440Hzの重要性
おはようございます。MORNING NOTEにようこそ。平瀬楽器の平瀬智樹です。
今日は、ピアノ調律の出発点、440Hzの秘密というタイトルでお話をさせていただきます。
この440という数字、聞いたことはありませんでしょうか。
我々ピアノの調律師というのは、この440という数字がとってもとっても重要なんですよね。
でも、この数字は何となく決まっているものではなくて、いろんな歴史の背景があって、今この時代で定まっているものなんです。
今日は、そんな歴史の話をしたいなと思います。
このMORNING NOTEは兵庫県三田市にあります平瀬楽器がお届けする毎朝10分ぐらいの音楽トーク番組です。
ピアノのこと、教室のこと、イベント作りや動画制作の裏話まで、音楽と街のあれこれを毎朝少しずつお話ししています。
朝の支度や通勤のお供に耳だけご参加ください。
お聴きの配信プラットフォームでフォローをしていただきますと更新通知が届きますので、聞き逃し防止になります。
ぜひぜひどうぞよろしくお願いいたします。
はい、というわけで月曜日はピアノの耳頼りということで、ピアノのお話をさせていただいているんですけれども、
タイトルはピアノ調律の出発点、440Hzの秘密というテーマでお話をします。
440Hzって何だと言いますと基準の音なんですよね。
この基準の音がピアノの調律とどう関わっているのか、どんな変遷があるのかというお話です。
まずこの基準の音、何の基準かと言いますと、ピアノを調律する時にまずラーの音から始めるんですよね。
このラーの音、440Hzのラーの音というのがピアノの調律の基準なんですけれども、これを音差とかチューナーでこの音を出して、
この音とピアノの真ん中のラーの音がどうか、高いのか低いのか、それを聞きながらまずピアノの真ん中のラーの音を決めます。
この音を決めてから、あとはザッと広げていく。
ザック言いすぎたな。このラーの音を決めてから、そのラーの音を中心に1オクターブ、ファから高い方のミまでを作ります。
4度とか5度とかを聞きながら作ります。これ割り振りという作業なんですけども。これで1オクターブ、ラーを中心にした1オクターブが決まったら、それを全部の鍵盤に広げていく。
これが調律という仕事になります。
歴史的背景と国際会議
200本以上ピアノの弦体が張ってあるんですけども、これでもたった1つの真ん中のラーの音の基準の音からスタートになるんですよね。
この440Hzという音、実は18世紀とか19世紀のヨーロッパでは、国とか都市によってこれがバラバラだったんですよ。
フランスだったら435とか、ドイツだったら450とか、ここで15Hzも下がるじゃないですか。それは違いますよね。
こうやって楽器を作る人とか演奏家にとってもどこの高さに合わせるかというのがすごい問題になってたんです。
ちょっと前まではフランスだったら435じゃないですか。435Hzのフランスの中だけであれば全然問題なかったんですよ。
ドイツ450Hzの中だけだったら問題なかったんですよ。ドイツ高いし、フランスの人から見たらめちゃめちゃ高いけど、フランスの人はフランスに留まっているので全然関係なかったんですね。
でもこれがね、産業革命があって電車、機車か、機車というものが発明されまして、国の中を横断できるような環境が整ってしまったんですよ。
なのでフランスのプレイヤーの人がドイツに行って演奏することも当然あるわけなんです。楽団が全部行って演奏するのであれば435Hzであればいいんですけども、作曲家が自分で動いて自分の作曲した曲を、例えばフランスで作った曲をドイツに行って演奏するってなった場合、ドイツのオーケストラとかドイツのプレイヤーを使うわけなんですよね。
そしたらドイツは450なんですよ。作曲家は435の思いで作っているので、何この全然違う音ってなるわけなんですよね。これが本当に大問題だったんですよ。
基本的にオーケストラっていうのは華やかな音を求めます。なのでフランスが華やかじゃなくてよかったわけではないんですけども、ドイツの450っていうのは当然の中でやっぱり華やかで刺激的な音を求めるので、オーケストラっていうのは高めを求めていたんですね。
でもソプラの歌詞とかテノロの歌詞とか、歌い手さんからすると高すぎると声が出ない。歌いにくいっていう不満の声が出てきたんです。歌い手さんも結局いろんな町に行くんで、その場所に行くと例えば歌いやすい町もあるかもしれないし、歌いにくい町もあるかもしれないし、そういうのがあって本当にプレイヤーからすると困ってたんですね。
場所とかオーケストラ、団体によって基準がバラバラだったんです。それはちょっと困ったなということで、1939年ロンドンで行われました国際会議っていうのがありまして、そこでAイコール440Hzが基準ですよっていうのが正式に決定にされました。
これが理由がいくつかありまして、1個目はもうその楽器メーカーさんにとって作りやすい高さ440っていうのがちょうど良かったんですね。450とか460ってなった時にやっぱり楽器に負担がかかるんですよ。ピアノなんか特にやっぱり弦がたくさん張ってあるんで負担がかかるんですよね。
管楽器も450とかの管楽器って管が短くなっちゃうんですよね。ラッパの管が短くなっちゃうんですよね。それは無理やということで楽器メーカーにとっても作りやすい高さが440Hz。ここやったら妥協できるかなというところですね。
あと先ほど言いました歌手とか楽器のプレイヤーとか双方にとって妥協できるラインが440Hzだったんです。これやったらいいかなみたいなところの妥協の産物だったわけなんですね。それが1939年に行われたんですけれども、でもやっぱりそこから今で2025年でしょ。
大方100年近く経ってきてて今でもねやっぱりどんどん変わっていってるんです。例えばベルリンフィルは443Hzになっています。ウィンフィルは445Hzになっちゃってるそうなんです。これはしゃーないですね。もう華やかなものを求めるっていうそういう性格性質があるんですよオーケストラは。
調律師の役割
なのでどんどんどんどん上がっています。だからといって基準は440なんですよね。分かってあげてるんでまぁしゃーないかな。だから我々ピアノの調律師っていうのはこういったオーケストラで合わせる時とか他の楽器で合わせる時っていうのはどの楽器と合わせるかによってピアノの基準を変えていくということをします。
例えばまぁ今回みたいにねベルリンフィルとやるってなったら443Hzでやります。分かるんですけども他の楽器の場合例えばバイオリンとピアノ伝奏する場合じゃあどうするんかなっていうのは僕ら考えるんですね。だいたいバイオリンの方が441Hzですることが多いんですよ。なのでバイオリンとやるってなったらまぁ441でやっときましょうかってなります。
歌の人とやるってなったら442が結構多いんで442ですよねって確認した上でやります。そんな感じで僕らはラーの音を常に変えれるような体制を整えているわけですね。音差で言うと440と4422本持ってます。441持ってる人もいますけどね。
チューナー使う人もいます。チューナーの場合は変えれるんでね。ピーって鳴らしてそこの真ん中の音をとると。そういうふうなことをします。そんな感じで基準をどんどん変えていきながらやるっていうのが調律の仕事なわけなんですね。
440HzをAノートで440Hzってやるんですけどもこれって先ほど言いました通り一応基準は決まったもののやっぱりどんどん今も変わっていってるんですよ。これをもう絶対的なものではなくて歴史の中で決まったある一点で決まった一つの目安なんです。
なのでこういった歴史をご存知ない方で例えばまあ水素学しか知らない方は440なんかでやってんの?今は442やでみたいなことを平気で言うんですよ。いやいやいやいや442やでじゃなくて別に442でやるのはかまへんけども基準は440なんですよっていうふうなことはよくお話をします。
なので別にこれは誰が正しいわけでもないんですけども例えば440が442になった時の弊害楽器にどんだけダメージがあるのか歌い手さんがどんだけしんどいのかとかそれが冬やったらどうなんか夏やったらどうなんかっていう気候の問題にも関わってくるわけなんですよね。
だからこの440Hzっていうのは単なる数字ではなくて一体どういう背景があって変わってきているのか歴史的背景みたいなものも知ると音楽がもっともっと面白くなるかなというふうに思います。
要は身近なラーの音も歴史と実のが結構つながってるんですよね。そういう目で見ていただくと例えば単なるオーケストラのチューニングしているシーンでも面白く感じていただけるんじゃないかなというふうに思ったりもします。
今日はピアノの耳でと言いながらちょっとアカデミックな話に終始してしまいましたけれどもピアノの調律っていうのは意外とこういうことを考えながらやってるんだよというお話をさせていただきました。
今日も最後まで聞いていただきましてありがとうございました。
今日のお話で気になったことや音楽レッスンイベント動画のご相談のがありましたら平成楽器の公式LINEからお気軽にご連絡ください。
LINEの検索画面で平成楽器と入力していただきますと平成楽器サンダーセンターというアカウントが出てきますのでそれを友達追加の上メッセージをお送りください。
そしてこの配信がちょっとでも面白かったなぁとか役立ったなぁとか興味あったなぁとかそんな風に思っていただけましたら
いいねと感想のコメントそれとフォローボタンで応援していただくと大変大変嬉しいです。とっても励みになりますのでどうぞどうぞよろしくお願い致します。
はいというわけでそれでは明日の朝もまたモーニングノートでお待ちしております。
音楽でこの街の笑顔を増やします。平成楽器の平成智樹でした。