1. 向井蘭の『社長は労働法をこう使え!』
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2017-09-28 19:31

第112回「最新判例:採用募集における潜在的リスクとは?」

第112回「最新判例:採用募集における潜在的リスクとは?」
弁護士の向井蘭が、経営者の立場に立って、労働法の基礎だけでなく、ビジネスに関する法律の問題をわかりやすく解説する番組です。
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向井蘭の社長は労働法をこう使え 法律の下で展開されるビジネスの世界
ポッドキャスト社長は労働法をこう使えは、弁護士の向井蘭が経営者の立場に立って、経営者が知っておくべき労働法の基礎だけでなく、
ビジネスに関する法律の問題を分かりやすく解説します。
こんにちは、遠藤和樹です。 向井蘭の社長は労働法をこう使え。 向井さん、本日もよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。 よろしくお願いいたします。
はい、ということですね。今日はですね、時事ネタでいきましょう。
はい。 というわけで、今日の判例になるんですか、今回は。
そうですね。あの京都地裁、まだインターネットに出てないと思いますが。
そうなんですよね。先ほど調べたら3番の方ですね。
でも、すごく面白いというか、今の時流にあった衝撃的な判決で。
平成29年3月30日、京都地裁判決で、会社名がちょっと匿名になっているので名前がないんですね。
出ないってこともあるんですね。
もう、要するに出版社に、僕ら弁護士が、載せんのはいいけど、やめてくださいと。名前はと。
各社に言えば匿名になります。
でもどっかで情報漏れんですよ。
ネットで検索すると、あれ、名前出てるじゃんみたいなのもあるんですよ。
その企業の方がお願いすれば出ないってことですか。
だいたい出版社は尊重してくれます。
そうなんだ。出版社ってどういうことですか。反面ですよね。
要するに判例を公開することで雑誌を買ってもらってる出版社があるんですよ。
5社ぐらい、6社ぐらい。
労働判例っていう雑誌を出してる出版社です。
あとは、判例時報、判例タイムズ、経済判例が出してる。
労働経済判例組合とか、何種類かあるんで。
そこに片っ端から、こういう判決の情報を入手されても名前は出さないでくださいと。
お願いします。
そこを抑えればだいたいは匿名になるから。
そういうものなんですか。
そうすると、当然出版社も問題なのは内容であって、名前を公表することに価値はないから。
でもバレるんですよ。
よく何とか事件ってなるじゃないですか。
結局ね、バレるんですね。
何とか事件ってならないようにする方法も一応頑張れば。
私はそうやって止めてますよね。
そうですか。もし何か起きても。
そういう仕事をしてるんですね。
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結局ね、裁判所は、非公式に判例の雑誌社、出版社に提供してるんですよ。
そういうルールがあって。
例えばこんにちはって、何とか出版社ですって訪問行って、今月の判例お願いしますって言うと、
はいはい待ちくださいとか言って部屋に通されて、これですね今月はって言って。
裁判官がこれ面白いよというのを集めてくれて、情報提供してくれる。
これ見て、これいいなと言うと、非公式に投写させてもらって、それをOCRで読み込んで、
雑誌バイトにして編集して出すんです。
そういう仕組みになってるんですか。
要はやっぱり判例って裁判所が考えるには社会的な財産だから、ルールを周知したいわけじゃないですか。
なるほど、だから出版に載せるんですね。
ということで積極的なんですよ。
メディアにちゃんとそこを出していくっていうか。
あとね、裁判所にもお願いする。
要するに雑誌社に情報提供する場合は特免にしてくれ。
大元から。
あと代理人の弁護士さんにも雑誌社に投稿する場合は特免にしてくれってファクト繋がす。
大抵相手は?
返事ないけどやってる。
特免にしてくれると思う。
っていう風に涙ぐましい努力してるんですよ。
そんなウラって。
インターネットに出たらずっと残るから。
本当ですよね。変な形で会社の広報活動を行われちゃいますもんね。
もちろん会社が全面焦燥したり、社会的にやむを得ない、みんながすでに知っちゃってるような事例はしょうがないですよね。
ニュースに出ちゃったりとかありますよね。
こういうのはしょうがないと思うんですけど、これは本当に難しいですよ。
話はちょっと時事ネタからね。
面白いでしょ。
反例がそうですよね。世の中にきちんと周知しなきゃいけないですから。
メディアに載せるというのはすごく当然と言われてる。
一方で個人情報保護っていう問題もあるから、こっちが要請すれば今は特免にしてくれる。
昔の昭和の読むと、いまだに名前書いてあるんですよ。山田太郎とか。
本人の実名。
生年月日と実名とか住所も書いてあるの。いまだに。
生年月日とかも出ちゃうんですか。
今の感覚で個人情報保護法の感覚が根付いてるから、ありえないですよ。
昔の活字情報をデジタル化してるから、昭和のものもそのまま残っちゃってる。
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なんとかさん事件とかもあったりするんですか。
名前はさすがに出ないんだけど、名前が書いてあるんですよ。
被害者は、刑事裁判もそうですよ。昔のやつ名前書いてるの。
被告人も名前書いてる。
両方出るんですか。
大昔はね。
でも今は消してるからほとんど。
でも民事に関しては残ってますよ、まだまだ。
昭和のやつは。
そういう観点で反例を見ると。
そういう観点で見る必要はないけど。
面白い切り口ではありますね。
時代によって変わってるんですよね。個人のプライバシーの概念もね。
という話は一瞬終わりましたが、非常に面白い仕組みをしました。
もう6分もなっちゃった、こんな話で。
いやいや、なかなかこういう話聞けないですからね。
面白いですよね。
というわけで、今回京都地裁の時事ネタをやっていこうと思います。
そうですね。ニュースレターにも書いたんですけども。
どういう事案かと言いますと、64歳の方が転職しようと思ったんですね。ある64歳の方が。
64歳の方は年齢も年齢なので、安定した仕事ずっと働きたいと思ってた方なんですよ。
ハローワークを見たら、障害者に対する福祉施設の求人があって、新しく開設すると。
新規施設だったんですね。
それで正社員って募集があって、月給25万円と。
定年がない。魅力的ですよね。64歳の方からしたらね。
で、早速電話したら、じゃあ一度来てくださいと。
なって会いに行った。
経営者の人が、いやちょっと実は決めてないんだとまだ。正社員かどうかと。
一応採用では出してたけど。
出してたけど、正社員かどうか決めてないんですよと。
ほうほうほう。
という話になって、ちょっとアルバイトをうちでしてもらえますかと。
要は開設準備があるから。
それで話し合って決めましょうかみたいになったわけ。
アルバイトやっていくうちに、今やってる仕事と負担も重くなってきて、
じゃあこの仕事一本にしようって決めて、辞めちゃったんですね。
他のアルバイトかな、パートみたいな仕事。
で、だんだん順調に仕事をこなしていって、
施設を開設する初日になったのかな。
契約書を交わさないまま初日になったのかな。
開設前準備ずっと。
でもやっぱり社長さんに言いづらいじゃないですか。
って言われるのもあったんでしょうね。
で初日になって話があって、
これサインしてくださいって来た。
契約書にサインしてください。
労働契約。
あ、やっと社長も分かってくれたかと。
でサインしようと思ったら、
あれ?正社員じゃないこれ。
1年契約って書いてると。
契約社員?期間契約ですか?
09:00
これ契約社員じゃないですかと。
でもやっぱりもうこれそこで文句言ったら、
じゃああんたはいらないからってなっちゃうから、
黙ってサインしたんですね。
で1年間働いたら期間満了でさよならってなったんですね。
その方。
それで頭にきて、
自分はこれ正社員って信じてずっと引っ張られて、
それでサインしたんで、
この契約書は無効だと。
私は正社員だと。
定年がない雇用だと争ったわけですよ。
ところが会社側からすると、
いやあんたサインしたじゃんと。
社長は全部必要な説明は全部やってるよと。
嘘は一切ついてないと。
契約書上層。
そうですよね。嘘はついてないと。
って言って争ったんですね。
これどうなるんですか。
普通に考えると契約のもとに
そうですよね。
結果1年後に解約というかね。
そうですよね。
訴訟を起こすこと自体なんでって感じも若干しちゃいますけど。
まあ経営者目線からいくとそうですよね。
絶対妥協できないと話をして納得したじゃないかと。
ところがですね裁判官は、
これは正社員だと。
契約書上は1年契約にサインしてるけど
きちんと合意したと言えないと。
へえ。
要はずるずる引っ張られて追い込まれて
それでもう納得できないけどやむを得ずサインしたから
状況的に納得したと言えるような事情がないと。
ほうほうほう。
ということでね契約書の記載じゃなくて
求人票の内容によって雇用契約を決めるという判決を出したんですよ。
マジですか?
そこ?
そこ。
だからその人は勝ったんで定年のない正社員の地位を確認してもらって
で今ですねこの方タクシードライバーなさってるんですね。
タクシー?
タクシー。
だからその介護施設はもういないんですね。
介護じゃない障害者施設か。
雇い止めになってもう来なくていいってなったから生活しないといけないじゃないですか。
でタクシーの運転手さんなさってるんですよ。
それでね月収が25万ぐらいなのかなタクシーの運転手さんで。
ところがねここが労働法のすごいところで。
で会社からしたらあんた働いてないんだからうち給料払う必要ないよねってなりますよね。
関係ない会社ですよね。
関係ない会社。
今働いてるタクシー会社は。
関係ないけど結局自分で収入得てるじゃんと。
でそれ控除したっていいじゃんと。
二重払いになるじゃんとそう思いますよね。
だって会社からも25万タクシー会社からも25万50万おかしいんじゃないそれって。
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会社からの25万って働いてないんですよね。
働いてない。
その障害者施設ですよねそちらの方では。
働いてないんですよね。
働いてなくてももらえちゃうわけよ。
働きたいけど働けないだけだから。
働きたいけど働けない。
会社側が雇わないって言ってるだけだから。
だから25万の債権が発生するわけです。
労働経営法上。
そこでもらう権利があるの。
だけど一方で今別の会社で働いてるから
どっちももらえるとちょっとおかしいんじゃないのってなります。
なるほどなるほど。
50万もらっちゃう。
おかしいですよね。
ところがこれは最高裁判定があって
どうなるんですか。
25万のタクシー会社の給料は4割だけ
要するに違うな。
その障害者施設の25万のうち6割は
アルバイトしてても何してても払えと。
4割は差し引いていいと。
ただ15万ぐらいは払えっていう判決が出たんですよ。
だからこの方はこの社長さんが拒否してる間は
15万の給料をずっと障害に渡ってもらえるわけ。
働いてなくても。
マジっすか。
なんですかそれ。
謎の不労収入が。
合法的にもらえる。
義務になってるわけですね。
これ払わないと強制執行できるから。
社会福祉法人じゃないかな。
この方は雇ってもらえないのでタクシー会社で25万稼ぎながら
15万は不思議と不労収入が入ってきて
月に40万手にしているという形になってしまう。
この事件はどう見ていいかが
事実として驚きですが
どう見るんですか。
どう見るっていうのは
要は求人票に書いたことはそのまま通用しちゃう可能性がある。
法律が変わって
今の国会で成立した法律があって
雇用保険法って聞いたことあります?
あります。
雇用保険法で色々改正されまして
虚偽の求人をした場合罰金になる。
刑事罰が取られる虚偽ね。
あとはハローワークに
例えば正社員って書きますよね。
正社員って書いた場合ですけども
それを変更する場合は
契約する相手に対してきちんと労働条件を変更しますよと
明示しないといけないという規制がかかりました。
ただこれはいずれも今回の事案は
当てはまらない可能性が高いんですよ。
なぜかというと
求人を出した時点では本気だったと。
正社員だった。
ところが人物を見て
ちょっと正社員じゃ無理じゃなかろうかと
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そう思ってしまったと。
ありますよね。
ありますあります。
だからこれ虚偽の求人ですぐ捕まるかって無理なんですよ。
その時は本当でしたって言い訳されると
刑事事件で立証が難しいから
故意の立証っていう
わざとっていう故意の立証って難しいから
これハードルすごい高い。
あとはこの労働条件明示っていうのは
今回の社長さんもやってるわけですよ。
明確に契約書まで結んでるわけ?
真面目にその方なりにやってるわけ。
やってるんだけど
裁判所は法律の規制を飛び越えて
求人票通りに金払えと
契約しろと
そこまで判決で出せちゃうと
そういう社会になってきてて
これってただ事実の根拠となるものが
雇ってる最中とかその時に
とんでもないものが
実は残ってたとかじゃないんですかね?
なんかあったのかもね。
そこはでも分かんないですかね?
分かんない。ちょっと読んだ限りでは分かんなかった。
判例だけ聞くと
マジですかって感じですよね。
例えばよくあるのが
30万完全保証とか
救急2日完全保証とか
多いと思うんですけど
実際違うって世の中に今まであったと思うんですけど
あれ通用しちゃいますよね。
本当に採用の段階で
求人出す時に注意しておかないと
もう紛らわしいことやると
もう訴えられると負けちゃいますよね。
これすごいお金が発生するんですよ。
この方だってずっと和解しないで
頑張れば15万円もらえちゃうから
これ退職和解なんか
180万でこのままあと10年
仮に20年
私これ退職和解
例えば和解するにしたってやめてもらう?
負けちゃって雇用契約認めた場合
やめてもらわないといけないじゃないですか。
1000万以上かかると思うね。和解金。
ちょっと言い過ぎかな。
1000万近かった。
ちょっとしたね
ちょっとしたこのぐらいいいやと思って
書いたんだと思うんですけど
それでもこれだけ時間とお金と
トラブルに巻き込まれて
これ社名出たら全く人来なくなっちゃうからね
今の時代。
事業廃止ですよ。
そもそも障害者施設だったら
障害者の方も来なくなっちゃうんですね。
終わりですよね。
っていうように
破壊しちゃうんですよ今こういうトラブルで
求人の段階でそんなリスクが潜在的にありますか?
どんどんどんどんみんな神経質に
日本人になって
っていう感じですね。
いいんだか悪いんだかちょっと
18:01
働く人を保護する点ではいいんですけど
ただ事実ベースとして
中小企業には正直にやるっていう
ただそれだけなんだけど
これ大企業の事例じゃない?
じゃないと思いますね大企業じゃないですね
社長さん自ら全部やってるから
これ判例がですね検索してもなかなか出てこないので
ちょっとご紹介がしにくいんですが
そうですね
おそらくこれからいろんな判例書に取り上げられると思います
くるはずですよね
もしタイミングがあればご紹介しますので
ぜひ今日の回を聞いて
求人の段階から潜在的リスクが潜んでいる
ということで
一つ頭の片隅に見ていただくといいかなと思います
というわけで本日もありがとうございました
ありがとうございました
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