西日本新聞Podcast
西日本新聞あな特Podcast
このPodcastは、暮らしの疑問や地域の困り事から不正の告発まで、読者の調査依頼に応える西日本新聞の課題解決型調査報道
あなたの特命取材班の果敢な挑戦を紹介し、リスナーの皆さんからの取材リクエストにも応えちゃおうという番組です。
こんにちは、西日本新聞社のりょうです。
早速ですけども、今日は初参加の竹津記者と、なんと初ゲストとなります。
福岡大学から山下真一教授にお越しいただいています。お二人よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
じゃあお二人簡単に自己紹介していただいてよろしいでしょうか。
福岡大学の法学部で会場しております山下と申します。
長崎県出身で九州大学法学部に入学した後に博士号を取って、いろいろあって今福岡大学で社会保障法という科目を教えております。
社会保障法、確か全然あれですけど都市僕と一緒なんですよね。
そうですね、1984年までです。
よろしくお願いします。
じゃあ竹津さん自己紹介お願いします。
はい、今竹津組のりょうと申します。
西日本新聞で今国際VRのデスクをやらせていただいておりますが、数年前まであの時の記者とかデスクをメインにやらせていただいておりました。
今日よろしくお願いします。
竹津さんと僕、北九州の時に一緒にさせていただいて、懐かしいですね。
ということで竹津さん、今日はどんなお話になるんでしょう。
先ほどね、教授おっしゃいました社会保障法っていうことだったんですけど、やっぱりそういう感じのお話。
そうなんです。社会保障法って結構幅広い話なんですけども、年金とか医療とかですね。
その中でも生活保護のお話でですね、先生が昨年の秋にですね、本を出されまして、社会保障のどこが問題か。
サブタイトルがですね、勤労の義務という呪縛、ちょっと難しい話なんですけれども、
先ほどの社会保障をどういうふうにうまく利用したらいいのかということを主なテーマで述べてまして、
そのうまく利用されていない背景に憲法にあるような勤労の義務とか、倫理観に働かざるを得らず、
みたいなところが何か社会保障の利用に邪魔してるんじゃないかという問題意識を持ちになっていらっしゃって、
それを本にまとめられたという機会がありまして、それを私も取材をさせていただいて、
そしたらちょっとみんなに一回言ってみようということで、アンケートを一緒にさせていただいたという経緯があります。
それこそ働かざるを得らずというのは、すり込まれたように我々そういう教育を受けてますよね、ね、教授。
そう思います。これ元々ですね、日本の憲法に勤労の義務っていうのが入った経緯も、
元々は戦後、第二次世界大戦後に憲法を変えようという時に、元々その憲法改正案には勤労の義務って入ってなかったんです。
それでその勤労の義務が入ってない草案、憲法草案、改正草案を政府が出して、
いろんな意見を募ったところ、国民側から勤労の義務っていうのを入れた方がいいじゃないかという意見が出てきちゃって、
それはやっぱり背景に働かざるを得らずっていうのが国民に染み付いているということがあるんじゃないかという分析が当時の政府はしてましたね。
なるほど。じゃあ今日はその社会保障の権利を生かす上でというか、義務とかそういう倫理感がどう影響しているのかみたいな話っていう感じですかね。
どこで好きしていいかわからないですよね。
アンケートの中でも、実際に市役所の人に助けられたと。市役所の人がとてもよくしてくれて、今自立に至って市役所の人が助けてくれたので、生活保護を使ったことでまた自給が離れて自分で生活できるようになったという回答もあったりとか。
水際作成みたいな、かつて市役場に行くと拒否されたりとかですね。何か働けるんじゃないかみたいなこととかでいうことがあったっていう時代もあったんですけれども、最近はだいぶ減ってきてるんじゃないかなと僕は思ってるんですけど。
なのでやっぱり困ったことがあったらですね、市役所。
町村でいうと県が丸の内になるんですけど、相談しに行くっていうことはとても大事なことかなと。
本当ですね。
働かざるもの空手から、ある種自爆のような言葉ですけど、さっき教授おっしゃられたみたいな倫理観と法的権利を分けていくということで、具体的にどう実現していくべきなんでしょうか。
そうですね。それが一番難しいところだと思うんですけど、一つは倫理観が存在することは前提として、もう人の心の中の倫理観ってそんなに簡単に変えられることではないので、それはそれとして存在するものとして、しかもそれ自体が悪い倫理観ではないと思うんで、
それは存在することを前提として、もう権利自体を自動化していくっていう方法性が一つあり得ると思います。つまり、一定の収入を終わった人に自動的にその人のマイナンバーの給付受取口座にお金が振り込まれるみたいな仕組みっていうのは、将来的には理論上あり得るかなっていうのが一個ですね。
それ、いわゆるベーシックイカムにすごく近づく考え方なんですけど、それは一つあり得ると思っています。
自動オートマティックに。 そうおっしゃる通りです。オートマティックに。プッシュ型というかもうオートマティックですね。それはちょっとでもあまりに劇的な変化すぎる。
確かに。 まあ今の段階でできることとすればやっぱりその啓発とか啓蒙みたいなところですね。権利っていうのは公的な権利っていうのはもう誰でも使えるんだよと。
もう人としてみんなが持ってるんだよってことをもっとわかりやすく、いわゆる研究者も含めてもわかりやすく伝える努力をしていくなどが必要かなと思っています。
それは本当に大事なことですね。で、あれでしょ、たけど、そんなときに売ってつけの本があるって聞いてるんですけど。
こちらですね。YouTubeをご覧になっている方は今表に出てきましたけど、社会保障の取説。これまさか。
これも山下先生の。 なんと著書でございます。
なるほど。先生ちょっと紹介していただいてよろしいですか。
ありがとうございます。宣伝させていただいて。もともと社会保障ってものすごく広くて、年金も医療も障害のある方の福祉とか、あとは例えば保育園とかですね。
ああいう仕組みも全部社会保障っていうふうに捉えられるんですけど、幅広くて複雑なので、自分が何を使えるかっていうのはそもそも多くの人はわからないと思うんですね。
僕自身も自分の祖父が認知症で介護保険使って施設に入るという時に生徒も全然わからなくて、一応博士号持ってて大学で喋ってて論文も書いてるのに全然わからなかった。
そういうことがあったので、世の中の多くの人が似たようにわからなくて困ってるってことがあるかもしれないと思って作った。
なるほど。実務と研究してることっていうのは離れてるっていうか。
そうですね。僕らが研究で使う言葉と市役所の人たちが窓口で説明してくれる言葉と、あとは介護保険でいうとケアマネージャーさんたちがおっしゃる言葉ってやっぱりずれてくるので、専門用語としてはこれだっていうのはわかるけど、それが日常用語になった時に全然結びつかなかったという経験ではありました。
将軍のどこにそれ書いてあるのって思いながら話し聞いちゃうと全然わかんなかった。だからもう困りました。やっぱりその行政の方たちも部署ごとにやはり違うところがあって、その部署ごとの違いが複雑に絡まり合って制度ができちゃってるので、全体をわかってる人って多分日本に一人もいないというふうに僕はずっと思っています。
そうなんですよ。だから具体的に言うと、とある給所とは関係ない市町村の議会の議員さんから、社会保障の取説のうちの市のバージョンを変えてくれっていうふうな依頼が来たり、あとは別の言語にしたいから、例えばネパール語のバージョン作ってくれないかみたいなそういう依頼が来たりっていうのはあります。
そこでネパールの方とか出てきましたけど、そこからまた複雑になるんですよね。 そうなんですね。ネパールの話で出てきたのは、ネパールにそもそも社会保障みたいな考え方がないから、日本に来ても医療保険、国民健康保険とか入らないで、結局国民健康保険に入らないってことは病院に行ったら全国事故負担ですよね。