1. 今日も明日も授業道~国語教育をゆるっと語る~
  2. 025 教職員研修の企画・運営秘技
2024-09-23 14:30

025 教職員研修の企画・運営秘技

4 Comments spotify youtube

コロナ禍とその後展開されたGIGAスクール構想によって加速した、教育界のICT活用。

研修会のテーマでもICTの効果的な活用を扱う学校も増えてきました。

しかし、なかなかうまくいかないという話も聞きます。そこで、校内研修会開催担当として6年のノウハウを持つ私が、研修会の企画運営のコツについて、語ります。

ブログ記事のこれをもとにしています。

https://www.naomi-sensei.com/ict-workshop/

そしてこのエピソードにインスパイアされました!

00:01
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと語っています。
この配信も25回目になりました。
先日、このポッドキャストをスタートさせるきっかけをくださった笠原先生が、教職員研修の際に気をつけていることという配信を、私のリクエストにお答えしてくださいました。
そこでまた笠原先生から、私はどうされていますかというようなことを配信でおっしゃっていたので、
私自身のICT、主にICTの教職員研修で気をつけていることを、企画運営秘技として語りたいと思います。
コロナ禍で促進したICT導入が非常に加速度をもって導入されたので、各学校で教職員の研修のテーマにICTの効果的な活用を扱う学校が増えてきたと思います。
しかし、なかなかうまくいかないという話も聞きました。
確かに、だいたい教員が新しいことに乗り切れないですし、ICTスキルも熟達した先生から初心者の先生までバラバラです。
そもそも、そういった状況で何をどういうふうに研修していいかわからないという状態でもあります。
そういう校内研修会の難しさをどういうふうに乗り越えていったのか、校内研修会担当として6年頑張ってきた私が、研修会の企画運営のコツについてお話ししたいと思います。
まず、私はアンケートを実施しました。
校内でどれほどの人がICTを常に使っているのか、あるいは使っていないのか、どういうアプリケーションが使えるのか使えないのか、校内の実態をGoogleフォームで聞きました。
そうしたら、6割ぐらいの人がその時勤務していた時、Googleワークスペースのアプリが使えないということがわかったんですね。
なので、ICTスキルの高い人が結局校内研修を企画すると、ほとんど使ったことがない人という実態を考慮しないまま、ハイレベルなICTスキル研修を行っている場合があります。
苦手な人は本当に苦手だと思うんですよね。
だから、できる人がどんどん推進していって、ICTに手をつけないような人がどんどん置いてきぼりにされるという格差問題が、学校現場では大きな問題となっていると思っています。
なので、実態調査をアンケートで行うということは非常に大事だと思います。
文部科学省からICT活用指導力チェックリストというのも出ているので、私はそれを活用して、まずアンケートで実態を調査しました。
03:10
その次に、やっぱり研修会に参加してよかったなと思ってもらわないといけないし、そもそもなんでICTを活用するのかということを理解してもらわないといけないので、
マインドセットということをすごく重点を置いて考えました。
やっぱり学校の先生の中には、特に定年間近な人にはICTなんか活用しなくてもいいって、自分はあと定年までちょっとだからって思っている人がいたり、
ICTなんか学習効果が上がらない、つつくことばっかりに一生懸命になって学ぶことが置いてきぼりになっているという風に思っている先生もいらっしゃるんですよね。
でもね、やっぱり未来を生きる生徒たちにICTスキルっていうものを身につけて問題解決していく力っていうのは、これから本当に重要になってくると思うんですよ。
野中先生っていうICTをすごく推進して、先人をきて私たちにいろいろ教え導いてくださっている鶴文化大学にお勤めの野中先生という方がいらっしゃるんですけど、
大人の都合で子どもたちの未来を台無しにしていいのかっていうことをよくおっしゃっています。
なのでやっぱり教員のマインドセットっていうのが最も重要だなと私は思っているので、そういう問題点を解決するために次のような企画を立てました。
まず、シナリオ仕立ての企画を考えたということです。教職員は年齢構成上大ベテランの先生がだいたい半数近くを占めています。
その大ベテランの先生に上から目線でしたい顔に語っても説得力が生まれるとはとても思えなかったんですね。
ましてや私自身がICTのプロでもないのにと思っていました。
なので上から目線ではないやり方で、今回このことについて私自身知らなかったので勉強しました。
それを発表していますという立場でやるように心がけました。
それからいろんな人に受け入れられるようにするためにスライドをシナリオ仕立てにして台本を書いて、その台本をアフレコのように若手教員に読んでもらって、若手を巻き込んで展開するという方法を取りました。
パワーポイントのスライドにいろんな人物が語っているという図をちゃんと入れ込んで、漫画のセリフにその語りたいことを言わせたいこと、伝えたいことを入れていって、それを台本状にしました。
若手の教員は劇を覚えるわけではなくてスピーカーノートを読んでくれるだけでいいので、準備も何もいりません。
06:05
事前にちょっと目を通してもらうだけです。
若手の先生は一生懸命演じてくれるし、若いだけあってとても爽やかで嫌味がないし好印象です。
堅苦しい言葉もなくて親しみやすくスーッと入ってくるんですね。
これはいろんな年代層の方にも受けてとても効果的だったと思います。
時には調子に乗ってオープニングに音楽を入れて、その時はグレイティストショーマンというミュージカルが流行っていたので、
グレイティストショーマンのオープニングを入れたり、それからエンディングにグレイティストショーマンのエンディングを入れたりというように、場面を盛り上げて面白おかしくする工夫もしました。
だから私自身が楽しんでその企画をやってるんだって、皆さんを喜ばせたいんだっていうメッセージをそういうところに込めたつもりです。
そして一番言わせたいことを私自身は自分が言わずに、漫画で知るデジタルの学び、ICT活用のベースにあるものっていう漫画本が出てるんですけど、
これ前田先生が出してらっしゃる漫画本の中の一部を引用して、私が言いたいことを漫画に言わせました。
こんなシーンでした。ある引退間近のベテラン教員の方がこう言ってたんです。
今日の研修会で自分を変えようとしていなかった自分に気づいた。私はどうせ天然退職だからと今までのやり方にしがみついて、スキルも価値観もバージョンアップしてこなかった。
しかし子どもたちは大人になって常に自分をバージョンアップしていく力をつけないと、変化の激しい未来の社会を生き抜くことはできない。
主体的に学ぶ子どもを育てるために最も重要なことは、我々もまた主体的に学び、自分を変えていくことなんだ。
これを出したとき、やっぱり参加者の先生も強い衝撃を受けたんじゃないかと思います。
私はマインドセットを狙いに行ったわけなんですけど、これは的中しまして、この研修会の振り返り用紙では、やっていかなければならないなというベテラン教員たちのコメントが続出でした。
ということで、マインドセットは漫画とシナリオ仕立ての台本で意欲をどんどん書き立てる工夫をしました。
今度はスキル編で、ICTのスキルをどういうふうに研修していたかというのをお話しします。
これはワークショップ形式で行いました。
私はいろんな研修会に参加してみて、1回はオンラインワークショップを講師として勤めたという体験から、
09:06
やっぱり見てるだけじゃダメで、実際に体験してみるハンズオン方式のワークショップ形式が一番効果的だったので、それを絶対に取り入れようと思いました。
ところがあまりにも先生同士のスキル差が激しくて、これを一律一斉にワークショップを行うと差がつきすぎて、
混乱状況になったり、暇な人が続出したりして延々と個人指導が続くという場面をよく見てきました。
なので次のような形式を採用しました。
まずグループに分けて講師役を設定しました。
だいたいワークショップ形式だと講師1人に3、40人ぐらいの形式になることが多いんですね。
ですがその間に講師を挟むことによって、1人の先生が3、40人を教えるという事態を解消しました。
でもマンツーマンになるほどの講師役を調達できないので、スキル差を考えて3人1組で1人にある程度講師ができる人を設定して、真ん中に座ってもらいまして、その左右の先生に講師役をお願いしました。
これでずいぶん助かりましたね。
やっぱりよく知っていらっしゃる先生が真ん中に座ると、左右の先生も気軽に話しかけて、分からないところ、つまずいたところをその先生に教えてもらって、個人指導続出状態というのを解消できたと思います。
それから何と言っても根絶丁寧なマニュアルを用意しました。
講師役をお願いしたとしても、その講師役の先生が分からないところもあります。
スクリーンに大移しで動かし方を説明していても、結局スクリーンの中ではどんどんどんどん画面が遷移していくので、前のことが振り返れません。
でも2、3でちょっと先に進んじゃうと、もう分からなくなるということがよくあります。
こういうことはとてもよくあったので、私自身も本当にこれでもかというくらい根絶丁寧なマニュアルを用意しました。
はっきり言って相当手間がかかったと思います。
でも分からなくてフリーズする人が何人も出るかもしれないという予想が立ちましたので、必死になって作りました。
かなり細かいと思います。
これは本当にICTが得意な人はとばかしてしまうところが、私も初心者から何年語ったかというような部類なので、本当につまずきがよく分かるんですね。
なのでこれでもかというくらい丁寧なマニュアルを用意しました。
だからこれをプリントにして、枚数多いけどプリントにしてそれぞれ配布して、分からなくなったらそのプリントを見てもらおうというふうにしました。
その次に気をつけたのはワークショップの内容は欲張りすぎないということです。
12:02
80分の持ち時間でもフォームスライドぐらいしか欲張ってできないわけなんですよ。
なのでやっぱり絞って重点的にやる。あれもこれも欲張りすぎないということを気をつけました。
まとめますと、教員のマインドセットは重要で、シナリオを仕立てで面白く楽しく親しみやすくやっていくこと。
それからICTスキルはワークショップ形式で行って、スキル差のある人同士で組ませてコーチをお願いし詰め込まないこと。
そして準備に時間をかけ、いろんな人を巻き込みながらやっていくということ。
そして最後に重要なのは、何よりも企画する私自身が楽しんで取り組んで、その楽しんでいる様子をいろんな人を巻き込みながら伝えていきながら研修会を迎えることでした。
楽しみながらやっているという雰囲気は周囲に伝わります。
そしてその楽しい雰囲気が研修会を楽しくし、そしてやってみようかなという雰囲気にさせてくれるんだなと思っています。
私が尊敬するある先生はこう言われました。
一人の100歩より全員の一歩、みんなで一歩踏み出すことというのが、やっぱり職場を良くする最も効果があるものだと言われたんです。
こうやってみると、すぐに効果が上がるものではないんだけれど、全員で確実な一歩をみんなで踏み出すということは、組織をより良くしていくものだというふうにも思います。
ということで、私自身が楽しみながらどうやったら効果的に研修会を開けるかということをお伝えしました。
あまり欲張らずにささやかにやるというのは、本当にいいなと思っているんです。
その他にもいろんな研修会の形式をやったことがあるんですけど、本当にプレーンにやるんだったら、この方法を私はお勧めしたいなと思います。
それでは以上で、今日はここまでにしたいと思います。
聞いてくださりありがとうございました。
それではまたお会いいたしましょう。
14:30

コメント

IT系の専門学校なんかは割とこんな感じの考えの先生が多いようですね。 ITは進化の流れが速いからこそ先生の技量を生徒が上回っていることなんか珍しくない。今の時代環境にさえ恵まれれば小学生からプロエンジニア顔負けのツールを使いこなすことすら珍しくない。 だからこそ、いい意味での師弟関係といいますか、お互い必要に応じて学び合う姿勢ができているように感じます。 一方そんな師弟関係がそこまでうまくできていない学校ではそこまでうまく行ってない という感触でした。

進化の激しいデジタル分野、ますます世代を超えた学び合いが必要になってくるんでしょうね。みんなを巻き込む企画力が必要ですね~

スクロール