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皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日は、クラスマッチが下旬に近づいてきたので、そのクラスマッチをテーマに、ゆるっと思い出を語りたいと思います。
やっぱりクラスマッチ、生徒は燃えますね。この間もサッカーとドッジボールとソフトボール、3つのチームに分かれて選手決めをやりました。
ああでもない、こうでもないって言いながら、生徒でワイワイワイワイと出場メンバー決めてたんですけど、やっぱりクラスマッチは燃えます。
そういう私もいろいろクラスマッチを経験してきて、一度全賞優勝をやったという、そういう担任をやった時があったんですよね。
今から14年ぐらい前になるんですかね。そこは総合学科で、とてもクラブ活動が盛んで、クラスの20人の男子のうち14人がサッカー部と野球部で、後の子もテニス部とか卓球部とかいたんですけど、
ほとんどが体育会系の非常に身体能力の高い生徒が集まり、女子も活発な女の子が集まり、とても活気ある、逆に言えばとてもうるさい、そういう高校1年生の一組を担当したことがありました。
授業もすごい活発で、反応がバンバン返ってきて、何かこう説明して分かりましたかって言ったら、分かりましたーとかって反応が返ってきたり、それから先生何とかが分かりませんとか、そんな感じですぐ質問が飛んできたり、
それから男子は作詞で、どうにか授業を脱線させようと思って先生に、ところで先生何々ってどういうことなんですかとか、先生は何々が好きですかとかって言って、ちょっと授業外しの質問を絶妙なタイミングで投げかける生徒が何人かいて、
もうその授業は生徒にハンドルを取られるんじゃないかっていうぐらい、非常に活発で、こちら側のハンドルを取られるものですから非常にエネルギーを消耗するけれども、授業は面白いっていうね、そういう不思議なクラスを担当したことがあって、その時に選手を優勝、経験しました。
でもその時最後にサッカーの試合で勝つか勝たないかだったんですけど、サッカーの試合にはみんながクラス全員が集まって、これ決めたら全勝優勝だっていうので、女子も全員集まって見てまして、全勝優勝が決まった瞬間、試合終了の笛が鳴った瞬間、みんなでうわーってサッカーコートの中央に全員が走り寄って、みんなで祝福するっていう、
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そういうシーンがあったんですけど、その時に私は隣のサッカー部の男子に優勝するかしないかの瞬間に構えていて、先生行くよ、優勝決まったら行くよって言われて、優勝決まったら行くよって言って、手を引っ張ってね、円の中に連れて行ってくれたことがあります。
その時にも脚力があまりにも違いすぎて、私は空を飛んでるように、その男の子に引っ張られてみんなの円に入って全勝優勝を祝ったっていう、本当に驚異として幸せな瞬間を味わいました。
ということでクラスマッチの幸せな思い出を語ったんですけど、そうじゃない、非常に難しい学校で、いわゆる教育困難校でクラスマッチがあったんですけど、その時の思い出を後半で語りたいと思います。
私は多分その時35歳ぐらいですかね、子育て真っ盛りで忙しい毎日を送っていたんですけど、高校2年生の担任をしてまして、やっぱり難しい学校だったんですけれど、いろんな問題を抱える生徒相手に日々奮闘しておりました。
その中で休みがちな男子生徒、仮にFくんとしておきましょう。Fくんがいました。彼は突出して学力が高くて、学年でもトップクラスで、テストはいつも90点とか80点台なんですね。
とても物静かな生徒で口数が少ないし、クラスメイドとはいつも聞き役に回ってニコニコしながら話を聞いているっていう感じでした。クラスの子は非常に背も高くて体格がいいので運動神経もあるし、なんか一目置いていたように思います。
特に問題ないんだけど、とにかく休みが多かったんですよね。理由はコロコロ変わって頭痛・腹痛・微熱・体調不良という風にメニューがコロコロ変わるわけですけれど、結果実数は増えていったんですけど、行事も休んじゃって、ギリギリのラインを狙いながら授業には出てきているなっていう、計算して休むような感じでした。
クラスのメンバーも、Fっていう奴はそういう奴なんだろうっていう感じで、文化祭とかの行事にはもう頭をかずにいれずに、いろんな計画をするという、そういう状態でした。
私はね、ことあるごとにF君と面接を繰り返して、なんで学校に来ないのかとか、いろいろ聞いたりしたんですけど、相当しつこかったと思うんですけれど。
ところがF君はですね、そんな熱血な私を相手にしながら、ニコニコと私の話を聞いて、「はい、そうします。はい、そうします。」っていう風に、本当に素直に聞き入れるんですけれど、休んじゃうっていうね、余裕ある大人として私を扱ってたような気がしますね。
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理由は決して教えてくれませんでした。
でもある時、お母さんにね、あまりにも休むんで学校に来てもらって話を聞かせてくださいっていうので、お母さんをお呼びしました。
お母さんは非常に穏やかで優しい、穏やかな人でしたね。
お母さんはね、本当にその時に話してくれたんですけど、実は彼が小学校の頃、お父さん交通事故でお亡くなりになったりっていう、そういうふうな状態で、彼はやっぱりスポーツが得意で、中学校の時にはバレーボールで全国優勝までして、
で、高校は県内の教育高校からのお話があったわけなんですけど、何か大人の事情で話がうまく通らずに、本人の気持ちを無視したところで、その話が進んでしまい、うまいこと目標とする学校に入る機会を逃してしょうがなしに、
この学校に入ってしまったっていう、本当に失意のどん底でね、この学校に入ってきたから、やっぱりお母さんとしても無理に、学校に行けって言いづらいっていうふうにおっしゃってましたね。
でも、学校というものとか先生というものに対しての不信感、裏切られたとの精神的ダメージが強かったんだろうなと思うんですね。前向きになれないまま、不本意なまま、学校適当に来ればいいやっていうことで過ごしていたんだと思うんですけど、
彼の大人びた対応は、もう逆感していたからなんだろうなと、もう諦めて、学校とか先生というものに対する諦めをそうさせていたんだろうなと思ったわけです。
でもまあ、そうはそうは言ってもですね、私は学校休まないようにしなさいと。指定校とかもね、あるんだからとか言いながら、一生懸命私は登校を誘ってたんですけど、彼はその度に余裕の微笑みを浮かべながらよく休んでましたね。
そして文化祭も終わり、期末テストも終わり、夏のクラスマッチがやってまいりました。で、クラスのやんちゃ坊主がですね、メンバー決めするときに、先生、Fが来るって言いよるよっていう風に言ってきたんです。
え?本当?って私が言って。パッとF君を見ると、来ないよっていう風にまた余裕の微笑みなんですね。そしたらそのやんちゃ坊主君は、先生、Fが来んと思っとるじゃろ。Fが来たら優勝するで。優勝したらハーゲンダッツを奢ってや。
って言うんで、たとえ来たとしても彼一人が上手くて、あともう本当に弱い連中だから優勝なんかするはずはないだろうと。奇跡が起これば優勝するかもしれないしなとか思いながら、私は安受け合いをして、いいよ、ハーゲンダッツよね。優勝する可能性は低いけどねって言いながら安受け合いしてしまったんですね。
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そしたらやんちゃ坊主君は、やったー!大喜びでクラス全員に、俺ら優勝したらハーゲンダッツを奢ってくれるって、っていう風に大宣伝して回ってましたね。
ということで、男子出場のバレーボールのクラスマッチがやってきました。当日の朝のショートホームルームにF君はいません。やんちゃ坊主は、クソーって言いながら悔しがっていました。
私も、やっぱり行事では休むから彼は来ないよねって思ってたんですね。ところがやってきました。しかもバレーボールの始まる試合直前、私を見てニヤニヤしながら着替えてましたね。やられましたね。
体操服に着替えた彼は本当にね、高身長で逆三角形の体格で、高校2年生だけどすごい筋性の取れた体で、スパイクを連発し、サーブを打っては点を大量に入れて、周囲を圧倒しました。
クラスのメンバーに合図しながらね、どんどん得点を重ねていって、結果的に優勝です。私はハーゲンダッツを買いに行かされて散財してしまいました。生徒にね、指定やられた格好になるんだけれど、やっぱりハーゲンダッツの魅力っていうのはすごいんだなって思いました。
あのFくんを試合に来させる。そしてクラスのみんながワーってハーゲンダッツをFくんのおかげで食べられたわけですから、Fくんもクラスのみんなに対しては鼻高々。そしてあの言い出しっぺのあのやんちょ坊主がね、実は黒枠だったんじゃないかと思うようになりました。
そんな風にクラスマッチには全勝優勝したっていう本当に幸運に恵まれた思い出と、それからあの厳しい生徒実態でありながら、しんどい思いをして学校に来ていながら、そういう行事で自分の活躍をね、クラスのみんなの前で見せてくれて、そして私を騙しながら楽しい時間を作ってくれたFくん。
やっぱり生徒といろんな交流がありましたけれど、私のかけがえのない貴重な、そして本当にキラキラした思い出だなと思います。
それでは今日はこのへんで、またお会いしましょう。