皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日は、国語科単元 『コロナ時代をどう生きるか』 に取り組んだことを、ゆるゆるとお話ししたいと思います。
これは、2021年の12月4日にあった第7回 学びのイノベーションフォーラムで発表したことを、皆さんにお届けしたいと思います。
もう3年近く前になるということなんですけれど、私が全然人口で取り組んだ単元についてです。
そもそも、この取り組みを始めたきっかけは、コロナでマスク投稿をしているときですよね。
ちょうどコロナ末盛りでマスク投稿をしているときに、夏休み前に新聞社の新聞コンクールに応募しようということで、クラスで呼びかけたわけですけど、
最近、新聞を読まなくなっている生徒に社会を見つめる視点を与えるという意味の取り組みで、結構地元の新聞社が推しているので、まあまあいい賞をもらえたりするんですね。
それを与えて、9月にみんなで新聞コンクールを読みました。
そうしたら、新聞を選んだ生徒たちは、本当にコロナの記事ばっかり選んでたんですよ。
日常生活、本当にあどけなくて明るくて、結構前向きにいつも過ごしている生徒たちなんですけど、選んだ記事の感想にはこんなことが書いてありました。
高校野球をしている自分としても病院に行きにくくなってしまった。少しでも気になるところがあったら学校休めと言われても大会前は休みにくい。
休んで検査を受けて、もし陽性が出てしまって県大会を中止にしてしまうと思うと怖くてたまらない。
野球部の子ですね。
それからこれは水素学の子ですね。
新型コロナウイルスの影響で出演する予定だったライブはすべて中止になりました。
いつ再開できるかわからないような状況で、家で一人で練習することがとても辛かったです。
さらに学校の文化祭も中止になってしまい、楽しみが次々となくなっていきました。
それから同じく水素学の子なんですけれど、私は水素学に所属していて、今年も何十名の後輩を迎えた。
でもいつもとは何もかもが違う。コロナの影響で部活動は短縮され、合同公演もできない。
そして大会がすべて中止。演奏技術も下がってしまった。
その結果、部員の中には目標を見失ってしまい、自分が何をしているのかわからなくなっている者もいる。
私もその一人だということだったんですよね。
私もこれを読んで、じーんと自分の中に感じるものがありまして、
生徒は本当に無邪気に過ごしているんだけど、新聞記事を読んだことに触発されて、
そしてその感想を書くことによって、改めて自分自身の悩みに向き合って、
そして深く考えて、自分の内面を掘り起こしたわけですよね。
その過程の中で、コロナ感染に関する誹謗中傷記事に心を痛める生徒とか、
医療従事者に心のない一言を浴びせるような、そういう記事を読んで怒りを感じるとか、
そういう社会に対する疑問や怒りも感じているようでした。
そこで私は、こんなに不安で悩んで過ごしている生徒、
社会に対してもいろんな思いを持っている生徒、
この生徒と一緒にコロナ時代について考えてみて、
彼らが少しでも元気になるような、そういう単元はできないかなと考えていました。
ところが、年間計画でシラバスというものがあって、
あれでやることが粛々と決められているわけですよ。
投げ入れ教材、投げ入れ単元をしたくてもできないわけですよ。
でも今こそすべきじゃないかと思って、
オリシもちょうどGoogleワークスペースの導入でICT活用が結構できるようになったので、
これは授業時間をもっと短縮して効率化して、
その空いた隙間で投げ入れ教材を投入したらどうかと思いついたんですね。
やり方としては、普段の授業をやりながら、
10分とか15分の帯単元でコロナ時代を生きるという単元を仕掛けて、
その15分でコロナのことをやって、
残りの時間でいわゆるシラバスに書いてある教材を授業で扱うというふうに、
二元構成でいくことにしました。
そこで私はコロナ関連の書籍や記事をどんどん読んで、
情報収集を始めたんですけど、これもたくさん読みましたね。
特に新聞記事、ちょうど朝日新聞のデジタル版がいい働きをしてくれました。
記事を検索して蓄積してっていうのがすごくよくできるわけで、
本当に効率化が図れましたね。
たくさん読んだんだけど、結局使うのは1割ぐらいかな。
そんな感じで私は準備を始めました。
そして単元を考えました。
まず最初は、自分たちが書いた新聞感想コンクールの文章を読み合いました。
だいたい代表者を6人目ぐらい選んで、
15分で2名分を3回ぐらい読んで、
その都度200字程度でコメントを書いて、
Googleフォームに入力するっていう風にしました。
次の時間、そのGoogleフォームのコメントを紙媒体で印刷して読ませてっていうのを何度か繰り返すわけですね。
そしたら新聞感想コンクールの文章を読んで、
友達の文章を読んで、また深まっていくわけです。
例えばですね、Zoomを使った部活動っていうのは本当に新しい発想で驚きました。
私は休校中の過ごし方についてもう少し何かできたのではないかと考えました。
それから友達が選んだコロナでの意欲十字社の心ない言葉がけね。
それから差別の問題。
そういうコロナ差別、かかった人を差別する問題についても、
差別をするような考え方がなくなってほしいというふうに表明したり。
それから友達への共感ですね。
私も辛さや悲しさがよくわかる。立ち上がろう。
いや、立ち上がらなければならないっていう気持ちが大切だと思った。
私も強い気持ちを持って部活動に専念したいですというふうに励まされて、
力が湧いてきた生徒もいたわけですよね。
ということで、そうやって友達同士の新聞記事の感想を教材にして読み合って読み深めていく。
そして励まし合っていくっていう、そういう段階が第一段階です。
その後どうやったかというと、もうちょっと深めていくために、
私が選んだ新聞記事で何かもっと問題解決方法であったりとか、
新しい視点が得られないかということで、私が選んだ記事を14ぐらい読ませましたかね。
2つずつ7回読ませて、これも200字程度で感想をGoogleフォームで書かせて、
フィードバックっていう方法を取りました。
今ね、感想ではSNSのあり方は本来のあり方ではなくなっている人々の協力や助け合いが欠かせないんじゃないかっていう意見が出たりとか、
それから誹謗中傷ということについても、もしその相手が身内や自分だったら、
同じように誹謗中傷するのか、踏みとどまって考えるべきだっていう意見が出たりしました。
それからコロナが不安で休みたいのに休めないっていうエッセンシャルワーカーっていう看護師さんとか、
そういう人たちが最前線で踏みのどまっているっていう記事を読んで、感動した人、エッセンシャルワーカーを知って感動したっていう、
そういう風な感想を書いてくれる子もいました。
そんな風に日本中が大変になっている。これは様々な立場の人がいて踏ん張っている。
本当にこれは自分ごとにしなくちゃいけないんじゃないかっていうような、コロナに関わる様々な社会で働く人々の視点を得て、
自分のような気持ち、自分に引きつけて考える気持ちが湧いてきたっていう、そういう段階を取りました。
第3段階、さらに解決策っていうのを提示したいなと思って、有識者の文章を8つ与えることにしました。
有識者の文章は結構難しくて、例えばニック・ハノワーさんっていう外国の人だったり、
それから山本太郎さん、富田博明さんとか結構有名な論者の方を8名選んで、それで印刷して、
8名のうち2つを選んで感想を書こうという風に、ここは自分の力量に合わせて興味関心のあるもの、あるいは読みやすいものを自分で選んで、
Googleドキュメントで感想を書いて、クラスの中で共有し合いました。
ところが難しいからダメになるかなとか思ったんですけど、しっかり読んでたんですよね。読みこなしていた。
例えば、人の価値観は異なることを理解し、受け入れようと努力すれば共感することも増えるだろうし、
些細なことで喧嘩になったりしないと思うとかですね。
それから福岡さんという生物学者の記事を読んだ子は、ウイルスとは共存するべきだという意見を2連続で見つけたため、とても驚いた。
ウイルスといえば人間にとっての悪でありデメリットしか生まないという今までの常識をひっくり返されたというように、さらに問題を掘り下げて考えることができるようになったり、
それからこのような時代だからこそ、AIやSNSを利用した取り組みをもっと活性化していくべきだと感じました。
ということで、いつ来るかわからない自粛に向けてもっとオンラインを取り入れるための取り組みをするべきだというふうに、デジタルを使って問題解決をしていくという視点を出してくる子もいました。
この有識者の8つの文章を2つを選んで読ませるという取り組みは難しいかなと思ったんだけど、
選ぶということで、自分で難易度を下げることができたり、分野を選ぶことができたので、生徒は結構読んでいたという良いことと、
それから有識者の文章を読んでの感想は、そこに書いてある言葉を使って感想を書いている子が多かったので、やっぱり語彙力獲得になりましたね。
なので、今まで段階を踏んできて、コロナに対してどうやって対応したらいいんだろうかという問題意識を持っていたところへの有識者の文章だったので、
多少難しくても生徒は読みこなして、読みこなす中で語彙力を獲得していったんじゃないかという実感がありました。
そしてその後は三学期になりまして、帯単元も三学期になりまして、上手いところ通常授業を短縮したので余った授業、余裕のある時間ができて、
今度は自分でテーマを設定してコロナ時代を生きるということで、自分自身でどうやってそこを解決して生きていくかというのをスライドに作って発表しましょうというのをやったんですね。
テーマ設定はジャムボードを使ってブレインストーミングしたり、それから私がこんな問いはどうっていうのを投げかけたりして、生徒がしばらく試行錯誤して問い作りをしました。
問いはさまざま自由に進路とつなげてもいいって言ったら、保育者の現状とかね、そんなのを選ぶ子もいれば、単純な疑問、なぜ安倍総理はマスクを配ったのかっていう、そういうのにする子もいたり、
それからSNSとコロナっていうタイトルの子もいたりとかですね、本当に自分で問題意識を持ったのを選んで、情報をインターネット中心、あるいは新聞記事、今まで書いてあったのを中心に収集して分析して自分なりの解決策を出してました。
やっぱり生徒はプレゼンでやるんだってことになると生き生きして、一生懸命取り組みましたね。まだ2年生、高校2年生だったんで、しかもスライド作りというのもあまり慣れてなかったんで、多くを望まずに、
とりあえず同期目的、現状の問題点、データ解決策っていうね、このフォーマットを与えて1人4分で発表し合いまして、グループごとに発表ですね。やっぱりね、素晴らしい発表でしたね。生き生きしていました。
時間が足りなくて、評価用紙とか配ってフィードバックしたりということはしなかったんですけど、コロナについて、コロナ時代、おも苦しい雰囲気だったんだけど、自分なりの解決策っていうのはあるんだ。
何か考えていけば前に進めるんだっていう思いを持って、この短言を閉じることができたと思います。何はともあれ、自分たちが問題意識を持ち、それを解決するために一生懸命に取り組み、その取り組む中で語彙が獲得でき、そしてICTを活用することによって時間を効率的に使うことができるようになったっていう取り組みでした。