ボランティア活動の実施
こんにちは。岐阜県で工業高校の教員を務めている、すみです。
この番組、未来をつなぐものづくりでは、工業高校の魅力や、岐阜県の企業の魅力をたくさん伝えていきたいと思っております。
今回は、7月23日から3日間にかけて実施した、野党半島でのボランティア活動について報告します。
冷蔵業の方々や、教育関係の皆さんにも、私たちが現地で感じたことをお届けできればなと思っております。
今回の活動の柱は2つありました。
1つは、私たちが課題研究や自動車研究部といった活動を通じて、整備・点検をしているミニSLの運行です。
ミニSLを使って、現地の保育園や幼稚園での交流イベントを行ってきました。
もう一つは、現地の方の声を聞き、復興作業に加わることでした。
ミニSLは、多くのイベントで運行し、たくさんの子どもたちを乗せて喜んでもらってきました。
このラジオを聞いている方の中にも、もしかして小さな頃乗った記憶があるとか、見たことがあるという方もいるんじゃないかなと思います。
このミニSLは、実は運搬、運営、運行すべてが生徒たちと先生たちの手によって準備されていて、裏では大変な努力が積み重ねられているんですよね。
中でも今年77歳を迎えた浜口先生という岐阜工業の名物先生がいるんですけども、毎回中心になって大活躍されています。
見えない支えがあって初めて成り立つ活動なんです。
昨年までは東北の震災のボランティアということで、夏休みに東北まで足を運び運行してきましたが、今年から活動のとへと移しました。
最近は報道の数も減ってきたので、だいぶ復興したんじゃないかなというふうに思っていましたが、
しかし向かってみると道路はまだ復旧途中で、現地に到着しても思ってた以上に厳しい現実が広がってました。
多くの屋根には今もブルーシートが掛けられ傾いた家も多数ありました。
さらちも目立ちました。たぶん倒壊した家を撤去したんだと思います。
特に印象的だったのは車道は通れる状態に整備されているんですけども、歩道はまだ鉄滑でガタガタのままだったってことですね。
2カ所の保育園でミニSLの運行を行い、生徒たちは本当に暑い中、運営、運転、誘導などすべて自分たちで担いました。
園児たちは、野党であろうが東北であろうがどこでも、園児たちは目をキラキラさせながらSLに乗ってくれて、生徒たちも優しく声をかけながら笑顔を引き出していました。
この活動を終えた後、生徒たちはとても良い経験になったと話していました。
中にはまた来年も来たいですと話す1年生もいて、自分たちの行動が誰かの笑顔につながるという実感をしたようです。
給食も園児たちと一緒にいただき、遊びながら交流する中で生徒たちは普段の授業以上に主体的に動いていました。
こうした実体験が何よりの学びであり、成長のきっかけになるのだと改めて感じました。
震災後、公民館で避難者の生活を支えた方からお話を伺いました。
行政職員も皆被災者である中、どのように避難所を運営し生活を支えあったのかという実体験でした。
その話の中で印象に残ったのは、避難訓練はよく学校でもやるんですけれども、避難訓練も大事ですが、避難後の生活訓練も必要なんじゃないかなというふうに思いました。
誰がどんな役割をして避難者を支え合うのかという仕組み、組織作りというのはその場になってみないとわからないんですが、
しかし地域の祭りやイベントが実はその土台を作る鍵になっているという話はとても示唆に富んでいました。
地域で祭りがあったら積極的に参加しましょう。そして少しでも手伝いましょう。一人でも多くの方と話しましょう。
この言葉には、いざという時の顔の見える関係づくりというものが本当に大切になってくるということを改めて感じることができました。
祭りって本当にそういった意味でも大事なんですね。コロナ禍でそういったイベントや祭りが少なくなっていくんですけれども、
もう一度考えて継続していく必要があるんじゃないかなというふうに感じています。
地域の未来を考える
最終日には、コーヒー解体が決まっている住宅の荷物を分別・搬出する作業を行いました。
高齢の方が住んでいた家で、火災一つ一つに思い出が詰まっているということを意識しながら丁寧に作業しました。
ボランティアの方から一つ一つに思い出があると思って運びましょうと声をかけられ、その言葉が深く心に刺さりました。
まだまだこのように荷物を運び出さなければいけない家というのはたくさんあるんですね。
このボランティアには千葉から来たベテランボランティアの方も見えていたので話をさせていただきました。
作業中には感謝されない時もあるけど、それでも少しでも役に立ちたいと思って来ていますとの言葉に人を支えるということの本質が見えた気がします。
なぜそこまでできるのかと考えた時、ボランティア同士と人間関係の深さがあるんじゃないかなと思いました。
重労働を汗だくになってみんなで行い、そしてボランティア同士の人間関係ができてお互いに称え合ったり話したり、
ただただ感謝されるだけでなく、共に汗を流した仲間とのつながりが生きる力にもなっているんじゃないかなというふうにも思いました。
現地の高校生からも話を聞くことができました。
通学路の危険や不便さを聞きました。
先ほども話しましたが、自動車が走るところは整備はされていても、歩道が整備されていないというところはたくさんあります。
ですから歩道がガタガタで自転車が転倒することもあったり、もしくはそこを避けて車道を走って事故が起きるケースもあるみたいです。
それでも彼らは今が良ければそれでいいではなく、自分たちの未来は自分たちで作るという強い意志を持っていました。
実際に地元でお店を立ち上げ運営し、収益を復興活動の資金に充てるという取り組みをしていました。
若い力の可能性を感じることができました。
野党を過疎にさせないために今を生きる高校生が立ち上がっている姿は私たちにも勇気を与えてくれました。
高校生たちは今ボランティアで多くの方が来て見えるけれども、してもらっているのが当たり前ということになってしまってはいけないという危機感を持っていました。
だから自分たちで自分たちの街を復興していくんだという、そんな気持ちを話してくれました。
この3日間で学んだことは数え切れませんが、特に2つのことをお伝えしたいと思います。
1つは本物に触れることの大切さです。
今はインターネットがあれば動画でいろんなことが情報として見ることが聞くことができると思います。
しかしインターネットで見た情報と現地に行って感じる空気、人の言葉、匂い、温度感はまるで違います。
その場に足を運び当事者と出会うこと、初めて本当の意味で知るということができるのだと実感しました。
人間は五感でいろんなものを感じていると思います。
目で見る、聞く、それだけではなく、その場で感じることは五感をすべて使って感じていると思います。
やはり本物を見る、現地に足を運ぶ、これはすごく大事なことなんじゃないかなというふうに改めて思っています。
2つ目はこの経験を自分の課題に重ねる視点を持つことです。
具体的に言うと、ノトの加速化が進むかどうかというのは、私たちの身の回りの問題とは別のものだと考えがちです。
しかしどうでしょう。私が感じたのは、ノトの復興と中小企業が抱える人材不足、人材確保の難しさとは似ているような気がするんですよね。
ノトを加速化させないという意味で、いかに皆さんに良さを知ってもらうか。
そういった取り組みというのは、実は中小企業が素晴らしい技術を持っていて、それを多くの方に知ってもらうのかということにも似ているんじゃないかなと思います。
中小企業の人材確保、魅力発信が過疎地域に応用できることもあるでしょうし、逆もまた叱りです。
このように、ある地域の課題というのは、自分の身の回りの課題に置き換えることも可能です。
むしろそのことができなければ、一体味というのが薄れてしまうと思います。
具体的な問題を一度中小化し、そして自分の中に落とし込み、自分の周りに起きている具体的な問題に置き換えてみる。
そしてまたそれを活かしてみる方法を考えることが大事なんじゃないかなと思っています。
そしてこのような学びの場は決して特別な人だけが参加するものではありません。
誰でも地域の行事に関わったり、一人でも多くの方と話したり、少し手伝ってみたり、そういった小さなことから始まるのではないかというふうにも思います。
私たちはミニエッセルの活動は今後も続けていきます。
もし見かけた際はぜひ応援してみてください。
そして機会あればボランティアだけではなく、まずは現地で、まずは本物を見るということで感じる経験をたくさんすることを心がけてみましょう。
今回も最後までお聞きいただきありがとうございました。
未来をつなぐものづくりは毎週月曜日朝7時から放送しています。
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来週は岐阜県の工業高校と岐阜大学と中小企業が協力して作った小型人工衛星についてお話ししたいなと思っております。
お楽しみに。