文化祭の準備と自主性
皆さん、こんばんは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
このチャンネルでは、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと語っています。
文化祭だったんですけどね、私は今、中学校2年生の担当で、モザイクアートっていうものをやりました。
これは、ベニヤ板4枚をモザイクアートで飾って、文化祭のゲートにするものです。
モザイクアートって言っても、中学校2年生ですから、1センチ×1センチとか小さいのがとても無理なんで、5センチ×5センチのモザイク絵をみんなで貼りました。
うまいことリーダー性を育てるために、ゲートマネージャーっていうのをクラスで4人から5人出して、その生徒に先生がレクチャーして、それでクラスで自主的にやろうっていうものでした。
生徒をほったらかしにしながら見てたんですけど、いろいろうまくいかないこととかたくさんあったり、
全然進捗状況が遅れに遅れて大変だったりしながらも、そのゲートマネージャーを中心にリーダー性のある子が少しずつ頭角を表して、クラスの人たちを上手に指揮してましたね。
どうにかどうにかカツカツ間に合って、なんとかゲートができて、きょう記念撮影をしてきました。
いろんな文化祭の思い出は私にはありますけれど、今回は中でも一番楽だった文化祭の思い出を語りたいと思います。
一番楽だった文化祭は、やはり国公立大附属で高校2年生の担任をしたときのことです。
この学校は中高一貫校で、中学校時代から生徒を自主的に活動させていて、例えば体育祭ではもう先生が生徒会にほとんど任せて、組織決めから企画、運営、スケジュール管理、任せていました。
生徒はすごく失敗しながら、リハーサルが全然うまくいかなかったり、本番当日もなんかうまくいかなくてゴタゴタあったり、ときには生徒同士喧嘩したりとすごい大変だったんですけれど、
ここの学校の先生は失敗をさせてくれっていうふうに、ついつい手を出す公立出身の私によくおっしゃってましたね。
文化祭は劇をやったりするんですけど、これもまたシナリオ決めから配役、練習、リハーサル、すべて生徒でやります。
先生は様子を見守ってはいるんですけれど、ほとんど生徒がやりまして、うまくいかないことが多くて、劇も間に合わないところをグッと手を貸すのを我慢して育ててました。
その回あって、生徒はそういう自主的に動くっていうことについては随分と慣れていて、高校2年生にもなるとほとんど教員がノータッチでやっておりました。
ですが4月のクラス替え当時、まだぎくしゃくしていて馴染んでないわけなんですけれど、5月になってクラスで文化祭の出し物を決めようっていうことになり、これがまた男子と女子が全然意見が合わなくて、
真っ二つに分かれて、ほぼ喧嘩状態になるわけですね。私は担任としてそばで見ていてハラハラするんですけど、学年主任の先生にも手は出さないで、手は出さないでってよく言われてたんで我慢に我慢を重ねて見てました。
そうしたら女子はマンマミーヤっていう、アバっていうちょっと古めかしい歌で、とても爽やかなダンサブルな曲を選んだんですけど、男子はAKB48っていう、これ今や非常にメジャーですけど当時はまだ誰も知らない、ちょっと認知度が出てきたかなっていうぐらいのAKB48のパクリをやりたいということで、
非常に真っ二つに分かれまして、揉めに揉めました。その間、隣のクラスではもう楽曲まで決まって、振り付けもほぼ決まって、練習が始まって、早朝練習したり昼休み練習したり放課後練習したり、隣から音が聞こえてくるわけですよ。
焦りを感じ始めた生徒はギリギリになって、やっと男女の間で折り合いがついて、AKB48とそれからヒップホップ系のダンスということで折り合いがつきました。
準備を始めたんですけど、どこでどう仕入れてきたのか、土日の間に振り付けができておりまして、知り合いのダンスが上手な人に頼んだんじゃないかと思うんですけど、それからダンスごとのリーダーも決まり、音楽もどこからか仕入れてきて、練習スケジュールを作成し、衣装担当が決定し、企画が私の知らないところで進行しておりました。
本当に生徒の企画運営能力の高さは驚くばかりでしたね。
早朝も昼休みも放課後も練習が行われて、特に朝のショートホームルームに練習に熱中しすぎて、クラス全員が大遅刻しまして、私に大目玉をくらうという出来事もありました。
時々、昼休み後の練習は5時間目、爆睡が始まったりと、本当にダンスの練習は熱中してやってましたね。
そんな時、ショートホームルームの伝達事項で衣装担当の生徒が手を挙げまして、皆さんスカートのサイズを変えてくださいと連絡してたんですね。
私は、このダンスでは女子はスカートを着用するんだなと思ってたんです。
しかし、数日後、スカートの試作品が出来上がったんですね。
可愛らしいピンクのチェック、赤のチェックのミニスカートでした。
でもね、そのスカートがものすごい短くてですね、もう本当にスレスレっていうぐらい短かったんですね。
と思っていたら、それを男子があてがって、ひらひらさせて、え、男子も履くのかなと尋ねたら、ニヤッと笑ってました。
やられましたね。スカートは女の子だけじゃなくて、男子もスカートを履くんだったんです。しかも超ミニですよ。
文化祭っていう文化の香りがある、それから文化っていう品位が求められる文化祭に、男子がスカートを履く。
素晴らしいパフォーマンスと教育の意義
私は一瞬凍りついてしまいましてですね、うわーどうしよう、誰かに怒られるんじゃないだろうかと、ものすごく冷や汗をかきました。
けどもう今からやめなさいということもできず、もう企画も変更もできないから、うわーどうしようと思いながら頭が痛くなってきましたね。
走行しているうちに練習風景を、ビデオをどこからか持ってきてみんな撮り始めてですね、フォーメーションチェックとか、振付の遅れの人とかに見せてから振付の修正チェックとか、細部をどんどんどんどん洗い出してチェックしていくわけですね。
ものすごい完成度が上がっていきました。
その間、さすがに勉強には身に入っていないようで、みんなものすごい集中力で、細部のチェック、完成度上げをやっていったんですね。
男子のスカート着用は、もうおぞましくて見ていられないだろう、もしかして生徒部からストップでもかかるんじゃないだろうかと、すごく心配してたんですね。
でもね、黙って本番の日を迎えました。
そうしたら、登場したスカートの格好した生徒たちは、調子は当然綺麗で可愛いんだけど、なんと男子が驚くべきことに異様に可愛かったんです。
まだ多少少年らしさを残しているような、すごく華奢な子が多いから全く嫌味がない。
逆にちょっとイカツイ生徒もその中に混じってたんですけど、やっぱり肌が綺麗なんで、すごくいやらしくなくて可愛いんですよね。
ということで、全く嫌味のない生徒たち、そして踊りの下手くそな子も、スカートの似合いそうにない子も、クラスみんなで一体になって恥ずかしさを吹き飛ばして、完全に笑顔で観客にアピールするという素晴らしいパフォーマンスを見せました。
その時私はビデオを撮ってたんですけど、可愛い可愛いっていうのを連発しすぎて、ビデオに完璧にその音声が入ってたんですけれど、
周囲の保護者も可愛い可愛いって言って、その保護者と一緒になってはしゃぎまくってました。
前半はAKB48だったんだけど、後半はヒップホップ系の本格的なダンスです。
手足が長くてダンスが上手い生徒もフロントにして、あとソロも、ソロパートもあって、ものすごい演出力。
で、やっぱり迫力満点で、その時はやっぱり男子生徒は打って変わってパワフルなダンスを見せて、AKB48と抗対性なそういうプログラムでした。
こんな風に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれて、音が目もなく無事に済んだわけなんですけれど、
生徒たちがこんな力量を身につけたのは、やっぱりもともとそういう才能とか能力とか、
そういうリーダー性がある人が多いっていうのももちろんあるんですけど、
中学校の頃からやっぱり自主性に任せて教員があまり口出ししなかったっていうことが大きく影響しているなと思いました。
公立高校勤めだった私は、今にして思えばかなり失敗しないように失敗しないようにかなりアシストしたり口出ししたり、いろいろやってたなと思います。
何しろ男子がスカートを履くっていう突拍子もない企画を何の億面もなくやってしまうっていう、そういう発想の自由さと常識を破る力。
こういう実効力に生徒の器の大きさとか将来性を感じるという文化祭の出来事でした。
今でも思うんですけど、やっぱり今の世の中の失敗させないようにってすごく子どもたちに対して管理したり手助けしたりしすぎるなと思ってるんです。
でもちょっとほったらかしにして自由にやらせた方が、生徒はのびのびとして力を出してくれるし、何より生徒自身がすごく喜んでます。
今回の中学校2年生のモザイクアートもあんまり口を出さないようにしました。
やっぱり私が口を出さない間、生徒は本当に生き生きしていたなと思います。
生徒にどうやって自主性を持たせるか。すぐには結果の出ない教育分野であるだけに、やっぱり中学校、高等学校6年間かけてじっくり育成していくものなんだなっていうふうに今では思いますし、何よりも教員のマツっていう姿勢がとっても大事なんじゃないかなと思いました。
ということで文化祭ネタは他にもたくさんあります。今回は男子のスカートひらりっていうそういう出来事をお届けしました。また私も明日文化祭あります。生徒の自由な生き生きとした活動を期待したいと思います。
それでは今日はこの辺でお聞きくださりありがとうございました。