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2025-07-01 20:52

143横光利一「蠅」(朗読)

143横光利一「蠅」(朗読)

蠅が手をする足をする。

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サマリー

横光利一の短編小説「蠅」を朗読するエピソードです。この作品は新感覚派文学を代表しており、宿場の空虚さと人々の切実な思いを描いています。横光利一の短編「蠅」では、夏の真っ赤な崖を背景にした馬車の事故の様子が描かれています。この物語は、唯一生き残ったハエを通して人間模様や無情さを考察しています。

エピソードの紹介
寝落ちの本ポッドキャスト。こんばんは、Naotaroです。このポッドキャストは、あなたの寝落ちのお手伝いをする番組です。
タイトルを聞いたことがあったり、実際に読んだこともあるような本、それから興味深そうな本などを淡々と読んでいきます。
エッセイには、面白すぎないツッコミを入れることもあるかもしれません。 作品はすべて青空文庫から選んでおります。
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さて、今日は
横光利一さんの「蠅」というテキストですね。
横光利一さん、日本の小説家・俳人・評論家。 菊池寛に支持し、片岡鉄平・川端康成とともに文芸時代を創刊し、
新感覚派文学の運動を起こす代表作「蠅」 これ、今日読みます。
機会、領収などがあるそうです。
何個か読んでて、 年の暮れ頃に
1個。年の暮れか年明けか。 あと春頃に
ちょうど春めいてきたしと思って、春は馬車に乗ってという作品があったんで、それを
読んで、ちょっとルンルンしそうなタイトルじゃないですか。 読んだんですけど
冒頭から嫁さんが死にかけてる話だったんで、辛かったですね。 死にかけておる。
で、最後、死にかけてる嫁さんに馬車に乗ってやってきたお花の匂いを嗅がせてあげるってシーンで終わっていくんですけど、
もう、もう看護犬の中に入っている奥さんのメタファーとしか思われないみたいな悲しい話でしょ。
悲しい、寂しい。 で、今日は蠅というテキストです。
梅雨があっという間に 終わっちゃったのかなぁ、これ。今日6月24日なんですけど。
夏っぽいっすもんね。
今年の夏は暑そうだなぁ。 で、この蠅というテキストは4200文字ぐらいなので30分かからずに読み終わると思います。
宿場の描写
やっていきましょうか。 どうか寝落ちまでお付き合いください。
それでは参ります。
蠅 1
真夏の宿場は空虚であった。 ただ、目の大きな一匹の蠅だけは、薄暗い馬屋の隅の蜘蛛の巣に引っかかると、
後足で網をはねつつしばらくブラブラと揺れていた。 と、豆のようにぼたりと落ちた。
そして馬糞の重みに、生めに突き立っている藁の端から、 裸体にされた馬の背中まで這い上がった。
2 馬は一筋の枯れ草を奥歯に引っかけたまま、 猫背の多いた漁舎の姿を探している。
漁舎は宿場の横のまんじゅう屋の店先で、 将棋を3番さして負け通した。
「なに、もんこ言うな。もう一番じゃ。」 すると日差しをはずれた日の光は、彼の腰から丸い荷物のような猫背の上へ乗りかかってきた。
3 宿場の空虚な場庭へ一人の農夫が駆けつけた。 彼女はこの朝早く、町に勤めている息子から帰督の電報を受け取った。
それから梅雨に湿った三里の山道を駆けつづけた。
「馬車はまだかのう。」 彼女は漁舎部屋を覗いて読んだが返事がない。
「馬車はまだかのう。」 ゆがんだ畳の上には湯呑みが一つ転がっていて、中から酒色の番長が一人静かに流れていた。
農夫はうろうろと場庭をまわると、番長屋の横からまた読んだ。
「馬車はまだかのう。」
「戦国出ましたぞ。」 答えたのはその家の主婦である。
「出たかのう。馬車はもう出ましたかのう。 いつ出ましたな。もうちと早く来るとよかったんじゃが、もう出んじゃろか。」
農夫は請求な泣き声でそういううちに早や泣き出した。 が涙もふかず王冠の中央に突き立っていてから町の方へスタスタと歩き始めた。
「二番が出るぞ。」 猫背の漁舎は将棋番を見つめたまま農夫に行った。
農夫は歩みを止めるとくるりと向き返ってその淡い眉毛を吊り上げた。
「出るかのう。すぐ出るかのう。せがれが死にかけておるんじゃが、 間に合わせておくれかのう。」
「うん。競馬と来たな。」
「まあまあうれしや。町までどれほどかかるじゃろ。 いつ出しておくれるのう。」
「二番が出るわえ。」と漁舎はポンと符を打った。
「出ますかな。町までは三時間もかかりますかな。 三時間はたっぷりかかりますやろ。
せがれが死にかけていますんじゃ、間に合わせておくれかのう。」
四。野杖の陽炉の中から種レンゲを叩く音が聞こえてくる。
若者と娘は宿場の方へ急いで行った。 娘は若者の肩の荷物へ手をかけた。
「もとう。」 「なあに。」
「重たかろうが。」 若者は黙っていかにも軽そうな様子を見せた。
が、額から流れる汗は塩辛かった。 「場所はもう出たかしら。」
と娘はつぶやいた。 若者は荷物の下から目を細めて太陽を眺めると。
「ちょっと暑いなったなあ。」 「まだじゃろう。」二人は黙ってしまった。
牛の鳴き声がした。 「知れたらどうしよう。」
と娘は言うとちょっと泣きそうな顔をした。 種レンゲを叩く音だけがかすかに足音のように迫ってくる。
娘は後ろを向いてみてそれから若者の肩の荷物にまた手をかけた。
「私がもと、もう肩が治ったえ。」 若者はやはり黙ってどしどしと歩き続けた。
が突然。 「知れたらまた逃げるだけじゃ。」とつぶやいた。
五。宿場の場庭へ母親に手をひかれた男の子が指をくわえて入ってきた。
「おかあ。」 「ママ。」
男の子は母親から手を振り切ると馬屋の方へかけてきた。
そして二軒ほど離れた場庭の中から馬を見ながら 「こりゃこりゃ。」と叫んで片足で血を打った。
馬は首をもたげて耳を立てた。 男の子は馬の真似をして首をあげたが耳が動かなかった。
で、ただやたらに馬の前で顔をしかめると再び 「こりゃこりゃ。」と叫んで血を打った。
馬は桶の手ずるに口をひっかけながらまたその中へ顔を隠してマグサを食った。
「おかあ。」 「うまうま。」
「ああ、うまうま。」
六。
「おっと待てよ。これは背柄の下駄を買うのを忘れたぞ。 あいつはスイカが好きじゃ。スイカを買うと俺もあやつも好きじゃで良徳じゃ。」
田舎紳士は宿場へ着いた。彼は四十三になる。 四十三年貧困と戦い続けた貝屋って昨夜ようやく春後の仲買いで八百円を手に入れた。
今彼の胸は未来の画作のために詰まっている。 けれども昨夜戦闘へ行った時八百円の札束をカバンに入れて洗い場まで持って入って笑われた記憶については忘れていた。
農夫は馬庭の正義から立ち上がると彼のそばへ寄ってきた。
「馬車はいつ出るので御残賞な。せがれが足にかかっていますんで早お待ちへ行かんぞ。死に目に会えまいと思いましてな。」
「ああ、そりゃあいかん。」
「もう出るので御残賞な。もう出るってさっき言わしちゃったかのう。」
「さて何しておるやらな。」
若者と娘は馬庭の中へ入ってきた。 農夫はまた二人のそばへ近寄った。
「馬車に乗りなさるのかな?」
「馬車は出ませんぞな。」
「出ませんか?」と若者は聞き返した。
「出ませんの?」と娘は言った。
「もう二時間も待っていますのやが、出ませんぞな。町まで三時間かかりますやろ。もう何時になっていますかな。町へ着くと昼になりますやろか。」
「そりゃあ正午や。」と田舎紳士は横から言った。 農夫はくるりと彼の方をまた向いて。
「正午になりますかいな。それまでには死にますやろな。正午になりますかいな。」 といううちにまた泣き出した。
が、すぐまんじゅう屋の天灯へかけて行った。
「まだかのう。馬車はまだなかなか出んじゃろか。」
猫背の漁舎は将棋場を枕にして仰向きになったまま、すのこを洗っているまんじゅう屋の主婦の方へ頭を向けた。
「まんじゅうはまだむさらんかいのう。」
馬車はいつになったら出るのであろう。
宿場に集った人々の汗は乾いた。
しかし馬車はいつになったら出るのであろう。
これは誰も知らない。
だがもし知り得ることのできるものがあったとすれば、それはまんじゅう屋のかもどの中でようやくふくれはじめたまんじゅうであった。
なぜかといえば、この宿場の猫背の漁舎はまだその日誰もつけていない蒸したてのまんじゅうに初手をつけるということが、
馬車の出発
それほどの潔癖から長い年月の間独身で暮らさねばならなかったという、彼のその日その日の最高の慰めとなっていたのであったから。
宿場の柱時計が十時を打った。
まんじゅう屋のかもどは湯気をたてて鳴り出した。
ザクザクザク。
猫背の漁舎はまぐさを切った。
馬は猫背の横で水を十分飲みためた。
ザクザクザク。
馬は馬車の車体に結ばれた。
農夫は真っ先に車体の中へ乗り込むと町の方を見つづけた。
「乗っとくれや。」と猫背は言った。
五人の乗客は傾く踏み段に気をつけて農夫のそばへ乗り始めた。
猫背の漁舎はまんじゅう屋のすのこの上で綿のように膨らんでいるまんじゅうを腹かけの中へ押し込むと、
漁舎台の上にその背を曲げた。
ラッパが鳴った。
ムチが鳴った。
目の大きな蚊の一匹のハエは、馬の腰の甘じしの匂いの中から飛び立った。
そして車体の屋根の上に泊まり直ると、
今先にようやく蜘蛛の網からその命を取り戻した体を休めて馬車と一緒に揺れて行った。
馬車は煙天の下を走り通した。
そして並木を抜け、長く続いた小豆畑の横を通り、
天畑と桑畑の間を揺れつつ森の中へ割り込むと、
緑色の森はようやく溜まった馬の額の汗にうつって逆さまに揺らめいた。
10
馬車の中では田舎紳士の饒舌が早くも人々を五年以来のチキにした。
しかし男の子は一人、車体の柱を握って、その生々した目で野の中を見続けた。
「おかあ、なし、まし。」
「ああ、なしなし。」
御舎台ではムチが動き止まった。
農夫は田舎紳士の帯の鎖に目をつけた。
「もう行く時ですかいな。
十二時は過ぎましたかいな。
町へ着くと正午過ぎになりますやろな。」
御舎台ではラッパが鳴らなくなった。
そして腹かけのまんじゅうを、
今やことごとく胃の腑の中へ落とし込んでしまった御舎は、
一層猫背を張らせて居眠り出した。
その居眠りは馬車の上から、
かの目の大きなハエが押し黙った数段の梨畑を眺め、
馬車の事故
真夏の太陽の光を受けて真っ赤に生えた赤土の断崖を仰ぎ、
突然に現れた激流を見下ろして、
そうして馬車が高い崖道の高低でカタカタときしみ出す音を聞いてもまだ続いた。
しかし乗客の中でその御舎の居眠りを知っていた者は、
わずかにただハエ一匹であるらしかった。
ハエは車体の屋根の上から御舎の垂れ下がった半白の頭に飛び移り、
それから濡れた馬の背中に止まって汗をなめた。
馬車は崖の頂上へ差し掛かった。
馬は前方に現れた目隠しの中の道に従って従順に曲がり始めた。
しかしその時彼は自分の胴と車体の幅とを考えることはできなかった。
一つの車輪が道から外れた。
突然馬は車体に引かれて突き立った。
瞬間ハエは飛び上がった。
と、車体と一緒に崖の下へ墜落していく放乱な馬の腹が目についた。
そして陣場の悲鳴が高く一声発せられると、
瓦の上では押し重なった人と馬と板へんとの塊が沈黙したまま動かなかった。
がめの大きなハエは今や完全に休まったその羽に力を込めて、
ただ一人悠々と青空の中を飛んでいった。
無情な人間模様
1981年発行 岩波書店 岩波文庫
日輪 春は馬車に乗ってほか八編
より独りょう 読み終わりです。
はー、なるほど。
みんなで一つの馬車に乗り込んでたのね。ハエも込みで。
んー、んー、味がするね。確かにね。
ハエだけが助かったのか。
最初、ハエも死にかけてますもんね。蜘蛛の巣に引っかかってね。
何を読めとればいいんだろうね。
まあ最初にいろんな人間模様が一つのところに集まっている風情みたいなものが
あるなーとは思ったけど。
んー、ちゃんと周り見てないとダメだよー言いたいのかな。
無情みたいなことを言いたいのか。
ちょっとわかりませんが、ハエでした。
この間、たちのみ屋さんで
ちょっとこれから全然関係ない打話をしますが
たちのみ屋さんで、店内で
鈴木まさゆきの曲がかかってたんですよ。
夢でもし会えたらって曲。
あれ、なんてタイトルなんだろうか。ちょっと調べてきます。
調べてきました。夢で会えたらってタイトルですね。しかも
大瀧英一の曲でした。そうなんだ。
じゃあ鈴木まさゆきはカバーで歌ってたんだな。
鈴木まさゆきのイメージすごい強かったんだけどな。
で、僕、初めてこの曲に接したのが
子供の頃なんですよ。多分10歳ぐらい。
今僕40歳ですが、30年ぐらい前?
当時の僕はずっと
夢でもし会えたらの区切るところを間違えてて
夢でもし会えたら
って思ってたんですよ。要は、寝る前も
しあってたことを夢の中でもしあいたい。何かは分かりませんが。
当時10歳ぐらいなんで、そんなおピンクな方向に発想は
転換してませんけど、寝ても覚めてもしたいんだね。夢でもしあいたいんだね。
お互いに。って思ってたんですよね。だからちょっと
2つの意味に取れる分の並びだなと思って。
だって、もし夢で会えたら
だったら、僕多分取り違えてないと思うんで。子供の頃の僕は。
で、タイトル夢で会えたらだもんね。
こういう何か勘違いみたいな
取り違いっていうか。
ありますか?多分あるよね、みんなきっと。
何か特定の人の喋り方が
この人の喋り方、ちょきどきスッと入ってこないんだよなって
人いるじゃないですか。ちょっとあんま合わないんだろうなって。
手が合わないんだろうなーって。
ものすごく早口で聞き取れないとかそういうのではなくて
何か言ってんだけど
普通に話してるんだけど全然入ってこなくて、今どういうことを言ってるの?みたいな。
何かね、ちょっとフィーリングみたいなそれもあるんだろうなと思って。
例えば何か道の説明を聞きたい時
僕はストリートビューを脳内に立ち上げてるんですよ。
だからここの道をまっすぐ行って左側にあれが見えてきたから
あそこを曲がって、でどの辺にあるんです?みたいな質問をしてるのに
何かテーブルの上に
指で線描いてこうやってここに道があるでしょっていきなり2Dにし始めると
いや僕は今3Dで映像を脳内で見てるんだけどなって言って
向こうのアウトプットとこっちが求めてるインプット
欲しいインプットが違くて、みたいなこととかね
これちょっと結構人によって差が
得意なインプットの方法と
得意なアウトプットの方法とかそれぞれ多分違うと思うから
そういう掛け合いの
掛け違いみたいな感じ?あるなとちょっと思ったりもしますよね
かつての上司が
会話劇みたいなことを目の前にしてくれるわけですよ
要は落語形式ですよね、上下に分けて
2人が話している掛け合いのそのままを見せてくれるんだけど
顔の向きも変えやしないし、コア色も変えないもんだから
今すいませんどっちが喋ってますかって
それやるならちょっと工夫してよって思いますよね
アナログで目の前に僕いるわけだから
カードの向き変えるとかしてくれてもいいじゃん
ずっと煙草を吸ったまま
上司も分けずに上司もやってる風でやってきたもんで
今それどっちが言ったんです?
そういうこともありました
会話は難しいし、日本語も難しいし、日々勉強なんですかね
さて、それじゃあそろそろ終わりにしましょうか
無事に寝落ちできた方も最後までお付き合いいただいた方も大変にお疲れ様でした
といったところで今日のところはこの辺でまた次回お会いしましょう
おやすみなさい
20:52

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