1. 未来をつなぐものづくり
  2. #15ロケット打ち上げ
2025-08-18 09:23

#15ロケット打ち上げ

岐阜県の工業高校生と岐阜大学、近隣企業と力を合わせて製作した超小型人工衛星「らいちょう」がフロリダからロケットに搭載されて打ち上げられます。

サマリー

岐阜工業高校の生徒たちが制作した超小型人工衛星ライチョウが、フロリダのケネディ宇宙センターからSpaceXのファルコン9ロケットで宇宙に打ち上げられます。このプロジェクトは岐阜大学や地元企業との協力によって実現し、国際交流を通じて平和の重要性を伝えています。

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こんにちは。岐阜県の工業高校の教員をしている、すみです。
この番組、未来をつなぐものづくりは、地域の魅力ある企業や、工業高校の教育現場、
そしてそこに関わる人たちの熱い思いを伝えていくポッドキャストです。
今回は特別な回になります。
宇宙への挑戦
8月24日、日本時間15時45分に、フロリダのケネディ宇宙センターから、
岐阜工業高校生が制作した超小型人工衛星、ライチョウが、
SpaceXのファルコン9ロケットに搭載されて、いよいよ宇宙へと旅立ちます。
この人工衛星は、岐阜工業の生徒だけで作ったわけではなくて、
岐阜ハイスクールサット、略してGHSプロジェクトというのを、岐阜県で立ち上げて、
岐阜大学と地元企業の皆さん、そして工業高校も、
複数の工業高校の生徒と協力して、人工衛星を作り上げてきました。
通常、高校生が関わる超小型人工衛星というのは、
宇宙で行うミッションを考えたり、相性を考えたりですね、
携わり方が多いんですけども、工業高校が携わるということで、
いかにこの製造に携われるかということをチャレンジしてきました。
実際、この人工衛星の構造体、本体ですね、
フレームに関しては、岐阜工業の生徒が3D CAD等を使って設計し、
そして試行錯誤して振動試験まで行って、完成させたものです。
その他、バッテリーについても、大垣工業の生徒が何度も試験して、
選定をしたバッテリーを使ったりとか、
実際に工業高校生が製造に携わったという点では、
おそらく日本初の取り組みなんじゃないかなというふうに思っています。
しかし、高校生が人工衛星の製作に携わるというのは、想像もつかないですよね。
私も全くそんなことをするとは全く思ってませんでしたけども、
まず宇宙とは何ぞやというところで、小型人工衛星が受ける影響ですよね。
無重力に対してどういった影響があるのか、
真空という空間においてどのようなことが起きるのか、
まあそういったことをですね、
一から生徒とともに勉強しながら設計をしていきました。
そんな中で、やはりいろんな規制があるんですよね。
NASAからこれはダメ、こうしなさいという、そういった規制のある中で、
信頼性のあるものじゃないと、やはり宇宙に持っていけないんですよね。
どういった物質でどういった加工をして、どういった仕組みになっているのか、
製作過程の工夫
まあそういったことがはっきりわからないと、
例えばですね、ロケットで国際宇宙ステーション、ISSに持って行って、
そこからこの人工衛星は宇宙飛行士によって宇宙に放出されるわけですけども、
そこでISSの中で例えば極端な話、発火してしまったりとかですね、
何かのトラブルでISSに危害を与えるようなことがあれば、
これは人が亡くなってしまったり、大変な被害になります。
ですから当然ながら多くの規制があるのは当たり前の話です。
これらの制約をすべて考慮しながら、
大きさが100ミリ×100ミリ×200ミリという結構小さな箱ですね。
この大きさの箱の中に通信機器やコンピューターとかカメラとか、
そういったものをすべて詰め込んで宇宙に持っていくという
人工衛星を作るというのがこの超小型人工衛星、
キューブサットと呼ばれるものです。
この制作には実質3年かかりました。
明日までにこの資料を提出するためにここのデータが欲しいとか、
そういったこともあるんですよね。
なので高校生も夜遅くまでですね、
やったり、時には泊まり込んでやったりとか、
本当に大変な時もありました。
なるべく自分たちで作り上げたいという思いから、
組み立て式のものにしたりとか、
部品点数が少なくなるようにということで一体型にしたりとか、
いろんな工夫をしながら最終的に完成させることができました。
完成して終わりというわけではなくて、
振動試験という試験でやったり、
高温相試験という試験があるんですよね。
振動試験というのはロケットの振動に耐えられるかどうかといったところの試験です。
これがなかなかうまくいかないと。
ある振動のところで周波数がこのぐらいということで決められているんですけれども、
それがなかなか値が出ないと。
本体に原因があるのか、それとも本体を振動試験に取り付けるジグと呼ばれるものが問題あるのか。
そこの見極めもなかなかうまくできず、
試行錯誤を本当に繰り返しながら、
何とかこれも基準値を満たしたということです。
高温相試験というのは高温から低温までですね。
先ほども出てきた宇宙というのは真空ですから、
太陽の輻射熱がダイレクトに当たる部分と全く当たらない部分では温度差がすごいあるんですよね。
プラスチックでも耐熱性にもよりますけれども、溶けてしまう可能性があるので、
こういった高温の中でもちゃんと機能するかどうかということを調べるというのが高温相試験です。
いろんな試験をしながら何とかJAXAを通じてNASAに資料を提出することができました。
この製作についてですね、回を改めて詳しく皆さんにお伝えできたらなと思っております。
国際交流の意義
そもそもこの小型人工衛星来朝のミッションって何ですかってことなんですけれども、
宇宙に行くだけではなくてカメラが搭載されているんですよね。
そのカメラで地球を撮るということがまず一つのミッションです。
通常のカメラだけじゃなく、4Kのカメラ、赤外線のカメラ、いろんな種類のカメラを搭載しておりますので、
それらで地球を撮影するというのが一つミッションであります。
もう一つがリトアニア、そしてオーストラリアの高校生たちと一緒に小型人工衛星が発する信号を受信して国際交流をしてみようというプロジェクトもあります。
事前にリトアニアとオーストラリアの高校生たちとウェブを通じて交流しました。
言葉は違いますけれども、画面越しに楽しく会話している生徒たちを見て、本当に今後が楽しみだなというふうに思っています。
今、世界情勢が不安定の中で、若い力が国際交流を通じて平和について考えられる、これこそがこのプロジェクトの真の価値だと思っています。
技術を通じて世界がつながる、ものづくりが平和な国際協力の手段となる、まさに未来への希望じゃないかなというふうに思っています。
そしてこのプロジェクトを通じて改めて感じたのは、工業高校の素晴らしさです。
理論だけでなく、実際に設計、加工、そして試験をし改善する、そのサイクルの中で生徒たちはエンジニアの力を身につけていったというふうに感じています。
そして地元企業の皆さんとディスカッションしながら、ああじゃないか、こうじゃないかという大人とのコミュニケーションも、
ものづくりという一つの共通の話題を通じてできたというのが非常に財産になったんじゃないかなと思っています。
岐阜の工業高校から宇宙へ、そして世界平和へ、これが私たちのものづくりが持つ可能性ではないでしょうか。
8月25日の打ち上げの様子、YouTubeでライブ配信される予定です。
ぜひ多くの皆さんに、岐阜の若い技術者たちの挑戦を見守っていただきたいと思います。
小さな人工衛星、雷鳥に込められた大きな夢と技術が、宇宙から私たちに何を伝えてくれるのか、
そしてリトアニア、オーストラリアの仲間たちにどんな未来を築いていけるのか、
これからも未来をつなぐものづくりは、地域の技術と教育の素晴らしさをお伝えしていきます。
次回の放送は、実際に私が打ち上げにフロリダまで行ってまいりますので、それをお伝えできたらなというふうに思っています。
天候が心配ですね。予定通り上がらないっていうことが結構ありますからね。
せっかくフロリダまで行くんで、何とか上がってほしいなと思ってるんですけども、どうですかね。
また次回、楽しみにしていてください。
今回の放送はここまでです。
番組の感想やご意見をぜひお聞かせください。
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また来週お会いしましょう。ありがとうございました。
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