こんにちは、エールの山田です。この番組は、エール代表の櫻井さんの書籍、『まず、ちゃんと聴く。』の内容を中心に、聴くや伝えるについて、ざっくばらんに話しながら深めていこうというポッドキャストです。
前回に引き続きまして、杉田さんをゲストに、櫻井さんと山田の3人でお送りしたいと思います。 では、今回もよろしくお願いします。
前半、杉田さんの最後の、「他の人の音も自分の音のように」っていうことが、感覚的に分かるか分からないかという話を、櫻井さんと2人で合間でしている中で、
僕がよく探究しているようなテーマ側、企業の組織論とかマネジメントみたいなところからすると、こういうことかなっていう話をしたときに、
あまりに楽屋トークで盛り上がりそうだったので、急遽止めまして、そこから続きをやろうということで、どこに行くか分かりませんが、ちょっと頭出しとして、僕からちょっとお話をさせていただくと、
僕、組織論とかをすごくやってきている中で、マネジメントって一般的に経営で言われるものって、基本的に人が、物事が管理できる、予測できて管理できて、計画したら逆算してそこに行くよねって世界観でやってるよねっていう風なのが、割とマジョリティというか主流派だなと思ってるんですね。
で、一方でそれって本当なんだっけっていうのを、2017年ぐらいから僕、仲間たちと一緒に、もっと自然の説理に沿うような経営の仕方でできるんじゃないかなっていうことを考えると、それって逆算じゃなくて、今起こったことの次に何が起こるんだっけっていうことを、
バックキャストじゃなくてフォアキャスト的に考えるだったりとか、あるがままに委ねて次起こったことに適応していくような形で、より良い経営ってできるんじゃないのかなっていう、対比ができるんじゃないかなっていう時の、その時の旧来というか、管理的なマネジメントと委ねる系のマネジメントの違いと、僕は感覚近いようなことをおっしゃってる気がするんですよねっていうことをお話ししてるんですね。
ということで、杉田さんがオッケーで話したいってその後おっしゃっていただいたので、その続きからぜひお伺いできればと思うんですけど。
もうめっちゃ面白い話っていうか、僕もめっちゃ関心あるところなんですよ。
ちょっとこれ合唱をやっていた方にとっては、ちょっと気に触るような話になってしまうかもしれないんですが、いわゆる合唱コンクールで優勝するような学校の合唱っていうのは、僕はすごく管理された、マネジメントされたハーモニーだなぁと思うんです。
もちろん整っているし、美しいし、完璧を目指す素晴らしさっていうのがそこにあって、そこはそういう美はあると思うんですね。
一方で、これは音楽的な趣味として、僕はもうちょっと違うハーモニーが好きで、どちらかというと、ゴスペルですね。
本当にアメリカの教会で、日曜日にドレス、その日の毎週日曜日に着るドレスを綺麗に着飾ってきた、黒人のおばあちゃんとかが、もうみんなが全身全霊で歌う。
それが合わさった時の響きの方に、僕はやっぱりハーモニーの感動を覚える、そういう音楽的趣味なんですよ。
それでいうと、そういったゴスペル的なハーモニーっていうのは、まさにあるがまま、自分のありのままの音をみんなが、
臆せずに出し合える場で、その時にそのありのままの音が重なった響きが、人の心を動かす豊かなハーモニーだと僕は感じていて、
自分としてはそういうハーモニーを奏でる場が、身の回りに増えていったらいいなという思いでやっています。
ここはあれですよね。杉田さんもちょっとおっしゃってた、好みの問題というか、どちらの美しさが自分にとってより好みか、みたいなことにすごく根付いているような話に、僕には聴こえたんですけど。
これお二人に僕から聴きたいんですけど、一方でそれしてると、時間がかかったりとか、
均衡点が見つからないままなくなっていったりとか、目指してる何かなしたいことができなかったりみたいなことが起きるってことが想像できちゃうじゃないですか。
これももはや未来を想像してるからあれなんですけど、その辺の話と、
例えば、アカペラグループで言ったら、舞台に立って最後は表現を皆さんの前でお金をいただいてしたりするわけじゃないですかっていう、
この辺のアウトプットとその辺との、この辺ってどうしたらいいんですかっていう相談を杉田さんと山田さんに。
山田さんからどうですか。
僕すごい経営っぽい話でいくと、前回も今回も話を伺っていて、やっぱりアカペラとか、あとスポーツとかもそうなんですけど、
本番が明確にあるものと経営って結構違うなってよく思うんですよね。その瞬間の勝負みたいなことって経営って櫻井さんも言ってましたけど、あんまないじゃないですか。
継続的な営みで、経営で言うと、時間軸長く待てる場合って、いつかは均衡するよねっていうことを待てるような経営の仕方をするんだって結構できるんだと思ってて、
例えばエールもそうですけど、外部から出資をいただいて、いつまでにこれぐらい成長したいですっていう前提で経営するときには、やっぱり時間軸結構ちゃんとセットした方がステークホルダーとみんなで幸せになれるよねっていう経営と、
やっぱり自己資本で長い時間をかけて経営しますっていうときって、均衡点先になってもいいみたいなのって、本番がない中だから時間軸伸ばせばできるっていうのかなって思ったんですね。
っていうのが櫻井さんの問いに対する僕の印象だったんですけど、逆になので杉田さんに僕も聴いてみたかったのは、本番そこにあるじゃないですかっていうのって、全然違うものな気がするんですよね。
そうですね。やっぱりお金をいただいてそのライブに来ていただいた方に満足してもらう、また来たいなと思っていただくっていうのが、それはもう絶対に果たさないといけないプロとしての最低ラインというか。
なので、もちろんその限られた2時間の中での、その日できるベストのパフォーマンスを目指すっていうのはもう全くその通りで、だからこそそのときにやっぱり、
例えば、MCでメンバーがすごいテンション上がって、ずっと話題を長く続けていても、やっぱりちょっと全体的にお客さんがだれてしまうんじゃないかって判断したらストップしたりとか、演奏じゃなくてMCの話で申し訳ないんですけど。
例えばそういった判断ももちろんします。だから短期的な考え方と長期的な考え方で考えてるかなと思うんですよ。
っていうと、期限が決まってたり、ここまでに成果を出さないといけないってものがあるときの判断と、ただやっぱりグループでも20何年もやってて、我々メンバーとしては一致してるのはもう生涯このグループを続けていこうよっていう
そういう思いでやってるので、そういうロングスパンで考えると、なんかこう。
そこはロングスパンなんですね。なるほどなー。
ちょっと自分は何か違うなと思っても、他のメンバーが出してきたものに対して、じゃあやってみようよっていう判断もできる。
なるほどなー。
で、ちょっと思うのは、なんかこれもやっぱり世の中が効率化であったり、無駄を省くとか、明確に線引きをして、
そっちの方向にすごく、そういう方向の判断が正しいとされつつあるような気がしていて、ずっとそこに自分は違和感があって、
そんな中で今出会ったのが、実は愛媛県西予市野村町の暮らしだったんですよ。
やっぱり都市部とは違う、ある意味非効率的と言われるような、
とりあえず月に1回町会で組って、近所の集まりがあって、集会場に集まると。
毎月27日の夜7時に、各家から1人はそこに行くと。
別に話すことなかったら5分ぐらいで終わるみたいな。
残る人は残る人で1000円ずつ出して、スーパーでお惣菜とか買ってきて、そこで飲み会するみたいな。
多分、都市部のビジネスマン的な考え方で言うと、
なんかそれ非効率じゃないとか、無駄じゃないみたいな、判断されるようなこともやっぱり継続していて、
それはやっぱりその会があることによって、地域の安否確認、高齢の方の安否確認だったり、
非常時だったり災害時に顔が知ってる、どこに誰が何人住んでる、どこの部屋で寝てるまでやっぱり、
なんとなくイメージできるとすぐ助けられたり、それは消防団の役割としてもそうだし、
効率非効率でいろんなものをカットしていくと、
本来の人間らしく生活してきたものがなくなっていって、
果たしてそういう社会に今後なっていって、自分は自分の子どもたち、未来が楽しく過ごせるのかなっていう疑問があって、
なので、長期的な目線で考えるっていうのも、一つ必要なんじゃないかなっていうのは、自分自身感じているところですね。
ここに長期、なるほどね……長期の視点を。
さっきの長期の話を伺ってて、この間知人の影を3代目で継いでる経営者の、同世代ぐらいなんですけど、方と話しててすごい面白かったのが、
何だったら自分があと50年経営してるかもしれないんだっていう前提で人を採用するときに、もうその人が将来どう生きたいかにしか興味がないんだって話をされてて、
今何をしたいかとか何ができるかとかじゃなくて、もう何なら50年やるかもしれない、自分が30年後も一緒に働きたい人かどうかっていうので、
どういう生き方をしたいかっていう人にしか興味がないんだと。っていう採用の仕方しかしてないみたいなことを言われてて。
僕スタートアップとかにもそれなりに身を置いていると、その時間軸で人を採るとかって絶対発想に浮かばないじゃないですか。
さっきの時間軸長く取って、それこそ、将来このグループでって話が本当なんか素敵だなと思ったんですけど、その時間軸持ってるからなされる対話の仕方とか、ある種聴き方の深さみたいなものってあるんだなっていうのが、
置かれてる前提の中での人との関わりってすごい違うんだなっていうのをさっきの話ですごい感じて。
なんかそれ、櫻井さんが本で表現していることの中にそういう表現ではされてないけれども、なんかそのより深いところを聴きに行くみたいなことって、
結構その想定する付き合い方みたいなことに結構影響されるんだなっていうのは個人的にすごい印象的でした。
ちょっと話が少しずれちゃうんですけど、さっき櫻井さんのお話をお伺いしていて、
ステージ上でメンバーが自分の想定の範囲を大幅に超えるような表現をし始めた時とかって、どう対処してるのかなっていう。
そこにイノベーションの種があったりとか、そこに何か想像得ないような面白さや感動があったりする可能性があるんだけど、そこに何かついていくのか、
何かどうするのかみたいなことってどうされてるのかなって。それこそ経営だとちょっと時間あるんで、
それなになにどうしたどうしたみたいな、何それしてんのみたいな、教えて教えてってなるんですけど、
瞬間でそれが起きた時ってどういうふうに対処されるのかなって。
それね、僕がむしろ瞬間的に思いついてやっちゃって。
自分がやる側だったんですね。
なるほど。
他のメンバーが対処してる側です。
そうなんですね。
そうなんですよ。一応リーダーという肩書きで名乗ってるんですけど、そういうタイプのリーダーのようで、本当に恐縮なんですけど。
やっぱね、ライブって、本当にこれも作り手とか聴き手の趣味の世界だと思うんですけど、
僕は完璧な演奏、それこそそれ、CDと一緒やんみたいな派で、
なんかその日にしかない荒っぽさとか、それこそ音のズレとかアラとか、
なんかこうもがいてる姿とか、でも立て直したぞすげーみたいな、
そういったところにやっぱライブ感を感じて、やっぱライブっていいなと思える派なんですよ。
だから決まった通りに、決められた通りに完璧にやれたらよし今日うまくいったぞっていう風にはあんま思わなくて、
なんかちょっとこう、事件を起こしたくなってしまって、予定にないことを。
起こしたくなる。
予定ないことをやっちゃったりするんですよ。
それはもう本当に僕のキャラクターで多動の子どもの頃からずっとそうだったんで。
で、そんな時にやっぱ昔はそれでまたメンバーと揉めて、
何してくれてるんだみたいなことで、後で怒られたりとかしてたんですけど、
もうなんかだんだん途中から、とはいえ他のメンバーもやっぱ失敗もあるし、
ミスもそうですよね。事件ですよね。意図せずに起こした。
でもそれも事件で。で、そういったことは絶対にライブであり得るとしたら、
その時にどうやってグループとして対処しようかっていう時に話し合ったのは、
あえて一個、このライブで何か仕掛けるのをオッケーみたいにしたんですよ。
なるほど。ルール化したってことですね。
そうですね。ちょっと何か一個誰か仕掛けようぜって。
で、それをみんなで面白がって乗っかろうぜっていうのをルール化したら、
そこから逆に何かが起こった時にみんながニヤッと笑って、
それを僕ら自身ハッピーな時間に変えられたんですよ。
失敗したり予定ないことが起こった時に、それをアンハッピーで起こるんではなくて、
お、来たねーみたいな。よっしゃーみたいな感じでみんながちょっとテンション上がる。
それを見てるお客さんもなんとなく盛り上がってくれてる気がして。
なるほど。
面白いな。
前にこのポッドキャストに出ていただいたソニック・ガーデンの倉貫さんが、
この間どこかで喋ってたんですけど、
あれ、エンジニアでアジャイル開発ってのをずっとやられていて、
ウォーターフォールっていわゆるガチプラン決めてその通りやりますみたいなのと、
アジャイルって作りながらどんどん作り足していこうってことっていった時に、
ウォーターフォールやってた時って変化が基本嫌なものだった。
計画をブレさせる要因だからっていうんだけど、
アジャイルになってから、良い想定外も悪い想定外もあるけど、
なんかハプニングに対して前向きに変化を受け止めるようになったって話を、
ウォーターフォールとアジャイルの違いでされてたんですよねっていうのと、
なんかすごい同じ話をされてるなって。
何か想定外が不幸な計画外じゃなくて、
悪い方にも行くかもしれないけどいい方にも行くかもしれないっていう、
可能性みたいなものと捉えるっていう話がすごい同じことだなって思いました。