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  2. #149 吉祥寺プラザありがとう..

東京に残った最後の単館ロードショーの映画館「吉祥寺プラザ」が最後に選んだ作品が『君たちはどう生きるか』と『もののけ姫』。近所に住むささきるが初日に馳せ参じてきました!

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サマリー

2021年1月31日に営業を終了する吉祥寺プラザで上映されている最後の作品は、もののけ姫です。ホストは吉祥寺プラザの思い出を話しながら、もののけ姫の魅力についてお話ししています。この回では、映画『もののけ姫』の特集が行われています。物語はアシタカが村を旅立ち、帰ってこない冒険から始まります。主人公は勝ったわけでも負けたわけでもない特殊な要素を持っています。さらに、映画の中でアシタカがサンと共通点を感じる場面や、作品が和風ファンタジーであることも取り上げられています。もののけ姫は、和風ファンタジーとして制作され、柳田邦夫や水木茂の影響を受けています。また、作品中には阿弥野由彦の阿弥野史学の成果が取り入れられており、多くの人々に影響を与えています。吉祥寺プラザの背景アートの素晴らしさや、メラさんが歌う物抜け姫の歌がオススメのポイントです。また、久石譲の新しいシンフォニックセレブレーションにも触れられています。

吉祥寺プラザの思い出
2021年1月31日に営業を終了する、東京最後の単館ロードショー映画館、吉祥寺プラザ。その最後の作品として、今掛かっているのが、君たちはどう生きるかと、もののけ姫です。
私、吉祥寺の近くに住んでおりまして、吉祥寺プラザ、何回も行きました。
そしてですね、昨年メディアヌップで、君たちはどう生きるか何回も特集したようにですね、宮崎駿監督のファンで、もののけ姫も好きな作品です。
なので、今日はですね、公開からもう27年が経ってますけども、改めて、もののけ姫の特集をしてみたいと思います。
メディアヌップ、こんばんは佐々木です。
今日はもののけ姫の特集ということなんですけれども、そのきっかけになったのが、東京武蔵野市にある吉祥寺プラザという映画館なんですけれども、
これ私のお家の近所にある映画館で、特にね、アニメとかね、よく描けてくれるんで、子供といろいろ行きました。
シング2を見たのもここだったし、あとはジュジュス回線ゼロを見たのもね、ここでした。
だからすごくね、子供と何回も見に行った懐かしい思い出があるんで、なくなっちゃうことがすごく寂しいんですけどもね。
おそらく、近所にいる人みんなそういう気持ちなんじゃないかと思います。
これ調べてみたら、1956年が創業で、その時東映の作品を描ける、東映の映画館だったらしいんですけれども、
1997年、もののけ姫の公開の時にですね、これは東方が配給なんですけれども、
なんと吉祥寺でもののけ姫が描かれる映画館がないと、何とか描けられないかという相談があって、
東映系の映画館だったんだけれども、名前を吉祥寺プラザと変えてですね、
元は何かというと吉祥寺東映という映画館だったんですけれども、それを吉祥寺プラザと改名して、
吉祥寺プラザの閉館ともののけ姫
改名と同時にもののけ姫を公開して、それが大ヒットしたと。
というわけで今回の閉館に際して最後に描ける作品に選ばれたのが、吉祥寺プラザの思い出深い作品ということで、もののけ姫だそうです。
というわけでね、私もそのもののけ姫が描かれる初日の土曜日に行ってきました。
ただね、行ってきたんですけども見れませんでした。どういう仕組みになっているかというと、
この吉祥寺プラザはオンラインでチケットの予約ができなくてですね、必ず並んで買わなきゃいけないと。
座席してもできないと。で、もののけ姫が11時から県が発売開始だったんですね。
公開は1時台、あと3時台、あと8時台とかだったかな。そんな感じであったんですけども、私10時に行きまして。
10時だとね、1時間前なんですよ。これ結構だいぶ早いんですよね。
君たちはどう行けるかのチケットを買っている人が数組並んでいて、その他もののけ姫狙いかなという人が2、3組いたぐらいだったんですよ。
だからもうちょい後から来ても大丈夫だなと思ってですね、ちょっと買い物行ったんですね、30分ぐらい。
で、10時半ぐらいかな、10時45分ぐらいかな。
そんぐらいに戻ったらですね、もうあれは200組以上並んでいて、建物の正面だけじゃなくて角曲がってというか裏の方まで並んでて。
で、Twitterなんかで調べてみたら、初回の13時台はもう全部売り切れ。
で、15時台だったかな、昼のもう1回のやつも全部売り切れ。
夜の20時の回になんとか滑り込むことができたというふうに書いていたので、
もうチケット販売開始前の11時の時点、11時前の時点でもう夜の回まで大体埋まっているという感じだったんですね。
しかもですね、座席指定じゃないのでチケット買った後、また並ぶんですよ。
いい席に座ろうと思ったらということですけども、また並ぶんですね。
で、この並びに子どもを付き合わせるのはちょっと忍びないと思って、諦めて。
諦めてどうしたかというと、家で見ました。
家ででっかい画面と、あとはちゃんと大きい音するスピーカーをつないで見ました。
だから、吉祥寺プラザで見ることが叶わなかったんですけども、
もののけ姫の魅力
吉祥寺プラザの外観を見に行って、その日もののけ姫を見たという意味では、半分ぐらい見たと言ってもいいんじゃないかという感じですね。
ちょっと近所なんで、もう1回ぐらい狙っていこうかと思うんですけども。
この買いづらさね。
普段こんなに大人気の作品ばかりじゃないんで、普段困ることなくてですね。
むしろ普段はいいんですよ。フラッと行って、サッと入って、見ていくっていうのにすごくぴったりなんで。
普段全く困らないというか、逆に好感が持てる。
そこに行けば見れるみたいな、わかりやすい映画館で好きだったんですけども、残念ですね。返す返すも。
ちょっとその辺のニュースというか、なぜ閉まることになったのかみたいなのは、いろいろ新聞等でも報じられていますが、機材の入れ替え等で費用がかかるんだというようなことでした。
というわけで、もののけ姫なんですが、好きな作品だなという印象を持っていながらですね、これ見返したのはいつぶりだろうか。
たぶん頭から最後まで通してみたのは、23年ぶりとかだと思います。私今43歳なので、20歳とかそのぐらいの時が最後だと思います。
金曜ロードショーとかでね、やることありますけど、私CMで中断されるのが好きじゃないんで、だいたいああいうの見ないんですよね。
ただチラッと見かけて、ああいいシーンだなと思って見ることはあるんで、ちょっと見かけたことはあるけど、頭から通してみたのは本当に久しぶりでした。
そしたらね、なんか想像より面白かったですね。想像よりっていうのはね、何を想像してたかというと、97年の公開された年に見に行ったんですよね。
それは、弟子のっていうか、弟子って言っていいのか、庵野秀明監督のエヴァンゲリオンの映画。
それと同じ夏に公開だったんで、指定対決みたいなことを言われたんですよね、当時、1997年。旧劇場版ですね。
で、私は当時岩手県に住んでいたので、電車で1時間かけて森岡市まで行って、1日でエヴァンゲリオンともののけ姫、この2本を見てきたんですね。
で、あの時はね、エヴァンゲリオンは座れました。ただ、もののけ姫は座れなくて、劇場の脇の席に2時間以上立って見たんですよね。
そういう風にして、割と困難を伴う。疲れますからね、普通に。
見たという意味では、とても思い出深いんですけれども、どう咀嚼していいかわからないというか、高校生には難しかった部分もありまして、
すごい作品だなとは思いました。思ったけど、なんかそれがピタッと心に寄り添う感じで着地したかというと、そんなことはなくて、
繰り返し繰り返し何度も見たいなという風には、なんかあんまり思わなかったんですよね。なんか見るのに、「よし、見るぞ!」みたいな感じで、腰を据えないとなかなか見られないような。
わかりますでしょう?その他の紅の豚とか、かけのえのポニョとかが気楽に見れるに対して、物の劇名は結構見るぞって思って見ないと見れないみたいなところがあったんで、
それでなかなか見返さなかったんじゃないかと思うんですけれども、ただ時間が経って肩に力の入った宣伝をね、そういうのを間に受けなくなって、
宣伝って言ってももう20何年も前の話ですから、何気なくフラッと見たらね、何気なくフラッとというかプラザの閉館に合わせて見たわけですけどね、すごい面白かったですね。
じゃあどこが面白かったのか。今日はちょっとそんな話をしようと思います。まずね、物の劇名がどういう話か。これほど多くの人に見られている作品はないと思うんで、
改めて説明されるまでもないんじゃないかと思うんですけども、なかなかに複雑な話なので、要約する人があれば、なんか違う話に聞こえるってこともあるかもしれないので、一応そのあらすじというかね、お話の説明を試みてみます。
まず物語の中心地になっているのは西の方。これ具体的には九州地方のことだと思いますけども、そこでエボシゴゼンという人が山の中にですね、大規模なタタラ場を作っていると。
これですね、歴史上存在しません。タタラ製鉄というものは技術としては存在してたんですけども、あんなふうに何人くらいいるんだろう、あの砦に。200人とか、わかんないけど、持っているかもしれませんね。
あんなふうに大規模なやり方をするタタラ製鉄というのは歴史に残っていないので、フィクションの部分です。
ただエボシゴゼンがやろうとしたことというのは、例えばハンセン病患者とか、あるいは女性とか、いわゆる武士社会とか侍社会みたいなものの中で、ちゃんとしたポジション、地位を与えられなかった人たちをちゃんと活躍させる。
それに木を切り倒して、それをエネルギーに変えて、タタラ製鉄、フィゴで火を食って溶かして製鉄する。それで武器製造をして、それを販売して事業するということをしているわけですよね。
これ、今でいう6次産業みたいな、1次産業、2次産業、3次産業、合わせて6次産業とか言いますけれども、鉄を作るだけじゃなくて、そこから武器を作るところまでやるということを大規模に産業化しているということにチャレンジしている経営者なんですよね。
それだけ大量の鉄を溶かすには、エネルギーとして木を切り倒す必要がある。なので、シシ神の森という太古からある森をエネルギー源として切り開いていくということをしようとしている。ここはお話の中心地になります。
その過程でイノシシの神様が銃で撃たれて、体の中に鉄の弾が残って苦しんでその場から逃げて、逃げる過程でタタリガメになって、なんと遥々遠く、東北まで逃げていきますね。それが映画の冒頭のシーンですね。
アシタカたちが住む、エミシの末裔が住んでいる岩手県あたりの村の中に、そのタタリガメとなったイノシシがやってくると。アシタカがそれを退治する過程で、逆にアシタカの方が呪われてしまうわけですね。左腕にグルグルとした紋様が、紫のような黒のような紋様が出ますけれども。
それを村の中にですね、そういう呪いを残すことはできないので、追放されると。ただし、挫して死を待つのではなくて、この呪いの元になった場所に行けば、あるいは何らかのソリューションが…ソリューション?これダメだな。
アシタカの冒険
そういう言葉遣いをしてはいけないな。何らかの助かる道があるのかもしれないと希望を抱いて、アシタカが村を旅立っていくというのが冒頭のシーンですね。前半に関しては、前半というかそういう話ですと。
この話が非常に特徴的というか特殊なのは、よくある若い若者が冒険に出ていくと、何かお姫様を…なんていうか心を射止めるとかね。魔王を倒すと。あるいは大事なもの、呪いを解いて、やがて元いた場所に帰ってくる、みたいなことがよくあるんだと思うんですけれども。
それが雪手会議士物語という、みんなが期待する代表的なお話のアーキタイプなんですけれども、そうじゃないというところがこのお話の面白いところで、アシタカは冒頭で生まれ育った町。
やがてはそこのリーダーになると期待されたところを追われると、そして二度と帰ってくることができないというところからスタートするんですよね。
しかもそれがですね、実際にそうなわけですね。実際に二度と帰ってこないんですよ。
しかもそれが面白いのは、映画の最後の方にありますけれども、アシタカはタタラバに残るって言ったんですよね。
そしてそのタタラバ、これ数百人規模でやってる大規模なタタラバっていうのは歴史に残っていないので、
あのエボシゴゼンのチャレンジは失敗したということを意味してるんですね。
なんという、その冒険し、あれ呪い解かれたっていうのかな?呪いの力弱まったと見て、
最後ね、しし神が再生していったその光を浴びた後に左側に残った呪いっていうのは小さくなっていたけど消えてませんでしたよね。
だから呪いは消せなかった。でも小さくはなった。
あれが意味するところは、消えはしないけど、そういうものを呪いをこもって生きるってことだと思うんですけども、
呪いも解くことができず、村にも帰れず、その時いたタタラバっていうのは、
あのチャレンジは最後のところで成功しなかった。なんというね、敗北という悲しい物語なんだろう。
でもね、悲しいとそういう言葉で片付けちゃいましたけども、なんというか、片付けちゃいけないんですよね。
それの敗北とかなんとかで周りの人が決めるもんじゃなくて、その時その時一生懸命生きてる人にとってはどうでもいいと思うんですけど、
自分たちに置き換えてもそうですよね。周りの人が成功か失敗かとかって判断しませんよね。
そういう物語の典型を逸脱しながら、必ずしも勝ったと言えない、しかも勝利したと言えない人を主人公にしたお話なんですよね。
それが苦しさ、面白さなんですけど、改めて見てね、変わった物語だし面白かったですね。
今回見ながら心がグッと捕まえたポイントがあって、有名な歌がありますよね。
もののけ姫の、皆さんが歌ってるやつありますよね。
特殊な物語の要素
これ作詞、宮崎駿、作曲、被災市場なんですけども、
もののけ姫、つまり三年。三年あった時の足高の心に浮かんだ言葉、もの、それを歌詞にしたっていうことなんですね。
皆さんよく知ってる曲だと思うんですけども、ちょっと歌詞を読んでみたいと思います。
刃された刃の美しい、その切先によく似た、そなたの横顔。
悲しみと怒りに潜む、誠の心を知るは、森のせい、もののけたちだけ。
もののけたちだけ。
という歌詞です。
これは、張り詰めた夢の震える鶴よ。
すごく緊張した、張り詰めた、切羽詰まった。
そういう存在だというふうに思うわけですよね。
研ぎ澄まされた刃の美しい、その切先によく似た、その横顔。
これ外見のことを言っているようですけども、その心持ちのことも言っているわけですよね。
そして悲しみと怒りに潜んでいる、本当の心を知る、それを知っているのは森のせいたちだけなんだということを言っている。
初めてサンと会うのは、川を挟んで、銃に撃たれたモロね。
大きな白い狼ね。
そのモロの血を吸い出しているというか、なんとか鉄の弾を取り出そうとして血を吸っている。
そういうところを見るわけですけども、あそこで会うわけですけども。
サンと何回かの接触を通してこういうふうに思ったということなんですよね。
これはなんとかサンのキャラクターを表すのにピッタリな歌詞だなというのは昔から思っていたんですけども、
サンとアシタカの類似点、和風ファンタジー
今回見て新たに気づいたこととしては、なんでこれがアシタカの心を打ったかというと、
これ実は自分と似たところをサンの中に発見したからなんだと思うんですよね。
その張り詰めた弓の震える鶴。月の光にざわめく心。
研ぎ澄まされた刃のように美しい、その切っ先によく似た心。
悲しみと怒りに潜む誠の心を知る者は誰だ。
みたいなことは実はアシタカの中に起こっていると。
アシタカっていうのは自分の内面を発露しないキャラクターなので、
悲しんでるとか怒ってるってことがよくわからないんですけども、
それは悲しんだり怒ったりしてないってことじゃなくて、
それは見せてないだけで、ものすごく自分が生まれた場所を追われたことも悲しいと思っているし、
森と人がやりたいことが衝突している、解決できないことにフラストレーションを抱えている。
でもそれを理解してくれる人は誰もいない。
すごく似てるんですよね。
すごく似てるから心惹かれたっていう、この二人が心惹かれたってことだと思うんですけども、
それがこの歌を聴いたときに、サンの歌なんだけど、アシタカの歌でもあったなっていうのを聞きながらすごく、
音楽もいいし映像も良かったんで、そういうことをすごく感じました。
この映画の中には森の中でも複数の勢力が出てくると。
太古から生きている、何千年も生きているような体の大きな狼とかイノシシとかに対して、
もっと若い世代の小さく愚かになったと言われているようなタイプの動物とか妖怪とか、
人間の中でもたくさんの立場があって、より開いていくことで新しい産業を作って、
そこで社会からはみ出していた人たちを救っていくような組織とか産業を作っていくことをしている人たちと、
あとは既存の侍たちで利権を取ろうとしている人たちとか、何とかいろいろ出てくるんですけども、
その複数の立場を移動しているので、サンとアシタカだけなんですね。
サンはもともと人間だったけど、動物たちの立場になったり、
アシタカはもともと東北の大和に滅ぼされたエミシのアテルイとかアクローの末裔として出てくるのが、
いろいろエボシゴゼンの宝場に行ったり、動物たちとも会話したりみたいな、そういうことをする中で複数の立場を知ると。
当然ながら山をどんどん切っていく、切り減っていく、動物たちと殺していくってことに最初は怒っていたんだけれども、
エボシゴゼンと喋るうちに、この人がやっていることにも意味がある、理屈が通っている、正義があるっていうふうに途中感じていくんですよね。
ただ、両方の正義を知ってしまっているので、単純に答えが出せない。
でも最後は僕はたたらばに言う、そういうふうには言うわけですけども、
そういう簡単に答えていないことを身に浸しながらやっている。
悲しみと怒りに潜む誠の心を知るわ。
思いのせい者の家たちだけど。
いやーこれね、2つの3と足高い、両方の立場から聴けるすごくいい歌だなと改めて思います。
この作品なんですけども、私20何年見てないって言ったんですけども、
実はものすごく影響を受けていることは結構自覚をしてまして、
これがね、どういう作品だったかというと、いわゆるファンタジーなんですよね、ファンタジー作品。
まあそう言われて、そうですね、ファンタジーですね。
あんまり異論ある方はいないんじゃないかと思うんですけども、
実はこれはもう一言加えるならば、和風ファンタジーなんですよね。
実はこの和風ファンタジーっていう言葉が、この作品のチャレンジでもあったと思うんです。
普通ファンタジーっていうと、もう西洋風のファンタジーであることが分かりきっているので、
西洋風ファンタジーっていちいち言いませんよね。
ファンタジーイコール西洋風のもんだっていう風になるわけですよね。
ユーラシア大陸の西側、ヨーロッパを中心としたところの宗教とか歴史とかスピリチュアルなね、
妖精とかなんとかみたいな、そういうものの伝説が中世の騎士の世界とかね、
そういうのと混ざり合った結果として、何かよく映画や漫画や小説になるような世界観がありますよね。
あれの元を作ったのは誰かというと、指輪物語を描いたJ.R.R.トルキンなわけですけども、
そういう人がヨーロッパに伝わるものをある一つの世界観として固定化させたわけですよね。
それがもう今や世界一で楽しまれているっていうことなんですけども、
実は宮崎駿っていうのはこの作品、日本物語姫を通じてそれに近しいことをやろうとしたわけですよね。
東アジアに伝わるような宗教、歴史、あるいは妖精とか妖怪とか精霊みたいなものを使って、
そういういろんな立場の人たちが入り乱れる世界みたいなものを一つのパッケージとしてやったと。
だからこれは室町時代の作品なんですけれども、
よくある武士とか貴族とかが出てきて何やかんやするみたいな時代劇にならずに、せずにですね、
武士でも貴族でもないいろんな職業の人たちがたくさん出てきて、
人間だけではなくて動物、動物も太古の時代から生きているようなダイヤウルフ、
ファンタジーだとダイヤウルフとか言いますけれども、
ダイヤウルフとかそういうものが出てきたりとか、
あとは少女ですね、猿の妖怪ね、そういうのも出てきたり、
混ぜこぜにして、あとこだまも出てきますね、
もののけ姫といえばこだま。
そういったものを作っているという意味で、
ファンタジー世界を作り上げようとしたという意味で、
ほとんど稀な成功例なんじゃないかと思うんですね。
これがね、本当に大成功というのはトールキーみたいに、
その世界観をみんなが真似していったらいいと思うんですけれども、
なかなか真似しづらいというのと、
もののけ姫と和風ファンタジー
ヨーロッパの作品ほど似たような作品の厚みというかがね、
まだ東アジア、日本中心としてないので、
まだそこまでいけてないですけれども、
そういうものを目指してほぼ成功している、
仕掛けているような作品だと思う。
自分が影響を受けているというのは、
こういう和風ファンタジーというものに関して、
自分も民族学とか歴史とか好きで、
小説も書く人なので、
そういうものの中にいろんなファンタジー要素、
超現実なもの、スピリチュアルなものを入れて、
でも一つのまとまった世界観として書くということをやっている。
過去もやっていたし、今もやっているので、
そういうものの源流ってやっぱり、
もののけ姫が達成したものをすごく控えているからなんだと思うんですよね。
これは柳田邦夫・水木茂も単独ではできていなくて、
宮崎駿がもののけ姫で成し遂げたというか、
トルキみたいなことを日本でもできるよということを示したということなんじゃないかと思いますね。
あとはもう一個話したいことがあるんですけど、
もののけ姫って当時解説本もたくさん出て、
私そういうの読むのが好きなのでよく読んだんですけども、
よく言われていたのは、
歴史とか民族学の成果をよく勉強して取り入れたエンターテイメント作品だと
そういうふうに言われていたんですね。
一番代表的なのは阿弥野由彦さんの
阿弥野史学と呼ばれるような成果を取り入れた。
それが何かというと、簡単に言うと、
貴族とか侍だけじゃない百姓と呼ばれる、
百姓というのは農民ということじゃないですよね。
百の生と書きますけど、いろんな職業の人たちがどういう暮らしをしていたかというのを
光を当てて明らかにしていった。
そういうのの研究をほぼ最初に指し示したような人なんですけども、
そういう阿弥野史学の成果を取り入れていると。
なので作品の中にいろんな人たちが出てきますよね。
代表的なのはタタラバの人たちなんかがたくさん出てくるんですけども、
それ以外にも町の風景とかにいろんな職業の人が出てくるんですよ。
で、モンノケ姫を見終わったときに、
もしかしたらあれ何時代の作品かってわからない人もいると思うんですね。
これ実際には室町時代っていうことが明らかになってるんですけども、
いわゆる見慣れた時代に来と全然違うんで、
その辺がエポックメイキングだったところで、
かつそれがわかりやすくエポックメイキングだったんで、
多くの人がいろんな評論で語ったんですよね。
ご本人も黒沢明の七人の侍とかっていうのに対抗意識を燃やして、
あれは嘘っぱちだとかって言い方するわけですね。
すごく惹かれた、すごくいい映画で自分も影響を受けたけれども、
農民と侍の相関係って実際にはなかったと。
もっと複雑なもんだったんだよっていうのを見せたい、描きたいってことで
大世界観になってると思うんですけども、
それもですね、私もご多分に思えず影響を受けまして、
阿弥野史学の成果の取り入れ
やっぱり民族学とか歴史とか、本をよく読むようになったきっかけって
もののけ姫だったんだなって、お互いになってから思うようになりました。
で、これ今でもね、高く取引されているいい本がありまして、
別冊コミックボックスボリューム2っていうのがありまして、
もののけ姫を読み解くっていう作品ですね。
これ定価が1050円だったんですけども、
今だと3400円とかで取引されてますね。
これのボリューム3なんかも1万円超えてましたね、中古本で。
ここにもののけ姫の解説なんかが載ってあるんですけども、
私その中でもかなり好きだったので参考に来たのが、
関連本をいっぱい並べてくれたところがある。
よくあるアニメの本とか、アニメーターさんが出てきて、
そのインタビューが載っててとかっていうのはよくあると思うんですけども、
そういう要素もあるんですけどもね、参考書籍、あったあった。
64ページですね。
もののけ姫を読み解く参考書籍っていうのがあって、
例えばね、これは1冊目に挙げられているのが、
俗商用樹林文化、神山春平穂花っていうやつですね。
これ森を描くのにそういった資料をたくさん読んでると。
あと恵美氏の末裔、高橋隆。
これは足高のご先祖の話です。
あと柳田邦雄全集15、石上温度とかね。
アイヌと古代日本、そのアイヌ系の本もいっぱい上がってます。
あとは阿弥陀義彦さんだと異形の王権、
あとは無縁、苦害、楽。これがかなり有名なやつですね。
あと同じく阿弥陀義彦さんで、日本中世に何が起きたか、
日本の歴史を読み直すとかですね。たくさん上がってます。
鉄の語る日本の歴史、飯田賢一。
とにかくね、こういう本がたくさんパッと見直すと、
4ページに渡ってるんで40冊以上出てるんですよね。
柳田邦雄、妖怪短記。これも有名な。
谷川賢一、神、人間、動物。
という感じでですね。
ものけ姫読んだ民族学者とかは解説したくてしょうがなくなっちゃうみたいな、
そんな感じがあるようなんですけども。
僕は当時解説できなかった分だけ、ただの高校生でしたから、
その後になって、いろいろ読むようになりましたね。
ただですね、ここでこの時点か、
作品の影響と評価
宮崎さんが97年にその時の研究の成果を取り入れた後、
もっともっといろんなことが明らかになっているので、
そこで止まってちゃいけないというか、もっともっと研究とか先に進んでいるのですが、
やっぱりこういう考え方というか、
民族学とか歴史学の成果をこんなふうにエンターテインメントにした作品ってなかなかないと思うんで、
しかもそれが今だと通算何人ぐらいに見られているんだろう。
当時映画館だけでも1000万人以上見たと言われているので、
その後の金曜ロードショーとか合わせるとすごい数の人がものけ姫見てますから、
すごい影響を与えているはずなんですけども、
そういったはずなんですが、その割には民族学とかメジャーな、
みんな好きな、みんな興味あるんだろうか。僕興味ありますけど。
もっとメジャーになってほしいみたいなのありますけどね。
ちなみに、このものけ姫のジブリの教科書第10巻。
これはですね、いつも解題を大塚恵二さんが書いてるんですけども、
私大塚恵二さん大好きでよくその評論を読むんですけども、
ここでは大塚恵二さんって大学で民族学をやって、
その後も柳田邦夫関連の評論とか本をたくさんたくさん書いているので、
先ほど言った研究分野の統治者としてかなり張り込んでいる人なので、
このものけ姫の解題はかなり的厳しいですね。
的厳しいです。
言いがかりに近いんじゃないかっていうくらい的厳しいですね。
例えばどういうことかというと、宮崎駿の作品が、
その作品に現実世界にインパクトを与えようとするアクチュアなメッセージを持った作品として
作り続けているんだから、これまでもそうだったし、この後もそうだったんだから、
そういう作品として見たときに、このものけ姫っていうのはファンタジーとして確かに
偶然の人に見られたんだけれども、その中で描かれているような
人間と動物とか自然とかありますけれども、複数の立場の多様性、
その問題の解決困難さと、それに向き合う、向き合っている人たちの
そういうメッセージというか、刻みたいなものとか、
そういうものをこんなに多くの人に見られたのに、
そうやって現実に何にも人々の行動とか意識とか変えてないじゃないかと。
だからこの作品がファンタジーであるっていうのは、その通りなんだけれど、
ファンタジーであることによって、本来達成したいというかね、
この作品の企画のもとになっているアクチュアにインパクトを与えようみたいなことを
失敗してるじゃないかっていうことを言うわけですよね。
だってこの後金曜ロードショーだってやって何千万人に見られてるはずなのに、
こんな多様な世界、多様な社会みたいなものに関して、
みんなの意識も行動も何にも変わってないじゃないかっていうんですね。
いやでも、それは言いがかりじゃないけど、
それを言うのは厳しいなって厳しいなって思うんですよね。
特になんでそう思うかというと、
いや数は多くないかもしれないけど、僕みたいに小さいけれど
インパクトを受けて自分の考えとか作るものとかに人生変えられた人もいるんで、
そんな言うほど悪くなかったと思いますよって思うんですけど。
まぁまぁまぁまぁ思うんですが、
そんな評論も呼び起こすような魅力のある作品だということですね。
あとアニメについても僕たくさん喋りたいなと思ってたんですけども、
見どころ山のようにあると思うんですけど、
ただね、これなんだろうね。
君たちはどう生きるかを5回も見てしまった効果っていうのが、
こういうとこに悪い影響が出てまして、
君たちはどう生きるかって本当に贅沢に素晴らしいアニメーターたちの時間を
ふんだんに使って作られたものなんで、
当時の桃の剣姫を見るとね、物足りないところちょこちょこあるんですよ。
いや宮崎駿バリバリ現役だったと思いますよ。
でもCGを使った処理、あるいは背景との関係みたいなところとか、
ちょっとしたことなんですけど、
君たちはどう生きるかの方がさらにすごかったな、
あれに及ばないなみたいなふうに比べて物足りなく思っちゃうことなんですよね。
こういうふうに思っちゃうと楽しみ方が貧弱になっちゃうんで、
良くないと思うんですけども、
5回も見たからね、僕はね。
吉祥寺プラザの背景アートのすごさ
それと比べるとっていう感想はあったんですけど、
ただ背景アートはすごかったですね。
日本の森をあんなふうに現実に存在していないファンタジーとして描いて完成させてっていうのは本当にすごいと思いました。
だから吉祥寺プラザは行けなかったんですけども、
あと1回ぐらいチャンスでやっていこうと思うんですが、
行くときは最前列で背景の絵はね、
もう間近で見てこようと思います。
巨大な美術館の絵画として。
ちょっとそんなふうな楽しみ方をしていきたいと思います。
というわけで、何分ぐらいだろう?
これ40分ぐらい喋ったのかな?
唐突に物抜け姫について語る回でした。
吉祥寺プラザ行ける方も行けない方もですね、
ぜひもう1回映画を見ていただければと思います。
メラさんが歌う物抜け姫の歌がオススメ
私の見どころはですね、
メラさんが歌う物抜け姫の歌が流れるシーンなんかがオススメです。
あとはですね、補足情報としてはですね、
久石譲さんがロンドン公共楽団と録音した新しい
シンフォニックセレブレーション
Music from the Studio Ghibli
Films of Hayao Miyazakiという作品があるんですけども、
CD2枚組、アナログも出てます。4枚組。
この中にThe Legend of Ashitakaという曲が
フルオーケストレーションでリアレンジされたバージョンが入ってるんですけども、
これがね、過去最高にですね。
これね、なんか、世が世ならというかね、
ザ・ラストエンプラ坂本隆一、あれ超えてますね。
超えてると言っていいんじゃないかと。
アジア的旋律と映画的なけれんみのある
サビ精神たっぷりの贅沢なオーケストレーションが
合わさっていて、もう最高ですね。
もう最高です。
これ良かったら、もしねSpotifyとかでこれ聴いてる方は
この後すぐそれ聴いてみて欲しいなと思うような録音です。
というわけで、メディアンヌップ物抜け姫会でした。
メディアンヌップではですね、皆様からのお便りを募集しています。
あとは去年作ったメディアンヌップの手ぬぐいがめちゃくちゃいい出来なんで、
これも引き続き販売してますので、
ぜひメディアンヌップのサイトを訪れてみてください。
それでは本日これまでです。
また次回お会いしましょう。
おやすみなさい。
37:50

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