00:10
西日本新聞が取材の裏側やニュース解説、福岡の街のあれやこれをお話しする、西日本新聞me Podcast。
こんにちは。番組の進行役で福岡のニュースアプリ、西日本新聞meを担当しています横山智則です。
1回目となる今回は、福岡・天神未来予想図、ビッグバンの先を大胆予想と題しまして、経済記者のお二人に話を聞こうと思います。
下村さん、田中さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
まずお二人のことを私の方から紹介いたします。下村ゆかりさん、1983年生まれ、中学から大学時代までは毎日天神を通って通学をしていた福岡娘。
2006年10月に西日本新聞社に入社。
地方総局や東京報道部などを経て、2022年から2度目の報道センターで経済を担当されています。
下村さんは中学校の頃から毎日天神の街を見てきた。歩いてきた。
そうですね。私は中学校の頃から天神を通って学校に通っていたので、学生時代にはアムロちゃんに憧れて厚底サンダルを買った松屋レディース、隣の一蘭でラーメン食べた後プリクラをとっていたビブレー、ギャルショップの聖地天神コア、イムズですね。
次々となくなってしまったんで、今も天神で行き場を失っている状態。
天神でのランチ代というのが、昔は600円、690円出せばいろんなものが食べられたのに、今は1000円出しても食べられないという危機感が一番ありますね。
危機感がそこに。わかりました。ありがとうございます。
続いて田中信之さん。
1972年、熊本県生まれ。
1996年から西日本新聞社で記載をされています。
ワシントン市局長などを経て、2021年から24年の6月まで経済担当の部長をされていました。
現在は天神の本社で、地方紙を次世代のメディア企業としてどう変革すべきかを考える部署におられます。
田中さんは天神の街が変わっていくことに、それこそ下村さんどういう戸惑っていらっしゃる?
私は子供の頃の経験がないので、会社に入ってから10年ぐらい本社にいて、いろいろ楽しい街だったですよね。
3、4年前に帰ってきて、久しぶりだったんですけど、ちょうど工事も始まったりしていて、ご飯を食べるところがまず減っている。
何ができるか楽しみではあるんですけど、ちょっと馴染みのお店とかがなくなっていて、というところが戸惑いというか寂しさというか感じますよね。
確かにそうですよね。知っている店がどんどんなくなっちゃっています。
その話なんですけど、それこそここ数年、天神は今お二人が話したとおり、古いビルがどんどん取り壊されて新しく建て替わっています。
そもそも何で急にこんなにあちこちで工事が始まったのかってところからお話を聞きたいんですけど、これは田中さんからですか。
03:00
天神のビルが1970年代とか50年前後、高度成長期がその後ぐらいですかね。
それで豪華で地震があった時も窓ガラスが路面に落ちたりとか老朽化とかがいろいろ言われていて、建て替えなきゃいけないねと。
なかなかそういう機運が高まらなかったんですけど、一つはやっぱり市長が高島さんになって規制緩和ということでビッグバンと名をつけた要請規律の緩和。
ここは飛行機が上空飛ぶのであまり高いのは建てられないんだけど、それでも緩和して建て替えしませんかというトップを作ったと。
それに乗っかるプロジェクトがいくつか出て、それに伴って周りのプロジェクトには対象にはなってないけども、そういうビルもこの際建て替えましょうという機運が高まったという。
今それが集中してるっていうことですよね。
それこそ今だったら福岡って確かに聞いたことがあります。空港が近くて便利な分高いビルはないよと確かにそうだよね。天神のビルも一直線でこうなってるぐらい低いビルばっかりですよ。
それが今なら少し高くてもいいよっていう話になったってことですか。
そうです。期間限定でそういうトップ制度を導入したんですよね。
それに手を挙げた企業が複数あるということですよね。
それこそ天神だけじゃなくて博多駅周辺もそんな話になってるんですか。
そうですね。博多は今度はコネクティットという名前でJR博多駅やJR博多駅の周辺のビルなどが今建て替え計画がどんどん出てきて実際工事も始まっていますね。
それこそだいたい今までだったら何階のビルまでしか建てれなかったけど、今なら何階建てぐらいまでOKってことになってるんですか。
今20階近くじゃないですか。
新しいビルでいうと、例えば天神ビジネスセンタービルは地上19階まで行きましたし、大名ガーデンシティに至っては地上25階ということで、これが天神明治通りのエリアでは一番階数が高いビルになりますね。
こういうのがなかったんですよね。
しかしも十何階で切られていた11階12階ぐらいが限界だったところが、規制緩和の時にそもそも建物の上には飛来心があって飛来心に飛行機は今まで当たってないんだからそこまで建物は直したくて絶対当たらないじゃないかという。
だからもうちょっと上乗せしても大丈夫だねっていうところで航空法の規制緩和を求めて、そういうふうに高さ制限を求めていったという経緯が。
なるほど。じゃあ飛来心のところまではセーフだよねって国と交渉したんですね。
飛来心がっていうあれはあれですけど、ただ建物の上にはいろいろ付随する設備があるのでそこにも今飛行機は全く一切当たってないからじゃあ大丈夫じゃないかと。
そこは空間有効活用した方がいいよねって。そうでもしないとみんななかなか立て替えるっていうことにはならないねって。
06:01
だってビル何年も閉めるわけですからその間皆さん立ち抜いてもらわなきゃいけない。賃料も入ってこないっていうのでなかなか手が出ない後回しになっちゃうっていうのがありました。
ちなみに言うようにちょうどたぶんこの2024年の今の時期って全部崩れてしまって、本当になんていうかもうビルないんですよね。
これいつまで続いて、最後いつ頃ある種の完成はいつなんですか?
今ようやく天神ビジネスセンタービル大名ガーデンシティができて、そして来年になるとワン福岡ビルディングいわゆる旧副ビルですね。
イムズとかも一緒に。あれは来年の春に開業予定ですけれども、そこからさらに天神で言うとまだイオンショッパーズ中央郵便局そしてイムズ。
イオンショッパーズ、北の方ですね。
天神北だとイオンショッパーズありますし、天神の中央の1丁目の方になると高架パルコとか新天頂のあたり。
あっちの方は2030年度の開業を目指しているので、あともう6年ぐらいはあっちこっちで工事が続くという形になりますね。
2030年頃にはある種生まれ変わった天神の街みたいな話ですね。
そうですね、ある程度完成形がもう見えてくるような形になっております。
ちなみに少し前まではコロナもありましたし、今はそれこそ円安だの、資材高騰だのと言っていて、今言った2030年頃に完成だよねっていうのは順調に進んでいるものなんです。
これは全国的な話ですけど、やっぱり資材高騰と人材不足ですね。
働き方改革とかも今年、規制が2020年4月から建設現場とかでも始まりましたし、人手不足も激しいので、やっぱり計画はちょっと遅れ気味で、交渉建設、ゼネコン会社と交渉が続いているところ、工事現場も多いですね。
それこそ東京でも麻布大ヒルズとかですらやっぱりマンションの建設が1年2年ってどんどん遅れてきて。
1年2年。
やっぱりそれが、それこそ周りはTSMCだったり半導体関連の工場だったり、今後は自動車関連の工場とかの進出とかも控えているので、建設会社っていうのは聞くとやっぱり2027年までは仕事がいっぱいいっぱいでこれ以上受けられませんと。
もう次新しく受注するのは2028年からいいですかとかそういう状態なので、なかなか工事計画うまく進んでます。順調ですっていうところ難しくなってきてますね。
夏暑かったでしょ、今年も。そうですよね。これがやっぱり現場が非常に大変で、後期が決まっていて、熱中症とかでダウンされる方っていうのはこの夏もものすごく多くて、だけど間に合わせなきゃいけない、人手不足。非常に厳しいですよね。厳しい状況。
今年の夏も暑かったし、もう今年だけの話じゃどうせないですし。そういう意味じゃなかなか今天神の街だけでもてんやわんやなんですけども、それこそそういうことなんですね。福岡だけで見ても福岡空港だって今大型工事続いてますし、北九州に行けば工場建設とかがありますし、結構いろいろ工事現場が忙しいというか大変ですね。
09:20
そうですね。忙しいんですね。分かりました。それこそ、そうは言いつつも今おっしゃったような大名ガーデンシティだったり、天神ビジネスセンタービルのようにようやくそれこそきれいなビルが建ってというところもいくつかできてきてますよね。どんなビルができたんですか。
そうですね。天神ビジネスセンターで行くと、それこそこのビルは地上19階、地下2階ですね。地下の方には飲食店だったりコンビニとかが入ってて、上層階の方になると、例えば17階から19階はNECさんが入ってますし、12階から14階はジャパネットホールディングさん。
大手企業が3フロア一気に集約して入って入居されているところもありますし、GAFAと呼ばれる大手外資企業というのも入居しているようなオフィスがメインになっているビルになります。あと大名ガーデンシティですね。これについてはいわゆる皆さんがご存知のザ・リッツカールトン福岡ですね。超高級外資系ホテルが18階から24階に入ってますし、オフィスが5階から16階。
定層階の1階とかは飲食店ですとか、物販店とかも入ってますけれども、ただオフィス、それこそ大名ガーデンシティ、私今週オフィスフロアをぐるっと取材も兼ねて見てきたんですけれども、やっぱり全部埋まってるかって言ったらちらほらいまだ空きフロアが。
新しく入居されたっていうところに見に行って、ついでに周りのフロアも見てみたんですけど、まだ空きがあってガラーンとしたフロアもあるなっていうので、まだ満床ではないんだなっていう印象は受けましたね。やっぱ賃料の高さもありますし、それこそそれなりの賃料払えるところしか入ってこれないっていうのもありますから、あえてコンパクトにしましたっていう企業さんもありましたね。
企業によってはあえて高いけど入ってきたいっていうのがあって、それは例えば若い人たちにたくさん会社に入ってきてほしいとなると、もう天神のど真ん中にオフィスがあるんですっていうこととかです。
コールセンターとかもそうですよね。だいたい遠いところにあったりするんですけど、ど真ん中でお仕事して夕方終わったら帰ってお買い物とかそういうのを売りにする会社もあります。
コールセンターとかも入ってるんですね。
コールセンターって田中さんおっしゃるとおりで、ちょっと田舎の方がイメージありますけど違うんですね。
12:00
コールセンターのスタッフの方を集めようとすると場所で郊外だと嫌だって。
そうですね。
やっぱり駅地下物件じゃないと働き手がそもそも集まらない。
集まらない。
っていうので、やっぱり駅から徒歩5分以内、なんなら駅直結ビル。コールセンターで働かれる方、女性が多いですし家庭を持たれている方とかも多いので、そういった方の生活とのライフワークバランスとか考えたときに、やっぱりすぐ行けてすぐ帰れる。
なんなら買い物とかも周りでできる。アフターファイブも楽しめるっていうところでないと、福岡の女性は獲得できない、抱え込めない。
なるほど。それこそガーデンシティで一番気になっているのは、さっき下村さんも言ったホテルであれめちゃくちゃ高いんでしょ。
高いですね。
あれほんと泊まってる人とかいるんです。
いやそれが私、それこそ1回取材も兼ねてランチをこの間食べに行ったんですよね。1ヶ月ぐらい前に。平日ですよ。12時ぐらい行ってまあ空いてるだろうと思ったら、本日満席をいただいておりますって言われて。
平日ですよ。皆さんどんな方かなと思って、外国人の富裕層の方かなと思ったら意外と日本人なんですよね。
普通に、多分福岡の女性同士、奥様方がランチを楽しまれてたりだとか、ご家族のお祝いで使われてたりだとか。
今まで福岡って富裕層の動きってあんまり見えてこなかったけど、こういうふうに箱ができると、やっぱり富裕層の方ってこういうの使われるんだなっていう。
ちなみにランチおいくらなんですか?
あのですね、すごいですよ。胸肉がメインのランチにビュッフェがついてて、サービス料込みで1万円ちょっと払いました。
一人で黙々とギリギリまで粘りましたけど。
それがまあ普通ですっていうランチを、別にそのいわゆるレストランの中は、その何だろう、外国人、アラブの石油みたいな人たちがいるんじゃなくて、
いるんだろうけど、福岡の人たちもそこで食べてる。
そうなんですよね。
そんな人がこの街にそこそこいる。
いるんですね。やっぱり富裕層の方って、今は百貨店とかに聞いても、昔富裕層って言ったら、それこそある程度と証明した高齢層とかが金融資産持ってるって話ですけど、
最近は新しい富裕層って、やっぱり2,30代の資産形成をされてる方っていうのが、もちろん東京中心にですけど、福岡でも層が厚くなってきているということなんで、そういった方とかがやっぱりリッツとかを活用されるんだなっていう。
今下村さんが言った女性の方っていうのも、60歳以上じゃないんですね。
結構若かったです。それこそ3,40代の方も結構多かったですし、もっと若い方とか20代とかの方もいらっしゃいました。
一枚のランチを平日の昼から?
そう、一枚のランチを。
本当?
そうでしょ。私、お酒頼もうかなと思ってお酒頼んだら、たぶん1万3,000円いくなと思って、さすがに諦めましたけど。
そうでしょうね。それこそ話はちょっと、あんまり昼飯の話ばかりじゃ経済っぽくないんで、ビジネスセンタービルに入居されたところがいくつかあるんですけども、福岡が選ばれた理由みたいなものってあるんですか?
15:17
そうですね。それこそジャパネットホールディングスの社長がおっしゃってたのは、ライフワークバランス、従業員の働きやすさ、住みやすさ、生活しやすさって考えたときに、やっぱり福岡っていうのに拠点を設けた方が、本社機能を移した方が、従業員の人生の幸福度っていうのは上がるだろうっていうのと、
あとはやっぱり働き手の確保と定着率ですね。そういったのもちゃんと確保できるだろうということですね。あとは他の企業さんとかも言われてたのが、それはIT企業ですけれども、ビジネスセンターに入居されている。
やっぱり福岡ってまだ人口が増えている都市なので、そこでやっぱり働き手を確保したいということを考えると、ここで一番アクセスのいい新しいビルっていうところにオフィスを構えることで、東京よりも人を獲得したいと。そのためのオフィスだと。
まだオフィスだって3人ぐらいしか働いてなくて、全然ガラガラなんですけど、ここ30人働けるだけの面積を取って、そこでこれから人材をどんどん獲得していきたいというような。
やっぱり人口が増える街って今日本であんまりないので、貴重ですよね。西の拠点みたいになるので、九州からもちろん人が集まるし、中国、広島辺りからも来るだろうし、非常に場所としてもいいし、空港は近いし、国際部に飛んでるし。
東京、大阪、名古屋を置いといて、札幌、仙台、神戸、広島、福岡みたいないわゆるその都市で、それと昔から福岡は中でも元気が良くてっていう話はずっと言われてきたけども、もう本当にここに来てっていうところがあるんですかね。
今もう仙台とか、ライバルシーズン、福岡としますけど、圧勝されてるっていう感覚ですね、仙台の人たち。札幌、神戸あたりはまだ互角かなみたいな見方もあると思うけど、それでもやっぱり福岡に例えば札幌の人が来たとしても、相当びっくりされるし、どこまで大きくなるんだっていう。
人口でも神戸抜きましたし、やっぱり地方都市としては勢いがあるっていうのは間違いなく言えるし、若年層が増えてるっていうのが強いですよね。
なるほど、若年層。若い人は。
やっぱりそうなると、これから働いてもくれるし、子供を産んで定着もしてくれる。その子供たちがまた大きくなって福岡で定着してくれれば、やっぱり労働人口っていうのが増える、就労人口が増えるっていうのはもうそのまま都市の成長力、そして国家の成長力と繋がるので。
あとアジアからも人を呼び込みやすいって、やっぱりエンジニアを集めるときにアジアも視野に入れて福岡では人材採用ができるっていうのも強いっていうふうに韓国とかからもですね。
18:07
なるほど。
東南アジアとかも含めて。
そう、東南アジア、韓国も含めて福岡に拠点がある方が、アジアの国の方にとってもある種身近だとか近いとか住みやすいとかいう発想に、じゃあ急に北海道に行きますかっていうよりもまだなんか。
近いからですね。
そうか。僕らがプサンって言われるのと一緒のイメージですかね。
そうなんですよね。私たちからすると東京よりプサンの方が近いですから。
なるほど。ありがとうございます。
それこそですね、この後とは言いながら光もあれば影もあるよねっていうお話もこの後聞いていきたいんですが、ちょうどいい時間になりましたんでですね。
一旦ここで切って続きは後半戦とさせていただこうと思っております。
ここまで聞いていただきありがとうございました。
下村さんや田中さんの記事は西日本新聞とニュースアプリ西日本新聞MEでお読みいただけます。
2人の記事が読みたい。西日本新聞やこの番組を応援したいと思っていただける方、ぜひご購読をお願いします。
次回は天神ビッグマンは光と影と題しまして、光財みたいな内容でお届けできればと思っております。
今日はありがとうございました。
ありがとうございました。