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2019-06-21 16:01

第202回「質問:裁量労働制の適用業務と適用ルールについて」

第202回「質問:裁量労働制の適用業務と適用ルールについて」弁護士の向井蘭が、経営者の立場に立って、労働法の基礎だけでなく、ビジネスに関する法律の問題をわかりやすく解説する番組です。
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向井蘭の社長は労働法をこう使え
法律の下で展開されるビジネスの世界
ポッドキャスト社長は労働法をこう使えは
弁護士の向井蘭が経営者の立場に立って
経営者が知っておくべき労働法の基礎だけでなく
ビジネスに関する法律の問題を分かりやすく解説します。
こんにちは、遠藤和樹です。
向井蘭の社長は労働法をこう使え
向井先生、本日もよろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いいたします。
さあ、そういえば前回の有給休暇の話はちょっと面白かったですね。
そうですか?
いやいや、戦後…
戦後…あ、あれそんなに面白い?
いや、あれだと…一般常識ですか?
一般常識じゃない、一般常識。
あれ、学会の論文読んで知ったんです。
あ、論文にあるんですか?
論文にあるんです。
ああいう話が?
はい。勉強したの。
すごいわ、労働法の歴史ってひも解くと面白そうですね。
いや、すごいしんどいですよ。難しく書いてるものしかないから。
いや、ものすごい辛いです。
いや、面白かったですよ。
ああいう話ちょいちょいコメントで挟んでいただきたいですけど。
というわけで早速、いいですか?
はい。
質問いきちゃいたいと思います。
はい。
今回はですね、技術職のIT通信、24歳の男性からご質問いただいております。
質問内容は裁量労働制の適応業務とその運用について聞きたいと思いますということです。
向井先生、いつも楽しく拝聴しております。
東宝は労働者側の立場ですが、向井先生の配信から普段あまり知ることのできない
使用者側の思いを伺い知ることができ、大変興味深く拝聴しております。
2点ご質問させてください。
1つ目ですが、現在私が勤める企業では、専門業務型裁量労働制を社員に適用しております。
ITコンサルタントという職種で、システム導入時の工数の見積もり、顧客接種、資料作成、システムの設計をメインに行っております。
これらの業務は確かに裁量労働制の範囲内の業務であると私自身理解しております。
ただし、その他の業務として、設計した機能の開発・プログラミング業務が発生するケースがあります。
割合でいうと、プログラミング業務は全体の2、3割程度なのですが、このような職種も裁量労働制の適用内として問題ないのでしょうか。
2つ目のご質問ですが、弊社では裁量労働社員に対して、1日3時間の最低労働時間が決められています。
これは1日のうち3時間以上働かなければ、その日を実稼働とはカウントせず、有給消化または欠勤対象になるという意味です。
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1日の最低労働時間を会社が決定することは、裁量労働制において問題ないのでしょうか。
向井先生にぜひご教示いただければ幸いですということですね。
はい、すごいしっかりした質問ですね。
しっかりした方が多いですね。
こんなきちんとした方が聞かれているんですね。
なんか申し訳ない。
申し訳なくないじゃないですか。
嬉しい限りじゃないですか。
まずじゃあ、はじめの。
ざっくり言うと、ITコンサルとして働いて、働き方としては専門業務型裁量労働だが、ITコンサルじゃないプログラミングの仕事を2、3割しているんだけど、これはいいのかって話ですね。
そうですね。
これはまず論点というか、どう見ていくんですか。
裁量労働制というのは名前の通り、自分の裁量で仕事の進め方とか決めることができると言われている仕事で、業種がもう法律で決まっていて、業種、職種、仕事の内容が。
IT関係はあまり時間で測りたくない経営者の方が多いので、仕事の量とか質とかで判断したい方が多いので、裁量労働制を適用したいという方が多いんですね。
法律上は情報処理システムの分析または設計の業務というのがITエンジニアに適用される職種、業種なんですよ。
分析および設計の方法なんですね。
そうなんですね。情報処理システムの分析または設計の業務という定義なんです。
なるほど。
これは何を指すかというと、基本的には簡単に言うと、例えば仕事で言ったら上流と下流があって、お客さんからの仕事の依頼があって、お客さんの要求分析して、システムの設計をして。
要件的なやつ。
要件定義って意味はよくわかってないんですけど、要件定義をして設計をすると。これが専門業務型裁量労働制の対象だと言われてるんですよ。
なるほど。
だけど対象外って言われてるのは下流でして、開発とか実際にテストとかしたり、設計に基づいてプログラミング。
実際に手をガチャガチャ動かしてる方。
手を動かす方なんですね。これは裁量労働制じゃないって言われてるんですよ。
ところが現実はどちらもやる方が多い。
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まさにこの方じゃないですか。
まさに。
一般的にあるケースなんですね、これは。
なので、揉めてる場合が多い。
なるほど。
残業代請求したり、監督署に行ったり相談したりしてるケースがあります。まだすごく多い。多いまでは行かないかな。増えてきてるなっていう気はします。
この方、プログラミング、いわゆる下流工程は2割ぐらいっておっしゃってる。
2、3割っておっしゃってますね。
おっしゃってますね。ここは基準がないんですよ。基準がないんだけど、プログラミングをやってるから全く適応対象にならないってわけではないんで、全体と見て上流工程の仕事をなさっていると判断されれば適応対象になり得ると。
なる可能性が2割ぐらいだったら高いかなっていう気はします。
これが問題となって起きているのは裁量労働制というものを取ると、今回言うと労働者側の立場の方が何かしらの不利益をこむるような状態に裁量労働制じゃない場合と比べてあるっていうことですね。
あります。
これは具体的に例えばどういう。
簡単に言うと残業代出ないですよね。残業代が出ないのが一番大きいんじゃないですかね。
逆に言うと使用者側の経営者サイドで言えば、残業代をある程度固定費として変動しない状態でできるっていうのがメリットとして使うケースが多いっていうのも言えるってことですね。
残業代が出ないとは言ったんですけど、深夜と休日は出るんですけど、普通は出ないんですよね。
いわゆる普通の10時までの残業は見なしと言われていて出ないんですね。
ですので、やってる方については損した気持ちになるでしょうね。
長時間働いてる方であればこそ。
そうですね。
裁量を取られるというケースになるわけですね。
そうです。なので不満を持っている方が潜在的に非常に多くて、
厚生労働省も実はある大手企業で裁量労働制を違法に適用した事例が起きて、その方が亡くなっちゃったんですよ。
その方が。
具体的な事情はニュースに書いてないんですけど、亡くなっちゃって、長時間労働で違法適用があって、
それ以降違法な裁量労働制の適用を組織的にやっている事業所は公表しますと。
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こういう発表を厚生労働省したんですよ。今年しましたね。
なので監督署の取り組みは強めてるんですけど、ただ法律が曖昧なんですね。
今言ったみたいに私2割やってますと。プログラマー下流工程としてって言われると、うーんって止まっちゃいますよね。
全体としては上流工程やって不随的に下流工程をやってるからとかね。
そういう解釈になるんだけど、じゃあそれが絶対正しいかっていうと根拠はないんですよね。
まだ判例もほとんどないんですよ。ほとんどっていうかゼロに近いんじゃないかなこの手話。
じゃあこの方がまさにここに質問された通り、まさに社会問題的なところにはあり、ただ回答がない、完全にグレー状態になってる。
ただね白に近いグレーかな。この会社さんはちゃんとなさってる方ですよ。
普通は営業もさせたり雑用もさせたり、めちゃくちゃな方も、例えば新卒の方とかね、できないじゃないですか。
その方にも適応しちゃってる事例とかあるんですよ。
でも現実にできないから、裁量労働制、自分のペースで仕事なんかできないですよね。
先輩に教わりながら勉強しながらやってるんで。
そういう事例はちょっと黒に近いグレーですけど、うかがってる範囲だとこの方結構お仕事ご自身でできる方でしょうから、
ただ白に近いグレーかなっていう気がするので、会社さんもちゃんとしてる、比較的きっちりなさってる会社さんかなと思いますよ。
じゃあ現実的な解釈としては適応ないとして捉えられるだろうなという感じですか。
この方まさにまだ24歳ってことなので。
優秀な人なんだろうね。こんな任せられてんだったら。
その中ですよ、もう一つ質問が来てるんですが、今回このままいっちゃいますか。
はい、どうぞ。
先ほどちょっと重複しますが、裁量労働社員に対しては1日3時間の最低労働時間が決められていると。
このうち3時間以上働かないと、実稼働とはカウントせずに有給消化または欠勤対象になるという風になってるんですが、
この最低労働時間を裁量労働制において決定するのはいいんですかという質問だったんですけど。
これはね、お気持ちわかるんですよね。会社のお気持ちは。
というのは裁量労働制は実は出勤義務はあるんですよ。来なくていいってわけじゃないんです。
会社が在宅勤務制度を導入していればいいんですけどね。
だけど会社に来いっていうのはできるんですよ。できるのよ。
来なきゃいけないってわけじゃなくて来いっていうことができるってことですか。
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来なきゃいけないですね。来なきゃいけないので、ですので会社が会社に来てくださいね、出勤してくださいねっていうのはそれはOKです。
ただ最低時間を設けるっていうのが、それは法律は想定してないんですよ。
してない。で、似たような制度でフレックスタイム制というのがあるんですね。
フレックスタイム制のコア時間というのがあって、出待機は自由なんだけどこの時間帯はいてくださいね。
1時から3時ぐらい。1時から3時とかね。まあよくありますよね。
ではあるんですね。それはOKなんですよ。
だけど裁量労働制の最低時間というのはちょっと違法とまで言えないけど運用が例えばすごい厳しくて何時から何時まで絶対いないと言及だとか
なんか罰金だみたいなね懲戒だみたいなそんな運用を仮にしてたら
それはちょっと裁量労働制全体が違法になる可能性あるんですけど
現実に目安で何時間ぐらい目安でいてねとこのぐらいは仕事量として
社内の人とコミュニケーションとってやってくださいねと1日あたりという目安だったら問題ないでしょうね。
運用上の解釈としてそういうふうにそのぐらいの。
すごく微妙で何時間っておっしゃってましたっけ。
3時間ですね。
3時間だとたしか普通に仕事してたらそのぐらい社内で時間使わざるを得ないんで適法じゃないかなと思います。
これが10時間とか12時間であったらアウトでしょうね。
3時間だったらおそらく社内連携とかがやっぱりおろそかになるから裁量労働制やると何が起きるかって言うとね
7、8割夜型なんですよ。
午前来ないみたいな。
夜型なの。
夜型になると何が起きるかって言うと他の人と接触が減るんですよ。
何やってるかわからない人にどんどんなっていくんです。
なんでおそらく会社さんの意識としては時間帯とか指定はできないんですね。
生徒長だけどコミュニケーションとって社内で仕事してねっていうことを言いたいんじゃないかなって。
なるほどね。
昼間のこの時間くらいみんなでやろうよみたいな。
そう。
っていうことを言いたいからそこまで違法じゃない3時間くらいだったら目安だったらね。
と思いますよ。
今日全体のお話聞いてすごい思うんですけど、
この会社さん自体はすごいちゃんと考えられた。
ちゃんとしてる。
ただその中でちゃんと運用してるような印象ありますか?
いい会社、ちゃんとしてる人事総務部が機能してるちゃんとしてる会社さんだなと思いますよね。
もちろん。
この方がおっしゃってることはもっともですけども、会社側の運用も非常にうまくやってるなというところですからね。
15:05
いい会社でそして優秀な人材の方がいらっしゃるようで羨ましい限りですね。
そうですね。
ということでやって終わりましたが非常に良い質問をいただきましたのでぜひまた何か気づくことがありましたらどしどしとお待ちしております。
というわけで向井先生本日もありがとうございました。
ありがとうございました。
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