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2025-10-02 15:48

169芥川龍之介「或恋愛小説」(朗読)

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サマリー

芥川龍之介の小説「或恋愛小説」では、外交官の夫人である若い女主人公が音楽家の辰夫との複雑な愛情関係に悩んでいます。物語は彼女の恋愛感情や自殺の決意を通じて、近代的な恋愛の葛藤を探求しています。また、短編小説「或恋愛小説」では、恋愛に対する偏見や誤解が描かれています。登場人物たちは恋愛小説の常識に疑問を投げかけ、自らの経験を通じて新たな視点を提供しています。

収録の開始と背景
寝落ちの本ポッドキャスト、こんばんは、Naotaroです。
このポッドキャストは、あなたの寝落ちのお手伝いをする番組です。
タイトルを聞いたことがあったり、実際に読んだこともあるような本、
それから興味深そうな本などを淡々と読んでいきます。
エッセイには、面白すぎないツッコミを入れることもあるかもしれません。
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さて、今日は芥川龍之介さんの
或恋愛小説、です。サブタイトル
あるいは恋愛は史上なり
となっています。
収録、これね、95%まで終わって
もう残り何行か読み終わったら終わりだなってところで
録音のファイルがクラッシュしたんで、今収録し直しですね。
もう最悪だよ。
内容は、安吉という
芥川君の小説とかテキストに時折出てくる
彼を投影した人が出てきますね。
太宰治でいうところの大葉洋蔵のような
本人、作家本人を代弁するような
キャラクターが出てきてます。と、雑誌社の
方とのやり取りという形です。
もうクラッシュしてやる気が失せたんで、翌日に回します。
もう結構頑張ったのに、可哀想だよ。
女主人公の恋愛
本当に。
ということで、翌日になりました。読んでいきましょうか。
ではでは、お付き合いいただければ幸いです。
それでは参ります。
主筆。
それは書きますよ。
実はこの頃、婦人雑誌に書きたいと思っている小説があるんです。
そうですか。それは結構です。
もし書いていただければ、大いに新聞に広告しますよ。
堀川氏の筆になれる愛縁極まりなき恋愛小説とか何とか広告しますよ。
愛縁極まりなき?
しかし僕の小説は、恋愛は史上なりと言うんですよ。
それは結構です。
一般に青年男女の心は、恋愛史上主義に傾いていますから。
もちろん、近代的恋愛でしょうね。
じゃあ、それは疑問ですね。
近代的懐疑とか、近代的盗賊とか、近代的しらがざめとか、そういうものは確かに存在するでしょう。
しかしどうも恋愛だけは、いざなぎいざなみの昔以来あまり変わらないように思いますが。
それは理論の上だけですよ。
例えば三角関係などは、近代的恋愛の一例ですからね。
少なくとも日本の現状では。
三角関係ですか。それは僕の小説にも三角関係が出てくるんです。
ざっと筋を話してみましょうか。
そうしていただければ、こう都合です。
女主人公は若い奥さんなんです。外交官の夫人なんです。
もちろん東京の山手の邸宅に住んでるんですね。
一体読者の要求するのはどういう髪に言った女主人公ですか。
耳隠しでしょ。
じゃあ耳隠しにしましょう。
いつも髪を耳隠しに言った色の白い、目の冴え冴えした、ちょっと唇に癖のある。
まあ活動写真にすれば栗島住子の役所なんです。
夫の外交官も新時代の法学士ですから、審判、悲劇地見たわからず屋じゃありません。
学生時代にはベースボールの選手だった。その上道楽に小説くらいは見る。
色の浅黒い高男子なんです。
新婚の二人は幸福に山手の邸宅に暮らしている。
一緒に音楽会へ出かけることもある。銀座通りを散歩することもある。
それもちろん震災前なんでしょうね。
ええ震災のずっと前です。
一緒に音楽会へ出かけることもある。銀座通りを散歩することもある。
あるいはまた西洋魔の伝統の下に無言の微笑みばかり交わすこともある。
壁にはルノアールやセザンヌの複製なども掛かっている。ピアノも黒い銅を光らせている。
鉢植えの家紙も葉を垂らしている。
というと多少気が利いていますが、家賃は案外安いんですよ。
そういう説明はいらないでしょう。少なくとも小説の本文には。
いや必要ですよ。若い外交官の月給などは高の知れたものですからね。
じゃあ家族の息子に押しなさい。
もっとも家族ならば伯爵か子爵ですね。
まあ皇爵はあまり小説に出てこないようです。
それは伯爵の息子でも構いません。とにかく西洋魔さえあればいいんです。
その西洋魔か銀座通りか音楽会かを第一回にするんですから。
しかし太鼓は、これは女主人公の名前ですよ。音楽家の辰夫と婚姻になった以後、
次第にある不安を感じ出すんです。
辰夫は太鼓を愛している。そう女主人公は直感するんですね。
のみならずこの不安は一日増しにだんだん高まるばかりなんです。
辰夫は音楽の天才です。
ローラランの書いたジャン・クリストフとワッセルマンの書いたダニエル・ノートハフトを一丸にしたような天才です。
がまだ貧乏だったり何かするためにも誰にも認められていないんですがね。
これは僕の友人の音楽家をモデルにするつもりです。
もっとも僕の友人は美男ですが辰夫は美男じゃありません。
顔は一見ゴリラに似た東北生まれの野蛮人なんです。
しかし目だけは天才らしいひらめきを持っているんですよ。
天才はきっと受けましょう。
しかし太鼓は外交官の夫に不足のあるわけではないんです。
いやむしろ前よりも熱烈に夫を愛しているんです。
夫もまた太鼓を信じている。これは言うまでもないことでしょう。
そのために太鼓の苦しみは一層募るばかりなんです。
つまり私の近代的というのはそういう恋愛のことですよ。
辰夫はまた毎日電灯さえつけば必ず西洋前へ顔を出すんです。
それも夫のいる時ならばまだしも苦労はないのですが、
太鼓の一人留守をしている時にもやはり顔を出すでしょう。
太鼓はやむを得ずそういう時にはピアノばかり弾かせるんです。
もっとも夫のいる時でも辰夫は大抵ピアノの前に座らないことはないんですが。
そのうちに恋愛に陥るのですか?
いや容易には陥らないんです。
しかしある2月の晩、辰夫は急にシューベルトのシルビアにキスする歌を弾き始めるんです。
太鼓は大きいヤシの葉の下にじっと耳を傾けている。
そのうちにだんだん辰夫に対する彼女の愛を感じ始める。
同時にまた目の前へ浮かび上がった金色の誘惑を感じ始める。
もう5分、いやもう1分たちさえすれば、太鼓は辰夫の腕の中へ体を投げていたかもしれません。
そこへちょうどその曲の終わりかかったところへ幸い主人が帰ってくるんです。
うーん、それから?
それから1週間ばかり経った後、太鼓はとうとう苦しさに耐えかね、自殺をしようと決心するんです。
自殺をしようと決心しているためにそれを断行する勇気がありません。
そこで辰夫に愛されていることをすっかり夫に打ち明けるんです。
もっとも夫を苦しめないように、彼女も辰夫を愛していることだけは告白せずにしまうんですが。
うーん、それから血統にでもなるんですか?
いや、ただ夫は辰夫の来た時に冷ややかに訪問を謝絶するんです。
辰夫は黙念と唇を噛んだままピアノばかり見つめている。
太鼓は戸の外に佇んだなりじっと忍び泣きをこらえている。
そのうちに突然感銘を受けた夫は、品の関口の領事館へ赴任することになるんです。
太鼓も一緒に行くんですか?
もちろん一緒に行くんです。しかし太鼓は立つ前に辰夫へ手紙をやるんです。
結末と自己認識
あなたの心には同情するが私にはどうすることもできない。お互いに運命だと諦めましょう。
だいたいそういう意味ですがね。それ以来太鼓は今日までずっと辰夫に会わないんです。
じゃあ諸説はそれぎりですね。
いや、もう少し残っているんです。
太鼓は関口へ行った後も時々辰夫を思い出すんですね。
のみならず姉妹には夫よりも実は辰夫を愛していたと考えるようになるんですね。いいですか?
太鼓を囲んでいるのは寂しい関口の風景ですよ。
あの戸の最高の詩に聖戦歴々勧揚中、放送生成大夢襲と歌われたことのある風景ですよ。
太鼓はとうとうもう一度一年ばかり経った後ですが辰夫へ手紙をやるんです。
私はあなたを愛していた。今でもあなたを愛している。どうか自ら欺いていた私をかわいそうに思ってください。
そういう意味の手紙をやるんです。
その手紙を受け取った辰夫は、
ああ、早速市内へ出かけるんでしょう。
ああ、いやいや、その到底そんなことはできません。何しろ辰夫は飯を食うために浅草のある活動写真館のピアノを弾いているんですから。
それは少し殺風景ですね。
殺風景でも仕方はありません。辰夫は罵声のカフェのテーブルに太鼓の手紙の封を切るんです。窓の外の空は雨になっている。
辰夫は方針したようにじっと手紙を見つめている。なんだかその行の間に太鼓の西洋魔が見えるような気がする。
ピアノの蓋に伝統の映った私たちの巣が見えるような気がする。
ちょっと物足りない気もしますが、とにかく近来の傑作ですよ。ぜひそれを書いてください。
実はもう少しあるんですが。
おや、まだおしまいじゃないんですか。
ええ、そのうちに辰夫は笑い出すんです。と思うとまた、いまいましそうに畜生などと怒鳴り出すんです。
はあはあ、発狂したんですね。
辰夫の過去と現在
なに、ばかばかしさに豪を煮やしたんです。
それは豪を煮やしたはずでしょう。がんらい辰夫は太鼓などを少しも愛したことはないんですから。
え?しかし、それじゃあ。
辰夫はただ太鼓のうちへピアノを弾きたさに行ったんですよ。いわばピアノを愛しただけなんですよ。
なにしろ貧しい辰夫にはピアノを買う金などはないはずですからね。
うん、ですがね、堀川さん。
しかし、辰夫写真館のピアノでも弾いていられた頃はまだしも辰夫には幸福だったんです。
辰夫はこの館の震災以来、巡査になっているんですよ。
語権運動のあった時などは、善良なる東京市民のために袋叩きにされているんですよ。
ただ、山手の巡回中、まれにピアノの音でもすると、その家の外に佇んだまま儚い幸福を夢見てるんですよ。
うーん、それじゃあ、せっかくの小説は。
まあ、お聞きなさい。
辰夫はその館も観光の住まいに相変わらず辰夫を持っているんです。
いや、観光ばかりじゃありません。
外交官の夫を転任するたびに、上海だの、北京だの、天津だのへ一時の住まいを移しながら、相変わらず辰夫を持っているんです。
もちろん、もう震災の頃には大勢の子持ちになっているんですよ。
えっと、年後に双子を産んだものですから、4人の子持ちになっているんですよ。
おまけにまた、夫はいつの間にか大酒飲みになっているんですよ。
それでも、豚のように太った太子は、本当に彼女と愛し合ったのは辰夫だけだったと思っているんですね。
恋愛は実際史上なりですね。さもなければ、到底太子のように幸福になれるはずはありません。
少なくとも、人生のぬかるみを憎まずにいることはできないでしょう。
どうです?こういう小説は。
えー、もちろん真面目です。世間の恋愛小説をご覧なさい。
女主人公はマリアでなければ、クレオパトラじゃありませんか?
しかし、人生の女主人公は必ずしも定女じゃないと、同時に必ずしもまた妊婦でもないのです。
もし、人のいい読者のうちに、一人でもああいう小説を舞い受ける男女があってご覧なさい。
もっとも、恋愛の円満に成就した場合は別問題ですが、
毎日失恋でもした日には必ずバカバカしい自己犠牲をするか、さまなければもっとバカバカしい復讐的精神を発揮しますよ。
しかも、それを当事者自身は何か英雄的行為のようにうぬぼれ切っているのですからね。
けれども、私の恋愛小説には少しもそういう悪影響を普及する傾向はありません。
おまけに結末は女主人公の幸福を賛美しているのです。
ふふ、冗談でしょう。
とにかく、うちの雑誌には到底それは載せられません。
うーん、そうですか。
恋愛小説の考察
じゃあ、どこか他へ載せてもらいます。
ひどい世の中には一つぐらい私の主張を入れてくれる婦人雑誌もあるはずですから。
安吉の予想の誤らなかった証拠は、この対話のここに載ったことである。
大正13年3月
1987年発行。
ちくま書房。
ちくま文庫。
芥川隆之介全集5。
より独了。
読み終わりです。
はい。
恋愛小説って読んだことないな。
どういうのが恋愛小説なんですかね。
有名なやつって何があるんですか?
全然興味が長いから知らなかったな。
なんか時々その普通の小説、
何を持って普通かちょっとあれだけど、
男と女が出てくると小説の中で必ず合体するじゃん。
なんで?と思って。
なんでそんなすぐ抱くの?と思ってたんだけど。
恋愛小説もそんな感じなんですか?
わかりませんね。
今抱く必要あった?みたいな時に抱いてたりするからさ、小説読んでると。
なんで?なんで?
僕の読解力が乏しいのかしら。
我慢しきれないたける思いが今湧いているのである、
みたいな描写を汲み取れないまま行為に移ってくるのが話になるから。
あれ?あれ?ってなるんですよね。
あれれれれ、あらららら、みたいな。
やっぱ女性の作家さんが書いた本が恋愛小説はいいのかな。
心の悩みをより具体的に表現してくれそうな気がするんですけど、どうでしょうか。
わかりませんね。
今僕は飲み友のおばちゃんに教えてもらった室町舞雷という本を読んでますが、
大泉洋さんで映画化もされてるみたいですけど、
タイトル通り室町時代のお話なんで武将が出てきたり、
武将?武将でもないなあの人。老人?
とりあえず刀持ってる感じの人が出てくるんですけど。
面白いので読み続けたいなと思ってるんですが、
まあちょっと遠いラーメン屋さんに行く時の電車の移動中ぐらいしか読む期間がないんで。
なんかダラダラと読んでるんですけど、
皆さん今読んでる本とか、あるいは、
恋愛小説ちょっとお勧めしてみてくれませんかね。
プレゼンしてみてくれませんかね。
僕の心のおばちゃん化が割と進んでるんで、今なら楽しめそうな気もしなくはないんですよね。
お便りお待ちしています。
それでは終わりにしましょうか。
無事寝落ちできた方も最後までお付き合いいただいた方も大変お疲れ様でした。
といったところで今日のところはこの辺で。また次回お会いしましょう。
おやすみなさい。
15:48

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