面接指導の重要性
こんにちは。岐阜県の工業高校で教員を教える、すみです。
この番組、未来をつなぐものづくりでは、日本の製造業を支える企業の技術や、
そこで働く人たちの思い、そして工業高校での教育現場を紹介していきます。
今回は、工業高校生の面接指導について、生徒の皆さんの立場から、
そして企業の方の立場から、それぞれの視点でお話ししていきたいと思います。
就職試験と聞くと、多くの生徒は緊張すると感じると思います。
でも今の面接は、昔に比べると随分と優しくなったような感じがします。
企業側もコンプライアンスを守る中で、質問できる内容が限られてきていますし、
かつてのような圧迫面接はほとんどありません。
だからこそ大事なのは、安心して自分のことを伝える準備です。
ではまず最初にお伝えしたいのは、志望動機をしっかりと考えることです。
これ何回も面接指導をしていて本当に思うんですけれども、
会社のことをあまり調べていないという生徒がいますよね。
なんとなく名前が知っているからとか、給料がいいからとか、
親に勧められたとか、そういったのも理由の一つではあるとは思いますけれども、
この会社で何がしたいのか、この会社の仕事の内容にどんなことに共感しているのかとか、
そういったことをやっぱり自分自身でしっかりと調べ尽くして、
絶対に自分はここで働きたいと思えるようにならないと、
結果的には試験に受かるための面接指導ではなくて、
自分がそこで働くための準備そのものなんですよね。
会社に入ってからこんなはずじゃなかったなとか、
もっとこういうふうじゃないかなと思ってたとか、
そんなふうに思うときは必ずあると思います。
だけども思い出してください。
今、面接指導のためにかもしれませんけれども、
志望動機をしっかりと考え尽くすことで、
なぜ自分がこの会社に入ったのかということが、
それを原点として作れるんですよね。
つらいとき苦しいときに、その原点に戻れるようにするためにも、
今なぜその会社を自分が希望しているのか、
そして絶対にそこで働きたいと思っているのかということを固めてほしいんです。
ですから、志望動機が甘くても、
売り手市場の今のこの現状だと、
合格する可能性は高いと思いますけれども、
そういったことではなくて、
自分自身の気持ちを固めるためにも、
もう一度企業のことをしっかりと、
もうインターネット何回も何回も見て、
資料を取り寄せて、
実際にものを作って手に入るものなら、
実際に手に取って使ってみたりとか、
しっかり自分でリサーチして、
その上で絶対ここで働きたいという気持ちを高めていってくださいよ。
そういったことがまず第一に必要なことです。
受験生の本気度
過去面接についてのエピソードを何点か話して、
皆さんにも共有していこうと思っています。
一つはですね、
某自動車関係の企業を受験する人たちは、
結構九州から試験を受けに来る工業高校生がいます。
九州からは昔から愛知県の方に就職するっていう子が一定数います。
それは九州の方に大きな会社がないとか、
就職口が少ないとか、
そういったことがあると思いますけども、
やはり大企業ってなると愛知県に結構集中しているところがありますよね。
ですから九州の工業高校でも、
優秀な生徒が愛知県の企業を受けに来ているということは毎年あります。
九州から親元離れて、
愛知県に永住するつもりで試験を受けに来るわけですから、
本気度が違うんですよ。
自宅から通えたらいいな、自宅から近い方がいいなということで、
岐阜県の子は愛知県の企業も受けることはできますけども、
もう家に帰らないと、
実家には帰らないという強い気持ちを持って受けに来ている九州からの子たちの迫力に圧倒されることがあります。
過去も集団面接で同じグループに九州の生徒がいて、
そのハキハキした受け答えや面接の内容を聞いて焦ってしまう生徒がいました。
自分も何とかうまく言わなきゃ、もっといいこと言わなきゃと焦りが焦りを生み、
墓穴を掘ってしまうということがありました。
ここで大事なのは、やはり自分の等身大をしっかりとその場で見てもらうという気持ちを大切にしてください。
面接とその変化
無理に背伸びをして、いつもの自分を見せれないというのが一番良くないと思いますよ。
またグループディスカッションとかでも一人で話し続けるせいと思います。
自分をアピールしたいという気持ちだと思いますけども、
周りを見たり、人の話を聞いたりしてっていうのは結構大事ですから、
周りの空気を読んで協調性を持ちつつ、
要点を簡潔に伝える力っていうのを身につけなきゃいけないですよね。
この辺は日常生活の会話の中で習慣となっていることなので、
改めて気をつけるということよりも、
どちらかというとアピールしなきゃという焦りで話さなきゃって思うことを、
普段通り自分の思ったことを言おうという気持ちに切り替えれば、
それでいいのかなというふうに思っています。
昔はいろんな面接がありましたよ。
例えばですね、腕立て伏せをするなんてこともありました。
体力を見ているんですかね。
試験前に腕立て伏せを練習したりする生徒もいました。
ある会社は紙飛行機を飛ばすユニークな試験もありました。
まず見本の紙飛行機があって、
折り方が非常に複雑で、
それと同じように紙飛行機を作るという課題です。
受験してきた生徒は受験報告書というのを書くんですけれども、
そこの会社を希望して受験してきた生徒は、
来年度に行かせてくださいということで、
紙飛行機を同じように折って受験報告書に貼っていました。
今はちょっとその紙飛行機を作る試験もなくなってしまいましたけどね。
私自身が受けた教員採用試験でも、
昔は水泳があったんですよ。
5人ぐらいでプールに入って、
よう挑んで25メートル泳ぐわけです。
何泳ぎでもいいということでした。
私はクロールで最速で泳ぎました。
5人、6人の間で1番で泳ぎ、25メートル達した時に、
ゴールにいた先生にタイムを聞きました。
何秒ですか?
しかし試験官の方はタイムは関係ありませんとおっしゃられました。
結構一生懸命泳いだんですけどね。
何のための試験なのかなということなんですけれども、
一説によると、
昔、生徒児童が川で溺れた時に泳ぎに自信がなく、
助けに行けなかった先生がいたので、
それを試しているんだとか、
もしくは裸になることで、
入れ墨があるかどうかを見ているんだとか、
いろんな憶測がありましたけれども、
今となっては謎です。
私が1番で泳ぎ切ったということが、
採用試験に合格した要因になったかどうかもまた謎です。
そんなことは昔いろいろありましたけれども、
今はですね、企業側もコンプライアンスを守る中で、
質問できる内容が限られてきているんですよね。
なので昔のような圧迫面接というのはほとんどないですから、
皆さん安心してください。
そして意外と忘れがちなのが、
面接以外の場面も見られているということですよ。
これは例えば会社に来た時に何か文字文字しているから、
頼りなさそうで不合格にしましたというのは、
過去にあったんですよ。
今はそういったことはないとは思いますけれども、
会場に入った瞬間以外のところでもですね、
面接試験が始まっていますと。
でもそう言って、
じゃあ気をつけましょうと言って気をつけられるものじゃないですよね。
面接における自己管理の重要性
何が大事になるかと言ったらやっぱり普段なんですよね。
普段の行動、普段の積極性、
そういったものが随所にやっぱりいろんなところに出ますから、
今からでも遅くないですから、
しっかりとやっぱり自分自身で
規律を持った生活をするということは大事です。
大事なことは自分自身の人間性は日々作られているので、
毎日の習慣をしっかりと意識して生活しましょうということが、
結果的には面接にも活かされるんじゃないでしょうか。
またある生徒がですね、
こんな失敗してしまったことがあったので紹介しておきます。
昔なんでね、ちょっと圧迫面接を受けたと。
だから自分自身うまくしゃべれなかったという気持ちがあったんでしょうね。
そんな時にSNSを使って、
そういったことを発信してしまった生徒がいました。
当然企業はネット上ですね、検索してますから、
お宅の生徒さんこんなこと言ってましたよと連絡がありました。
それが原因でその会社を辞退する必要はなかったんですけども、
最終的にはですね、生徒と話し合って辞退するということになってしまいました。
普段から言葉に責任を持つということは、
面接の本質と心構え
これは入社試験だからどうのこうのということではなく、
一社会人として大事なことですからね。
こういったことも自覚を持って行動してほしいなというふうに思っています。
企業側の視点というのは年々面接で聞けることが限られてきています。
こういったこと聞いていけませんよとかあるんですよね。
例えば尊敬する人は誰ですか。
結構聞いちゃいそうな内容ですけども、
プライベート何やってるんですかとか、
そういったこともですね、実は聞けないんですよ。
ですからまあ高校で何やってきたのかということは、
非常に聞きやすい内容なのかなというふうに思っています。
そしてまあ面接を通じて企業が評価するのは、
安全に働けるのかとか、落ち着きはあるかとか、
継続性あるかなとか、
コミュニケーション能力があって協力できるかなということを確認しているということですよね。
ですから落とす面接というよりも、
やはり相性を見るということの方が大きいんじゃないでしょうか。
高校生にとっては社会人になる第一歩、
企業にとっては将来の仲間を迎える第一歩、
お互いに緊張しながらも前向きな出会いの場になっているということだけお伝えしておきます。
ここで話をまとめますと、
1つ目、志望動機は合格のためではなく、
働く意味を見つけるために考える。
2つ目、面接では焦らず等身大の自分を堂々と伝える。
3つ目、グループディスカッションでは協調性と簡潔さが大事。
4つ目、面接以外の場面も見られていることを意識する。
5つ目、SNSも含めて普段から自分の言葉に責任を持つ。
生徒の皆さんには合格することではなく、
入社後に自分らしく働き続けられるかどうか、
そういったことを見据えて準備してほしいと思っています。
面接はあくまでその第一歩に過ぎません。
面接はゴールではありません。
企業から合格通知が来て、それがゴールでもありません。
すべて皆さん人生のスタートラインに立つ。
そしてその一歩をどう踏み出すかという、
そういった場面だと思います。
うまく答えられなくても、緊張して声が震えても大丈夫です。
大切なのは自分はここで頑張りたいという思いを
まっすぐ伝えることです。
その気持ちは必ず相手に届きます。
そして面接は一発勝負ですが、準備は裏切りません。
企業を調べ、自分の思いを整理し、姿勢を整える。
その努力は皆さんを強く支えてくれています。
だからどうか自分自身に自信を持って臨んでください。
皆さん一人一人の未来を私は応援しています。
頑張ってください。
今日は工業高校生の面接試験についてお話ししました。
少しでも前に進む勇気につながれば嬉しいです。
未来をつなぐものづくりは、毎週月曜朝7時に配信しております。
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ではまた来週お会いしましょう。さようなら。