1. 未来をつなぐものづくり
  2. #11 進路決定に向けて
2025-07-21 12:12

#11 進路決定に向けて

工業高校の進路決定に向けて現状をお伝えします。就職だけでなく進学についても話をしていきます。

サマリー

岐阜県の工業高校では、進路決定が生徒の成績に基づいて行われていますが、保護者の意見や生徒の適性も影響を与えています。最近の大学進学率は上昇しており、多様な入試方法が導入されています。進路決定に向けて、生徒たちは多様な能力を認められながら努力することの重要性を考えています。特に教育現場における支援の在り方やコミュニケーションの大切さが取り上げられています。

進路決定のプロセス
こんにちは。岐阜県の工業高校の教員をしている、すみです。
この番組、未来をつなぐものづくりは、地域の魅力ある企業や、工業高校の教育の現場、
そしてそこに関わる人たちの熱い思いを伝えていくポッドキャストです。
いよいよ求人票も出そろい、3年生も進路を決定する時期に来ました。
具体的に進路決定はどのようにしていくのかというと、
だいたい岐阜県の工業高校のやり方は、1年生の成績、2年生の成績、
そして3年生の1学期の成績の平均値で順位をつけて、
その順位の高い人から順番に自分の希望する企業を抑えていくような形です。
ですから、ある企業に求人が1名あったとすると、
そこに2名の生徒が希望したら、成績の高い生徒の方が優先となります。
そのような方法をとりながら、3者混乱で順番に進路を決定していきます。
毎年その3者混乱はスムーズに決まっていくわけではないんですよね。
常にどこかで鈍電返しがあったりとか、保護者の一言で変わったりとか、いろいろあるんですよね。
本日は進学と就職、両方の進路決定についてお話しできたらと思っております。
まず就職先の決定についてですが、
生徒に耳にタコができるぐらい早めに就職先を決めようという話はしているんですけども、
なかなか生徒もイメージが湧かないんですよね。しょうがないことですけども。
やっぱりいろんな職業を知らないっていうところは選ぶのに難しい。
私たちもなるべく多く企業見学をしたりとか、
企業の方を呼んで、実際の職業についてですね、いろいろ話をしてもらって、
生徒たちにより具体的にイメージをしてもらおうと、
そして自分に合うかどうかを考えてもらおうというふうに思っているんですけども、
決めきれずに切羽詰まっていいやっていうふうに最後決める生徒も中にはいます。
なかなか高校生に自分の進路を自分の適性と合わせて決めろというのは難しいことだと思っていますが、
やはりここはいろんな人の話を聞いて自分のことを客観的に見れる力をつけている子は決めやすいかなというふうに思います。
ただ全員が全員そういうわけではないので、最後の最後まで悩むという生徒もたくさんいます。
そこで担任の先生含めて学科の先生たちはいろんな話を迷っている生徒から質問を受けたり、
もしくは先生の方から話しかけてどうだということで相談に乗ったりするわけですけども、
それぞれの先生たちの視点でその生徒がどんなことに合うのかなということを会話の中から絞っていくんですよね。
先ほども話しましたが就職を決める順番というのは成績順ですが、
職業を考えるときにやはり成績だけではないんですよね。
学校の授業の点数だけでは表れない普段の生活からの積極性や、
もしくは素直さとか、もしくはコミュニケーションの得意不得意も含めて、
なかなか成績だけでは表せないところの方が実は重要なんですよね。
私たち教員はそういったところも踏まえながら、
その生徒がどんな職業に合うのかなというところを大企業、中小企業問わずですね、
まず本人の希望とすり合わせながら決めていくということをしています。
そして三者懇談までに大体希望が方向性決まったなということで三者懇談に臨むんですけども、
ここでですね、たまに大どんでん返しが起きます。
保護者の一言で生徒が迷ってしまうということがあったりとか、
強引に方向性が変わってしまったりといったこともあります。
保護者の方の言い分もわからないでもないです。
大学進学の現状
例えば聞いたこともないような会社を勧められても、
いやいやこっちの聞いたことあるような会社の方がいいんじゃないですか先生と、
いうのはやはり子どもを思う親の気持ちだと思いますけども、
ただ本人にとってどんな会社がいいかというのは決して、
聞いたことのあるような大企業が正解ということではないんですよね。
やはりそれぞれの企業が求める人材というものもありますし、
それぞれの企業の教育体制とか、
新入社員のビジョンとかそういったことも踏まえて、
やはり決定していく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
ただ保護者の方も将来的に地元で働いて、
自分の近くにいてほしいというような希望があるならば、
そのようなことも伝えておいた方がいいですよね。
例えば大企業に行って職場がもう地元ではなく、
例えば東京であったり豊田市であったりとかすると、
そちらで世帯を持ってしまって帰ってこられないということもあります。
ですから保護者の方はお前の好きなようにしていいよと言われる方も多いですけれども、
将来的に地元で生活してほしいという希望があるならば、
伝えておいた方がいいかなというふうに思っています。
大企業に就職した生徒で、
もう通勤がしんどいなというふうに訴えている卒業生も中にはいるんですよね。
ただ十何年働くとなかなか給料の関係もあって、
転職もしづらいということで悩んでいる卒業生もいます。
そこは家庭で一度相談された方がいいんじゃないかなというふうに思います。
次は進学について話をしたいと思います。
本当に大学というのは入りやすくなっているという実感がありますね。
誤解を恐れずに言うと、大学を選ばなければ大学生になりやすい、
かなり前入に近いような形になってきているような状況です。
ですから工業高校からでも大学に進学したいという希望者は年々増えてきています。
そして希望者はそのまま大学生になりやすいので、
結果的に実際に進学率が高くなってきているという状況があります。
大学もいろいろな入試の方法があります。
大学共通テストも記述式を入れようとしていたり、
今までのマークシート式で間違いを探すという思考を変化していかないと、
いかにこの答えがない、そして変化が早い現代の中で生きていこうと思ったときに、
主体的にいろいろ考えられる力を持った学生を増やしていきたいということが考えられています。
一般選抜での入学の割合は10年で81.5%から76.7%に減っています。
つまり多くの生徒が推薦や総合型選抜といったような、
共通テストを受けなくても入れるような入試制度を使って大学に合格しているということです。
これは大学側も多様な力を評価する方法として多くの大学が採用しています。
記述式の試験だけではわからない思考力や表現力、主体性などが重視されていますので、
学力だけではない多様な価値観を評価するという方向になってきています。
人間の能力は学力だけではないということは皆さん知っていると思いますけれども、
当然ですね、音楽で聞いた音を表現するということであったり、
多様な能力を認める
素晴らしい絵をもしくは想像力を働かせたデザインを考えたり、
スポーツで人が真似できないような動きをする、
そういったこともある意味人間の脳みそを使った活動ですから、
頭がいいとできないですよね。
ですから頭がいいということは点数が取れるだけではなく、いろいろな評価ができますよと、
そういったものも認めていきましょうということは良い方向性だと思っています。
ただしこれも捉え方を間違えると取り返しにつかないことになります。
どういったことかというと、
例えば学力試験に出てくるような教科の勉強が苦手だけどもスポーツは得意という生徒がいたとします。
そしてその生徒はその能力を認められて、
高校の入試もしくは大学の入試もそれを認められた上でクリアしてきた。
それは多様な力を評価されたという一面もありますが、
生徒の捉え方を間違えると得意なことだけやっていれば苦手なことはやらなくても多めに見てもらえるというような間違った成功体験を積んでしまう可能性があります。
好きなことだけあればいいということでは社会では通用しません。
ですから多様な能力を認められた上でその能力を生かすために努力をするということを忘れてしまうと、
これは世の中で通用しない力になってしまいます。
例えば今言ったスポーツが得意な子も、
そのスポーツを極めるにはトライアンドエラーを繰り返したり成功までの道のりは絶やすいものではないと思います。
しかしその繰り返しが社会に出た時に通用するというふうに認められるわけですよね。
ですからスポーツが得意だけで終わっている生徒は苦手なことは置いておいてもいいやっていうふうになりがちなので、
ここは十分注意してください。
高校入試、大学入試と特にスポーツで進学を決めてきた生徒はこういった思考に陥りやすい傾向にありますから注意してほしいなというふうに思います。
教育現場との関わり
今回は就職、進学ともにそれぞれ進路を決定する上で教育現場に起きていることや思いを伝えていきました。
就職も進学も最終的に選ぶのは本人ですけども、支えるのは周りの大人たちです。
成績順、特技の推薦など色々な制度がありますが、すべて大事なことは人間力がどれだけ自分にあるのかということを理解することであったり、
それを高めるための高校生活を送るということだと思っています。
そしてやはりそれに気づくためには色々な人との会話から自分を見つめるということが大事なんじゃないでしょうか。
ですから生徒たちは先生という大人となるべくたくさん会話をしてほしいなというふうに思います。
そして当然ながら保護者とも話してほしいなというふうに思いますが、
思春期なんでね、なかなか話しづらいということもあると思います。
だからこそ学校でのいろんな先生いますからね、話しかけてザックバランに会話をしてほしいなというふうに思っています。
そして最終的に自分の進路を自分で決めると納得して決めるというふうにしてほしいなというふうに願っています。
これからも学校のことや企業のことをどんどん発信していきたいと思います。
またこんなことを聞いてみたいというリクエストや質問があればぜひお便りをいただければ嬉しいです。
番組の感想やご意見もぜひお聞かせください。
ポッドキャストやスポティファイでのレビューは私にとっても大きな励みになりますし、
新しいリスナーの方々に番組を見つけていただくためにも役立ちます。
未来をつなぐものづくりは毎週月曜日朝7時を配信予定しています。
お楽しみに。
それではまた来週お会いしましょう。
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