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皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この配信では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日は、D判定から合格した生徒の小論文指導から思ったこと、というタイトルでお届けします。
いやぁ、今ね、総合型選抜の小論文指導を待つ盛りの時期ですよね。
先生方、お疲れ様です。私は今、中学校2年生の担任なので、そういったことからちょっと遠ざかっているんですけれど、
本当にね、私がああいう風な時期は、もう頭が大パニックというか、もう忙しくて忙しくて、何考えているのか、何やっているのかわからないというね、
非常に忙しい時期で、洗濯機の中でぐるぐるぐるぐるかき回されているような時期を過ごした。
そういう思い出がありますけれど、そういう私の過去を回想してみました。
D判定から合格したその生徒はね、幸せな思いをさせてくれて本当に感謝しています。
その彼のことをちょっと語りたいと思います。
その子はね、あの男の子なんですけれども、非常に元気で背も高くて体格も良くて、バスケットボール部かなんかだったと思うんですけど、元気に毎日部活動熱心に活動してました。
非常に荒削りな子で、あんまり細やかさはないんだけれど、元気でガンガンとエネルギーを出して、いろんなことに一生懸命に頑張る子だったと思いますけれど、
まあ多少変わっているところがあって、ちょっとずれているというか、自分の思い込みが激しくて、他人をあんまりそこまで考えないから、自分のことばっかり見てて、なかなか他者とずれを起こすという、
まあ男の子によくありがちな、本当にそういう感じの子だったんですけど、何より素直で、勉強はちょっと苦手なところがたくさんあるんだけれど、歴史が大好きで、
本当に歴史オタクっていうぐらい、歴史好きのお友達と一緒にね、いつも歴史について熱く語っていた子でしたね。
そういう子が、高校3年生になって、自分の志望する大学に向けて一生懸命勉強していました。
ところがまあ今は共通テストなんですけど、その時はセンター入試ですね。
センター入試を受けた結果、やっぱりね、勉強面ではちょっと不安がある子だったんで、第一志望の大学の数値にはなかなか届かなくて、第二志望に回ることになりました。
しかも家の事情で、後期試験を出願せずに退路を絶っての第二志望ですね。
しかもね、D判定だったんですね。英語と小論文だったんですけど、小論文のD判定ってなかなかひっくり返すことができない、そういうものじゃないですか。
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だけど彼は第二志望のその学校にどうしても入りたいということで、小論文指導をね、私が担当になりました。
多分私学年主任だったと思うんですけど、彼の小論文はね、やっぱり彼の性格そのままでずれてるんですよね。
しかも書いていくうちに一生懸命になりすぎてだんだんとずれていくっていう感じで、いつもそのことを指摘したら、ああそうだったっていう風に頭を抱えてよく悶絶してましたね。
しかも日本語がね、ちょっと変なんですよね。なので毎日添削をしていました。でも毎日っていうかね、もう本当にエネルギッシュな子だったんで、1日にも2回も3回も持ってくるんですよ。
本当にね、彼の性格そのままにくじけても何度も何度も立ち上がって持ってきて、しかもへこたれず、元気で、もうね、精力的にね、やってました。
でもね、なかなか治らないんですよね。でも話してると、長い話になるとこの子頭に入らないわと思って。
で、彼の指導に最も適切だったのは、短くわかりやすく、とにかくその指示したことを徹底的に守らせる作戦に出ました。
多分、まず紙に一文は短くって書いて、ちゃんと考えてから書く、構成図を作る、ずれない、何回も見直して、もやっとしてるところを徹底的に直すっていうような、そういう短く書いた、これだけはやりましょう項目っていうのを持たせて、何度も何度も練習してました。
試験の前日まで持ってきて、試験の前日にやったものが、やっぱりずれてるんですよね。
また彼は頭を抱えて、あーって言いながら悶絶して、最後にまた、これだけは守りましょう項目を復習して、それで試験を受けてきました。
試験当日受けて、午後帰ってきて報告したんですよね。
そしたら彼は、先生できたよって言うんですね。
私はちょっと嫌な予感がしました。
皆さんよく言うじゃないですか。
試験の日にできたよっていう子は怪しいっていうジンクスありませんか。
逆にうーんって言って、ちょっと不安な子が受かるっていうジンクスが、その時の学校仲間の間では言われてまして、怪しいなぁ、D判定だしなぁ。
でもベストは私も尽くしたし彼も尽くしたし、いいかと思ってました。
1週間後、合格発表の日がやってきて、私は授業から帰ってきた途端に、その時進路指導室だったんですけど
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パタッとドアを開けたら、先生、〇〇が合格した。
えーっと思って、私はもう一瞬世界が止まって、力が抜けて、ヘナヘナーとそこに腰が抜けたように座り込んでしまいました。
合格!と思って、30秒ぐらい呆然としてましたね。
本当に合格嬉しかったですね。でもね、後から嬉しさが込み上げてきて、D判定だけど合格したんだ、よかった、あの子は退路を断ったし、本当にこれであの子の進路が獲得できたってことです。
担任の先生と2人で抱き合って喜びました。
翌日ね、彼はね、報告やってきましたよ。
私に握手を求めてきたんですけど、ものすごい力で握り返してきて、もう骨が折れるんじゃないかっていうぐらい力強く私の手をしっかり握って握手しましたね。
お互いにベストを尽くしあって、称えあった握手でしたね。
私もね、できたっていう本人の言ったことが信じられないから、答案再現をお願いしました。
そしたら確か、戦争についての文章だったんですね。
防戦部が引いてあって、あなたはこの意見に賛成か反対かどう思いますかっていうのを具体例をつけて書きなさいみたいな内容だったと思うんだけれど、
ちょっと難しいなっていう内容だったんですけど、彼はね、
西郷隆盛さんを例に出して、西郷隆盛さんはいろんなことをね、やってきたけど、武力で解決しようとして滅んだと。
それと対照的に、ガンジーっていうのは話し合いで徹底的に解決しようとしていたと。
っていうような具体例を入れながら、やっぱり合意形成しながら、いろいろな揉め事があっても武力で解決するのではなくて、
合意形成で解決していかなくてはならないって言った内容を彼なりに書いたっていうふうに言うんですよね。
それはね、やっぱり鈍否写でしたね。
その大学の国際学部が求めていた、そういう資質能力、要するにアドミッションポリシーに適合した、そういった内容だったんですよね。
これはね、私が指導したから出たとかいうんじゃなくて、彼が持っていたこの歴史図記っていうそういう特性が、今までの彼の学びがそれを書かせたんだと思うんですよ。
ずっと彼が高校時代に興味を持っていた歴史、ずっと積み上げてきたもの、それがそこで出たんですよね。
だからやっぱりその生徒の持ち味を最大限に伸ばすっていうことは強みになるんだなと本当に思いましたね。
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そんな幸せな指導を体験させてくれた彼には本当に感謝しています。
その彼は卒業してその学部に入って、やっぱりSNSを頻繁に更新してまして、本当にエネルギッシュに元気にどんどん外国にも留学しに行ったり、
友達と面白い活動をやったり、彼らしく外交的にどんどんといろんなことにチャレンジして、そして就職もして元気にやっている様子を時々SNSで見ます。
やっぱりそういう彼に関わって、私もいろんな勉強をさせてもらって、いろんな学びを得て、
生徒っていうものに対する生徒感、これも更新されて、やっぱりその子の持ち味を大切に育てていかないといけないなっていうような、そういう思いをしました。
ということで今日は、D判定から合格した生徒の小論文指導から思ったことについてお届けしました。
それでは聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。