中学生男子の理解
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
今日は240回、中学3年生男子と腕相撲をしたのであります、というタイトルでお届けしたいと思います。
私は現在、中学校3年生の担任をしています。中学校1年生の時は副担任だったんですね。この時、初めて中学校1年生という男子を間近に見て思ったことは、
全く理解できない宇宙人たちという印象でした。
本当にね、中学校1年生男子って幼くて、字もたどたどしいですし、話していることも何を言っているのか脈略なさすぎてわからないし、
突然変なことを聞いてくるし、何が笑いの都合なのかもわからないし、ずっと高校生を相手に冗談を飛ばしていた私ですが、全然冗談が通じなくて、
そして彼らは、ただ何かを見つけたらそこに走っていき、何かを思いついたらその瞬間に笑いということで、
中学校1年生男子は、その瞬間その瞬間にエネルギーを費やして、もう本当に精一杯生きていると、そういった感じでしたね。
なので、私のようにある程度大人で前後の関係をしっかり捉えながら生きている人間にとっては、彼らを理解不能という状態に陥ってしまったのであります。
中学校2年生になりまして、体が少しずつ大きくなってきて、いたずらも盛んになりました。
口もたしゃになって、何か心ない言葉を投げて喧嘩になったりもします。
男の子ってやっぱり競り合う動物みたいで、自分より相手が上か下かというところからコミュニケーションが始まって、
いたずらをすることもコミュニケーションだし、相手に対してちょっとジャブをかますというかね、きつい一言を言ってどう返ってくるかなというのを楽しむのも、
男の子の特性だったんじゃないかなと思います。トラブルが絶えなかったように思いますね。
やはり私にとって彼らは宇宙人でありました。
腕相撲の試み
そして中学校3年生ですね。中2は担任で、中学校3年でまた担任して、継続的に彼らを見ることができたということになっているわけですけれども、
中学校3年生になってますます体が大きくなりまして、私は結構165センチと背が高い方なんだけれど、だんだんと私を追い越す子がたくさんたくさん増えてきて、
肩もがっしりとしてきて、だんだん声代わりをしている子も増えてきて、
ちょっとね思ったことは少しわちゃわちゃとした感じが減りましたかね。ちょっと落ち着いた。
それからやっぱりしっかり考えてから話すようになったので、何言ってるかわかるようになりました。
それから一番嬉しかったことは冗談が通じるっていうことです。
巷では知能指数が20ぐらい違うと話が合わないっていうことを言われてるみたいなんだけれど、
彼らも成長して頭の回転も早くなって賢くなって、大人の女性でも冗談が通じ合うような仲間になりまして、
やっとこれでちょっと精神的に成長度の速い女性と楽しくお話ができる、そういう段階に成長してきたのではないかと思います。
でもいたずらしたりね、元気が良すぎたりハメを外したりで、いろんなところでラインオーバーして注意することは多いんですけれども、
だんだん理屈が通ってくるので、行動も自分自身で規制が効くようになってきて、本当に成長したなって思います。
そんな中学校の3年生の男子と関わり合っている中で、先日こんな面白いことがありました。
ロングホームルームの時間で、いろいろな決定事項とか行事の説明とか役割分担とかが終了して、10分ぐらい時間が余ってしまいました。
私は普通だったら実習しましょうということなんだけれど、テストも終わりましたので、
レクリエーションでもやりますかとか言ったら、やるやるとか言って、何やるって聞いたら腕相撲って言うんですね。
腕相撲とか押し相撲とかそういったことをしたいという希望が出てきたんですけど、腕相撲っていう言葉がとても多かったんです。
私はその時に真っ直ぐに思ったことが、腕相撲?そんな腕相撲を真剣にやったら骨が折れるよって言ったら、生徒大爆笑で、
先生、骨が折れるわけないってすごいお笑いするんですよ。
私は意外と結構本気で、腕相撲をして骨が折れたっていうニュースを聞いたりすることがあったんですよ。
急に腕に力を入れたら筋肉の収縮に骨が負けて、骨が折れた骨折したっていうね。
そういうニュースを聞いていたので、彼らを見てまだ未発達な体で一気にテンションを上げて腕相撲をしたら骨が折れるんじゃないかと心配しておりました。
ところが彼らは、折れるわけない折れるわけないってすごい言うもんですから、じゃあやるっていうことで、どういうふうにやるって聞いたら、
先生、まずは隣同士で腕相撲して勝った者同士でトーナメントしようやとかって言うもんで、
もうじゃあ好きにやりんさいとかっていうことで、みんなでやり始めたわけですよ。
本当にあちこちで腕相撲大会が始まりまして、そしてなんと私は一人ペアでペアになれなかった男の子が出てしまって。
そしたらヘリにいた子が先生こいつとやってやってやーっていうことで私は呼ばれて、その男の子とやることになりました。
でもね、別にイカツいわけでもないんですね。どっちかというと背が高くてスラッとして優しくてにこやかな良い子なんですよ。
その子とやるんだけれども、その子は部活動でバスケットボールを毎日一生懸命やってるもんだから当然のことながら、
体についてはきちっと鍛えていらっしゃるわけですよね。でも私なんかはそういう筋力もないですし、
もうこんなんと本気で腕相撲したんじゃ私の方が骨が折れてしまうと思って、
ねえお願いお願い最初から力入れんだよ。お願いもう最初から力入れたら筋肉が壊れるから。
最初ちょっと優しくやって、もうこれ大丈夫だなと思ったら徐々に力入れてねっていう風に私が怪我をしないようにしないようにお願いしたら、
その彼は優しく笑ってうんうんうんうんとニコニコと笑って腕相撲してくれましたね。
当然のことながら最初は優しくしてくれて最後ら辺でキュッと力を入れて当然私の方が負けてしまったわけですけれども、
まあ男の子ね細くても力がありますね。びっくりしました。私も筋トレをしているので女性としては筋力がある方なんですけれども、
まあやっぱり中学校3年生の男子で175センチぐらいある子には軽く負けてしまいました。
そして2回戦が始まりました。みんなでワイワイ言いながらあちこちでやっております。
そんな中で一人あんまりスポーツしたことないんだけれど、結構体の横幅があってガチっとした子がいて、
まああんまりスポーツしてないんだけれど、やたらと強いんですよね。
その子優しくて本当に穏やかな子なんだけど、やっぱり体がごついだけあって腕相撲強くてどんどん勝ち上がっていきました。
で準々決勝ぐらいまで残っちゃって、最終的には野球部でガチにやっている本当に筋肉質そうな男子が優勝したっていうことなんですけれど、
本当に男の子たちが目を輝かせてワイワイ言いながら、心の底から負けたり勝ったりしたことを楽しんで大笑いしている。
こういう様子を目の当たりにして、男の子ってこういうのが好きなんだって思いました。
私なんか腕相撲して何が面白いんだろうと思うわけですよ。勝ったり負けたりしてね。
男の子たちの成長
やってみるのは楽しいなと思うけど、そこまでムキになってやろうっていう風なそういうモチベーションが湧かないんだけど、
やっぱり男の子は勝ったり負けたりすることによって自分の体を使う楽しみとか、勝つ楽しみとか、負けて勝負を楽しむ味わいとか、そういったのを経験しながら成長していくんだと思うし、
あやって勝ち負けを競うということにエネルギーを費やすことで、何かしらそういった成長というものの取り掛かりを見つけると。
そういうところがある生き物なんだなぁと思って、新しく男の子の一面を見た思いがしました。
ということで、だいぶ大人になっていく彼らをこれから本当に1年間付き合いながら見ていくことになると思います。
この先どんなドラマが待っているのでしょうか。男の子がどうやって本当のお兄さん、青年になっていくのか。
これからゆっくりと観察して楽しみたいと思います。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。
