1. 未来をつなぐものづくり
  2. #8研磨の世界③
2025-06-25 10:24

#8研磨の世界③

大堀研磨工業所の大堀社長が大事にしている組織としての考えや社員に対しての想いを語っていただきました。今回が最終話になりますが是非お聞きください。

サマリー

大堀研磨工業所では、社員旅行やコミュニケーションの重要性について話されています。社員の技術向上や挑戦を続けることの大切さが強調されています。また、会社の独自の取り組みとして水耕栽培による野菜生産が紹介されており、社会的な価値観の変化にも触れられています。

社員のコミュニケーション
こんにちは。私は、岐阜県の工業高校で教員を務めている、すみです。
この番組、未来をつなぐものづくりでは、日本を支える製造業の技術や、そこで働く人たちの熱い思いを紹介していきます。
前回は、大堀社長に研磨の技能を身につけたり、高めたりするにはどうしたらいいのかということを伺いました。
今回は、大堀研磨工業所という組織としてどのような工夫をされているのか、そして共に働く社員にどのような思いがあるのかをお伺いしていきたいと思います。
会社として何か変わった取り組みというのがあったら教えてください。
社員旅行は重要視しています。
今と同じで、普段は工場の中にいて、家と会社を行ったり来たりすると、どうしても視野が狭くなるので、
社員旅行を年に一回やることで、新人もベテランも一緒に行くことによって、
普段話せない人と話してコミュニケーション力を高めたり、新しいものを見たり古い歴史を見たりすることで知見が広がる。
そうすると考え方も広くなるというか深くなるというか、刺激を与える意味でも社員旅行に行くんですね。
コロナ禍で飲み会を減らす方向に来ていますけれども、それとは逆ですね。
世代を越えてコミュニケーションを取れないと、なかなか先ほどの技術の伝承という部分でもコミュニケーションがスムーズではないと難しいですよね。
そうですね。あると思いますね。
飲み会とかだと、気の合う人と隣り合わせに座って喋って終わるんですけど、
社員旅行だと、アベの場所でいつものメンバーがいると、ものすごく連帯感が生まれるんですよね。
それでバスを降りたり乗ったり、どこかに見学したりするときに、普段喋らない人とやっぱり喋るんですよね。
そうすると、帰ってきてから聞けなかった人に聞けるようになったり、頼めなかった人に頼めるようになったり、こういうのが生まれるので、チームワークが深まるというか、そんな気もします。
職場が楽しくなりそうですね。
誰に聞いてもいいんだという安心感が聞きやすい雰囲気を作って、より技術の伝承とか、いろんなコミュニケーションがうまくいきそうですね。
また仕事場だと、ちょっとイライラしてたりとかプレッシャーがかかったりとかっていう場所なんですけど、観光みたいなところだとみんなリラックスしてるんで、優しく。
技術への挑戦
対応してくれるんでね。
切羽詰まってないですよね。
そういう一面も見えたりするんでね。
改めて社長は社員のことをどんなふうに思っているのかお伺いしたいんですけども、どうでしょうか。
そうですね。本当は日本の製造業が昔のように主役ではない時代なんですけど、うちは本当に宇宙とか世の中に役に立つ最先端の産業に関わっているということを社員さんには常に言っていて、
みんながいないと日本の成長はないぞぐらいの気持ちを持っていただけたらいいなというふうに思っているんですけれども、
やっぱりちょっと技術を身につけると自分はできるっていうふうになって職人になったような気持ちになってしまうんですけど、
ずっと挑戦し続けてほしいなっていうのが一番ありますね。
やっぱり技術にゴールはないですし、どんどん技術も進めば後ろへの要求も高まっていきますので、
本当に日本の未来に自分らの技術がないというプライドを持って何歳になっても挑戦し続けてほしいなと思いますし、
さっきも言ったみたいにAIが発達しても難易度の高い一個物の部品は絶対に作ることができないと思うので、
プライドも危機感も持ちながら挑戦し続けてほしいなというふうに思いますね。
大げさではなく日本を背負ってくれっていう感じですよね。
そのぐらいですよね。
だから今からロケットがどんどん上がってそこで人工衛星をどんどん打ち上げて、
AIが農業をやったりするような時代が来ると思うんですけど、
そこも全部あなたたちの手にかかっているぞというぐらいの気持ちでやってほしいなと思いますよね。
そう思いながらものづくりするっていうのがこれは醍醐味ですよね。
それがたぶんものづくりの楽しさでもあるしやりがいでもあると思うので、
日本は資源がない国なので、
いかに物を機能させて付加価値をつけて海外に売るか、
もしくは日本の先端企業に先端技術に貢献するかというところが醍醐味だと思いますので、
そこに自分がどれだけ関わっているか、
自分の有用性というかそういうものが感じられたときに
充実感と達成感、満足感が味わえるんじゃないかなとは思うんですよね。
我々がもっと関わっているベンチャー企業の、
例えば空飛ぶ車が飛んだりとかロケットが打ち上がったり、
人工衛星が宇宙から何かを発信したりしたときに、
ああ、あれ関わったなというふうに思えると嬉しいですもんね。
そうすると子供にも自慢できますし。
新たな価値観の実践
そういう気持ちにさせてあげられるのがものづくりというかね。
そうじゃないかなと思いますよね。
でもやっぱり難しい仕事は常にあるんですよね。
でもそれを受ける会社が減っている。
やっぱりやったことがないとか、やるのが不安だとか
という会社さんはあると思うんですけど、
うちの場合はまずちょっとやらせてくださいと。
やってみるというね。できるできないではなくて。
そうするとそれはできるんですよ、案外。
試行錯誤しないように。
そうするとそれが実績や経験となって次につながっていくので。
自信にもつながりますよね。
できるかできないかじゃなくて、やるかやらんかという感じですよね。
従業員さんは最初は偉いしプレッシャーもかかると思うんですけど、
それがなんとかできてお客さんからさすがですねみたいなことを言われると、
やっぱりやってよかったなという気持ちになりますよね。
大堀社長ありがとうございました。
大堀研磨工業所でしかできない技能をどのように高め伝承していくのかというところで
いろいろな話を伺い大変勉強になりました。
大堀研磨工業所は精密部品加工を行う会社ですが、
その技術を生かして水耕栽培で野菜を育てて飛行機野菜というブランドで販売しています。
具体的には航空機部品などの高精度な加工技術を応用し、
無農薬で安心安全な野菜を生産しているんです。
この取り組みはなぜ行っているのかといえば、
異業種でチャレンジするというところもあると思いますけれども、
一番は高齢者や障害者の方に働いてもらうような場所を作りたいという
大堀社長の思いがあると伺いました。
資本主義の中で利益第一とされがちな社会において、
人を大切にするというもう一つの価値観を本気で実践している会社だというふうに思いました。
人を大切にする、そんな言葉はよく耳にしますが、
本当にそれを行動で示す企業は多くありません。
特に大企業では難しい部分なのかもしれません。
私は今、高校の教員として若い世代に関わっていますが、
価値観も変わってきていると思っています。
給料が高い、休みが多い、大企業であるから安心。
これらの条件というのは就職を決めるにあたり一つの条件ではありますが、
それだけではないような気もしています。
これだけ世の中が人権を尊重され、自分らしさを出せる世の中になってきました。
そしてSNSが発達し、自分じゃない誰かがいつもキラキラしているように見える、そんな時代でもあります。
その中で自分が自分らしく、そしてやりがいを持って働くということが価値観として大きくなっていくのではないかと思っています。
自分らしく働けるか、人間関係の良さ、やりがいなど、
より本質的な価値に目が向き始めている生徒も多くなってきていると思っています。
しかしこれらはなかなか数値として見えにくい部分でもあります。
だからこそそういった部分を色々な形で皆さんにお伝えしたり、届けたり、共有したり、そんなことができたらいいなというふうに思っております。
改めて大堀社長ありがとうございました。
本日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
未来をつなぐものづくりは週1回放送しております。
工業広報の現状や企業の様子、色々なものづくりについての発信をしていきたいと思いますので、
ご感想などがありましたらぜひお聞かせください。
ではまた来週。
10:24

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