開けるなって言われて。
スピーカー 2
封印したっていうか、まあ許してないよね。
スピーカー 1
許してない、絶対。
スピーカー 2
うん、あの、それをあんま分かってないよね、竹宮さんって。
スピーカー 1
うん、分かってない。
そこがね、もう一番の、なんていうか、根本的な物事の捉え方の違いだと思う。
スピーカー 2
そうだね。
スピーカー 1
竹宮圭子って、少年の名はジリルベール読んで思ったけど、すっごい分析的に物事見てるんですよね。
だからこそ、パッと萩尾本に最初出会った時に、こいつは天才だって思ったんだろうし、
あと人の作品見る時も、テーマ考える時も、自分の作品を作っていく時も、ずっと分析的なんですよね。
組み立てる、私が組み立てる。
まあ、だから革命とかいう発想も出てくると思うけど、
全部私が作り上げて、で私は理解してやることだ、みたいな感じだけど、
萩尾本はただ見てるって感じなんだよね。
作品も、そこにこの物語があったので拾ってきました、みたいな雰囲気がある。
スピーカー 2
ああ、なるほどね。
だから、それだと思うんだよね、さっきのアンダーグラウンドも一月の湖の話も、これ多分そのものなんだよね。
世界そのものみたいな。
だから世界そのもので人を殴ると痛いっていうことだもんね。
36:00
スピーカー 1
そうなんですよね。
竹宮慶子のエッセイの方は、もう多分最初から最後まで全部構想立てて分析して、
ここではこういうことを描こうと思いながら言葉を選んでいって、
だから途中で後でこういうことになるとは思わなかったダッシュみたいなのがあるんだけど、
萩尾本はこうなってこうなってこうなってこうなりましたっていうだけ。
スピーカー 2
感情がほとんどないよね。
ない。
二人の一番後半に今後どうしたいかっていう話をするまで、
萩尾本の感情がないんだよね。
スピーカー 1
そうそう。
悲しいみんなの事実とか。
スピーカー 2
当時の感情はある。
当時の感情はあるけど、今の感情からその当時を見たりしないんだよね。
スピーカー 1
しない。
スピーカー 2
竹宮慶子は今の感情から当時を見てるんだよね。
スピーカー 1
そうそう。
だからなんかね、私が大泉の方を最初に読んで思ったのは、
自分の悲しみを冷凍して封印するっていうのは、
この人は自分に湧いた感情について否定したり反省したり、
とにかく上書きの形を変えることなくそのまま純度を保ったまま置いとくっていうか、
後から書き換えたりしたくないんだろうなって思ったんですよね。
スピーカー 2
そうでしょうね。
それをこういうふうに濁るのが許せないんでしょうね。
スピーカー 1
もう許せない。
後からあれは私も悪かったとか、そういう付け加えとかを絶対にしたくない。
そのままの形ででも見たくないみたいな。
スピーカー 2
一番最後に、萩尾本のマネージャーで友達のジョーさんのエッセイを書いて、
竹宮圭子も萩尾本はそうなんだって言ってたっていう記述があるよね。
萩尾本が一回見たものを全部覚えれるっていう。
それはそこを汚染しないんだよね、多分ね、萩尾が。
混沌しないからそれができない。
スピーカー 1
ありのままをそのままっていう。
それが物に対してもそうだし、自分の感情とか記憶についてもそうなんでしょうね。
スピーカー 2
だからスケッチ見られたくないっていうのはすごいわかるよね。
スピーカー 1
だってわかっちゃうよ、萩尾本には。
わかっちゃう上に、多分そのもとに作られたら萩尾本に勝てないんだもんね。
スピーカー 2
で、多分、なぜ竹宮が怒ったかっていうのは、
39:00
スピーカー 1
竹宮の分析と萩尾の分析が水準が違って両方とも飛ばしそうなのがすごいなって思うんですよ。
スピーカー 2
竹宮の分析は嫉妬した、萩尾の才能に嫉妬したんだけど、
萩尾の分析は彼女たちが革命に使おうとしてた武器を既存したから彼女たちが怒ったっていう。
スピーカー 1
そうなんだよね。
多分そう。
スピーカー 2
竹宮はそれが自分ではよくわかってないんだよね、多分ね。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
で、それがなぜ竹宮がよくわかってなさそうかっていうと、
竹宮が増山の理恵について話す時のトーンがブレてる。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
だからその革命をしようとしたのは、竹宮は自分と言ってることもあるし、大泉サロンだと言ってることもあるし、
萩尾本と竹宮と増山だと言ってることもあるし、増山だと言ってることもあるんだよね、竹宮は。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
で、萩尾は一貫してそれには興味がねえっていう話をしてるんですよね。
スピーカー 1
うん。革命したかったのは増山さんと竹宮さんの二人組だって言ってるんですよね。
二人でやりたかった。
スピーカー 2
で、竹宮は多分それがよくわかってなかったから怒ったっていうのを嫉妬だっていう解像度にした。
スピーカー 1
うーん。
スピーカー 2
よくわかってなかったかどうかわかんないんだけどね。
スピーカー 1
うーん。
スピーカー 2
そこまで詳しくみんなには話したくないんだけど、火は自分にあるということを言いたかったんだよね、たぶんね。
スピーカー 1
それは、それはちょっと人には見たくないところなんじゃないですか。
もう萩尾はそこまで浸食して理解してるけど、竹宮は嫉妬っていうところまでは公にしてもいいけど、
武器を破壊されたっていうところまではちょっとナイブすぎて、まだ公開もできないぐらい深い部分なんじゃないですか。
スピーカー 2
だろうね。そうかもしれない。
スピーカー 1
いやー、これはね悲劇。
スピーカー 2
悲劇だよね。
スピーカー 1
どっちも悪くないんですよね。
盗作疑惑をかけるっていうのは具体的に良くないことだけど、竹宮慶子の苦悩と消費具合にはちょっと、それはわかる。
隣にこんな、しかも自分が連れてきた人が、ついもうどんどんどんどん自分を追いかしていってしまう姿を見て、それは焦りますよね。
しかも本人にはあんまりその勢いがないっていうか。
スピーカー 2
良いか悪いかでは判断できないよね。どっちが良いかとかどっちが悪いかでは判断できないけど、やっぱね、上陸してきたゴジラは萩生本の方だったと思うんで。
42:04
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
萩生本もね、それわかってるっぽいのがね、私の無神経さが悪かったって思ってるんだよね。
思ってる。
それは萩生本の理解とはちょっと多分違うんだけど、大きく分類すれば多分そうっていう感じなんだけど。
そう。
あなた天才なのに、自分が天才だっていうことをいまいちわかってないでしょっていうところ。
スピーカー 1
そう。そんな感じなんですよね。
スピーカー 2
だから、編集の人がいるじゃん。ちょっと名前忘れちゃった。
山本さんかな。ワイさん、山本さんかな。
その話もしたい。少年のナージルベールと一度きりの大泉の話で、誰が何を言ったかっていうのの解像度の違いみたいなのもすごいと思って。
ただその話をする前に、編集の人がこの2人についてどういうふうな評価をしてたかっていう2人の認識が相当違う。
スピーカー 1
全然違う。
スピーカー 2
これが逆なんだよね。
スピーカー 1
逆。
スピーカー 2
萩生本は山本さんが竹宮圭子の方を大事にしてて、竹宮圭子は関東作家。
萩生本は貫末作家。萩生本っていうのは小学館の雑誌の中で最もダメな作家。萩生本は最も素晴らしい作家だったっていうのを本の中で一貫して言ってるんだよね。
スピーカー 1
竹宮が素晴らしい。
スピーカー 2
竹宮が素晴らしくて萩生が最もダメだったっていうのを萩生本は本の中で一貫して言ってるんだけど、ジルベールの方で竹宮は萩生には常に紙面が与えられていた。
ページ数じゃないんだ。萩生が書いたものは何でも載せるっていうスタンスだった。山本さんは。
けど自分はただ連載くれただけだっていう。
その連載でもファンアンケートで、だって萩生の話でファンアンケートの順位の話一回も出てきてないよね。
スピーカー 1
出てきてない。
スピーカー 2
竹宮圭子の話はこの扉開くたびに昇殿を飲んだジルベールの話もこの順位の話と連載が夏まであるっていう話をずっとその話してるんだよね。
スピーカー 1
ずっとその話してる。
スピーカー 2
そこがすごかった。
スピーカー 1
すごい。
だから本当に革命したかったんでしょうね。目的があったんでしょうね。竹宮圭子に。
漫画はその手段だったけど萩生本はもう漫画自体がもう自分の目的というか。
スピーカー 2
萩生はおおむたで漫画を書くことを母親に禁じられてたので東京で一人暮らしをして漫画を書くことだけで最高だったみたいな。
45:07
スピーカー 1
そうそうそう書いてる。
スピーカー 2
竹宮はさらに高い理想があったんですよね。
その辺は竹宮の方が詳しいことを書いてるよね。
本当は風と木の歌をやりたかったんだけど風と木の歌を素直にやらせてくれないからまずファラオの墓を書いてファラオの墓でランキング1位を取ったら風と木の歌書かしてくれるって言ってファラオの墓をすごい一生懸命書いてたと。
スピーカー 1
にもかかわらず萩生の方が東馬の心臓を先に連載開始したんだって言ってました。
スピーカー 2
それは確かに萩生が言うように一生懸命頑張ってきた竹宮を萩生が無遠慮に追い抜いたよね。
スピーカー 1
自覚せず。
もうだからこんなに違うんだなって感じですね。
一個漫画家っていうだけでしかも同じ時代で少女漫画で題材書かれているテーマとか精神的な内容は全然違ってもう少女漫画とは全然違うんですよね。
でも少年を描いたりとか舞台がヨーロッパだったりとかするところは結構共通しているところもあるのにこんなにも漫画に対する見方が違うんだっていうのがびっくりですね。
スピーカー 2
そうだよね。すごいよね。
少年の名はジルベールの方では鍵かっこで書かれている部分も誰が何て言ったかってわからないようになってるんですよね。
スピーカー 1
サロンのみんなはこう言ったみたいな書き方をしているんだけど。
スピーカー 2
一度きりの大泉の話ではこの時なんとかさんはこう言った。それに対してなんとかさんはこう答えた。それに対してなんとかさんはこう言ったみたいなことを書いてある。
スピーカー 1
その辺が本当に教術っぽいんですよね。私は真実をただそのままにお伝えするだけです。
恐ろしいんだよね。
スピーカー 2
少年の名はジルベールの方では竹宮が萩尾さんはイギリスドイツ自分はフランスイタリアだみたいなこと書いているんだけど。
けど萩尾本って多分フランスのレジスタンスの話とか短編で書いてるしローマの道も書いてるし全然そんなことないんだよね。
そうですね。
48:01
スピーカー 2
けどやっぱ竹宮は自分が見たかった世界の話を書いてるっていう感じがすごいしてて。
スピーカー 1
なるほど。
スピーカー 2
なんかねーっていう。
スピーカー 1
なんかねーっていう。本当ですよね。
先にあれジルベールの方が書かれてたっていうのもあるけどもあれは本当に自伝。
私のこれまでの経歴っていうかそれを語ることによって萩尾本への弁明みたいなことになって。
だから最終的には今の自分の経歴ここまで積み上げてきた私の漫画家としてのキャリアみたいな話。
で、私は大泉を先に読んでジルベールを読んだから竹宮慶子の語る松山紀江を一番見たかったんですよ。
スピーカー 2
少年王はジルベールって。
スピーカー 1
はいはいはいはい。
一人その二人の間に立つ松山紀江っていう人物がどういうものだったのか。
かなりね一度きりの大泉の話では松山紀江がどういう立ち振る舞いをしたかっていうのは具体的に書かれてるから。
まあとにかく竹宮慶子といつも一緒にいて2人がいつも同じ価値観を共有して2人で漫画を作ってたみたいな感じ。
竹宮慶子はどういうにとって松山紀江はどういう存在だったのかっていうのが一番見たかったけど。
私には満足できるほど書かれてないと思ったんですよね。
スピーカー 2
書かれてないね松山紀江。
スピーカー 1
書かれてないですよね。
スピーカー 2
少年王のジルベールでは松山紀江を一度きりの大泉の話を読んでしまうと意図的なんじゃないかと思うぐらい書かれてないよね。
スピーカー 1
そう思っちゃう。
書いてないわけじゃないし、ストーリーの組み立てを手伝ってもらったとかいうことは書いてあるけど、
一度きりの大泉の話ほど密着してないような印象を受けるんですよね。ジルベールを読むと。
スピーカー 2
竹山雄介さんが書いた萩尾本と竹宮慶子大泉サロンの少女漫画革命っていう本を読むと原稿写真賞。
やっぱ竹宮慶子は書けなかったんじゃないかなと思うんだよね。松山紀江のこと。
スピーカー 1
多分もう他人じゃないんだよね。
スピーカー 2
竹宮慶子という作家の中に松山紀江が結構入り込んじゃってる。
竹宮慶子を書くときに松山紀江を対象化して書けるんじゃないかなと思う。
大泉サロンが開催する直前に竹宮が書いたと言われるホットミルクはいかがっていう短編があるんだって。
51:05
スピーカー 2
この短編は主人公の女の子と主人公の男の子と主人公の女の子が幼い時代になる。
そこにウィーンが舞台になる。イギリスから留学生が来る。
全員で音楽をやってるんだけどイギリスから来た留学生はスランプに落ちちゃう。
うまくいけない。
そしたらこの幼なじみの男の子は女の子に、僕には君は必要ないんだけど彼には君が必要だって言って身を引いていなくなった。
女の子とイギリス人の男の子が関係を始めることによって彼はスランプを出して音楽学校でうまくやっていけるようになったって話がする。
スピーカー 1
これがこのイギリス人の男の子が竹宮恵子で、幼なじみの男の子の方が萩生本で、この女の子が増山の理恵なんじゃないかっていう分析なんだ。
まあまあまあまあその必要が必要じゃないかって言ったら萩生本には増山の理恵は必要ではないですね。作家としては。
スピーカー 2
全部自分でやっちゃう。
すごい、ほらでも全部自分でやったとは言わなかったじゃん。
彼女が集めてきた資料がすごい参考になったって書いてあったじゃん。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
けどね、物語を書くというコアなのでは、増山は必要じゃないどころか、萩生本には邪魔だったんだよねきっとね。
で、彼女の作家論っていうのが始めと最後に出てくるじゃん。
一目きりのイズムの話で。
で、1回目に出てきた時は増山の理恵が自分の名前を表に出したくないって言った時に、萩生本っていうのは作家は名前を出さなきゃいけない。
これは作品を世に出すんだから責任を持たなきゃいけないでしょっていう話だよ。
で、この人は見つけてもらいたい人なんだって萩生本が言うっていうシーンがあって。
スピーカー 1
で、もう一つは佐藤志夫と増山の理恵が少女の革命論について語っている時に、萩生本はこの人たちは漫画も書かずに何やってんだとか言ったって書いてある。
そこがすげえよ。
だからもう本当に萩生本は漫画が書きたいだけっていうか、漫画を書くことそれ以上でもそれ以下でもないって感じの。
ルフィかよ。
54:03
スピーカー 1
いやー、でもその増山さんも漫画を通して何か目的があった。革命のね。
いやー、でもなんつーかね。あれですね。
スピーカー 2
二郎おったなって思った。
スピーカー 1
二郎。
スピーカー 2
あのやつ。なんだっけ。風立ちぬの。
あー、僕もその話をしようと思った。
二郎実在してんじゃんと思った。
こいつらみんな一緒じゃんって思った。
スピーカー 1
堀越二郎人間でしょ。宮崎駿、庵野秀明、萩生本。
堀越二郎人間じゃんっていう。
だから萩生本のその分析って、堀越二郎の風立ちぬの言葉を使えば、ピラミッドの頂点に立ってない人間と話しても良かったっていうことなんだよね。
おー、お前もかよって感じだった。
いやー、そうかなーとは思ってたけど、これでもう自分の口から全部宣言されてしまったなって感じだった、この大泉の話。
ほんと萩生本のカバン持ちに行きたいって思った。
スピーカー 2
萩生本の運転手募集してねーかなー、すごいなりたい。
スピーカー 1
いやー、そんな出かけなさそうだから。
いやーね、ほんと。ほんとですよ。
いやーだから、竹宮慶子の方が理解をしやすいと思いますよ。大学で講義もできると思う。竹宮慶子だからできると思う。萩生本は大学の教授にはなれない。
ジョーさんも書いてたよね。
スピーカー 2
桃を書いてっていう。
スピーカー 1
桃を書いての話めっちゃ面白かった。
先生、桃ってどうやって書くんですかって言ったら、アシスタントがね。先生、どうやって桃を書くんですかって言ったら、萩生本が、桃、桃って念じながら書く。
スピーカー 2
めっちゃ面白い。
大学の先生は難しいでしょうね。
多分竹宮ならちゃんと曲線をとか説明できる。丸見はこう、とかね。
いやー、だって萩生の竹宮評って、こんなに美人で賢くて活発な先生っていう感じなんだけど、竹宮は萩生がどうすごいのか書いてたもんね。
57:11
スピーカー 2
線の表現がすごいみたいな。線を書くだけで森になるみたいなことを書いてたし、それを聖児陽子が、生徒諸君の聖児陽子が探しに来たとかいう話を書いてたじゃん。
だから竹宮の萩生がいかにすごいかっていうのはちゃんと説明できるよね。
スピーカー 1
すごいし、本当にここまで分析なかなかできないだろうなって分析力はすごい。
スピーカー 2
多分萩生本はそれの何がすごいかよくわからずに森、森って思いながら書いてるんですよ。
気が狂っとる。
全員気が狂ってんだよね。堀越二郎人間。
スピーカー 1
鯖の骨、鯖の骨みたいな。森、森って。
森って思って線を書いたら革命的なっていう状況が起きる。
あー面白い。
スピーカー 2
僕も思ったよ。竹宮慶子と松山範、ゼロ戦に乗ってパイロットみたいな人たち。
萩生の話を読んだとき。
ねえ萩生本は誰も帰ってきませんでしたみたいな。
スピーカー 1
誰も帰ってきませんでしたじゃないよみたいな。
いやーほんとそうですよね。
だからどっちが悪いかとか言えないけど、
スピーカー 2
化け物は萩生本だって。
スピーカー 1
化け物は萩生本ですね。
スピーカー 2
だから化け物を東京に出てこいって言ったのは竹宮慶子だから。
スピーカー 1
そうなんだよ。そこなんですよね。
竹宮慶子、自分で呼んだからもう何とも言えないんですよね。
私が見つけちゃったってなってる。
いやーすごい。ここもすごいなんていうか、
あれですよね、何とも言えないというか、
この萩生本を見つけたのが自分だっていうところってすごい大きいですよね。
スピーカー 2
最悪だよね。
スピーカー 1
最悪ですよね。
どっかから連れてこられて、自分のところによこされたんだったらちょっと話が違うと思うんですよね。
スピーカー 2
山本さんのせいだって言えるよね。
スピーカー 1
そうそうそうそう。
スピーカー 2
あんたが悪いって言えるけど、自分で決めちゃってるからね。
自分で決めちゃってるし、自分で2人で住みたいってそこも自分で決めちゃってるから。
けどあんな才能を見て、だってコントロールできないよね多分自分でね。
1:00:00
スピーカー 2
この才能と一緒にいたいって思うよね。
スピーカー 1
思う。自分の破滅まで想像できないですよね。ただただ感動ですよね。
スピーカー 2
当時20歳だしね、竹宮家が。
スピーカー 1
まさかこんなことになるとは思わないですよね。とんでもないな。
スピーカー 2
萩生本の最後の方の畳みかけがすごいんだよね。
スピーカー 1
すごい。
スピーカー 2
で萩生本が何が起きたかっていうのを自分なりに整理するんだよね。
で整理をして萩生本が言うのが理解はできますと。
スピーカー 1
でも理解をしても解決はできませんって書くんだよね。
スピーカー 2
もうどうしようもないんだよね。萩生本の中では。
終わってしまったんだよね。永遠に違ってしまったんだよね。
あの霜臭いの夜に。
でその竹宮から絶縁された後に引っ越すんだよね。近所に住んでたところから。
でその引っ越す時に最後の日に増山のりえが会いに行くんだよね。萩生本に。
スピーカー 1
事実上もう最後に会った時に。
スピーカー 2
で泣くんだよね増山のりえがね。
我々が悪かったと言って。
ちょっとピントがずれてるんだけど。
スピーカー 1
あなたを一人にしたみたいな方向性。
スピーカー 2
で泣くんだけどそれに対する萩生の感情がすごいんだよね。
この人は泣き出したりしてどうしたいんだろうっていう。
スピーカー 1
私に何をしてほしいんだろうって思うっていう。
バケモノじゃんって思った。
許してやれよっていう。許しをこうてんだよっていう。
許すとか言う立場じゃないと思ってるでしょ。そういう話をしてないんですよね。
許すとか許されるとかいう話にはなってない。
スピーカー 2
こういうものの見方をする人なんだね。
スピーカー 1
だからああいう感じのラストなんだよね。
彼女の漫画って普通に考えると何も解決してないもんね。
本当にただ怒ってることを書き留めたって感じだもんね。
だから結末がない。
点決がない。起承点決がないですね。
スピーカー 2
どの漫画を読んでも結構どうなったって感じの終わりだもんね。
そうそうそうそう。
1:03:00
スピーカー 2
だから本当にそこで起こってることも一部分を覗いたって感じ。
事件が始まって終わりまでを見たじゃなくてちょっと立ち寄って覗いたみたいな感じなんですよね。
スピーカー 1
いやーどうなってんのって感じだけど。
すごいね。
スピーカー 2
これが世に出てしまったかっていう感じ。
スピーカー 1
いやーすごい。よくこれ出版されたなって感じがするですね。
よくぞ出してくれたとは思うけど、
でもやっぱり悲しい本というか望まれて出た本ではない。
この本をどういう位置に収めたらいいかまだわかってないですね。自分の中で。
すごく客観的に漫画誌の1ページとして見たらなんて価値のある作品というかものって思うけど、
萩尾本ファンとしてはごめんなさい。こんなものをテイストにかかってごめんなさいって感じ。
スピーカー 2
先生すいませんって感じで。
スピーカー 1
ごめんなさいって。興味本位で。覗き見ましたごめんなさいって感じ。
私このあのラジオでも、そろそろ遠間の死のお話する頃だろうと思って、
周辺作品をおさらいしとこうと思って訪問者を読んだんですね。
訪問者っていうのはどういう話かというと、
トーマの心臓の登場人物の一人であるオスカーの老いたちについて、
オスカーがリムナジウムに入学してくるまでの話なんですけど、
どういう話かというと、オスカーはお母さんとお父さんと3人暮らしで、
美人で賢くて仕事もできるヘラっていうお母さんと、
売れない写真家でルンペンみたいなお父さんで、あとオスカー。
だけど、オスカーは自分がお父さんと思ってる親の子じゃない。
お父さんは別にいて、その子とお母さんは隠してるけど、
お父さんは薄々気づいてる。
それを打ち明けられてしまったときに、お父さんがお母さんを打ち殺してしまって、
残ったオスカーと放浪の旅に出て、最終的にオスカーはリムナジウムに預けられて、
お父さんは南米に写真を撮りに行くというけど、おそらく死んでるだろうっていう話なんですけど、
1:06:05
スピーカー 1
このお父さんが逃亡の最中に、目を、神経性で目を、目が見えなくなるんですよ。
神経性の原因で。
で、はっと思って、私は何も思わなかった。
大泉のことはあまり考えずに訪問者を呼んでたけど、
これはアギを元になったやつじゃんと思って。
あんまり作家と作品を重ねて考えたくない方なんですけど、
作品が出来上がったら作者から分離して考えたけど、
これだけはどうしてもアギを元の姿がちらついて、
そうなるとグズなお父さん、ルンペン残念もできないお父さんに対して、
すごく賢くて仕事ができて美人のお母さんが、
この子はお前の子じゃないって言うっていうのが、
どうしても竹宮にこの作品は当作であるって言われたことと重なってしまって。
で、お父さんはグスタフっていうんですけど、グスタフはヘラを打ち殺して、
オスカーと旅に出るんですけど、その時に状況証拠が少なくて、
立憲できなかった警察の人に自首しろってその前に言われるんですよね。
あなたがやったことは分かってるから自首しなさいと。
で、オスカーがあなたの罪を半分肩代わりしてるって言われる、グスタフは。
で、そのまま逃げるように旅に出て、オスカーは岸場学校に入れるんだけど、
オスカーもことの詳細はなんとなく分かってる、小さいけど。
賢いんだよね、オスカーがね。
賢い。すごいピンときてるんですよね。
なぜ自分、なぜお母さんが殺されたか、それを打ったのはお父さんであることも、その原因もなんとなく分かってる。
スピーカー 2
自分の本当のお父さんも分かってんだよね、本当は。
スピーカー 1
分かってる。で、でもオスカーはグスタフをかばい続けるんですね。
で、グスタフをかばい続けることによって自分には居場所があるというふうに思う。
自分は家の中の子供であると、家の中に存在を認められる子供であるっていうのを言い聞かせてくるんだけど、
寄宿学校に。
スピーカー 2
刑事さんが来たときに、オスカーがその話をするんだよね。
お父さんがオスカーにその話を教えてくれたっていうことで、その話をするんだけど、
神様が罪人のところにやってくるっていう話。
神様が罪人のところにやってくるんだけど、家の中に赤ん坊がいるのを見て、
緑子がいるのを見て、その罪人をさまくのを神様はやめるんだよね。
1:09:04
スピーカー 2
だから赤ちゃんがいる、子供がいる罪人っていうのは許されなければならないんだっていう話をオスカーはするんだよね、刑事さんに。
で、オスカーはグスタフにとって自分は赤ん坊なんだと思って、グスタフをかわい続けるっていう話じゃないですか。
スピーカー 1
で、オスカー自身も、そのことによって自分には家があって自分の居場所があるっていう、言い聞かせるっていう感じ。
で、この話の最後がどうやって終わるかっていうと、寄宿学校に入れられて父の死をちょっと予感したオスカーが泣きながら、
自分は家の中の子供になりたかったっていうので終わるんですよ。
スピーカー 2
グスタフにとって自分は神様だったんじゃないかって思うんですよね。
家の中の子供ではなくて、裁きをする神様なんじゃないか。
だから置いていかれたんだって思うんですよね。
スピーカー 1
そうそう。なんかね、それが、この訪問者を読んだときに、ここに萩尾本董作を疑われて、自分が子供たちだと言っている作品もそこで傷つけられたっていうか、批判されてるわけじゃないですか。
で、それを抱えている自分と、自分の罪を作品自体も肩代わりしているような罪悪感みたいなのに苛まれてたんじゃないかと思って。
これが私の解釈ですけど、この作品の中に大泉海さんの悲しみがみんな詰まっているような気が。
スピーカー 2
すごい分析だね。
スピーカー 1
萩尾本は今まで誰にも話さなかった、封印してきたって言ってるけど、その時の感情とか自分の悲しみっていうのは作品の中に投影してきてる。
意識的なのか無意識的なのかはわからないけど。
で、この大泉の一件について、上書きしたり反省したり乗り越えたり和解したりすることが、そのことによって生まれてきた子供たちを否定することになると思ってるんじゃないかなっていう想像。
だからこんなに堅くなに、あの時の感情の純度を保とうとしてるんじゃないかなって思うんですけど。
妄想ですけど半分。
でもなんかこう、今まで読んでた訪問者と捉え方が変わっちまって全く。
1:12:00
スピーカー 2
そうかもしれない。
そうか。僕はかえちゃんから訪問者と大泉をリンクしたっていう話を聞いた時に、あれだと思ったんだよね。オスカー萩尾本説だと思ったんだよね。
スピーカー 1
あー。うんうん。それもでもわかる。
スピーカー 2
オスカーが、萩尾本は、いわゆる大泉サロンで、家の中の緑子になりたかったんだと。
スピーカー 1
3人でうまくやりたかったんだけど。
スピーカー 2
追い出されちゃった。
追い出されちゃった。
自分が神様であることによって追い出されてしまった。
スピーカー 1
そうですね。それもある。
だからそのグスタフとオスカーっていうものに、自分の悲しみが投影されてるような。
で、その時に、トーマの心臓っていうのはストーリー的には全然これは関係ないことだとは思うんですけど、
このトーマの心臓の終作の11月のギムナジウムっていうのにはオスカーも出てくるんですよね。
オスカーっていう名前の人物も。
11月のギムナジウム自体の話の内容はトーマの心臓とは全然違うんだけど、
エイリックとトーマとオスカーが出てくる。
で、この11月のギムナジウムのオスカーとトーマの心臓のオスカーは全く別人ぐらい違うんですよね。
で、11月のギムナジウムはこの大泉事件よりも前に書かれてる。
で、大泉事件を経てトーマが書かれてて、そこでオスカーの親の事件とかそういうのが組み替わっててっていうのがあるから、
スピーカー 2
やっぱりオスカーには何かしらの思い出がありそうっていうのは思うし。
確かに。
スピーカー 1
トーマの心臓もネームはずっと前からあったみたいだから、完全にそれがそのことを書いてるわけでは全然ないと思うけど、
トーマの心臓の揺らぎとかには絶対その自分の悲しみとかの経験があるとは思う。
スピーカー 2
訪問者が書かれたのは1980年だからね。
大泉サロンが解散してから結構経ってるから、ようやく書けたのかもしれないよね。
スピーカー 1
そうですね。だしトーマの心臓も読み返したんですけど、訪問者で書かれてる父親が母親を殺してっていう成り行きはトーマの心臓の中でも一通り出てくるので、
その設定自体はもともとあって、多分深めて訪問者が書かれた。
1:15:02
スピーカー 1
あと、一度きりの大泉の話の中で連載を急がなくちゃいけないから、オースカーの老いたちについては省こうみたいに書いてあるところがあって、
だから本当は訪問者もトーマの心臓の中で入れるつもりだったけど、抜いたから後から書き直したのかもしれない。
出来事自体はすごく悲しくて、なければよかったのにと思うけど、この一見で多分萩尾本の心臓描写が深まってると思うんですよね。
だから竹宮恵子は萩尾本を発見してしまって、しかも自分の拒絶によって萩尾本の心理描写を高めてしまって、
さらに辞伝を出版したことによって大泉の話を生み出してしまってるのがもう皮肉だなと思って。
スピーカー 2
ひどい。
うーん。そうだよね。
これ少年の名はジルベールの文庫版あとがきかな?解説かな?
米粒社協っていうののサンキュー達夫っていう人が解説書いてるんだよね。
そこで、この二人について評価をしてて、ちなみに本書を読んで萩尾天才・竹宮秀才という図式を勝手に描いてしまう人がいるかもしれない。
何より、著者の書き方が萩尾先生の尊敬の念と謙虚さ、つまり愛にあふれていて、それを受け止められてもいいよというような書き方だ。
しかしそれは違います。二人は全く別々の個性の天才です。これだけはどうしても言わずにいられないって書いてあって。
二人が天才であることには特に異論がないんだけど、これが萩尾先生の尊敬の念と謙虚さ、つまり愛にあふれているっていう分析はどうかなって思った。
スピーカー 1
これを書いた時には一度きりの大泉の話だし、中山雄介の萩尾本と竹宮慶子の中でも読めば分かるんだけど、萩尾本ってほとんど語ってないんだよ。
スピーカー 2
なので竹宮の言い分に全部沿って書かれてるんだよね、基本的に何もかもが。
スピーカー 1
なんだけど、やっぱり尊敬の念、つまり愛から書かれてたんじゃないかなって。
思うし、また竹宮慶子が一度きりの大泉の話を生み出してしまったっていう感じがもういたたまれない。
1:18:08
スピーカー 1
もうあんなの書くからって感じ。少年の同じレベルなんか書くからこれが生まれちゃったじゃんって感じ。
スピーカー 2
だから萩尾本からすればさ、革命うまくいったんじゃない?みたいなぐらい。
スピーカー 1
そうそうそう、たぶんね。
スピーカー 2
だってさ、吉永風味がメジャーになってんじゃんみたいな。
昨日のアネタレタがドラマ化されてんじゃん。
スピーカー 1
すごいじゃんって、あっちゃんがやりたかったこと成功してんじゃんって感じ。
スピーカー 2
なってる。けど竹宮ではね、失敗してんだよね。
スピーカー 1
全然もう失敗してるんだね。
スピーカー 2
キャリアの最後に岸改正をかけた少年の名はジルベールだったと思うんだよね。
そう!
スピーカー 1
1970年に思いついた革命を2016年に完結させようと思って書いた。
これ失敗してたと思って書いたんだね。
スピーカー 2
あの戦士をここで呼び戻して、我々の革命を完成しなければならない。
スピーカー 1
花魁しくね。
4年はね、5年はそうだったけどね。
6年、2021年にそれが全て打ち砕かれてしまった。
スピーカー 2
ゴジラが来てドーンって感じで。
でもね、萩本は自分の言い分を言いたかっただけで、これを打ち崩そうとは多分思ってないんですよね。
スピーカー 1
歴史繰り返しすぎやろっていう話だよね。
スピーカー 2
もうだからね、もうやめとけ。この辺でやめとけって。
少年の名はジルベールのAmazonのレビューにもそう書いてる人すごいいたね。
スピーカー 1
本当ですか。
スピーカー 2
竹宮先生やめてくださいみたいな。
スピーカー 1
もうやめてくださいって。
本当に竹宮圭子のファンも見てられないと思いますよ。
本当に竹宮圭子にもファンがいるんだからっていうか。
もうみんな好きだから、大好きだからもうやめてって感じ。
スピーカー 2
いやでもね、こういう言い方すると本当に竹宮圭子がダメな人で、萩本がすげえみたいにやっぱなっちゃうじゃん、どうしても。
竹宮圭子いまいちだと思う人は告白読んでみてほしい。
スピーカー 1
読んでみます。
スピーカー 2
SF短編集の相当いい。
スピーカー 1
そうなんだ。読んでみます。全然読んでない。
スピーカー 2
あと殺意のそこも相当いいと僕は思いますよね。
3つあってもう一つはカナタへかな。オルフへの遊言か。
1:21:00
スピーカー 2
オルフへの遊言は僕はあんまり好きじゃないんだけど。
告白は相当いいんですよね。
竹宮が萩尾の才能に脅かされてたときにベッドの下にカモの生首が出てきて。
書いてた。
それが漫画になってそれもチューフにした感じがあって。
で、なるほどねって。
ある男の子がカモの生首に怯えてあちこち彷徨って。
女の子に魂食べられちゃうって話なんだよ。
繊細な魂の持ち主は生きてはいけないとか言うらしいと思って。
自分のことなんて思った。
そういうことかいと思って。
スピーカー 1
ほんとやな。
スピーカー 2
こんなに繊細な魂が2年間萩尾本と一緒に生活してたと思うとね。
竹宮圭子は少年の名はジルベールです。全然そんな風に書いてないんだよね。
一度きりの大泉の話を読む限り竹宮圭子がいなければ萩尾本は漫画家になれなかったと思うんだよね。
スピーカー 1
そうですね。だから萩尾本を見つけたっていうのが竹宮圭子の才能の成したことだと思うんですよね。
パッと見てあれが天才だって思えるか思えないかっていうところで才能があるからこそ見抜いたんだろうけど。
っていうのがまたちょっと悲しい部分だけど。
本当に見つけてもらえなかったら出てこなかっただろうなって感じですもんね、萩尾本も。
全然流行りの感じでもないし、少女漫画雑誌が求める少女漫画じゃなかっただろうし。
山本さんに出会えたのも大きいけど山本さんに出会えたのも竹宮圭子が結構あって。
もうなんかすっごい現実の方がドラマチックっていうか。
スピーカー 2
本当だよね。それはドラマにしたいよこれは。
スピーカー 1
したいとは思うよ。みんなしたいよそれは。
スピーカー 2
えっとね、藤子藤代Aが時和荘について漫画を描いてるの知ってる?
スピーカー 1
知らない。
スピーカー 2
それもすごく良くて、藤子藤代Aが藤子F藤代の天才性を見つけて変わっていく話だとか。
これが愛しりそめにし頃にか。漫画道をの青春っていうやつ。
で時和荘の中であったいろいろなゴタゴタとかも書いてて。
まあ僕どれがそれがどれくらい史実に基づいているのかよく知らないんだけど。
1:24:02
スピーカー 2
それも結構植物的な描き方だったなって思ったんだよね。
当時連載読んでた時に。
単行本持ってないからなんかいまいちわかんないんだけど。
恐ろしいね。
恐ろしい?
大和田奈月っていう二人、竹宮圭子といわゆる大泉サロンに出入りしてた男の子の話が書いてあって。
萩生本がM君想像力がなさすぎですって書いてたのとかもすごかったよね。
スピーカー 1
萩生本が誰をイニシャルにして、竹宮圭子が誰をイニシャルにしてとかすごい面白いなって思った。
あとね、ヨーロッパ旅行のところも比べたら面白かった。
萩生本は、量で比べたら萩生本の方が少ないんですね。ヨーロッパ旅行について書かれている部分は。
で、萩生本はその時に4人に起こった出来事と、こんなことが楽しかった、こんなことがあってみたいなのを書いてたけど。
スピーカー 2
竹宮圭子はヨーロッパ旅行で自分が何を学んできたかっていうのにすっごいフェチェストを割いてる。
確かに。なんか資料の写真ばっかりだったみたいなのも書いてたよね。
スピーカー 1
そうそう、あと建物の構造がこうとかこうでとか、馬車はどうのこうのとか。
スピーカー 2
増山のりえが体調崩した話とかね。
スピーカー 1
うんうん。だからもう、全然そのヨーロッパ旅行への姿勢も全然違ったんでしょうね。
竹宮圭子の意気込みと萩生本の心持ちと。
そこちょっと食い違ってんだよね。萩生本は30万円で旅行したって書いてあったけど、
スピーカー 2
竹宮圭子は60万円で旅行したって書いてたよね。
どっちもが私が言い出したって書いてあった。
スピーカー 1
で、どっちもが私が一番貧乏だったって書いてたよね。
スピーカー 2
みんなにこの金額に合わせてもらって悪いって書いてた。
スピーカー 1
本当にこれはね、何と言ってジャンル分けしたらいいかわからない本ですね。
この一度きりの萩生の話。
でもその史実的には、漫画史としてはめちゃくちゃ貴重な一冊だと思う。
1:27:03
スピーカー 1
こんなもの出ちゃったみたいな感じ。
スピーカー 2
でも思ったんだけどさ、ほら、僕古典ラジオのお手伝いしてるじゃないですか。
だからラジオの台本を書くお手伝いとかしてましたね。
そしたら、第一世界大戦の時に何が起きたかとか調べるわけです。
論文読んだりして。論文にはこの手紙にこう書いてあって、この手紙にこう書いてあってみたいなのが書いてあって、こういうことが起きたんだろうみたいなのが書いてあったんですよ。
え、すげえこんなことまでわかるんだって思ったんだけど、結構わかんじゃんって思った。
そしたら古典ラジオやってる深井くんが、いやこんだけやってもわかんねえんだなって言ってて。
え、わかってる方だと思うけどなって僕思ったのね、その時ね。
これを読んで、当事者たちがこんだけ書いてるのに、
スピーカー 1
当事者たちがこんだけ読んで、解説本も第三者の本も出てるのにもかかわらず、何が起こっているかわかんない。
確かに。
スピーカー 2
2人ともまだ生きてるのに、あった?50年くらい前の話なのに、もうわかんない。何が起きたのかは正確にはもうわかんない。
結構なくなってる人がいるし。
スピーカー 1
わかんないし、もうこれ以上聞くなって言っちゃったしね。
この一度きりのっていうのがいいですよね。
一度きりの大井住の話。
いやもうみんな、でねこれね難しいのがみんな読んでほしいって言いにくいんですよ。
なんていうか、これ読まれることあんま望んでないんじゃみたいな気持ちもあるし。
いやまあ出版社としては売りたいし売れるってわかってるだろうけど、
萩尾本的には事実としては残したいけど、めちゃくちゃ売れるのもな、みたいな思ってそう。
スピーカー 2
そうだよね。売るための本じゃないよね。
もうこれ風立ちぬを読んだ、見たときと一緒だよ。
もう僕の中で永久に萩尾本が変わってしまった。
永久に変わってしまったけど、風立ちぬを見たときに宮崎駿に感じたような裏切られたかもな。
スピーカー 1
ないしむしろ、なるほどなって感じ。
今までの作品が、訪問者の読み方とかは変わるけど深まる、むしろ深まるというか、
なぜこういう終わり方をするのかっていうような、結末のないSFたちのなぜああいう終わり方をするのかがわかるみたいな感じ。
が全然、萩尾本の悲しみを見てめちゃくちゃ悲しくはなるけど、裏切られたような気持ちはないですね。
1:30:05
スピーカー 2
ないね。本当なんかもうちょっと早く生まれて萩尾本のカバムチになりたかったってすごい思った。
恐ろしいもん読まされたね。読まされたとか人のせいにして。
スピーカー 1
私ね、結構何にも知らずに読んで、萩尾本なんか本出してるよ、みたいな感じで読んだからびっくりしました。
スピーカー 2
萩尾本が、お泉サロンの存在とか花の24年組の存在を粉砕してるのも面白かったね。
スピーカー 1
そんなものはない。お泉サロン?そんなものはない。知りませんが。お泉サロン?知りませんが。知りませんがって言葉めっちゃくちゃ冷たいですね。
竹見は結構、一見があった後に、私の中に死体がある、これは何?人格がない、これは大泉の死体だ、みたいに書いてあったのがすごい印象的だった。
私は死体と暮らしている。時間と記憶の死体。こんなものと暮らしたくはないけど仕方がありません。
こんなものと暮らしたくはないけど仕方がありませんっていう感じなんですよね。
竹見明子は乗り越えようとする、それを。自分の未来の糧にしようって感じだけど、萩尾本はこんなものと暮らしたくはないけど仕方がありませんって感じ。
スピーカー 2
でもさ、ほら、かいちゃんに言われて、萩尾本史上最難解と言われるバルバラ遺解を読み直したんだけど、銀の三角もそうだけど、萩尾本は何らかの形で歴史を何もかもなかったことにしたいっていう。
スピーカー 1
お分かり。ある。よくみんな言うじゃないですか、世界滅びろっていう。何かを打ちのめされたり落ち込んだ時とかに。
多分ね、萩尾本は世界よそでやり直せって思ってるんですよ。一から始めろ、神話からやれみたいな。
スピーカー 2
でも銀の三角でもバルバラ遺解でも思い通りにはならないんだよね。
スピーカー 1
ならない。
スピーカー 2
そこが萩尾本のすごいところだと思うんだよ。せっかくやり直したのに何もうまくいってないんだよね。
えっ、こうなるんだみたいな感じ。こうなっちゃうんだみたいな感じになって。
確かにね。で、思ったんだけど、やっぱ最難解は銀の三角じゃねえかなと思ったんで。
スピーカー 1
私もそう思う。銀の三角、そうですよね、やっぱり。
スピーカー 2
バルバラ遺解そんなに難しくないと思った。
スピーカー 1
バルバラ遺解ね、そんな難しくない。全員人間関係もわかるし、時系列も、時間の流れもわかるし、優しい読者に対して親切ですよね、バルバラ遺解は。
1:33:13
スピーカー 2
親切、親切。かなり説明してる。
親切に、親切に順番にちゃんと案内してくれると、銀の三角はマジで。え、ちょ、今どこ?今?
あ、ちょっと誰?
スピーカー 1
で、最終的にミューパンとはいないって言われて。いなくなってる。
スピーカー 2
いないの?みたいな話だよ。あれ、なんか突然言われるもんね。
スピーカー 1
突然言われる。
スピーカー 2
ミューパンとは?
スピーカー 1
突然川にいなくなる。
ミューパンとはいませんって言う。いないの?みたいな。
バルバラ遺解読んだら、ちょっと銀の三角の意図するところがちょっとわかるみたいな、逆に。
夢の扱い方とか、あ、夢、なるほど夢ってこういう感じで扱うんだな、みたいなのがちょっとヒントになる。
スピーカー 2
バルバラ遺解めちゃめちゃ説明してるもんね。
スピーカー 1
うん、めちゃめちゃ説明してる。
スピーカー 2
夢の中で今の世界を夢にしろっていうのがすごいわかりやすいもんね。
スピーカー 1
うん、わかりやすいわかりやすい。
スピーカー 2
銀の三角であの女の子は何してるのか全くわかんないもんね。
スピーカー 1
全然わかんない。またいるみたいな感じ。また出てきた。
そんでなんかクローン人間の中で人格が2つが合体するみたいな。
どういうことや。あれは事故だと思ってたけど、これも意図されたことだ、みたいな。
どういうこと?みたいな。すごい。銀の三角まだ読み足りないですね、ちゃんと。
もう1回ちゃんと読まないと。
スピーカー 2
あれ電子版ないから日本に帰らないと読めないんだよね。
スピーカー 1
そうなんだ。
スピーカー 2
あれ出版社が違う。小学館じゃない。
スピーカー 1
あー。みんなで読むしかないな。
この話分かった方がいいと思うからみんな読んだ方がいいと思う。
萩尾本。とんでもない話ですからね、この一連の流れは。
絶対分かって楽しむって言い方は違うかもしれないけど。
スピーカー 2
楽しむしかないよ、ここまで来たら。
スピーカー 1
もう楽しむ。あともう萩尾本の悲しみに寄り添ってもしょうがないもん。
1:36:03
スピーカー 2
だってどうしようこともできない。
スピーカー 1
そう、で、してくれるなっていう。どうにもしてくれるなって。
スピーカー 2
なんか死体と生きてるみたいなのも、萩尾本の中で出てくるメチーフだなって思った。
あのほら、卵の中で死んじゃったアヒルの話とか。
スピーカー 1
あー、X、あれ何だっけそれ、エクスタンドじゃなくて。
スピーカー 2
エクスタンドだっけ?ちょっとあの僕題名が分からない。
スピーカー 1
何だっけ、短編ですよね、短編のやつ。
あのなんか、でもちょっと記憶が薄いけど、なんかスパイみたいな逃げてる男の子の話だった。
スピーカー 2
暗殺者の話とかもそうだなって思ったし。
スピーカー 1
確かに。
スピーカー 2
そうだね、恐るべき子供たちとかも似た感じがするな。
うんうん。
スピーカー 1
まあ原作あるけど。
トントンとしてるな。
いやー、とんでもないな。
スピーカー 2
とんでもないよね。恐ろしいものを読んだね。
スピーカー 1
恐ろしいものを読んだ。
スピーカー 2
けどね、分かるんだよね。この萩尾本と竹宮慶子を見ると、この大泉サロンに行った時、竹宮慶子の絵が相当萩尾本に似ちゃってんだよね。
スピーカー 1
あーそうなんだ。
スピーカー 2
このまま一緒にいたら食われるって思うのは、それ思うだろうなって感じ。
スピーカー 1
先に見つけられちゃったら後からやれないみたいなのもありますもんね。
いずれ自分が発案することが可能性があるとしても、目の前で萩尾本に先に言われてしまったら二度とそれを自分はやることができないみたいな恐ろしさとかあるでしょうね。
あるでしょうね。
だから一番最初に創作者が二人一緒にするものじゃないって言われたのを素直に聞いとけばよかったんですよね。編集者か。
スピーカー 2
聞いてたら、世界から子供だけの豊かな精神史が失われたってことだから。
スピーカー 1
そうか。そうなんだよな。
だからすごい奇跡的な場所であることには間違いないんですよね。大泉サロン。いわゆる大泉サロンが。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
この辺にしますか。
スピーカー 2
この辺にしましょうか。どれくらい行ったかな。
どれくらい行きました?
スピーカー 1
1時間45分喋ってますね。
スピーカー 2
すごいですね。
スピーカー 1
まだ全然行こうと思えば行けるけど、この辺でやめないとかなと思って。
スピーカー 2
この辺でやめないとだよね。
1:39:01
スピーカー 2
じゃあこの辺で閉じましょうか。
スピーカー 1
では。
スピーカー 2
それでは皆さんまたお会いしましょう。ムロでした。
スピーカー 1
はい。ありがとうございました。かえでした。